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60代の投資信託・株の売り時は?利益確定・損切りと保有継続の判断

「利益が出ているうちに売りたいけれど、売った後にさらに上がったら悔しい」「含み損が続いていて、このまま持ち続けていいのか分からない」。そんなふうに迷ったことはありませんか?退職金や長年コツコツ積み立ててきたお金だからこそ、売るか持ち続けるかの判断は難しくなるものです。含み損のことを、まだ家族に話せずにいる方もいるかもしれません。

日本証券業協会の調査では、2025年に有価証券を売った2,220名(複数回答)のうち76.9%が挙げた売却理由は、利益確定でした。売りたくなるきっかけの多くは、値動きです。

けれども、お手元の投資信託や株をいつ売るかは、値動きよりも「そのお金をいつ・何に使うか」で決まります。

この記事では、分配金を含めた損益の読み方から、使う時期に合わせた判断、税引き後の手取りまでを順に紹介します。持ち続ける・一部売る・売るのどれにするか迷ったときの判断材料として、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 値上がりした投資信託は、全部売るべき?
  • 分配金込みの本当の損益はどう見る?
  • 含み損のまま持ち続けても大丈夫?
  • 売ったお金はどこに預ける?

※税制・NISA制度の情報は2026年9月時点のものです。

目次

60代の投資信託の売り時は「使う時期」で決める

お持ちの投資信託の売り時は、値動きより「そのお金をいつ使うか」を基準にすると判断がぶれにくくなります。

値動きを見れば売るきっかけはつかめますが、売った後の手取りや、そのお金をどこへ預けるかまでは分かりません。判断の基準を相場の動きから「そのお金の使い道」に移すと、売るか持ち続けるかを決めやすくなります。

値動きだけで売ると残る2つの課題

これから老後の暮らしに使っていくお金を、値動きだけを理由に売ると、売った後に2つの課題が残ります。

1つ目は税金です。特定口座や一般口座で売ると、利益に20.315%の税金がかかります。その分、手取りは減ります。

2つ目は、売ったお金を次にどこへ預けるかです。使う予定が決まっていないと、預金に入れたままになるか、次の商品を慌てて探すことになりがちです。

それでも、多くの人は値動きをきっかけに売っています。2025年に有価証券を売った人のうち、76.9%が理由に挙げたのは利益確定、25.0%が損切りでした。生活費の不足を理由にした人は9.0%です(日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査」2026年7月公表。売却者2,220名・複数回答)。

投資信託は長期保有が基本で、大きく値上がりしたことだけを理由に売るのは注意が必要です。売却を考えるのは、資産の配分比率が崩れ、それを元の比率に戻す(リバランス)ときです。

退職が近づいた今、あるいは退職後の暮らしが始まった今は、ここに「そのお金を使う時期」という条件が加わります。値動きの代わりに見る軸は、配分比率と使う時期の2つです。

売った後に上がる怖さと持ち続けて減る怖さ

売った直後に基準価額(投資信託の値段)が上がっても、持ち続けて利益が減っても、後悔は残ります。相場の先行きは誰にも分からないため、相場を読むことでは、どちらの後悔も避けきれません。

2つの怖さのどちらが大きいかは、「そのお金を使う日に、いくら必要か」という物差しを当てると見えてきます。たとえば3年後の住まいの修繕に使うお金なら、修繕費がそろった時点で役目を果たしています。売った後に値上がりしても、修繕の計画は崩れません。

反対に、支払いの直前に投資信託が値下がりすると、足りない分を別のお金で埋める必要が出てきます。このお金にとっては、売らずに減るほうが痛手です。

使う予定がずっと先のお金なら、関係は逆です。途中で売ると、増える機会を手放すほうが痛手になる場合もあります。同じ値動きでも、どちらの怖さが大きいかはお金の予定で入れ替わります。

迷ったら損益・使う時期・手取りの順に確認する

物差しが決まると、確認する順番も決まります。最初は、分配金を含めた本当の損益です。

次に確かめるのは、そのお金を使う時期です。最後に、税引き後の手取りも含めて、持ち続ける・一部売る・売るのどれにするかを決めます。この順番なら、その日の相場の印象に判断を引っ張られにくくなります。

