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プライベートバンクで取引を行う際の手数料水準はどのくらいなのか?

手数料は、金融商品を取引する際における重要な要素の一つである。取引手数料は、投資のパフォーマンスに少なからぬ影響を与える。

プライベートバンクは、富裕層に対してオーダーメイドの金融サービスを提供しているが、その手数料水準はどのようなものとなっているのだろうか。

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目次

日本のプライベートバンクで金融商品の取引を行う場合

日本、より正確に言えば日系金融機関が日本国内で提供するプライベートバンキングサービスにおいては、取引手数料は一般の銀行口座・証券口座における対面取引と同水準である場合が多いようである。

日本国内の金融機関は、監督官庁である金融庁による規制が厳しいこともあり、手数料の面でプライベートバンクの顧客だけを特別に優遇することには消極的な傾向がある。

もっとも、大口顧客に対して手数料を割引することが違法というわけではない。そのため、顧客の取引規模や金融機関の方針によっては、プライベートバンクの顧客に対して、一般口座よりも割安な手数料が提示される可能性もある。

金融商品取引における手数料は、商品種別によって異なるが、国内の金融機関の場合は、以下の水準が目安となる。

金融商品毎の取引手数料の目安

株式:取引金額の0.3~1.5%

投資信託:買付手数料0~3.5%、信託報酬0.3~2.5%/年

為替取引:米ドル円の場合1ドルあたり片道20~50銭

国内債券:スプレッド0.1~1%

外国債券:スプレッド0.2~4%

仕組債:スプレッド2~6%

  • 債券の取引は外枠手数料ではなく買付価格と売却価格の差額であるスプレッドの形で取引コストを負担することが一般的である。

オルタナティブ投資:買付手数料0~4%、運用報酬1~3%/年、成功報酬0~30%

  • オルタナティブ投資はヘッジファンド、プライベートエクイティ、プライベートデット、私募不動産ファンドなどの低流動性資産が該当する。

投資一任契約:0.5~1.5%/年

  • 投資運用業者が投資家から投資判断の全部または一部を一任される契約です。資産配分構築や、株式、投資信託などの売買判断を運用期間が行います。投資一任契約の報酬とは別に投資信託の信託報酬や有価証券の売買手数料が実質的なコストとして必要になる場合もある。

基本的に、一般の銀行口座・証券口座であるか、あるいはプライベートバンク口座であるかにかかわらず、手数料率は取引金額が大きくなるほど低くなる傾向にある。

概ね、1注文あたりの取引金額が1億円を超えると、最低水準の手数料が適用されるケースが多い。また、窓口や電話による注文ではなく、オンラインで注文を行った場合には、手数料が20~50%割引となることもある。

金融商品の種類によっても手数料には差があり、国内株式、ETF(上場投資信託)、日本国債、米ドル・ユーロ、インデックス型の投資信託など、市場規模が大きく設計がシンプルな商品ほど、取引手数料は低くなる傾向にある。

反対に、新興国株式、新興国通貨、新興国債券といった市場規模が小さく、取引規制が複雑な商品や、アクティブ型の投資信託、オルタナティブ投資、仕組債など、構造が複雑な商品については、手数料が高くなる傾向がある。

日本のプライベートバンクを経由して様々なサービスを受ける場合

プライベートバンクに依頼することで不動産、法人のM&A、税理士、弁護士といった金融商品の売買以外のサービスを手配してもらうことが可能である。

これらの専門家は、基本的にプライベートバンキング業務を提供する金融機関とは別の業者であるため、プライベートバンクとは関係なく、それぞれの業者が設定する手数料を支払う必要がある。

その他サービスの取引手数料の目安

不動産:売買価格の3%+6万円

法人のM&A:売買価格の5~20%

税理士:確定申告の対応は5~30万円、顧問料は月額1~6万円

弁護士:相談料は1時間当たり5,000~10,0000円、着手金は10~50万円、成功報酬は獲得金額の10~20%

不動産および法人のM&Aに関する手数料は、金融商品取引と同様に、取引金額が大きくなるにつれて手数料率が低下する傾向にある。ただし、業者によっては金額に応じた割引を行わない場合もある。

税理士および弁護士に関しては、手数料率というよりも、依頼する業務の質や量によって手数料が変動する。依頼内容が複雑になるほど、手数料も高額となる傾向がある。

また、顧客からは見えにくい部分ではあるが、プライベートバンク側がこれらの専門業者からリベートを受け取っているケースも存在する。専業者としては、案件を獲得するための営業コストとして、プライベートバンクにリベートを支払うという構図である。

海外のプライベートバンクの場合

海外のプライベートバンクにおいては、大口顧客に対して手数料の割引を行うケースも少なくない。たとえば、資産規模が数百億円から数兆円に達する超富裕層に対しては、株式取引において0.1%といった、機関投資家並みの手数料水準が提示されることもある。

機関投資家、すなわち年金基金、運用会社、保険会社といった金融のプロフェッショナルと同等の割安な手数料が、個人投資家である超富裕層にも適用されるのである。

資産規模が1兆円ともなれば、小規模から中規模の運用会社の預かり資産を上回るほどであり、機関投資家並みの低い手数料が適用されることに違和感はない。

また、超富裕層の中には、一族の資産管理を専門に行う「ファミリーオフィス(資産管理会社)」を設立し、実際に機関投資家としての登録を行ったうえで、本格的な資産運用を行っている例も存在する。これらのファミリーオフィスでは、プロのファンドマネージャーを雇用し、専門的な運用体制を構築している。

ただし、取引金額が1億円以下のいわゆる“通常”の富裕層に関しては、そもそもの手数料水準に関して、海外と日本国内の金融機関で大きな差はないのが実情である。

さらに、海外のプライベートバンクを通じて税理士や弁護士などの専門家に依頼を行う場合、外国語対応が求められる分、国内よりも費用が割高になる可能性がある。

したがって、資産規模が30~50億円を超えるような超富裕層を除けば、手数料という観点に限って見た場合、あえて海外のプライベートバンクを選ぶメリットは乏しいと言える。

この記事をまとめると・・・
  • 日本のプライベートバンクの場合、取引手数料は一般的な金融機関と同水準である場合がほとんどである。
  • 日本のプライベートバンクを経由して提携先専門業者のサービスを受ける場合の手数料はそれらの専門業者に直接依頼する場合と同等の水準となる。
  • 海外のプライベートバンクの場合、超富裕層に対して大幅な手数料割引を行う場合もあります。しかし、機関投資家並みの超富裕層を除けば手数料の点で海外のプライベートバンクを選ぶメリットは乏しいと言える。

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