- 三大疾病保険が本当に必要なのかが分からない
- 自分にとって最適な保険商品を選ぶ基準を知りたい
- メリットデメリットを理解した上で保険への加入を検討したい
日本人の死因の約60%を占めるのが三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)である。
万が一のために三大疾病保険の契約を考えている方も多いだろう。
しかし、三大疾病保険は本当に加入する必要があるのだろうか。
本記事では、三大疾病保険のメリットやデメリット、保険の種類や料金について解説する。
自分に適した保険の選び方についても解説するため、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてほしい。
三大疾病保険はいらない?
病気に対する備えとして一般的なのは医療保険であるが、生活習慣病・七大疾病のなかでも特に発症率の高い「がん」「心筋梗塞」「脳卒中」への備えが必要なのではと考える人は多い。
これらは三大疾病と呼ばれ、日本人の死因における上位3つであることはご存知な方がほとんどだろう。
そして、がん・心筋梗塞・脳卒中で亡くなられる方は、全体の50%近いのが現状であり、保険で備える必要性を考えたくなるのは無理もない。
現在、保険会社からはさまざまな保険商品が提供されており、「三大疾病保険」を単体の商品として用意している場合もあれば、医療保険や定期保険の特約として付けられるケースもある。
三大疾病に罹患した場合に保険料の払込免除になることもあれば、三大疾病保険から死亡保険金が支払われる場合もあるなど、調べ始めると分からないことだらけではないだろうか。
以下では、三大疾病保険とは何か、ほかの民間保険との違いを含めて解説する。
自身の不安のタネを言語化しつつ、三大疾病保険の必要性について考えてみよう。
三大疾病保険とは
三大疾病保険とは、「がん(悪性新生物)」「心疾患」「脳血管疾患」のどれかに診断され、保険会社が定める条件に当てはまった際に保険金や給付金が支払われる保険である。
大まかに分類すれば医療保険に該当するが、亡くなった場合と高度障害状態に認定された場合には、特定疾病保険金と同額の死亡保険金を受け取れるケースもあるため、死亡保険(生命保険)の側面もある。
保険を契約している期間に三大疾病に罹患して保険金を受け取ると、その時点で契約は終了することが一般的だ。
この点、支給回数が1回の場合もあれば、複数回、無制限の場合もあるため、各社の商品詳細から確認しておきたいポイントである。
三大疾病保険は定期または終身のいずれかがあり、一定期間ごとに保障の手厚さを変えたい場合は定期タイプがよいだろう。
終身型の場合は解約返戻金を受け取れるケースも多いため、保障を一生涯残しつつ、貯蓄性を持たせたい場合の選択肢として有効だ。
なお、一般的な医療保険と三大疾病保険を比べると、各疾患における該当条件・指定病名が異なる場合が多い。
「心疾患に罹ると無条件で三大疾病保険から給付金を受け取れる」わけではないため、あらかじめ覚えておこう。
三大疾病保険の種類
三大疾病保険は、保険期間によって「定期型」「終身型」の大きく2つに分類できるのは先ほど解説したとおりだ。
- 肝硬変
- 慢性腎臓病
- 高血圧性疾患
- 糖尿病
「がん」「心疾患」「脳血管疾患」の三大疾病だけでなく、上記の4疾患を含めた七大生活習慣病を網羅する七疾病保険は、広義の三大疾病保険と言えるだろう。
保険商品として提供される以外にも、医療保険や定期保険の「先進医療特約」「三大疾病特約」として、保障を追加する方法もあり、これも一つの備え方である。
なお、医療保険や生命保険の特約にある「三大疾病保険料払込免除特約」とは、がん・心疾患・脳血管疾患に罹患し、保険会社が定める条件に該当した場合、該当以降の保険料支払いが不要になる特約のことだ。
つまり、保険料の支払いが免除されるため、毎月の支出を抑えられるメリットがある。
しかし、保険金や給付金を受け取れるわけではないため、三大疾病保険とは根本的に性質が異なるものだ。
三大疾病保険の保障内容と金額
三大疾病保険の保障内容は保険会社によって詳細が異なる。
実態としては、以下の保障を用意しているケースが大半だ。
- 罹患した場合の一時金の給付
- 各疾病に罹患した場合の入院や通院に対する日額給付
- 手術に対する給付金
- 先進医療の治療費相当額の給付
- その他公的保険でカバーできない差額ベッド代など
医療保険との違いは、三大疾病に罹患した際に手厚い保障を用意できることである。
三大疾病に罹患した場合、ほかの病気に比べて通院・入院期間は長期化する傾向だ。
治療が長引くと仕事に復帰するのも時間がかかるため、収入の減少も免れないだろう。
