- 結婚後、保険へ入っていないことで起こるリスクを知りたい
- 結婚を機に加入するべき保険の種類がわからない
- 結婚を機に新しく加入する保険の選び方を知りたい
結婚を機に新しく保険に入るべきだという話を耳にしたことはないだろうか。
しかし、元気なうちは保険に入る必要はないのではないか、保険にかけるお金を貯蓄にまわしたほうがいいのではないか、などの理由で加入を迷っている方もいるだろう。
また、多種多様な保険商品が存在する今、初めて加入するとなると何を基準に選べばよいのか迷うこともあるだろう。
そこで本記事では、結婚後に保険に入っていないことで起こるリスクや、加入するべき保険の種類と保険の選び方について解説する。
結婚を機に保険への加入を検討している方には、ぜひ参考にしてほしい。
結婚後に保険に入っていないことで起こるリスク
結婚後、保険に加入していないことで生じるリスクにはどのようなものがあるだろうか。
家族への保障ができないリスク
まず、保険に加入していないと、死亡や高度障害など万が一の事態に家族にお金を残せないというリスクが考えられる。
鎌倉新書が行った「お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、2022年の葬儀費用の平均価格は110.7万円だ。
2020年の調査では184.3万円だったが、コロナの影響で葬儀の規模も小さくなり、かかった費用の平均値も小さくなったと考えられている。
しかし、それでも100万円を超える葬儀費用が突如必要となるのは、残された家族にとっては大きな負担だろう。
さらに、一家の収入を支える人が亡くなった場合、残された家族はその後の生活を送るための費用や、家賃・自動車ローンなどの支払いも背負うこととなる。
夫婦2人だけでなく、小さい子どもがいる家庭では、教育費の負担も見逃せない。
一般的に、子ども1人が大学卒業までにかかる教育費の目安は1,000万円と言われている。
ただし、これはすべて国公立に進学した場合で、すべて私立の学校を卒業した場合は、教育費の総額は2,000万円以上にもなる。
保険に加入していないと、これらの死亡後に生じる必要なお金を十分に準備できないリスクがある。
病気や怪我によるリスク
突然の病気や怪我によるリスクも見逃せない。
まず、病気や怪我そのものを治療するためにお金が必要となる。
日本には公的医療制度があるため、月の医療費が一定額を超えると超過分が払い戻される高額療養費制度を利用できる。
ただし、高額医療費制度はあくまでも治療・療養にかかる費用を保障するためのものなので、以下のような費用は対象外となる。
- 差額ベッド代
- 入院時の食事代
- レーシックやインプラント等の保険適用外の医療費
- 美容整形
- 先進医療費
- 人間ドックや健康診断費用
- 入院中の生活費、家族の交通費
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、直近の入院時の自己負担費用の平均値は19.8万円となっている。
直近の入院日数別 | 5万円未満 | 5~10万円未満 | 10~20万円未満 | 20~30万円未満 | 30~50万円未満 | 50~100万円未満 | 100万円以上 | 平均(万円) |
5日未満 | 25.9 | 38.8 | 26.7 | 6.0 | 1.7 | 0.9 | 0.0 | 8.7 |
5~7日 | 6.8 | 36.4 | 34.0 | 11.1 | 8.6 | 1.9 | 1.2 | 15.2 |
8~14日 | 6.8 | 23.5 | 44.7 | 12.1 | 9.1 | 2.3 | 1.5 | 16.4 |
15~30日 | 2.7 | 11.8 | 36.4 | 14.5 | 18.2 | 12.7 | 3.6 | 28.4 |
31~60日 | 3.0 | 9.1 | 18.2 | 24.2 | 24.2 | 15.2 | 6.1 | 30.9 |
61日以上 | 0.0 | 0.0 | 14.3 | 7.1 | 14.3 | 35.7 | 28.6 | 75.9 |
入院日数が長くなるほど自己負担費用は高額になり、61日以上の入院でかかった自己負担費用の平均は75.9万円だ。
長引く入院という精神的な負担に加え、自己負担費用が家計を圧迫すると、怪我や病気の療養という観点でも大きな重荷となるだろう。
さらに、大きな病気や怪我の場合、それまで通りに働けなくなるケースが多々ある。
収入が大きく減ってしまったり、仕事を変更せざるを得なくなったりする可能性もあるだろう。
民間の保険に加入していない場合、このように多額のお金がかかるリスクやそれまで通り働けなくなるリスクが生じる。
老後資金が不足するリスク
保険に加入していないと、老後の資金を十分に準備できない可能性もある。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要だと思う最低日常生活費の平均額は月額23.2万円だ。
「20〜25万円未満」が全体の27.5%と最も多く、以下「30〜40万円未満」(18.8%)、「25〜30 万円未満」(14.4%)の順となっている。
さらに、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費にどれくらいプラスする必要があるかという質問に対しては、回答の平均額は月額14.8万円となっている。
