- FX取引における手数料負けの具体的な原因が知りたい
- スプレッドの影響で損失が出る理由を理解したい
- 手数料負けを防ぐ具体的な方法を知りたい
FXで利益を得たいと思って取引していたとしても、FXの手数料のせいで利益が薄まってしまうことがある。
誤ったトレード方法を続けていると手数料負けしてしまうこともあるため、取引コストの仕組みを事前に知っておくことは非常に重要だ。
今回の記事では、手数料負けがなぜ起こるのか、具体的な取引コストにはどのようなものがあるのか、などについて詳しく解説しながら、FXの手数料負けについて深掘りしていく。
FXで手数料負けしないための対策も併せて紹介しているため、取引コストが気になるという方や、手数料負けしたくないという方は、ぜひ参考にしてほしい。
FX取引での手数料負けとは何か
FX取引における手数料負けとは、FXの取引で発生するコストが得られる利益を上回ってしまう状況のことを指す。
為替が予測通りに動いたとしても、手数料が大きすぎたり利益が薄すぎたりすると、手数料負けしてしまう可能性が高まる。
まずは、どのような場合に手数料負けしてしまうかという具体的な例について確認していこう。
ここでは、スプレッド・手数料・取引頻度の3つのポイントから解説する。
スプレッド
FXのスプレッドとは、異なる2つの通貨ペアの売値と買値の価格差のことだ。
例えば、米ドル/円の買値が160.100円で、売値が160.098円と提示されていたとする。
このときの価格差は160.100-160.098=0.02円=2銭だ。
1,000通貨を取引する場合は20円、10,000通貨を取引する場合は200円がトレーダーが負担するコストとなる。
スプレッドが広いほどFX業者が得られる収益は大きくなるが、トレーダーにとっては割高な取引価格で取引することとなり、その分利益が薄まりやすい。
一方、スプレッドが狭い状態は、買値と売値の差が小さい状態を表すため、手数料負担を抑えつつ、少しの価格変動でも利ざやを狙いやすいというメリットがある。
手数料
FX取引にかかる手数料負担も、投資家にとっては損失となる。
FXの主な手数料には、以下のようなものがある。
口座開設手数料 | 口座を開設するためにかかる手数料 |
---|---|
口座維持手数料・口座管理費用 | 口座を維持・管理するための費用 |
取引手数料 | 通貨ペアを売買する際にかかる手数料 |
入金手数料 | 口座に資金を入金する際の手数料 |
出金手数料 | 口座から登録金融機関に資金を出金する際の手数料 |
ロスカット手数料 | ロスカットが生じた際の手数料 |
国内のFX会社であれば、口座開設手数料や口座維持手数料などは無料となっていることがほとんどだ。
むしろ、口座開設を行った人にキャッシュバックキャンペーンを行っている業者も多い。
ただし、国内の一部の業者や海外FX業者の場合、一定期間取引や入金のない口座を「休眠口座」として、口座管理費用を徴収するケースもある。
また、通貨ペアの売買にあたって取引手数料を設定している業者もあるが、これもごく一部の会社に限られる。
入出金手数料は、資金の出し入れにかかる手数料だ。
業者や入出金方法によって無料か有料かが異なるため、あらかじめチェックするようにしよう。
例えば、DMM FXではクイック入金で入金すると、振り込み手数料はDMM FX負担となり、トレーダー側は負担しなくて済む。
しかし、振込入金で入金すると、振込手数料は顧客負担となり、所定の手数料を金融機関に支払う必要がある。
ロスカット手数料は、ロスカットがかかった場合に必要となる手数料だ。
ロスカット手数料も無料としている業者が多いが、一部の業者では有料となっている。
例えば、GMOクリック証券は自動ロスカットが発生した際に「自動ロスカット手数料」が必要となる。
10,000通貨あたり500円(税込)、1,000通貨あたり50円(税込)がロスカットのタイミングで差し引かれるため注意しよう。
- 出典:GMOクリック証券 よくある質問
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取引頻度
どのくらいで売買を行うかという取引頻度にも注意が必要だ。
FXのスプレッドは、1回の売買に対してかかってくる費用であるため、トータルの売買の回数が多いとそれだけコストの合計額が大きくなる。
特に、細かい利益を何度も積み重ねていくというトレードスタイルでは、費用負担が大きくなりやすいという特徴がある。
