MENU

収入保障保険はどんな保険?メリット・デメリットと選び方のポイントを解説

この記事で解決できるお悩み
  • 収入保障保険がどんなものか知りたい
  • 収入保障保険を利用するメリット・デメリットが知りたい
  • 収入保障保険を選ぶ上でのポイントが知りたい

結婚したり子どもが産まれたりするなど、ライフステージが変化するタイミングで生命保険を見直す人は多い。

特に、自分自身やパートナーの身に万が一のことが起きた際、適切な保障が用意できていないと、その後の生活に大きな支障が出るのは間違いないだろう。

そこで選択肢にあがるのが収入保障保険だが、保険料が割安とは聞くものの、実際にどのような保険なのか、本当に必要な保障を用意できるか気になる人は多い。

この記事では、収入保障保険について、どのような保険であるかやメリットとデメリット、ほかの保険との違いについて詳しく解説している。

保険選びのポイントも具体的にまとめたので、最適な生命保険を検討したい人はぜひ参考にしてほしい。

目次

収入保障保険とは

そもそも収入保障保険とは、被保険者の遺族が受け取る死亡保険の一種だ。

収入保障保険は指定した任意の期間で加入できるのが通常で、その期間内に被保険者が亡くなったり高度障害状態になったりした際に、保険が満了するまで保険金を年金のように毎月受け取れる。

収入保障保険は、自分自身の身に万が一の事態が起きた場合はもちろん、パートナーに先立たれた場合も効果を発揮する。

遺された家族の生活が立ち行かなくなる事態を避けるために、遺族年金だけでは不足する収入・生活費をカバーしたい場合は加入を検討すべきだろう。

収入保障保険は定期死亡保険の一つ

収入保障保険は広義の死亡保険の一つであり、なかでも定期死亡保険と比較されるケースが多い。

そもそも、死亡保険は大きく3種類に分類でき、それぞれの概要は下表のとおりだ。

死亡保険の種類特徴
定期保険保険期間が10年・20年・満60歳までなどと指定でき、その期間に死亡または高度障害状態になった際に保険金が支払われる。
期間中の保険金額は一定で、解約時の返戻金はないことが通常で、まとまった保障を比較的安価な保険料で用意できる。
終身保険保障期間が一生涯続くのが最大の特徴。
保険金の支払い条件は定期保険と同じで、解約返戻金の有無や金額の大小は保険商品によって異なる。
保険料は加入時の金額で据え置きとなり、払込期間は満年齢や終身払いから選択できる。
保障が一生涯続く分、保険料は高くなりがちになるため、最低限必要になる保障を終身保険で備えるのが一般的。
養老保険貯蓄性を備えた定期死亡保険で、任意の保険期間を設定し、満了したら満期保険金が支払われる。
期間内に死亡または高度障害状態になった場合は、死亡保険金が支給される。
支払った保険料が無駄になるリスクを抑えられ、亡くなった場合と将来に備えた資産形成という二つの目的を同時に満たせるのが大きな特徴。
ただし、返戻率は商品によって異なり、物価上昇率が返戻率を上回ると、受け取れる金額は実質的に目減りする可能性もある。

