- 60歳以降に保険に入るメリットとデメリットが知りたい
- シニア世代におすすめの保険を詳しく知りたい
- 60歳以降も安心して生活するために保険に関する知識を身につけたい
60歳を迎え、生活環境や健康状態が大きく変化したという方も多いだろう。
その中で保険は、セカンドライフにおける将来設計と万が一の事態に備えるための重要なツールとなる。
では、具体的にシニア世代が保険で備えるべき保障とはどのようなものなのだろうか。
そこで本記事では、60歳からの保険選びのポイントと、おすすめしたい保険について解説する。
ぜひ参考にして、将来の安心のために最適な保険を見つけてほしい。
60歳から保険に入る意義とは
60歳を過ぎると、長年続けてきた仕事を退職したり、子どもが独立をしたりと、ライフステージに大きな変化が訪れるケースが多い。
そうしたタイミングで保険に加入する必要性はあるのだろうか。
ここでは、60歳から保険に加入する意義を把握するため、保険加入率や想定されるリスク、公的制度による保障について解説していく。
60代の保険加入率
公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、2021年時点の生命保険・個人年金保険の世帯加入率が発表されている。
世帯主の年齢が60〜64歳の加入率が92.4%、65〜69歳の加入率が93.8%という結果だった。
以下の表はほかの年代の加入率を比較してまとめたもの(一部抜粋)である。
世帯主年齢 | 加入率 |
---|---|
29歳以下 | 70.2% |
30〜34歳 | 90.7% |
35〜39歳 | 89.4% |
40〜44歳 | 93.2% |
45〜49歳 | 94.0% |
50〜54歳 | 93.0% |
55〜59歳 | 94.8% |
60〜64歳 | 92.4% |
65〜69歳 | 93.8% |
70〜74歳 | 88.2% |
75〜79歳 | 85.0% |
70代以降は加入率がやや減少する傾向が見られるが、60代までは高い加入率となっている。
60代の方の多くがあらゆるリスクを想定し、保険に加入する必要性が高いと感じていることが分かる。
では、60代ではどういったリスクが想定されるのだろうか。
60代で想定されるリスク
60代の方に想定されるリスクとしては、以下のようなものが挙げられる。
- ケガや病気で入院・手術をするリスク
- がんに罹患するリスク
- 要介護状態となるリスク
- 死亡して家族の生活に負担をかけるリスク
一般的に病気のリスクは加齢とともに高まっていくため、60代になると入院・手術をするケースが増えてくる。
医療費の負担がそれまでよりも大きくなる可能性があるため、保険商品でカバーしておく必要性が高いだろう。
特に、がんは治療が長引きやすく、治療費の負担も大きくなる可能性が高い病気であるため、がん保険などを上手く活用していく必要がある。
また、60歳を過ぎると要介護状態になる可能性も考慮しなければならない。
介護にかかる費用を想定し、必要な保障を備えておく必要性が高い。
さらに、自分に万が一のことがあり、家族の生活が苦しくなるリスクも想定しておくべきだろう。
60歳となると子どもが独立しているケースも多く、高額な死亡保障の必要性は低い。
しかし葬儀代や墓石代、整理費用などで残された家族に負担がかかる可能性を考え、死亡保障を備えておく必要はあるだろう。
上記のようなリスクに直面しても、問題なく支払えるだけの貯蓄がある場合は保険に加入する必要はない。
しかし「人生100年時代」と言われている現代において、貯蓄・資産はできるだけ残しておくことが重要となる。
入院・手術や要介護状態などで経済的なリスクを抱える事態を防ぐためにも、保険に加入しておく必要性は高いと言えるだろう。
公的制度による保障
前述の通り、60歳の方にはさまざまなリスクが想定されるが、すべてを民間の保険商品でカバーする必要はない。
公的制度でもある程度の保障を得られるため、民間の保険は不足分を補うようにプランを設計すると良いだろう。
先ほど解説したリスクに対する公的制度の保障としては、以下のようなものが挙げられる。
- 公的医療保険制度
- 高額療養費制度
- 公的介護保険制度
- 公的年金制度
公的医療保険制度により、60歳の方が医療機関の窓口で支払う費用は医療費全体の3割で済む。
さらに1ヶ月に支払う医療費が一定額を超えた場合に、超えた部分が払い戻される「高額療養費制度」も設けられているため、医療費の負担が過剰に大きくなる心配はない。
また、所定の要介護状態となった場合、公的介護保険による介護サービスの給付を受けられる。