取引頻度が高い場合、スプレッド水準や得られる利益幅などによっては、結果として手数料負けとなってしまうこともあるだろう。
FX取引での手数料負けの主な原因
手数料負けの原因を理解することで、対策を講じることができる。
ここでは、手数料負けの主な原因を具体的に解説していく。
スプレッドの広がり
FXの主要な費用であるスプレッドが広がると、手数料負けの可能性が高くなるが、具体的に、どのくらい取引成果に影響を及ぼすのだろうか。
仮に、DMM FXでユーロ/円の通貨ペアを売買するとする。
2024年7月4日現在で、DMM FXにおけるユーロ/円の基準スプレッドは下記の通りだ。
コアタイム(原則固定)午前9時〜翌午前5時 | 上記以外 午前5時〜午前9時 |
---|---|
0.2銭 | 0.2〜3.9銭 |
上記の通り、コアタイムとされている午前9時〜翌日の午前5時までは、原則固定の0.2銭となる。
しかし、それ以外の午前5時〜午前9時の時間帯では、0.2銭〜3.9銭との変動幅が広めに設定されている。
取引するタイミングによっては大きく拡大する可能性もあるため注意が必要だ。
コアタイムに10,000通貨の取引を行う場合、支払うコストは、0.2銭×10,000通貨=20円だ。
一方、コアタイム以外の時間に売買を行い、最大の3.9銭のスプレッドが適用された場合、取引コストは3.9銭×10,000通貨=390円となる。
当然、このコストは取引ごとにかかるものなので、取引回数が増えるほど費用総額も大きくなる。
また、レバレッジをかけて証拠金以上のポジションを建てる場合も、その分コストが大きくなる点に気をつけよう。
取引コストの見落とし
取引コストの見落としも、手数料負けの原因となる可能性がある。
FXの主な費用はスプレッドだが、業者によっては口座維持手数料や取引手数料、ロスカット手数料などその他の手数料・費用が発生する場合がある。
さらに、自動売買システムを利用している場合は、裁量トレードとは違ってシステム利用料などがかかってくるケースもある。
よく調べずに売買をしていると、思わぬ手数料がかさむことによって、利益が圧迫される可能性がある。
どのようなコストがかかるのかは、あらかじめ確認しておくようにしよう。
頻繁な取引
頻繁に取引を行うことも、手数料負けにつながるかもしれない。
1日の間にポジションを決済するデイトレードや、数秒・数分のうちに利鞘を狙って売買するスキャルピングなど、短時間で決済を行うスタイルの場合、自然と取引回数は増加する。
利益に対して手数料の割合が大きすぎると、手数料負けの可能性が上がってしまうため注意しよう。
手数料負けに繋がる!FXでスプレッドが広がる理由とその対策
手数料負けの原因として、特に注目すべきはスプレッドだ。
スプレッドが拡大すると、トレーダーの負担が重くなることによって手数料負けしやすくなってしまう。
どのような状況でスプレッドが広がりやすいかを把握して、FXの成功に繋げよう。
市場の流動性
為替市場の流動性は、スプレッドの広さに影響を与えやすい。
流動性とは、為替市場での通貨ペアの取引のしやすさのことを指す。
市場参加者が多く、取引が活発に行われている環境では、売りたい人・買いたい人のどちらも売買を成立させやすいため、スプレッドも狭めになりやすい。
一方、市場参加者が少ない時期や時間帯に売買しようと思うと、買い手や売り手を見つけにくいために、スプレッドが広くなりやすい。
なるべく狭いスプレッドを狙う場合は、主要市場が開いている時間帯を狙って売買するのがおすすめだ。
特に、ロンドン市場とニューヨーク市場の両方が開いている時間帯は、市場参加者が多い傾向がある。
時間帯 | 特徴 | |
---|---|---|
東京時間 | 日本時間8時〜16時 | 東京為替市場の取引が中心で、アジア・オセアニアの市場参加者が多い |
ロンドン時間 | 日本時間16時〜翌2時(冬時間は17時〜翌3時) | 欧州為替市場の取引が中心で、欧州の市場参加者が多い |
ニューヨーク時間 | 日本時間21時〜翌6時(冬時間は22時〜翌7時) | ニューヨーク為替市場での取引が中心で、アメリカの市場参加者が多い |
経済指標
重要な経済指標が発表される前後は、スプレッドが広がることが多い。
経済指標の発表前は、発表内容を確認してから売買しようと考えるトレーダーが多く、需給の状況が悪化するためだ。