収入保障保険は、上記のなかで定期保険と似た性質を持つ死亡保険であることを前提として押さえておこう。

なお、定期保険と養老保険の違いは、貯蓄性の有無にある。

養老保険も定期保険の一種だが、保険期間中に支払事由が生じれば保険金が支払われ、期間が満了すれば満期保険金が支払われる。

養老保険は期間の長さによって払込保険料の運用期間が異なるため、最終的な返戻額は変動する。

だが、途中解約しなければ保険料が支払損になるケースはほぼなく、貯蓄しながら死亡保障を用意したい場合、養老保険が選択肢にあがるだろう。

収入保障保険は年金のように保険金を受け取れる

収入保障保険は、被保険者が亡くなったり高度障害状態になった場合に保険金を受け取れるものだが、受給形式は年金のような形が一般的である。

たとえば、被保険者が現在30歳で、保険期間を被保険者が60歳になるまで、保険金額を月々10万円と仮定する。

このとき、被保険者が35歳で亡くなると、約25年間にわたって毎月10万円、合計して3,000万円が支払われるという仕組みだ。

仮に、被保険者が55歳で亡くなると、保険金を受け取れる期間は約5年間になるため、合計600万円が支給される。

上記はあくまで概算で実際の支給額は各社で異なるが、収入保障保険は、保険期間が経つほど保障額は減少することがわかるだろう。

つまり、受取期間が短くなるほど保険金額の総額は減少し、期間中の受取総額は一定にならないのだ。この点が、定期保険との最大の違いになる。

グラフの横軸に期間の経過を、縦軸に保障額をとった場合、定期保険は四角形の保障を用意できる。

一方、収入保障保険は期間が経過するほどに保険金額は減るため、保障の形は三角形になる。

そのため、定期保険に比べて保険料は安価で、必要な保障を年々減らす形で備えたい場合には有効な選択肢になるだろう。

なお、年金のように保険金を受け取るだけでなく、一括で受け取れる場合や、一部を一括、残りを年金のように受け取れるケースもある。

だが、一括で受け取ると、年金形式の場合に比べて総額は少なくなる点には注意が必要だ。

また、商品によって長さは異なるが、年金の支払保証期間を設けているのが通常で、2年や5年と規定されている場合が多い。

たとえば、年金支払保証期間が5年と設定されている保険に加入した場合で、満期を迎える1年前に被保険者が亡くなると、残りの保険期間である1年を超えた4年間は保険金が支払われるものだ。

保険に加入した際の保障額があまりにも限定的にならないように設定されているもので、検討する際は各社の保証期間を必ずチェックしてみてほしい。

就業不能保険や所得補償保険との違い

もしもの事態が起きた際の収入減少をカバーする保険の一つが収入保障保険であるが、なかには「就業不能保険や所得補償保険とは何が違うのか」などと思った人もいるのではないだろうか。

収入保障保険と就業不能保険・所得補償保険はまったく別物で、それぞれ備えたいリスクや保険の種類が異なる。

ここでは、就業不能保険と所得補償保険の概要と特徴・違いを解説しよう。

就業不能保険は医療保険の一種

就業不能保険は、自分自身が病気やケガで長期間入院したり自宅療養したりした際、働けなくなった期間の収入減少をカバーするための医療保険だ。

保険期間は満年齢や契約年数で指定できる。就業不能保険の場合、働けない(就業不能)状態が60日以上継続した場合に保険金が支払われるのが一般的だ。

言い換えると、働けない状態が30日しか継続しなかった場合は支払われないため、長期間にわたって自身の収入が途絶えてしまうリスクに備えたい際に検討する保険といえるだろう。

つまり、収入保障保険は万が一の際において遺された家族に対して備えるもので、就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなったときの収入減少に備える点で大きな違いがあるのだ。