単純にこれらの金額を足すと、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るためには約37万円ものお金が必要となることがわかる。
これに対して、老後に支給される年金の金額についても考えていこう。
厚生労働省年金局の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和3年度の国民全員が受け取れる老齢基礎年金の平均受給額は月額56,479円で、老齢厚生年金と合計した受給額の平均は145,665円だ。
厚生年金の保険料は収入に応じて変動するため、支給される金額も増減する。
65歳以上男性の受給権者の合計受給額平均は月額163,380円だが、女性の平均は月額104,686円だ。
平均的な夫婦の年金受給額がこれを足した金額だと仮定すると、月の受給額は約27万円程度となる。
ゆとりある老後を送るための約37万円には10万円程度も不足しており、これでは余暇や突発的な支出に備えるための資金には十分だとはいえないだろう。
預金や投資などで資産が十分にある場合は問題ないが、そうでない場合は老後の生活やいざという時にお金が足りなくなるリスクがある。
まだ入っていない方向け!結婚を機に加入するべき保険とは
結婚を機に保険に加入する人は多い。
どのような保険に加入している人が多いのかや、加入すべきかについてチェックしていこう。
医療保険や終身保険は夫婦の生活を守る保険
万が一のことがあった際に、夫婦の生活を守るための保険としては、医療保険や終身保険が考えられる。
医療保険とは、病気や怪我による入院・通院時の医療費負担を軽減するための保険だ。
公的医療保険で賄えない、差額ベッド代や入院中の食事代、日用品購入費などをカバーしてくれるという役割を持つ。
医療保険と一口にいっても、保険会社や商品によって特徴は様々で、入院1日あたり5,000円など日額で保険金を給付するタイプのものもあれば実際にかかった費用分を補填する実費タイプのものもある。
女性特有の疾病を手厚く保障する女性向けの医療保険や持病のある方でも加入しやすい引き受け基準緩和型など、ニーズに合わせて特約・オプションなどを選べるため、幅広い人に使い勝手の良い保険だ。
子どものいない共働き世帯などで、死亡リスクというよりは怪我や病気で働けなくなるリスクに備えたいという場合は、医療保険への加入を検討してみよう。
逆に、片働き世帯や小さい子どものいる世帯など、世帯主の収入が世帯収入の多くを占めている場合は、医療保険に加えて死亡に備えられる終身保険も必要だ。
終身保険は、死亡保障が一生涯続く保険で、被保険者に万が一のことがあった際に、遺族に死亡保険金が支払われる。
解約時には解約返戻金が受け取れるため、貯蓄性のある保険を求める方にも適しているだろう。
学資保険 子どもの養育費用を賄う保険
子どもがいる世帯には、学資保険の活用もおすすめだ。
学資保険とは、子どもの教育費の準備を目的として加入する貯蓄型の保険だ。
コツコツと保険料を支払いながらお金を積み立てていき、満期になるとまとまったお金を進学準備金や満期学資金として受け取れる。
親が契約者となり、契約者に万が一のことが起きた場合には、その後の保険料支払いが免除されるが、満期が到来すると予定通り満期学資金を受け取れるのも特徴だ。
銀行の預金においておくとつい使ってしまう、コツコツ貯金するのが苦手、という方は、保険料を銀行引き落としにしておけば、強制的に将来に向けてお金を貯められる。
学資保険には、医療保険が付いたものなど様々なタイプがあるが、特約をたくさんつけると返戻率が100%を下回りやすくなる点に注意が必要だ。
また、中途解約をすると解約返戻金が払い込んだ保険料の総額を下回りやすいため、無理なく保険料を支払える範囲で設定するようにしよう。
就労状況や生活状況などから判断しよう
保険は基本的に「万が一」に備えるためのものだ。
家庭によって備えたいリスクは異なるため、まずは自分の家族構成や資産状況、予定しているライフイベントなどから、今後何に備える必要があるかを考えよう。
例えば、世帯主が自営業の場合、厚生年金に加入しているサラリーマンと比べて、老後の生活費が不足しやすいという特徴がある。
こうした世帯では、老後の生活費や余暇のための費用を貯蓄するため、貯蓄性の高い保険に加入するのがおすすめだ。
個人年金保険などを活用すれば、公的年金に加えて私的年金として上乗せ分を自分で用意できる。
養老保険であれば、保険期間中は死亡や高度障害といった万一のリスクに備えつつ、満期がきたら満期保険金を受け取れるため、保障と貯蓄という両方のニーズに応えられる。
また、働けなくなった場合の収入が不安な方は、収入保障保険や就業不能保険などへの加入も検討したい。
このように、加入する保険によってカバーできるリスクやその範囲が変わってくる。
「今、自分が死亡したら」「急に働けなくなったら」と、万一の事態を想定して、足りない部分を補うという考え方で保険を選ぶのがおすすめだ。
まだ入っていないなら!結婚を機に加入する保険の選び方
結婚を機に保険に加入する場合、どのようなポイントに注意して保険を選べば良いのだろうか。
「保障内容」「保険料」「保険会社」の3つの観点から解説していく。
