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日米の金利差に関して解説する

2022年10月5日現在、アメリカ合衆国ドルは144.38円である。

2021年において、1ドルは平均で108.80円であったことを考えると、実に前年比から対ドル円比が132.7%の上昇を見せるなど、現在のドル円相場は歴史上でも有数のドル高・円安の状態にあると言える。

ドル円相場がここまでの変動を見せている最大の要因は日米間の金利差であるといえる。

本記事では、日米金利差の拡大要因やドル円相場との関係性、日米金利差の歴史的トレンドについて説明後、現状を鑑みた場合に今後の日米金利差が如何に推移するかについて考察を行う。

目次

日米金利差の拡大要因とドル円相場との関係性

日米金利差の拡大要因とドル円相場との関係性 わたしのIFAコラム

そもそも日本と米国でなぜ金利差が生じてしまうのだろうか。

一般に、金利を下げる目的は経済活動を活性化し、景気を上向かせることである。

金利が下がると金融機関は、低い金利で資金を調達することができる。

そのため、個人や企業への貸出においても、金利を引き下げることが可能になる。

また、金融市場は互いに連動しているため、金融機関の貸出金利だけでなく、企業が社債発行などの形で市場から直接資金調達をする際の金利も低下する。

企業は、運転資金(従業員への給料の支払いや仕入れなどに必要なお金)や設備資金(工場や店舗建設など設備投資に必要なお金)を調達し易くなり、また、個人も、例えば住宅の購入のための資金を借り易くなる。

こうしたことに伴って、物価には押し上げ圧力が働く。

一方、金利を上げる目的は、経済活動を抑制し、景気の過熱を抑えることにある。

金利が上がると、金融機関は、以前より高い金利で資金を調達しなければならず、企業や個人への貸出においても、金利を引き上げるようになる。

そうすると、企業や個人は、資金を借りにくくなる。また、これに伴って、物価に押し下げ圧力が働く。

まとめると、景気が悪化している場合中央銀行は金利を引き下げることで国内の経済活動の活性化を試み、逆に景気が過熱している場合は金利を引き上げることで経済活動の抑制を行おうとする。

日本と米国の間で景気トレンドに差が生じることが、日米間で金利差が生じる大きな理由であるといえる。

前述のように、金利が下がれば物価が上がり、金利が上がれば物価は下がる傾向にある。

日本は国債利払いの問題を一つの要因として低金利政策を採択しているため、基本的に日本の政策金利が米国の政策金利を上回ることはない。

そのため、日米金利差が拡大する局面では米国の金利が日本の金利よりも更に高くなるため、米国の国債を買ったり、米国の銀行に預金したりする海外の投資家が増えると考えられるので、円安に転じやすい。

その逆に、日米の金利差が縮小すると、円は投資家から安全資産として好まれる性向を持つことも作用して、ドル売り(円買い)が増えてドル安(円高)が進む。

近年、日本は長短金利ともほぼゼロ近辺に固定されているので、米国金利が、そのまま日米金利差になるといってよい。

したがって、米国金利が上昇すると(日米金利差が拡大して)、ドル高(円安)が進み、米国金利が低下すると(日米金利差が縮小して)、ドル安(円高)が進むと言い換えることができる。

つまり、ドル/円の動きをもっとも簡単に説明すると、「米金利が上がれば円安」「米金利が下がれば円高」となる。

日米金利差トレンドの歴史

日米金利差トレンドの歴史 わたしのIFAコラム

上述のように、金利の上げ下げはその国の経済状況を反映して行われるものである。

そのため、日米金利差は日米それぞれが迎えた金融危機局面の裏返しであるといえる。

以下、日米金利差の長期的なトレンドを振り返る。

1990年代前半には日米の金利差は1〜3%ポイントに縮小した。

これは日本銀行がバブル経済の影響を鑑み、過熱した経済を抑制するために利上げに動いたためである。

しかし、バブルが崩壊すると日本銀行は低迷した経済からの脱却を目指すために利下げして金融緩和を行い、1990年代半ばから2000年代前半にかけて日米金利差は3〜5%ポイントに拡大して推移した。