なお、就業不能保険の必要性を判断する際に考慮したいのが傷病手当金である。

傷病手当金とは社会保障制度の一つで、厚生年金を支払っている会社員や公務員であれば受け取れるものだ。

傷病手当金は、何らかの理由で働けなくなった際、給料の3分の2ほどが最長1年半にわたって支給される。

そのため、会社員の場合は傷病手当金を受給したうえで、生活費として不足する金額に対して就業不能保険でカバーすべきか検討する必要があるのだ。

この点、個人事業主やフリーランスで働く人の場合は国民健康保険に加入しているため、傷病手当金は受け取れない。

つまり、長期間働けなくなった場合の収入減少に対する備えが必要になりやすい。

自分が働けない場合に収入がゼロになるようであれば、就業不能保険への加入は積極的に考えておきたいところだ。

所得補償保険は損害保険の一種

所得補償保険は損害保険の一つで、性質としては就業不能保険とほぼ同じだ。

つまり、病気やケガで働けなくなった場合の収入減少をカバーできる保険である。

保険金を受け取れる期間や設定できる金額は、商品によって異なる。受取期間については1年程度の短期であるのが一般的で、長くても2年ほどだ。

設定できる金額は、契約前12ヶ月の平均所得の60%前後が上限になるケースが多い。

また、保険期間は1年から5年ほどと短く設定されているのも所得補償保険の大きな特徴だ。

就業不能保険との最も大きな違いとして、就業不能状態の継続期間が挙げられる。

所得補償保険の場合、働けない状態が7日間続けば保険金が支払われるケースも多く、保険が適用されやすいといえるだろう。

所得補償保険の加入を検討する際も、就業不能保険と同じで問題ない。

傷病手当金の有無と預金額などによって加入すべきかどうか異なり、加入する際も、同額の保障を受ける場合や保障期間などを軸に保険料を比較するとよいだろう。

収入保障保険のメリット・デメリット

収入保障保険の場合、保険料を抑えながら必要な保障を用意できるのが大きなメリットだ。

一方、解約返戻金がないことから保険料を安価に抑えられるものの、保険期間中に何もなければ保険料は払い損になる。この点はかなりネックになるだろう。

ここでは、収入保障保険のメリット・デメリットを詳しくまとめた。

自分に必要な死亡保障を検討するにあたって、以下の内容をぜひ参考にしてほしい。

収入保障保険のメリット

収入保障保険のメリットには、以下の5点が挙げられる。

収入保障保険のメリット
  1. 保険料と保障内容のバランスを取りやすい
  2. 遺された家族の生活資金を確保できる
  3. 毎月定額の保険金を受け取れる
  4. ライフステージの変化に対応しやすい
  5. 保険金を計画的に使える

それぞれ詳しく見ていこう。

保険料と保障内容のバランスを取りやすい

収入保障保険は掛け捨てタイプに該当するため、終身保険や養老保険に比べて保険料を安価に抑えられる。

また、保険期間が経過するほど受け取れる金額は減るため、定期保険と比べても保険料はお手頃だ。

死亡保険のなかでも保険料を抑えやすいうえ、保険金額を徐々に減らす形で無理なく保障を用意できる点でバランスのとれた保険商品と言えるだろう。

子どもが独立するまでの期間や住宅ローンの支払い期間なども時間の経過とともに短くなるため、必要な保障額にフィットさせやすい点はメリットの一つといえる。

遺された家族の生活資金を確保できる

死亡保険として最も重要な目的・役割であるが、収入保障保険は遺された家族の生活資金の確保に役立つ。

自分の身に万が一の事態が起きた場合はもちろんだが、パートナーに先立たれた際の保障としても検討したほうがよいだろう。

具体的には、パートナーが家事や育児をメインに担当している場合、パートナーを失うと家事代行やベビーシッターなどに頼らざるを得なくなる。

このとき、現在の収入でカバーできるなら問題ないが、貯金を取り崩す必要があるなら加入を検討してもよいだろう。

パートナーに先立たれた場合を想定する際、必要な金額は自分の身に万が一の事態が起きた場合に比べると少なく済むのが一般的だ。

保険料も比較的割安であるため、各家庭のリスク許容度に合わせて検討しやすい点もメリットといえるだろう。

毎月定額の保険金を受け取れる

「収入保障保険」という名前のとおり、年金のように毎月一定額を受け取れるのは生活費の補填という意味で大いに役立つ。

月々の生活費を算出し、遺族年金や遺された家族の収入を差し引いて保険金額を設定できるのも、収入保障保険ならではだ。

生活費の不足を補うためという目的が明確になると、必要な保障額も明確にできるため、過剰な保険に加入するリスクも下げられるだろう。

ライフステージの変化に対応しやすい

収入保障保険は、保険期間を「子どもが独立するまで」「パートナーが年金を受給するまで」のようにでき、人生のターニングポイントに合わせて保障を用意しやすいのも特徴的だ。

その結果、保障を用意する期間が定まり、期間中に想定される教育費や生活費から保障額を算出できる。

逆算して必要な保障を計算しやすく、その時々の状況にフィットさせやすいのが大きな特徴だ。

一度保険に加入してしまえば、あとは期間の経過に伴って保険金の総額が減るため、保険を見直す回数を減らせるという意味でも効率的だろう。

なお、収入保障保険の保険期間の考え方については以下の記事で解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