保障内容は加入目的と一致しているか
まずは、加入を検討する保険の保障内容は、自分の加入目的と合っているかを確認しよう。
保険を選ぶ際は、保障が手厚いほど魅力的に感じるかもしれないが、保険の考え方で重要なのは「自分が求める保障を確保できているか」だ。
例えば、死亡保障は被保険者に万一のことがあった場合に、残された遺族の生活を保障するためのものだ。
結婚したばかりで子どもがいない夫婦世帯の場合、どちらかが亡くなったとしても、働いて生活費を得ることは可能だ。
そのため、夫・妻ともにそれほど大きな死亡保障は必要とないと判断できる。
一方、結婚してすぐに子どもが産まれた場合などは、夫婦2人の世帯に比べて手厚い死亡保障があった方が安心できるかもしれない。
また、貯蓄が苦手という世帯では、学資保険や養老保険などの貯蓄性のある保険も良いだろう。
自分が備えたいリスクや将来の支出をイメージして、最低限どれくらいのお金があったら賄えそうなのかを計算してみよう。
すでに加入している保険があり、結婚を機に追加で加入を検討する場合も注意が必要だ。
保障が重複してしまわないか、必要以上に保険金額が大きくないか、など加入済みの保険の保障内容をよくチェックしながら保険の見直し・追加の検討を行おう。
保険料は高すぎないか
保障金額が大きくなるほど安心感も高まるが、支払う保険料もアップする。
その結果、保険料支払いが家計を圧迫して、思うように貯蓄ができないと本末転倒だ。
保険においては、最低限必要な保障を適切に確保するのが重要となる。
保険料の支払いで家計が圧迫されるのを防ぐため、自分の世帯収入に照らして、保険料が高すぎないかも注意しよう。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、世帯年収別の年間保険料金額は下記の通りだ。
世帯年収別 | 12万円未満 | 12〜24万円未満 | 24〜36万円未満 | 36〜48万円未満 | 48〜60万円未満 | 60万円以上 | わからない | 平均(万円) |
300万円未満 | 52.0 | 28.5 | 9.1 | 2.5 | 0.9 | 1.5 | 5.5 | 13.4 |
300〜500万円未満 | 40.5 | 31.5 | 14.0 | 3.8 | 1.7 | 2.3 | 6.2 | 16.9 |
500〜700万円未満 | 37.2 | 29.9 | 16.8 | 4.2 | 1.7 | 2.7 | 7.5 | 18.2 |
700〜1,000万円未満 | 29.0 | 29.9 | 16.6 | 5.8 | 2.0 | 5.4 | 11.2 | 22.1 |
1,000万円以上 | 22.6 | 28.6 | 18.8 | 6.4 | 6.0 | 9.0 | 8.5 | 27.4 |
世帯年収が上がるにつれて年間支払い保険料の金額は上がる傾向がある。
世帯年収300万円未満の世帯の平均額は13.4万円、世帯年収300万円〜500万円未満の世帯では16.9万円、500万円〜700万円未満の世帯では18.2万円となっている。
保険に加入する際や、保険の見直しをする際の参考にしてほしい。
信頼できる保険会社なのか
保険契約は一般的に長期にわたるため、信頼できる保険会社を選ぶことも重要だ。
生命保険会社も会社である以上、少なからず倒産・破産のリスクが存在する。
生命保険会社の運営に関する安全性を評価する指標の一つに「格付け」というものがある。
格付けは、独立した第三者によって評価されるもので、保険会社の財務や収支情報、経営戦略等さまざまな要素を総合的に判断して決定される。
加えて、保険会社の場合は、支払い余力を示す「ソルベンシー・マージン比率」という指標も安全性を見極める上での参考になる。
ソルベンシー・マージン比率とは、予測できないリスクが発生した場合に、保険会社が保険金を支払う余力をどれだけ持っているかを表す指標のことだ。
日本の大手生命保険会社のソルベンシー・マージン比率は800%を超えることも珍しくなく、200%を下回ると監督官庁からの行政指導の対象となる。
ただし、ソルベンシー・マージン比率が高いからといって、必ずしも経営上のリスクがないわけではない。
資産運用の状況や業績の推移、保険の契約状況などをチェックして判断するのが重要だ。
自分1人で判断するのが難しいという場合は、保険のプロに相談するのも一つの手だ。
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結婚後にまだ保険に入っていないなら、夫婦や子どもを守る保険を選ぼう
本記事では、結婚後に保険に入っていないことで起こるリスクや、加入するべき保険の種類と保険の選び方について解説した。
現在保険に入っておらず、結婚を機にあらたに加入する場合には、保障内容や保険料、さらに保険会社の信頼性などを踏まえて、結婚生活に最も適した保険を選ぼう。
ただ、夫婦が必要な保険は夫婦の就労状況や子どもの有無などによって変わってくる。
そのため、本記事だけで判断するのが難しいと感じる人もいるだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、的確に必要な家族の保険を選択することができる。
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