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順番確認すること使う資料
1分配金・売却額を含めた損益トータルリターン通知、取引残高報告書
2そのお金を使う時期と目標額今後の支出予定のメモ
3税引き後の手取りを含めた売るかどうかの判断口座の種類(特定口座・一般口座・NISA口座)が分かる画面や書類

表の上から順に確かめていくと、自分に合う選択が見えてきます。ただし、生活費を定期的に取り崩している最中に相場が下がった場合は、考える順番が少し変わります。

詳しくは「老後資金の取り崩し中の暴落対策!生活費を守る現金の使い方と売却額の見直し方」をご覧ください。

もっとも、1段目の「損益」は、明細の評価額を見るだけでは読み違えることがあります。

投資信託の損益は分配金を含めて確かめる

投資信託の損益は、評価額だけでなく、受け取った分配金と途中で売った金額を含めたトータルリターンで読みます。

明細の評価損益がマイナスなのに、投資全体では利益が出ているケースもあります。数字を読み違えれば、売る・売らないの判断もずれるでしょう。

基準価額が下がっても利益が出ていることがある

基準価額が買ったときより下がっていれば、損をしている。明細を開いたとき、まずそう受け止めるのは自然です。

ところが、分配金が支払われると、その分だけ基準価額は下がります。長く分配金を受け取ってきた投資信託なら、基準価額が買ったときより下がっていても不思議ではありません。これまでに受け取った分配金を足すと、全体では利益が出ている場合があります。

反対に、分配金が多いから増えている、と考えるのも早計です。分配金を出した分だけ基準価額は下がるため、どちらか一方の数字では損益を判断できません。

両方を合わせたトータルリターンで比べる必要があります。損をしていると思っていた商品が利益を出していたと分かれば、損切りのつもりで急いで売る必要はなくなります。

トータルリターンで本当の損益を確かめる

トータルリターンは、購入してから今までの投資期間全体で、受け取った分配金を含めた損益です。計算式は次のとおりです。

トータルリターン=評価金額+累計受取分配金額+累計売付金額−累計買付金額

販売会社は、この金額を年1回以上、保有者に通知します。この仕組みは2014年(平成26年)12月1日に始まり、同日以後に新たに買い付けた投資信託などが対象です。

それより前に買った分は、通知の対象外になる場合があります。その分も、買付額と受け取った分配金を手元の記録から拾えば、この式で同じように計算できます。

式だけでは、トータルリターンと評価損益の違いがつかみにくいものです。次の表は、編集部が作成した仮の例です。合計600万円分を買い、そのうち100万円分を途中で110万円で売った投資信託を想定しています。

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項目金額(仮の例)読み方
①評価金額460万円今の時価。残っている分の買付額500万円より40万円少ない
②累計受取分配金額60万円これまでに受け取った分配金の合計
③累計売付金額110万円途中で一部を売ったときに受け取った金額
④累計買付金額600万円これまでに買った金額の合計
トータルリターン+30万円①+②+③−④。投資全体では利益

明細の評価損益は、460万円−500万円で−40万円です。この数字だけなら、40万円の損に見えます。

ところが分配金の60万円と一部売却の110万円を加え、買付額の600万円を引くと、トータルでは30万円のプラスです。同じ投資信託でも、どの数字を見るかで「損」と「利益」が入れ替わります。

それでも「思ったほど増えていない」と感じる場合、原因の1つに保有中の費用があります。運用管理費用(信託報酬)は、保有額に応じて日々支払う費用です。

信託財産から間接的に差し引かれるため、自分で支払う手続きはありません。そのぶん、見落としやすい負担です。

元本払戻金(特別分配金)は利益ではない

損益が分かったら、次は受け取ってきた分配金の中身です。投資信託の分配金には、課税される「普通分配金」と、非課税の「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があります。非課税と聞くと、得をしたように感じるでしょう。

ところが元本払戻金は、名前のとおり投資した元本の一部が払い戻されたお金です。運用で得た利益ではありません。

元本払戻金を受け取ると、その額を差し引いた金額が新しい個別元本になります。個別元本とは、税金の計算で使う投資信託の取得価額のことです。分配落ち後の基準価額が個別元本と同じか上回っていれば、分配金の全額が普通分配金として課税されます。