あわせて読みたい

保険金を計画的に使える

収入保障保険の場合、毎月定額の保険金を年金のように受け取れるため、生活費として利用しやすいのも大きなメリットだ。

定期保険の場合、保険金が一括で数千万円単位で支給される。

保険金を長期にわたって生活費や教育資金に充てられれば問題ないが、急に振り込まれた大金を前に、娯楽や趣味などに費消してしまう可能性もゼロではないだろう。

せっかくの保険金が遺された家族の支えにならないようでは本末転倒である。

保険金を計画的に使えるようにするためにも、毎月固定で支払われたほうが利用価値は高いと言えるだろう。

収入保障保険のデメリット

収入保障保険のデメリットとして特に押さえておきたいのが、以下の3点だ。

収入保障保険のデメリット
  1. 解約返戻金がない
  2. 満期が近づくほど受け取れる保険金が少ない
  3. 税金が複雑になる

解約返戻金がない

収入保障保険は、途中で解約した際の解約返戻金がない。

貯蓄性のない定期保険と共通する点ではあるが、保険料を安価に抑えられる代わりに、保険期間中に何もなければ保険料は払い損になる。

そして、途中で解約しても返戻金はないため、期間中は確実に払い込める保険料を設定することが重要だ。

この点については、保険に対する目的意識が求められる。

つまり、保険に貯蓄性を求めると、保険料は当然高くなる。

そして、保険と貯蓄には本来別の目的があり、保険は保険、貯蓄は貯蓄で最適な方法を取るべきだ。

そのため、充実かつライフステージに合わせた適切な保障を用意できるという目的を満たすのであれば、解約返戻金がない点は切り分けて考えるべきものと言えるだろう。

満期が近づくほど受け取れる保険金が少ない

収入保障保険の性質上やむを得ないが、満期が近づくほど受け取れる保険金が少なくなる点にも注意が必要だ。

子どもが独立するまでを保険期間とした場合、確かに生活費の総額は年々減少するが、大学進学に伴う入学金や学費など、教育費は独立直前がピークを迎える。

「生活費」の定義にもよるが、教育費を含めたトータルの費用を考えると、子どもが独立するまでの期間で必ずしも毎年減少するとは限らない。

満期が近づくほどに受け取れる保険金が減っていくのは、場合によって生活費を補填できないこともある点は覚えておこう。

期間を通じて同額の保障を用意できたほうが安心であれば、定期保険への加入がおすすめだ。

税金が複雑になる

収入保障保険では、契約の方法次第で税金の種類が変わる点も覚えておこう。

保険を契約する際は、「契約者」「被保険者」「保険金受取人」の三者が登場する。

このとき、それぞれがどのようなパターンになるかによって、かかる税金は以下のように変化する。

契約者被保険者保険金受取人かかる税金
本人本人パートナー相続税
パートナー本人パートナー所得税
パートナー本人子ども贈与税

上記のように、場合によってかかる税金が異なるため、算出根拠ももちろん変わってくる。

税金によっては基礎控除の額も異なるため、税制面で不利な形の契約にならないように気をつけよう。

あわせて読みたい

収入保障保険を利用すべきケース

収入保障保険の利用を検討したほうがよいのは、以下の2パターンが想定されるだろう。

  1. 結婚して子どもがいる家庭
  2. 自営業・個人事業主の人

それぞれのケースにおいて必要な理由や状況などについて詳しく解説するので、該当する人はぜひ参考にしてほしい。

結婚して子どもがいる家庭

結婚して子どもがいる家庭のなかでも、子どもの年齢が低い間は収入保障保険を利用したほうがよいだろう。

毎月の生活費や居住費はもちろん、子どもが生まれれば教育費がかかるため、家計のやりくりは簡単ではなくなる。

生後間もない間において、パートナーが育休を取得していれば育児休業手当金などの名称で給料の60%程度が支払われる。

しかし、出産を機に会社を退職している場合は収入の柱が一本になるため、家計は苦しくなりがちだ。

その上で、育児を担う一方に万が一の事態が起きてしまうと、ベビーシッターや家事代行にかかる費用を工面しなければならない。

もちろん、仕事量を抑えるしかなくなり、その分収入も減少するだろう。

このように、子どもに手がかかるうちは、自身の身だけでなく、パートナーにもしもの事態が起きた際の備えも欠かせない。

だが、子どもが成長すれば必要な保障額は一般的に減少していき、仕事に充てる時間も従来どおりに戻せることを踏まえると、収入保障保険で備えるのが最適と言える。

まずは毎月の家計で無駄な出費がないかしっかりと見直すのが最優先である。

そのうえで、保険に回せる予算を検討し、将来のライフプランを立てて必要な金額をシミュレーションしよう。

ここまで解説した公的制度も踏まえれば、もしもの事態が起きた際に不足する金額はかなりクリアになるはずだ。

自営業・個人事業主の人

結婚して子どもがいる家庭のほかにも、自営業・個人事業主やフリーランスとして働いている人も、収入保障保険は前向きに検討すべきだ。

なぜなら、国民年金に加入しているため、会社員に比べて遺族年金の支給額が少ないからである。

具体的な金額はケースバイケースであるが、厚生年金に加入している会社員や公務員とは制度が根本的に異なるため、死亡保険でもしもの際に備える必要性は極めて高い。

自身が亡くなった際、遺されたパートナーが受け取れる遺族年金に関しては、子どもがいなければそもそも支給されない場合もある。

子どもがいる場合においても、自営業者と会社員や公務員との間には年間で約50万円の差額が生じており、収入保障保険を中心とした死亡保険で手厚い保障を用意する必要があるのだ。