2000年代中盤の数年間は3%ポイント前後で日米金利差は安定していたものの、2008年頃から世界金融危機による米国の利下げを受けて金利差は1〜2%ポイントまで縮小し、そのトレンドが10年近く続いた。

そして、金利差が再び拡大傾向に転じて12年ぶりに3%ポイントまで拡大したのが19年のことで、その翌年にコロナ危機が起こった。

もしコロナ危機が発生していなければ、日米ともに金融危機の影響を脱して2000年代中盤のような3%ポイント程度に金利差は収斂して均衡していたかもしれない。

しかし、コロナ危機発生による米国の利下げで一時1%ポイント以下まで縮小し、そこから急拡大して現在の約3.5%ポイントにまで達してきた。

長期的なトレンドを見ると、日米金利差は日本で景気が悪化した差異に拡大し、米国で景気が悪化した際には縮小している。

また、日米金利差の安定的な水準は2000年代中盤の3%前後、もしくは世界金融危機後に10年間続いた1〜2%前後と考えられる。

しかし、コロナ前の2019年に金利差が再び拡大に動いて3%ポイントまで拡大していたこと、この10年間によって世界金融危機からの脱却を米国が果たしたと考える場合、3%前後が安定的な水準であるかもしれない。

日米金利差の直近のトレンドと将来予測

日米金利差の直近のトレンドと将来予測 わたしのIFAコラム

現在ドル円相場は1ドル140円を超える高水準で推移しており、日米金利差は2022年9月時点で3.35%である。

今回のコロナ危機で一時的に米国の金融危機時並みに金利差が縮小し、その後再び拡大に転じた反動が、現在生じていると考えられ、円安が歴史的なスピードで進んだ最大の要因もここにある。

そのため、金利差もこの反動局面が終われば平時の水準に収斂して均衡する可能性がある。

9月21日、22日の金融政策決定会合においても日本銀行は金融緩和を継続して経済活動の下支えを優先する方針を打ち出している。そのため、当面利上げは行われないと考えられる。

その一方で、一日でドル円相場が1〜2円動くようなことがあれば、政府による為替介入によって一定の防衛ラインを超えないようにドル円相場は調整されるはずである。

万が一日本銀行が利上げに転じたとしても、すぐに円高ドル安に転じるとは限らない。

国債残高が約1000兆円と巨額である日本では、金利を1%上げると国債利払い費が10兆円増加する。

利上げが日本経済のさらなる悪化に繋がると諸外国に見なされてしまう場合もある。

短期的に日米金利差は現在よりも拡大する可能性があるが、ドル円相場への影響は金利差の拡為替介入分割り引かれる。

また、米国が利上げに踏み切ったことにより、米国内におけるインフレーションは今後徐々に落ち着きを見せると考えられる。

コストプッシュインフレ下の利上げは経済に大きなダメージを与えてしまうことからも、米国は一定期間後に利下げに転じると考えられ、そうなればドル円相場は現在よりも落ち着くはずである。

まとめると、今後経済に特異な影響を与える事象が起きなければ、日米金利差は短期的にはこれ以上拡大したとしても、その後は縮小に転じると考えられる。

また、それに伴うドル円相場は金利差が拡大しても政府による為替介入によってある程度コントロールされ、現状の水準で一定期間落ち着いた後、円高・ドル安にシフトするのではないかと考えられる。

ただ、円高・ドル安にシフトしたとしても、ドル円は以前のような相場にはもう戻らない可能性もある。

コロナ前の2019年に金利差が再び広がって2000年代中盤の安定的な水準であった3%ポイントまで拡大したこと、この10年間によって世界金融危機からの脱却を米国が果たしたとも考えられることから、日米金利差は3%前後が安定的な水準である可能性がある。

今後もウクライナ危機の動向や米中間の競争や日本銀行の政策転換など安定的な水準から金利差が乖離するようなイベントは多数考えられる。ドル円の最終的な均衡水準もそれに左右されることになる。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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