一方、指標の発表後は、様子見していたトレーダーが一気に売買を開始することで、為替市場が変動しやすくなる。
為替市場が一気に活発化して為替レートの変動幅が大きくなると、スプレッドが拡大しやすいため注意しよう。
注目すべき重要な指標には、以下のようなものがある。
雇用統計 | 失業率などの雇用に関する統計 |
---|---|
消費者物価指数(CPI) | 商品の小売価格がどれくらい変動したかを示す指数 |
国内総生産(GDP) | 国内で生み出された付加価値の合計 |
政策金利 | 各国の中央銀行が決める目標金利 |
特に、米国の金融や経済に関するこれらの指標については、米ドル以外の通貨ペアを保有している人も動きをチェックする必要がある。
また、自分の保有している通貨ペアに関わる経済指標をチェックすることも重要だ。
スプレッドの拡大が不安な方は、経済指標の発表前後の時間帯での取引を避けるか、発表後の落ち着きを確認してから売買を行うのが賢明である。
ブローカーの提示スプレッド
ブローカーがどのようなスプレッドを提示するかによっても、当然トレーダーが負担する手数料の重さが変わってくる。
どの通貨ペアにどのようなスプレッドを設定するか、などはFX業者が自由に決められる。
原則固定だと思って取引していたら、自分が取引していた時間帯は例外となる時間帯だった、ということもあり得るため、事前にしっかりと確認しておこう。
FX取引で手数料負けを防ぐ方法
FX取引で手数料負けを防ぐために、具体的な対策方法を紹介する。
費用負担が気になる方や、なるべく手数料を抑えて取引したい方は、ぜひ参考にしてほしい。
スプレッドの狭い会社を選ぶ
まずは、取引コストの大部分を占めるスプレッドに注目しよう。
なるべくスプレッドの狭い業者を選ぶことで、取引コストを抑えやすくなる。
自分が売買を希望する通貨ペアや取引しやすいタイミングをイメージした上で口座を選ぶことが重要だ。
米ドル/円はA社が狭いが、ユーロ/円はB社が狭い、といったように通貨ペアによって有利になる業者が異なる場合も多いため、しっかりとシミュレーションした上で比べるのをおすすめする。
特に、南アフリカランドやメキシコペソ、トルコリラなどスワップポイント狙いでマイナー通貨を取引する際は、業者によってレートが変わりやすいため注意しよう。
取引時間を選ぶ
取引する時間を選ぶのも重要だ。
先ほども解説したとおり、FX取引ではどの時間帯に売買するかによってスプレッドが変わることがある。
自分のよく取引する時間帯でどのスプレッドが適用されるかを前もって調べておくことで、不利な時間帯で誤って取引してしまうのを避けやすくなる。
特に、深夜〜朝の時間帯に取引する場合、タイミングによっては適用幅が広い変動スプレッドが適用される可能性があるため注意しよう。
なるべく市場が活発に動いているタイミングで取引することで、手数料負けに陥るのを防ぎやすくなるだろう。
取引回数を減らす
なるべく取引回数を減らすことで、取引の費用を抑えやすくなる。
特に、スプレッドは取引の都度かかってくるものなので、月に数回取引する人の方が、1日に何度も取引する人よりも負担が小さい。
短期トレードであまり利益が得られないと悩んでいる方は、中長期トレードに挑戦してみるのも良いかもしれない。
ただし、費用を節約することを意識して、利ざやを得られる機会を逃してしまっては元も子もない。
コストが負担にならない範囲で、自分に合った取引頻度を見つけるのをおすすめする。
取引計画を立てる
あらかじめ取引計画を立てるのも重要だ。
闇雲になんとなく投資していたのでは、取引回数が無駄に増えてしまったり、為替市場が不安定な場面で売買してしまったりするかもしれない。
なるべくコストを抑えてFXに取り組む場合は、時間帯やタイミング、売買頻度などを事前におおまかにでも決めておくことが重要だ。
FXで手数料負けする原因を知って適切に対策しよう
FXの手数料負けとは、FXで得られた利益以上に手数料がかさみ、結果として利益をそこまで得られなかった状況を指す。
スプレッドが想定よりも拡大していたり、取引手数料・ロスカット手数料などでの支払額が増えたりすると、手数料負けの原因となる。
特に、スプレッドは売買の都度発生する費用なので、あらかじめ各社の水準を比較した上で、ブローカーを選ぶことが重要だ。
なるべくコストを抑えて利益を狙いたいという方や、FX取引で失敗したくないという方は、手数料負けの仕組みや適切な対策方法を理解して賢くFXに取り組もう。