国民健康保険や国民年金は社会保障制度の1階部分とも呼ばれており、自営業やフリーランスの人には基礎的な保障しか用意されていないのが実情である。

そのため、パートナーが年金を受給するまでの間や、子どもが独立するまでの間などは、保険をうまく使って生活費を補うべきと言えるだろう。

個人事業主やフリーランスの人であれば、就業不能保険もあわせて検討しておくことをおすすめしたい。

先ほど解説したように、長期間働けなくなった際の収入減少リスクも大きいため、保険の必要性は会社員以上に高まるだろう。

傷病手当金の有無は、最低限の収入確保という意味で非常に大きな存在である。

個人事業主やフリーランスのなかでも自分一人で稼働し続けないかぎり売上を立てられない場合には、民間の保険は積極的に活用すべきだろう。

収入保障保険を選ぶポイント

収入保障保険の特徴やメリット・デメリット、利用すべき人を具体的に紹介したが、結局どのようなポイントで商品を選べばよいかわからない人も多いだろう。

収入保障保険を選ぶ際は、以下の3点を意識するのがおすすめだ。

  1. 保険期間
  2. 保険金額
  3. 保険料

それぞれの考え方について具体的に紹介するので、以下の内容を参考にしながら自分に適した収入保障保険を探してみてほしい。

保険期間

収入保障保険を比較検討していく際は、各商品の保険期間から絞り込んでみるとよいだろう。

収入保障保険は、各家庭におけるリスク許容度やカバーしたい生活費の範囲、支出が特に顕著な期間などから保険期間を決めるのがおすすめだ。

収入保障保険の保険期間として検討されるのは、おもに以下の3つが挙げられる。

  1. 被保険者が定年退職するまで
  2. 末子が独立するまで
  3. パートナーの年金が支給されるまで

一点目については、自身が定年退職するまでを保険期間とするものだ。

この場合、退職するまでは会社から給料が支給されている状況で、その間にもしもの事態が起きると収入は大幅に減少してしまう。

その際、収入保障保険に加入しておくことで、収入減少に備えられるだろう。

定年退職して年金の受給が開始されれば、万が一の事態が起きたとしても収入の減少幅は限定的になることが多い。

支給される年金が厚生年金または国民年金から遺族年金に切り替わるため、収入減少への備えという意味では退職までの保険期間としてもよいだろう。

二点目についてはイメージしやすいだろう。子どもの教育費や生活費がかからなくなれば、収入減少に対する備えは必ずしも必要ない。

末子が大学を卒業するタイミングを保険の満期としておくことで、無駄なく保険を用意できるだろう。

三点目については、保険金受給者の視点で考えるものだ。

もしもの事態によって遺された家族において、最低限の収入が確保できるのであれば収入保障保険はなくてもよいだろう。

この点、パートナーが厚生・国民年金のいずれかを受給する年齢になれば、生活がたちゆかなくなることはないはずだ。

遺されたパートナーに最低限の収入・保障が担保されるまでは保険に加入しておくのも一つの考え方である。

このように、想定される保険期間はさまざまだが、それぞれについて具体的に何年間になるかは人によって異なる。

そのため、収入保障保険を検討する際は、保険期間をどのように設定できるか、柔軟性の高さを指標にするとよいだろう。

保険金額

収入保障保険をさらに絞り込む際は、受け取る保険金額を軸に考えるのもおすすめだ。

一般的に、もしもの事態が起きた際の必要保障額の考え方は、生活費の70%を受取時の生活費と仮定するとよい。

さらに、子どもが独立したあとは生活費の50%を受取時の生活費と想定しよう。

そのうえで、公的保障を差し引いた額を保険金として賄うのが一般的だ。

また、遺された家族は働くことになるのが前提になるため、差額のすべてを収入保障保険でカバーすべきかは判断が分かれるだろう。

上記の生活費とは別で、子どもの教育費や生涯かけて必要な住居費用も別途計算することで、保険金額はより具体的に計算できるはずだ。

子どもの教育費に関しては、大学進学時及び大学の授業料が最も高く、次いで高校にかかる費用が高くなるのが一般的だ。

