- 米国の医療費とヘルスケア事情について理解したい
- 米国ヘルスケア企業に投資すべきか検討したい
- GAFAMのヘルスケアにおける動向について知りたい
海外の投資先を考えたとき、米国には魅力的な条件が揃っている。
例えば米国は先進国の中で数少ない人口増加を続けており、Z世代の人口が最も多い若い国であることが大きな特徴である。
人口増加はそのまま経済成長へと直結する必須条件であるため、長期で考えた場合の米国経済の見通しは明るいことは間違いない。
また米国には既に巨大なヘルスケア市場があり、2020年度の米国の国民医療費は4兆1240億ドルであり、現在の円換算(1ドル134円)では約550兆円という巨大な産業でありながら、2040年には11兆8000億ドルまで市場の拡大が見込まれている。
つまりこの市場でビジネスを軌道に乗せることが出来れば、継続的な企業成長が期待できる。
投資家の目線で考えると、長期的に安定した成長を続けてくれるヘルスケアセクターは、ポートフォリオの構成を考えたときに魅力的な投資対象として選択肢に入るのではないだろうか。
ちなみに1957年~2003年までの期間に限って言えば、ヘルスケアの年率リターンは全セクターの中でトップの+14.19%、同期間のS&P500は+10.85%であった。
今回は米国のヘルスケア市場への投資について検討材料となるような解説をしていく。
米国の医療費とヘルスケア事情
日本と米国のヘルスケアを比較した場合の大きな違いは、国民皆保険制度の有無である。
米国には日本のような保険制度がないため、米国民は一部高齢者を除いて基本的に民間保険に加入することになる。
仮に民間保険に加入しない場合、高額な医療請求をされることになる。
実際、米国の自己破産件数は年間約53万人前後で推移しているが、破産理由の第1位が医療費で破産割合の約60%を占めているため、多くの米国民が何らかの民間保険に加入せざるを得ないことになる。
その他にも米国は生活習慣病を抱えた国民が多くいるという事情がある。
実際、米疾病管理予防センター(CDC)が公表した「全米糖尿病ファクトシート2011」によると、約2600万人が糖尿病であり、7900万人が糖尿病予備軍と予測されている。
このように米国のヘルスケア産業が巨大である理由は、医療事情、保険事情、生活習慣病などさまざまな社会的背景が重なっているからである。
注目したい米国ヘルスケア企業
ここでは巨大なヘルスケア市場において注目したい米国ヘルスケア企業3社をご紹介する。
またヘルスケアセクターへの投資で注意すべきポイントとしては、新薬などの開発をしている新興企業の年率リターンはセクター平均を下回る場合が多いため、安定した資産運用という観点から、歴史がありキャッシュフローが安定している企業をピックアップしている。
ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)
ジョンソンエンドジョンソンは、S&P500の最高ランクAAAに格付けされ、バンドエイドなどの一般消費者向け製品、医療用医薬品、医療用機器まで幅広く展開しており、最近は手術支援ロボットにも参画している。
連続増配企業としても有名であり、60年連続の増配を達成しており、ヘルスケア業界における時価総額ではユナイテッドヘルスと1位を競っている。
ユナイテッドヘルス(UNH)
ユナイテッドヘルスは、米国最大の保険会社であり、主に保険事業と薬剤給付管理事業を手掛けている。
特に医療保険部門では業界シェア1位であり、保険ブローカーから優先的に民間企業の紹介を受けやすい構造となっており、長期にわたって安定した契約が見込まれている。
また、バイデン大統領が処方箋価格の引き下げやジェネリック医薬品の促進を働きかけており、それは保険加入率の増加と医療費負担減少の削減につながるため、同社の保険ビジネスにとっても大きなプラス材料となる。
ダナハーコーポレーション(DHR)
ダナハーコーポレーション(創業1969年)は、潤沢なフリー・キャッシュフローがあるため積極的なM&Aによって成長を続ける医療・産業機器メーカーである。
日本企業が行う「KAIZEN(カイゼン)」の手法を取り入れた「DBS(ダナハービジネスシステム)」と呼ばれる独自の手法によって、ブランド力が高い低収益の企業を買収した後に、高収益体質の企業へと生まれ変わらせることに定評がある。
買収には多額の資金が必要であるが、純利益以上にフリーキャッシュフローがある財務状況も投資を検討する上でプラス材料となる。また、ヘルスケアセクターの中でも特に利益率の高いライフサイエンス事業を手掛けていることも大きな魅力である。
GAFAMとヘルスケア
米国の巨大なヘルスケア市場へハイテク技術を用いて新たに参入しているのがGAFAM(フェイスブックを除く)だ。
ハイテク企業ならではのクラウド技術とヘルスケア企業の新たな組み合わせによるプロジェクトによって、更なる市場拡大が期待されている。
この項目では実際に稼働している事例をいくつか紹介していく。またヘルスケアセクターにおける市場シェアの拡大は、企業にとっては増収増益へと繋がると同時に株価にとっても大きなプラス材料となる。
アップル+ジョンソンエンドジョンソン、グーグル
アップルとジョンソンエンドジョンソンは、「アップル・ウォッチ」を用いた心房細動の早期検出が高齢者の脳卒中リスクに与える影響を調査している。
この調査には、メディケアに加入する4000万人以上の参加者がいる。
利用者はアップル・ウォッチを49ドルで購入するか、無料で貸し出しを受けることができる。
また、グーグルも新型コロナ感染リスクの低減に貢献するため、「濃厚接触アプリ」の技術による協力をしている。
マイクロソフト(MSFT)+ユナイテッドヘルス
マイクロソフトとユナイテッドヘルスは、「ProtectWell」というアプリを共同でリリースしている。
このアプリは、企業の従業員が新型コロナに感染した場合、雇用主がより安全に従業員を職場復帰させるためのプログラムである。
このアプリが優れているのは、企業や従業員に特化することができる柔軟なサービスであり、個人に合わせたパーソナライズが可能であることだ。データは、マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」によって蓄積されている。
アマゾン+カーディナルヘルス(CAH)
マゾンはECサイトで成長してきた企業であるため、ECで薬の販売を進めていくのは自然な流れと言える。
実際、GAFAMの中では最も早くヘルスケア産業に進出している。
また、全米で医薬品の販売を行っているカーディナルヘルスと提携しており、販売網の強化も進めている。
米国経済の現在地とヘルスケアセクターの関係
米国経済の最大の関心事は歴史的なインフレが本当に落ち着くのかどうかだ。つまりFRBにとって最優先すべきタスクはインフレの抑制であり、マーケットではない。
今後もタカ派優勢の状況が続く限り、投資家にとっては厳しい相場展開になることを意味している。
こうした景気にブレーキがかかるような今の状況においては、投資家もディフェンシブな投資をする傾向が強くなるだろう。
そのなかでも米国経済を悩ますインフレの影響が少ないヘルスケアセクターは、今後注目されるセクターであると考える。
最後に
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