下回っている部分が、元本払戻金にあたります。非課税の分配金が多ければ、それだけ多くの元本が手元に戻ってきたわけです。

分配金の内訳の確認は、毎月分配型を持つ人ほど大切です。投資信託協会(現・資産運用業協会)の2025年の調査(2026年3月公表)を見てみます。毎月分配型の投資信託を持っている人は、投資信託を持つ人全体の29.6%でした。

年代別では60代が28.6%で、全体とほぼ同じ水準です。ところが70代では44.1%に上がり、全年代で最も高い割合になります。毎月の分配金を生活費の足しにしてきた人は、分配金の明細で普通分配金と元本払戻金の内訳を見ると、受け取ったお金のうち元本の払い戻しがいくらだったかが分かります。

個別株は配当も含めて損益を見る

個別株の損益は、投資信託より単純に見えます。今の株価と取得単価(1株あたりの買値)の差に株数をかければ求められます。

ただし、ここにも分配金と同じ見落としがあります。株価が買値を下回っていても、全体の損益がプラスの場合があります。長く持って配当を受け取ってきた銘柄で、配当を合わせて計算したときです。

損益の数字がそろえば、売るかどうかも決まりそうに思えます。けれども、決め手になるのは損益より、そのお金の予定のほうです。

投資信託を売る前に確かめたいこと

投資信託を売るかどうかは、そのお金を「いつ使うか」と「どこまでの値下がりなら受け入れられるか」を先に決めておくと判断しやすくなります。

値下がりが怖いから、早めに全部売っておきたい。そう感じることもあるでしょう。けれども同じ手元のお金でも、来年使うお金と、ずっと先の暮らしに備えるお金では役割が違います。手元のお金を使い道ごとに分けると、全部売る必要があるかが見えてきます。

使う時期が近いお金ほど値下がりに弱い

投資信託や株は、値下がりした後に値を戻すまで時間がかかることがあります。使う時期が近いお金ほど、その回復を待つ余裕がありません。支払いの直前に値下がりすれば、下がった価格で売るか、支払いを延ばすかを選ぶことになります。

一方、使う時期がまだ先のお金には、途中の値下がりを待てる時間があります。同じ値下がりでも、その影響の大きさを決めるのはお金の予定です。たとえば800万円分の投資信託のうち、2年後の住まいの修繕に使うのが200万円なら、売るのはその200万円分だけで済みます。残りの600万円分は、値下がりしても回復を待てるお金として持ち続けられます。全部売るか全部持ち続けるかの二択で悩む必要はありません。

どこまでの値下がりなら受け入れられる?

使う時期の次に決めておきたいのが、どこまでの値下がりなら受け入れられるかです。値下がりが怖いのは、減った分だけ予定していた支出に届かなくなるからです。裏を返せば、予定の支出に響かない範囲の値下がりなら、慌てて売る必要はありません。

目安になるのは、保有している金額から、近いうちに使う予定の金額を引いた残りです。たとえば1,000万円分の投資信託を持ち、5年以内に使う予定が600万円なら、400万円分までの値下がりは予定の支出に響きません。値下がりがこの幅を超えると、使う予定のお金に食い込みます。

この幅を先に決めておくと、値下がりしたときに「まだ受け入れられる範囲か」で判断できます。幅を超えそうなら、使う予定の分だけでも先に売っておくと、予定の支出を守れます。

生活費や医療費に使える現金はある?

使う時期と受け入れられる値下がりの幅が決まっても、売る日を自分で選べるとは限りません。投資信託は、売ろうと思った日にすぐ現金になるわけではないからです。

換金の申込から口座に入金されるまで、およそ4〜5営業日かかります。一定の期間は換金できないクローズド期間が設定された商品もあります。

生活費や急な医療費、住まいの修繕に使う現金が手元にないと、相場が下がっているときでも売らざるを得なくなります。この場合、売り時を決めているのは相場でも自分の予定でもなく、現金の不足です。

当面の生活費と急な出費に使う現金が投資とは別の口座にあれば、相場の動きに振り回されず、売る時期を自分で選べます。

損失を家族に話せず先延ばしにしない

判断を止める要因は、数字の外にもあります。退職金の一部で買った投資信託が値下がりしたことを、配偶者に話せていない場合です。損失を一人で抱えていると明細を開くこと自体を避けがちになり、保有商品を見直すきっかけも遠のきます。

家族と共有すれば、そのお金を誰が・いつ使う予定なのかを一緒に確かめられます。話し合うのは損失の大きさより、使う予定への影響です。そのほうが、次の一手を決めやすくなります。

