- 保険の満期時に戻ってくるお金の計算方法が知りたい
- 保険が満期を迎えた際の対処法が分からない
- 保険の満期金を活用した資産設計の方法がわからない
保険は数十年という長いスパンで考えなければならない商品である。
保険の本質的な目的は経済的損失を軽減していくことだが、満期を迎えることで満期保険金としてまとまった金額を受け取れる保険もある。
その満期時にどれだけのお金が戻ってきて、それをどう活用すれば良いのか戸惑う方も多いことだろう。
この記事では、保険の満期金の計算方法や満期を迎えた時の対処方法について解説する。
また、満期までの長い間で資産設計をするためのポイントを紹介する。
保険の満期時に戻ってくるお金がどのくらいなのか、満期を迎えたらどうしていけば良いのか、などの疑問をお持ち方にはぜひ参考にしていただき、自らの資産設計を充実したものにしてほしい。
保険金が戻ってくる?保険の満期とは
保険を選ぶ際のポイントのひとつに、満期の有無がある。
商品によって、一生涯保障される(満期がない)保険もあれば、10年や20年のように一定期間のみ保障される保険もある。
保険の満期は、保険の特徴を理解するうえで、基本となるため、しっかり理解しておきたい。
保険契約における満期とは何か
保険には満期が設定されている商品がある。保険契約の満期とは期間が終了する時期のことで、満期後は保障を受けられない。満期のある商品として、定期保険や養老保険、学資保険などが挙げられる。
満期には、10年や20年のような年満期(年満了)と65歳までや85歳までのような歳満期(歳満了)がある。保険商品によって設定できる期間は異なる。
保険を選ぶ際には、満期の有無も重要な基準となる。
(例) オリックス生命 死亡保険ファインセーブ
歳満了 | 60歳、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳 | 自動更新なし |
年満了 | 10年、15年、20年、25年、30年、35年 | 自動更新あり |
(例) ライフネット生命 かぞくへの保険
歳満了 | 65歳、80歳、90歳 | 自動更新なし |
年満了 | 10年、20年、30年 | 自動更新あり |
定期保険と終身保険における保険の満期の違い
満期の有無でよく比較される保険として、定期保険と終身保険がある。
どちらも、被保険者が万一のときには死亡保険金、所定の高度障害になったときには高度障害保険金が支払われる商品である。
定期保険には満期はあるが、終身保険には満期がない。
定期保険には満期があり、保険加入時に決めた期間のみ保障を受けられる。
保険料は終身保険よりも割安で、一定期間のみ保障が必要な場合に、スポット的に加入できる保険である。
定期保険には満期はあるが満期保険金はない、解約返戻金もない(あってもごくわずか)、いわゆる掛捨型の保険である。
一方、終身保険には満期はなく、解約しなければ一生涯保障を得られる保険である。
保険料は定期保険より割高であるため、通常、必要保障額の全額を終身保険でカバーするのは難しい。
定期保険と組み合わせて保障を得るのが一般的である。また終身保険は貯蓄性があり、解約することで解約返戻金を受け取ることもできる。
満期を迎えたら契約内容を再確認しよう
満期間近の保険に加入している場合、満期保険金の使い方を検討しなければならない。
加入してから数十年経過しているため、満期前に改めて契約内容を確認し、契約し直すか、ほかの保険に切り替えるかなどの判断が必要となる。
契約内容は、保険証券で確認できる。電子化されている保険証券の場合は、インターネットで確認する。
紙ベースの保険証券が見つからなければ、保険会社に再発行を依頼するとよい。
保険解約時に戻ってくる保険金の計算方法
貯蓄性のある保険であれば、解約時には解約返戻金、満期時には満期保険金を受け取れる。
解約返戻金や満期保険金の有無は、商品の特徴となるため、しっかり確認しておきたい。
解約返戻金と満期保険金の違い