なお、生命保険文化センターがまとめた「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、特定疾病保障保険・特定疾病保障特約への加入率は30.9%であった。
年齢別で見ると、50歳代が41.1%、40歳代が40.3%という結果(いずれも男性)で、働き盛りの世代において必要性を感じている人が多いことがわかる。
保障金額も保険商品によって大きく異なるが、基本的な給付額は50万円から設定されるケースが多く、特定のがん治療を行った際に毎月5〜10万円を支給する保険もある。
通院日額5,000円の給付や先進医療給付金の限度額は2,000万円までなど、保障内容は保険商品によってマチマチであるため、詳細はパンフレットなどから確認することをおすすめする。
いる?いらない?三大疾病保険のメリットデメリット
三大疾病保険の概要は上記のとおりだが、加入するメリット・デメリットが気になる人も多いはずだ。
ここでは、三大疾病保険に加入するメリット・デメリット、加入の必要性について解説する。
保険商品は三大疾病保険以外にもさまざまあるため、以下で解説する内容を踏まえて加入の必要性を慎重に判断しよう。
メリット
三大疾病保険に入るメリットは以下のとおりだ。
- 日本人の三大疾患を手厚く備えられる
- 高額になりがちな治療費や入院費に備えられる
- 収入減少の可能性に備えられる
- 先進医療などの保険適用外の治療費に備えられる
国内で亡くなられる方のうち、三大疾病に罹患している人はおよそ2人に1人という計算になる。
約50%をどのように捉えるかは人によって異なるが、死因になるかは別として、発症する確率は相当程度高いと言えるだろう。
入院が長引けば仕事を休職せざるを得ない。
会社員や公務員の方であれば、傷病手当金が最長1年6ヶ月支払われるが、その額は給与のおよそ60%程度だ。
自営業者の場合、傷病手当金は支給されないため、長期間働けなくなった場合の備えは必要性が高いだろう。
三大疾病のなかでも、がん治療は先進医療を扱うことも多い。先進医療は保険適用外となるため、全額自己負担になる。
治療内容によっては200〜300万円ほどの費用負担を強いられる場合もあり、十分な預金がない限り、安心して先進医療を受けるのは難しいだろう。
デメリット
三大疾病保険に入るのはメリットだけでなく、デメリットもいくつかある。
- 一般的な医療保険やがん保険に比べて保険料は割高
- 給付を受けるための条件が厳しい場合もある
- 三大疾病に罹らなければ給付金は支払われない
三大疾病保険の場合、一時金の給付額は100万円〜300万円程度であるケースが多い。
保障が手厚い分、ほかの医療保険やがん保険に比べて保険料が高くなるのはやむを得ないだろう。
医療保険と三大疾病保険の両保険に加入すれば、家計への負担は純粋に増えることになる。
また、三大疾病保険に限った話ではないが、条件に該当しなければ給付金は一切支払われず、保険料の支払い損になる点は覚えておこう。
特に、定期型で加入すると解約返戻金もないため、給付額と保険料のバランスを慎重に判断すべきだ。
そして、三大疾病保険は適用条件が複雑であることが多く、病気に罹ったからといって必ず給付金が支払われるわけではない。
以下、各疾病における注意点をまとめたのだが、日数の条件が保険会社によって細かく定められている点には気をつけてほしい。
がん | ・悪性新生物であれば適用され、上皮内新生物の場合は適用されないことも ・契約開始から90日間は免責期間とされる場合がある |
心疾患 | ・急性心筋梗塞に罹患した上で、60日以上の労働制限が必要 ・急性心筋梗塞に罹患した上で、治療を目的とした手術を受けることが条件の場合も |
脳血管疾患 | ・一般的に該当するのは「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」 ・脳梗塞などに罹患した上で、60日以上の後遺障害の継続が条件 ・脳梗塞などに罹患した上で、治療を目的とした手術をうけることが条件の場合も |
上記のとおりで、一般的な医療保険における保険金支払い事由とは異なる点には注意が必要だ。
加入の必要性
以下に該当する人は、三大疾病保険への加入を検討したほうがよいだろう。
- 遺伝的な要因や生活習慣から発症のリスクが高い人
- 三大疾病と死亡保障を1つの保険で集約したい人
- 現在加入する医療保険だけでは保障内容が不十分に感じる人
- がん以外の発症率の高い病気にも備えたい人
- 自営業の人
三大疾病保険は死亡保険を兼ねる場合もあるため、「保険に複数加入するのは面倒」という人も三大疾病保険でカバーする選択肢も考えられる。
