- 配当控除の基本的な知識とその適用範囲について知りたい
- 配当控除の計算方法が分からない
- 配当控除を利用するかの判断に困っている
国内株式などで配当金を受け取った場合、配当控除の制度が適用できる。特に、まとまった額の配当金を受け取る投資家には重宝されている制度だ。
しかし制度を適用するためには細かな条件をクリアする必要がある。
ここでは配当控除の基礎知識や適用条件、計算方法を解説する。これから投資を始める方は事前に理解しておこう。
配当控除の基本知識
制度の内容をご存じない方に向けて、ここでは概要と適用条件について解説する。
配当控除とは何か
配当控除とは、国内法人から得られる配当金などを得た場合、所得税額からこれを控除できる制度だ。配当金を他の所得と合算できる総合課税で確定申告すると所得税の節税につなげることができる。
通常会社員などの方は源泉徴収で納税しているが、副業などの別収入がある場合は給与と合算して納税することができる。もちろん会社によっては副業を禁止しているところもあるため、注意してほしい。
しかし副業では経費計上できる項目もあるため、場合によっては給与のみより納税額を抑えることもできる。
配当控除では合算した所得が1,000万円以下であれば、配当所得に対し10%を所得税から、2.8%を住民税から控除することができる。すなわち、配当金が多いほど控除額は高くなることを意味する。
一方合算した所得が1,000万円を超えた場合、細かな計算を行ったうえで控除額が確定する。計算方法は後ほど詳しく解説するが、トータルの所得が大きい場合は不利に働く可能性もあるため注意してほしい。
控除の対象となるケース
国内に本店を構える法人から受け取る金銭のみが控除対象となる。なおかつ総合課税で確定申告しなければいけない。国外から受ける配当金は対象とならないため注意してほしい。
配当控除の非対象となるケース
外国からの配当金は対象とならないことはもちろん、以下の項目に該当する配当金も控除被対象となるため注意してほしい。
またJ-REITの配当金も対象外である。
申告分離課税も対象外
申告分離課税とは、他の所得と合算せずそれぞれ申告する制度のことで、退職金は退職金、配当金は配当金と分離して申告する場合は対象外となるため注意が必要だ。
資産運用は毎年必ず利益が発生するとは限らず、場合によっては赤字になることがある。赤字になった年の分は翌年以降の所得と合算することができる。
例えば令和4年度の所得が-100万円と仮定し、令和5年度の所得が200万円だった場合、合算して100万円が所得となる制度だ。しかし配当控除の適用はできないため注意してほしい。
配当控除の計算方法
配当所得は1,000万円を境に控除額が変わってくる。ここでは3つのケースの計算方法を紹介する。
1,000万円以下のケース
配当所得に対して10%が所得税、2.8%を住民税から差し引くことができる。配当金がある場合とない場合で比較してみよう。なおそれぞれの所得金額は同じと仮定する。
所得税 | 住民税(10%) | |
---|---|---|
<配当金がない場合> 所得440万円 | 37万2,500円 | 4万4,000円 |
<配当金がある場合> 所得40万円配当所得:40万円 | 配当控除:40万円×10%=4万円 所得税:33万2,500円 | 配当控除:40万円×2.8%=1万1,200円 所得税:3万2,800円 |
上記は一例であるが、同じ所得金額であれば節税効果が一目でわかるだろう。さらに配当所得のウエイトが大きくなればより控除額が大きくなる特徴がある。
配当金を加えて1,000万円を超えるケース
所得:980万円 配当所得:40万円 | 1,000万円-980万円=20万円 40万円-20万円=20万円 配当控除:20万円かける10%=2万円 | 1,000万円-980万円=20万円 40万円-20万円=20万円 配当控除:20万円かける2.8%=5,600円 |
配当所得を除く所得金額が1,000万円を超える場合
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
所得:1,000万円 配当所得:40万円 | 配当控除:40万円×5%=2万円 | 配当控除:40万円×1.4%=5,600円 |
配当控除の確定申告はどうする?