定期保険に貯蓄性を加えた商品として、養老保険がある。
養老保険は、一定期間のみ保障を受けられるが、定期保険とは異なり満期になると満期保険金を受け取れる。
また中途解約すると解約返戻金を受け取れる。
このように、中途解約で受け取れるのが解約返戻金で、満期時に受け取れるのが満期保険金である。
終身保険には満期保険金はなく、定期保険には解約返戻金も満期保険金もない。
解約返戻金や満期保険金の有無は、商品の特徴といえる。
(例)日本生命
保険期間 | 解約返戻金 | 満期保険金 | |
養老保険 | 有期 | ||
終身保険 | 終身 | ||
定期保険 | 有期 | ||
がん医療保険 | 終身・有期 | (一部あり) | |
グランエイジ個人年金保険 | 有期 | (年金形式) | |
学資保険 | 有期 | (年金形式) | |
一時払外貨建養老保険ドリームロード | 有期 | ||
入院総合保険ニューインワン | 終身・有期 | (一部あり) | |
入院継続時収入サポート保険シュウニューワン | 有期 |
解約返戻金の計算方法
解約返戻金は、一般に「保険料積立金-解約控除」で求める。保険料の一部から諸経費を差し引いた金額が解約返戻金の額となる。
受け取れる金額は、おもに加入期間と保険料の額によって異なり、加入期間が長いほど、保険料の額が多いほど、解約返戻金の額は増える。
解約返戻金の額は、商品や解約時期などによって変わってくるため、自分で計算せず、保険会社に問い合わせることをおすすめする。
解約返戻金と満期保険金の比較
解約返戻金と満期保険金とでは、どちらがいいか疑問に思うかもしれない。
解約返戻金は解約時に、満期保険金は満期時に支払われる。養老保険のように解約返戻金と満期保険金の両方を備えた保険はあるが、解約返戻金を受け取ると満期保険金は受け取れない。
また解約で受け取れる解約返戻金の額は、満期保険金の額よりも少なくなる。
そのため、満期保険金がある保険は、緊急で資金が必要になるケースを除き、満期まで解約しないほうがよい。
保険満期を迎えた時の選択肢と注意点
満期を迎える保険に加入している場合、満期保険金の使い道について検討しておく必要がある。
ここでは、「契約を続行する(同じ保険に加入し直す)」「ほかの保険に切り替える」「満期保険金を受け取る(保険以外の目的に使用する)」の3つの選択肢について解説する。
契約を続行する場合
保険が満期を迎えた場合、同じ保険に加入し直し、継続する選択肢がある。
定期保険から定期保険へ、養老保険から養老保険へと継続する方法が考えられる。
同じ商品であれば、商品性を理解しているため、加入するかどうかの判断はしやすい。
契約を続行する場合の注意点はいくつかある。まず当初よりも年齢を重ねているため保険料は高くなっている。
また保険会社は受け取った保険料(お金)で資産運用するため、利率が高いほど利息を受け取れる。
保険の利率は加入する時期によって異なり、保険に設定されている利率が高いほど、保険料は割安となる。
健康状態の変化も契約に影響する。症状によっては、契約できなかったり、部位不担保がついたりする。
部位不担保とは、特定の疾病や部位に限り、保障しない条件のことである。
商品性は変わらなくても、条件は変わっている可能性が高いため、契約のしおりや商品概要説明書をよく読むようにしよう。
また加入当時は優れた商品だったとしても、数十年経つと市場における優位性は変わる。
ほかの商品も検討したほうが、自分に合った保険を見つけられる可能性は高くなる。
他の保険へ切り替える場合
保険が満期を迎えた場合の対応として、ほかの保険に切り替える選択肢がある。
ほかの保険に切り替えることから、どの保険が適切か検討する必要があり、同じ商品に加入し直すより、時間はかかる。
しかし、ほかの保険へ切り替える場合は、選択肢が多く、切り替え時の資産状況に合った保険を見つけられるかもしれない。
保障を重視するか、貯蓄性のある保険を希望するかなど、目的を明確にして検討するとよい。