所得に応じて1〜3割の自己負担で介護サービスを受けられるため、介護費用についても負担が大きくなり過ぎないような仕組みとなっているのだ。
そして、万が一自分が死亡した場合、一定の条件を満たしていれば残された家族に対して遺族年金が支給される。
配偶者や子どもの生活を守れる仕組みが設けられているのだ。
このように民間の保険商品でリスクに備える必要はあるものの、公的制度である程度のリスクはカバーできる。
民間の保険はあくまで公的制度などで不足する分を補う役割の商品として活用しよう。
60歳からの保険で必要な保障内容とは
60歳になってライフスタイルが変化し、自分の保険プランの見直しを検討している方も多いだろう。
特に「死亡保障」「医療・がん保障」「介護保障」については、あらためてチェックしておく必要性が高い。
ここでは、60代の方に合った保障内容について解説していく。
死亡保障
60代の多くは子どもが独立しており、手厚い死亡保障の必要性は低い。
すでに死亡保険に加入している場合は保障を削減、新規で加入を検討している場合は最低限の保障だけを備える形が良いだろう。
また、「子どもが独立するまで」「自分が退職するまで」など、一定期間を保障する定期型の死亡保険を活用していた場合、終身保険への切り替えをおすすめする。
終身保険は一生涯の保障を得られる上に、相続税対策として活用できるケースもあるためだ。
終身保険は途中で解約しない限りは確実に保険金を受け取れるため、葬儀代や墓石代なども確実に準備できる。
残された家族に負担をかけずに自身の整理費用を準備したい方におすすめの保険だ。
そして、死亡保険金には「500万円×法定相続人の人数」で計算される非課税枠がある。
非課税枠を上手く活用することで相続税の負担を軽減させることが可能だ。
確実に非課税枠を活用するためには終身保険の利用が不可欠となる。
60代の死亡保障は「必要最低限の保障を備える」「終身保険を活用する」という2点を意識しておこう。
医療・がん保障
手厚い死亡保障の必要性が低い一方、医療保障・がん保障については60代にとって重要度が高い。
なぜなら、ケガや病気によって入院・手術をするリスクは年齢とともに高まっていくためだ。
前述の通り、公的医療保険や高額療養費制度によって医療費の自己負担はそこまで大きくならない。
しかし、入院期間中にかかる差額ベッド代や食事代、見舞いに来る家族の交通費などは公的制度で保障されないため全額自己負担だ。
また、厚生労働省が承認した高度な医療技術を用いる「先進医療」についても検討する必要がある。
先進医療の技術料は公的制度の保障が適用されず、自分で支払わなければならない。
数十万円〜数百万円となるケースもあり、かなり負担が大きくなってしまう。
公的年金が主な収入源となる60代以降に、上記のような費用がかかると経済的に大きな負担がかかるだろう。
入院・手術に備えた保障を手厚く準備し、リスクをカバーすることが重要だ。
そして、60代以降も年齢とともにケガや病気、がんのリスクは高まっていく。
終身タイプの医療保険・がん保険を活用し、一生涯にわたる保障を確保しておくと安心だ。
介護保障
60代以降は、介護・認知症に対する備えも視野に入れておく必要がある。
介護には一時的な費用と継続的な費用が発生し、経済的な負担が大きくなるリスクがあるためだ。
公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護費用の平均を発表している。
介護のための住宅改造や介護用ベッドの購入費などの一時費用が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円という結果だった。
上記の費用は、公的医療保険制度を利用した上でかかる平均費用だ。
つまり公的制度による保障があっても、数十万円の一時金と月数万円の継続的な費用がかかるケースが多いということになる。
民間の介護保険に加入していれば、所定の要介護状態となったときに一時金や年金形式で給付金を受け取れる。
要介護時の経済的な負担をカバーでき、安心して介護サービスを利用できる点が魅力だ。
介護が必要になる前に、経済的なリスクをカバーできる民間の介護保険を検討しておくことをおすすめする。
このように、「いつ保険に加入するか」で最適なプランは異なる。また同じ60代であっても、性別や独身・既婚などのステイタスによってその最適解は変わってくる。
年齢別におすすめの保険や60代におすすめの保険をまとめたこちらの記事も参考にしていただくと、より60代が気をつけるべきポイントへの理解も深まるだろう。
60歳からの保険の選び方
60歳からの保険選びでは、以下のポイントを押さえておくことが大切だ。
- 現在の保障内容をチェックする
- ライフスタイルを見直す