配当控除は確定申告で総合課税の適用を受けた時に限られている。本来会社員などの方は本業以外に年間20万円の所得があった際は申告が必要だ。しかし申告不要というケースも多いため紹介していく。
確定申告は一般的に不要
配当金が支払われる際は源泉徴収されるため、原則確定申告は不要である。株式を発行している企業側が納税額を差し引いて株主に支払うためである。
さらに積立NISAなどは運用金額と利益に対して非課税となるため、源泉徴収されることもなければ申告を行う必要もない。
確定申告をした方がいい場合
配当控除を受けるには確定申告を行うべきであるが、そもそも控除額が少ないのであれば源泉徴収で良いと考える人もいるだろう。
しかし配当金を受け取る人が「発行株の3%以上保有している大口株主」の場合や「非上場株式の配当金」を受け取った人は原則確定申告が必要となる。
また配当金の利益が大きくなるほど控除できる金額が増える。本業の収入より配当金の方が多いという方もいらっしゃるだろう。その場合は確定申告を行うようにしてほしい。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)について
配当金を受け取った際は配当控除が適用できるケースが多いが、そもそもその投資先が正しいのか、また配当控除を活用するべきなのかを見極めなければいけない。
しかし投資初心者にとってこれらの判断は難しいだろう。その際役立つのがIFAだ。IFAは投資を含めた金融業界のスペシャリスト。
ここではIFAについて紹介するため、これから投資を始める方は参考にしてほしい。
IFAとは
IFAとは独立系ファイナンシャルアドバイザーとも呼ばれ、顧客の資産運用などのサポートを行ってくれる金融のプロである。
IFAはどの金融機関にも属していないため、真に顧客にあった資産運用を提案してくれる点が特徴だ。本来金融機関であれば、投資信託や株式投資など自社金融商品を提案する。
しかしIFAはあくまで顧客の資産から適切な金融商品を提案してくれるため、資産運用の初心者であっても自分に合った方法を見つけることが可能だ。
IFAが提供するサポート
IFAは主に以下のサポートを行ってくれる。
- 顧客に合ったポートフォリオの作成
- 投資戦略の立案
- 節税方法の紹介
- 金融市場や経済情報の共有
上記の他にもさまざまなサポートを行ってくれるが、ひとことで言い表すとIFAの仕事は「顧客の資産運用をサポートする」ことだ。資産運用のスタートから資金が構築されるまで全面的に協力してくれる。
さらに資産運用は独学で学ぶには難易度が高く、ネットでは情報過多となっている。どれが正しい知識でどれが間違った情報なのか判断するのが困難だ。
しかしIFAは資産運用のスペシャリスト。初心者の心強い味方となってサポートを行ってくれるメリットがある。
信頼できるIFAを見つけるために
信頼できるIFAを見つけるためには以下の3点を意識して探してほしい。
- 金融に関する知識の豊富さ
投資信託は6,000、株式もETFを含めると4,000近くある金融商品。あらゆる金融商品について質問しても、的確に答えられるIFAであれば知識が豊富であることがわかり信頼できるだろう。
- 手数料とサポート体制
IFAは各社手数料が異なるうえ、サポート体制にも違いがある。資産運用の相談が無料の会社もあれば有料の会社もある。また資産運用を始めた際に手数料がかかる場合もあるため事前に確認しておくことが大切だ。
- 担当者の経歴を確認する
出身の金融機関によって得意な分野や対象とする顧客に違いがあるため、相談前に確認しておこう。
一番多いのは証券会社出身者であるが、銀行や保険会社の出身者もいる。自身が行いたい資産運用に合わせた担当者を選ぶようにしてほしい。
まとめ
配当控除は配当金を得られた際、総合課税として確定申告を行えば制度を利用することができる。ただし課税総所得金額によって控除額が異なるため、本記事を参考にして事前に計算しておいてほしい。
しかし、配当控除を活用するべきかや、そもそも投資先として正しいのかを見極めて投資をすべきだ。
配当控除のことを考える前に、「わたしのIFA」を活用し、IFAなどの専門家に相談し、自身に合った資産運用を見つけてほしい。