満期保険金を受け取る場合
保険が満期を迎える場合、受け取った満期保険金を、保険以外の目的に活用する方法もある。
代表的な商品として、学資保険がある。学資保険はおもに高校・大学入学資金や在学資金を目的とする保険で、親が万一のときでも教育資金を準備できる強みがある。
目的が明確であるため、保険金の使い道に迷うことは少ない。
養老保険も満期保険金を受け取れる商品である。
まとまった資金を受け取る場合は、その使い道を検討しなければならない。
保険金の使い道や資産状況の把握については、次の章で解説する。
満期に戻ってくる保険金をもとに考える資産設計
保険満了により、保険契約は解消され、満期保険金を受け取れる。
保険満期を迎えたあとの資産設計について解説する。
資産の状況の把握
保険が満期を迎えると、まとまった資金を受け取れる。その資金を有効活用するために、資産の現状を把握しておかなければならない。
受け取る時期(年齢)や家族構成なども資金の活用方法に影響する。
資産状況を把握するためには、預金(現金)や定期預金だけではなく、株式や投資信託、金などの時価を確認しなければならない。
解約返戻金がある保険の場合は、解約返戻金の金額が保険契約の時価になる。
また自動車や不動産(自宅)の価値も調べておくとよい。
満期保険金を受け取ると、保険契約の価値は現金になる。
このように資産の状況は変化するため、まずは現状の資産状況を把握しておこう。
保険満期後の資産設計 高利回りの商品への投資の検討
保険の満了により満期保険金を受け取った際には、保険会社へ長年払い込み保険会社により運用されていた保険料が自由に使える現金へと変化する。
教育資金や住宅購入の頭金、海外への移住資金など資金使途として明確な目標があれば、現金のままでいいだろう。
また緊急用資金としての資金が不足している場合も、現金として残しておく必要がある。
しかし、目的がない場合や余剰資金が発生する場合は、高利回りの商品への投資を検討する。
貯蓄性の高い保険商品への切り替えもその方法のひとつである。
特に、物価高が続き、収入が追随していない状況では、外貨建て商品への切り替えも選択肢となる。
ただし、円安時に外貨建て保険に加入し、解約時や満期時に円高になると、解約返戻金や満期保険金が円ベースでは目減りする可能性がある。
高利回りの恩恵が薄くなる点に注意が必要だ。一方、日本国内の金利が上昇傾向にある。
魅力のある円建て商品が増えれば、選択肢は増える。資産状況を踏まえたうえで、総合的に判断するとよい。
保険満期後の生活設計 自身のライフステージに合わせた見直しの必要性
保険の満期は、自身のライフプランを見直す機会でもある。
満期保険金を活用して運用する場合は、さらに10年後、20年後のプランを立てる。
ライフステージは、おおまかな人生の区切りのことで、独身期、結婚初期、子育て時期、独立期、老後など、ライフステージごとに特徴があり、それぞれの特徴に合わせて計画を立てることができる。
たとえば、結婚初期であれば、出産・育児資金や住宅購入資金の準備、独立期であれば、老後資金の準備などがある。
満期保険金として、まとまった資金を受け取る際には、自身のライフステージに合わせた見直しをするとよい。
保険の満期時に戻ってくるお金を計算して自分にあった保障内容を検討しよう
この記事を通じて、保険の満期と満期時に戻ってくる金額の計算方法、さらには満期後の対処方法について理解が深まったと思う。
詳細な契約内容や金額、自身のライフステージの変化等、多くの要素を考慮しなければならないこの問題について、一人で考えることは難しいため、保険のプロが必要となってくるかもしれない。
しかし、自分に合った保険のプロを探すことは難しい。
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保険の満期に向けた最適な資産設計を行うためにも、ぜひ活用してみてはいかがだろうか。