高額になる医療費だけでなく、長期間働けなくなるリスク対策として、自営業の人も加入は前向きに考えたほうがよいだろう。
三大疾病保険以外にも!いるいらないではなく自分に適した保険の選び方
三大疾病保険のメリット・デメリット、加入の必要性について解説したが、なかには「三大疾病保険はいらないって聞いたけど」という人もいるだろう。
必要性の判断は人によるため一概には言えないが、加入している人は全体の3割ほどいるため、必要とされているのは事実である。
ここでは、自分に適した保険の選び方を具体的に解説しよう。
三大疾病保険に限らず、生命保険や医療保険を含めた民間保険に対する考え方の参考にしてほしい。
いま加入している保険の内容を確認しよう
保険の見直しをする場合にまず行うべきなのが、現在の加入状況と、毎月の保険料に対してどのような保障がついているか確認することである。
保険に加入していない人は、加入の目的を明確にすることから始めてみてほしい。
- 保障内容が重複していないか
- 過剰な保障内容になっていないか/明らかに不足していないか
- 特約でつけられる保障は何か/まったく使っていない特約をつけていないか
- 家計に対する保険料の割合が高過ぎないか/許容範囲に収まっているか
現状を洗い出し、どのような保障を用意したいか明確にすれば、その差分を埋めるような保険を選ぶことで不安を解消できるだろう。
保障内容が重複している場合は、いずれか一方を解約したり、新しい保険に加入したりするのが一般的な流れだ。
「生命保険+医療保険(終身)」を基本的な加入パターンとした場合、三大疾病保険への加入を検討するなら、以下のように保険に加入することになるだろう。
- 生命保険+三大疾病特約つきの医療保険
- 三大疾病特約つきの生命保険+医療保険
- 三大疾病保険(生命保険を兼ねる)+医療保険
- 生命保険+三大疾病特約つきの医療保険+がん保険
どのパターンが最適となるかは人によって異なるため、現在加入している保険商品の詳細を確認した上で、コストパフォーマンスの高い加入方法を検討してみよう。
保険を選ぶ際のポイント
三大疾病保険を選ぶ際は、以下をポイントに比較検討するのがおすすめだ。
- 保険金や給付金が支払われる条件
- 保険の契約期間と保険料の払込期間
- 保障内容/保険金額
- 貯蓄性を求めるかどうか
- 給付が何回支払われるか
上記は三大疾病保険に限定した内容ではないが、給付の条件が保険会社によって異なるため、しっかりと確認しておこう。
保険は一度加入したらOKというものではなく、定期的なメンテナンス・見直しが欠かせない。
ライフステージの変化に伴い、必要とされる保障額や保障内容は変わってくるものだ。
現在の状況で最適な保険に加入できたとしても、5年後には必要な保障が変わっているかもしれない。
保険の加入は、個人の買い物として住宅に次いで高額とも言われるほどだ。
保険に関する知識をアップデートしつつ、定期的に見直すことが大切である。
三大疾病保険に加入するときの注意点
三大疾病保険に加入するときは、上記で解説したポイントのなかでも以下の点に注意しよう。
- 給付金の支払い事由
- 給付金の支払い回数
- 契約から免責される期間
がんの場合、契約から90日間の発症は給付の対象外になる場合が多い。
心疾患や脳血管疾患については、発症だけではなく、60日以上の制限・支障が生じた場合などの条件が付与される点にも注意が必要だ。
保険商品によっては、給付金(一時金)が一度支払われたら契約が終了する場合や、「合算して〇〇万円まで支給」という条件が指定されることもある。
医療保険や各種保険の三大疾病特約とは異なる商品設計がなされているため、同じものであるという理解はせず、詳細を自ら確認することが重要だ。
三大疾病保険は本当にいらない?誰でも健康リスクはゼロじゃない!
三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)は、日本人の死因の約60%を占める。
そして、三大疾病保障特約はそれらによって所定の状態になったとき、死亡した時に保険金が受け取れる保険である。
本記事では、三大疾病保険への加入の必要性について、保険の種類や料金、メリットデメリットなどを交えて解説した。
三大疾病に罹るリスクはみな抱えており、いざという時のためにも三大疾病保障特約に加入して備えておくと良いだろう。
しかし、三大疾病保障特約にも多くの種類がある。
その上、加入する際には加入目的や、保障内容、保険料、保険期間など考慮すべき点が多数存在する。
それらを全て自分で考え、数多くある中から最適な商品を見つけ出すのは極めて難しいだろう。
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