- 持病があっても入りやすい保険を検討する
各ポイントを押さえ、自分に合った最適な保険プランを設計しよう。
現在の保障内容をチェックする
まず、現在の保障内容がどういった状況になっているか把握しよう。
公的制度による保障と加入済みの民間保険による保障を踏まえ、自分がどういった保障を準備できているのか把握することが大切だ。
現在の保障内容があいまいなまま新規で保険を選んでしまうと、保障が重複して無駄な保険料を支払う可能性がある。
反対に必要な保障を得られず、万が一のときに経済的に大きな負担を抱えるケースもあるだろう。
契約中の保険の保障内容は、契約時に交付された保険証券などに記載されている。
保障期間や保険金額、保険料などをチェックし、過不足がないか確かめておくことが重要だ。
そして新規で保険に加入したり、加入済みの保険に特約を上乗せしたりすることを検討している場合は、不足分だけをカバーするように心掛けよう。
ライフスタイルを見直す
自身のライフスタイルをあらためて見直すことも、保険選びの際には重要なポイントとなる。
自分自身が置かれている状況を客観的に見つめ直し、必要保障額を検討しよう。
例えば子どもがすでに独立している場合、死亡保険で用意すべき金額は子どもの独立前に比べて減少する。
子どもの生活費や教育費などを残していく必要がなくなるためだ。自身の整理費用や配偶者の生活費を計算し、必要な分だけを保障額として検討しよう。
また、60代で住宅ローンの支払いが残っている場合、ケガや病気で入院して医療費が発生すると、ローンの支払いが厳しくなる可能性がある。
医療保険・がん保険などを充実させ、入院・手術にかかる経済的な負担を軽減させておくことが大切だ。
このように、個々のライフスタイルに応じて必要な保障内容は大きく異なる。
「60代にはこの保障がいくら必要」という明確な答えを出すことはできない。
自分自身のライフスタイルを客観的に把握し、どういった保障内容があれば安心して生活できるかじっくり検討することが大切だ。
持病があっても入りやすい保険を検討する
60代になると持病を抱えていたり、過去に病気を経験していたりする方が増えてくる。
保険に加入する際は健康状態の告知を行って審査されるため、持病や入院・手術歴があると新規での保険加入が難しくなる可能性が高い。
しかし「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」であれば、健康面で不安を抱えている方でも加入できる可能性がある。
持病や入院・手術歴があって保険に加入できないとあきらめている方も、一度検討してみると良いだろう。
引受基準緩和型保険とは加入時の告知項目が少なく、加入のハードルが低い商品のことを指す。
一定の条件さえ満たしていれば、持病があったり、入院・手術を経験していたりしても加入することができる。
無選択型保険は、加入時の健康状態の告知なしで加入できる保険だ。
持病や既往歴がある場合でも加入できることが特徴となっている。
いずれも、通常の保険に加入できなかった60代の方にとっては検討すべき選択肢になる。
保障を備えたいのに持病・既往歴があって加入できないという場合は、引受基準緩和型保険や無選択型保険を検討しよう。
なお、これらの商品は一般の保険に比べると保険料が割高になったり、保障が一部削減されたりするケースが多い。
希望通りの保障内容にならない可能性もあるため、事前に保障内容・保険料をしっかりと確認しておこう。
60歳からの保険選びは自分の健康状態やライフスタイルに応じた保障内容を選ぶことが重要!
本記事では、60歳からの保険選びのポイントと、おすすめしたい保険について解説した。
60歳を過ぎたシニア世代にとって、保険は将来の不安を軽減し、安心した生活を送るための重要なツールだ。
シニア世代特有の健康状況やライフスタイルに対して必要な保障内容を備えるようにしよう。
今回紹介した保険の特徴や保険選びのポイントを参考に、適切な保険を見つけるようにしてほしい。
このように、何より重要なことは、保険の特徴を理解し、また自分自身の生活環境や経済状況、健康状態を考慮して生命保険の必要性を判断することだ。
もし商品の選択や生命保険の必要性に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、保険の必要性やあなたに合った生命保険を見つけることができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
そんな時はマッチングサイト「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。
無料で利用できるので、ぜひ活用してほしい。