そもそも、子どもの教育費には1,200万円ほどかかると言われており、これに加えて子を育てるための生活費や一人暮らしをした際の仕送り費用などは別途必要になる。

これらを踏まえると、子の成長にしたがって必要な保障額が逓減するとは言えない点には注意が必要である。

これらの点を総合的に考慮して必要な保障額の総額を試算し、保険期間と組み合わせることで、各社の収入保障保険を直接比較できるはずだ。

保険料

収入保障保険の保険期間と保険金額の2つを実際に考えたうえで、月々の保険料がいくらになるか見積もりをとってみよう。

基本的には保険期間と保険金額でどの商品にすべきかある程度のアタリはつけられるが、この保障内容を用意できるほどの保険料を支払い続けられるかは、別途検討しなければならない。

デメリットで解説したように、収入保障保険は解約返戻金がないため、一度契約したら保険期間が満了するまで保険料を支払い続けたほうがよい。

充実した保障内容を求めるあまり保険料を上げ過ぎてしまい、毎月の家計が赤字になって保険を解約するのは本末転倒である。

そのため、必要な保障額を下げてシミュレーションしたり、保険期間の設定に関してパターンを再度出してみたりするなど、無理のない保険料に収められるようにすることが重要である。

さまざまなパターンをシミュレーションしても無理なく支払い続けられる保険料に収まらない場合は、家計そのものを含めたトータルの見直しを進めよう。

収入保障保険だけで収入減少をすべてカバーする必要もないため、状況によってはほかの保険との組み合わせを検討してもよいだろう。

定期保険で保険金額と保障期間を限定的にしたほうが保険料を抑えられるかもしれない。

ほかにも、対面型の保険商品ではなくオンライン専門の収入保障保険を選ぶことで、人件費がかからない分の割安な保険に加入できるだろう。

保険の選び方ではなく、遺されたパートナー自身が収入を上げる努力をするのも一つの解決策になるかもしれない。

いずれにせよ、今の家庭に求められる保険期間と保険金額を出したうえで保険料を比較すれば、最適な収入保障保険が見つかるはずだ。

なお、保険料を軸とした収入保障保険の選び方についてはこちらの記事でも解説したので、気になる方は適宜チェックしてみてほしい。

あわせて読みたい

家族のために準備したい収入保障保険

本記事では、収入保障保険の特徴や仕組み、メリット・デメリットを紹介した。

収入保障保険は保険金を年金のように毎月分割して受け取れるため、資金管理がしやすくなるのが大きなメリットだ。

ライフステージの変化にも合わせやすく、必要な保障を比較的安価な保険料で用意できる点で、収入保障保険は利用価値が高いと言える。

一方、収入保障保険には解約返戻金がなく、保険期間が経過するほど受け取れる保険金の総額も減少する点は注意が必要だ。

途中解約するのが一番もったいないため、保険期間中に無理なく支払い続けられる保険料を選ぶよう、慎重なシミュレーションが欠かせない。

収入保障保険の選び方についても解説したが、子どもが独立するまでの期間や自身が退職するまで、パートナーが年金を受け取るまでなど、保険期間の考え方はさまざまだ。

また、保険金額を考えるには、生活費だけでなく教育費や住居費用などを含めた必要資金の算定が鍵を握る。

そして、収入保障保険は名前の類似性から就業不能保険や所得補償保険と誤解されることも多いが、それぞれ備えたいリスクが異なるため、適切な保険を選ぶようにしてほしい。

このように、最適な保険を選ぶにあたって検討事項は多岐にわたり、ライフスタイルやリスク許容度なども人によって異なるため、数ある保険から自分に最適な商品を選ぶのは至難の業だ。

そのため、保険選びに少しでも疑問や不安があるなら、保険のプロに相談しよう。

保険のプロとあなたをつなぐマッチングサイトである「生命保険ナビ」では、条件や意向に最適な担当者を全国から選べる。

保険のプロの専門知識をもとに、自分にぴったりな保険を選びたい人は、以下のボタンから申し込んでみてほしい。

  • URLをコピーしました!

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

目次