自分の状況を次の表に当てはめると、どのお金をどうするかの方向が見えてきます。

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確認項目当てはまる状態判断の方向
使う時期近いうちに使う予定がある使う分の一部または全部の売却を考える
使う時期使う予定がまだ先持ち続ける選択肢を残す
目標額目標額に届いている届いた分を使う日まで守る預け先を考える
手元の現金生活費や医療費の現金が別にない先に必要な現金の分を確保する
受け入れられる損失これ以上減ると使う予定に響く減っても困らない額まで保有を減らす
家族との共有保有状況や損失を家族が知らない判断の前に家族と保有状況を共有する

表の「判断の方向」は、お金の役割ごとに分かれます。近いうちに使う分だけを売り、先に使う分は持ち続けるといったように、1つの商品でも売る分と残す分を分けて決められます。

【診断】いま売るか持ち続けるかを5つの質問で確かめる

表に当てはめても迷うときは、次の診断で目安を確かめてみてください。損益、使う時期、手元の現金、商品の中身、資産の偏りの5つに答えると、いま取りたい行動が分かります。

いま売る?持ち続ける?売り時の判断診断

5つの質問に答えると、お手元の投資信託や株をどう扱うかの目安がわかります。選ぶと次の質問に進みます。

Q1 受け取った分配金も含めると、いまの損益はどちらですか

トータルリターン通知や取引残高報告書で確かめられます。

診断の結果を見ても判断に迷うときは、IFA(特定の銀行や証券会社に属さず、独立した立場で資産運用の相談に乗るアドバイザー)に相談するのも1つの方法です。資産運用ナビでは、保有明細をもとに売る・持ち続けるの判断を無料で相談できるIFAを探せます。

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利益が出ている投資信託は売るべき?ケース別の判断

利益が出ている投資信託は、使う時期と資産の偏りによって「持ち続ける」「一部売る」「売る」の答えが変わります。

利益が出たら売るのが正解だと考えたくなるものです。ところが課税口座で売れば、利益の20.315%は税金として差し引かれます。

売ったお金をどこへ預けるかも、新たに決めなければなりません。利益確定が意味を持つのは、そのお金の目的が決まっているときです。

目標額に届き使う時期も近いなら売却を検討

利益が出ていて目標額にも届き、しかも使う時期が近い。このお金は、売却を考える条件がそろっています。売っておけば、使う日までの値下がりで目標額を割り込む事態を避けられます。

ただ、確定した利益がそのまま使えるわけではありません。仮の例として、源泉徴収ありの特定口座で100万円の利益を確定したとします。20.315%にあたる20万3,150円が税金です。

評価額では目標額に届いていても、手取りで見ると足りないかもしれません。売る前に税引き後の手取りを計算しておくと、売った後に不足が見つかる事態を防げます。

使う時期が複数に分かれている場合は、全部を一度に売る必要もありません。今年使う分だけを先に現金化し、残りは次に使う時期が近づいた段階で改めて判断すれば十分です。

使う予定が先なら持ち続けてもよい

使う予定がまだ先で資産全体の配分も崩れていないなら、持ち続けることも選択肢に入ります。値上がりしたことだけでは、売る理由になりにくいからです。

2024年からのNISAは非課税で持てる期間が無期限で、制度も恒久化されました。NISA口座なら、非課税期間の終わりを理由に急いで売る必要はありません。

ただし、この選択は「偏りがない」ことが前提です。値上がりで特定の商品の割合が大きくなっていれば、配分比率の崩れを直すために一部を売る場面が出てきます。値上がりそのものは売る理由になりにくくても、値上がりが生んだ偏りは売る理由になります。

元本分だけ売る方法の注意点

元本分だけ売って利益分を残す方法は、「元手を取り戻しておけば安心」という気持ちに応える考え方です。たとえば、500万円で買った投資信託が700万円に値上がりしたとします。このうち500万円分を売り、残りの200万円分を持ち続けます。

一見すると、元手を全額回収して利益だけで運用を続けているように見えます。けれども、数字の中身は少し違います。1つ目の注意点は、売った500万円にも利益の一部が含まれていることです。

課税口座なら、その利益分に税金がかかります。その分、手取りは500万円より少なくなります。

2つ目は、残した200万円分も値下がりする可能性があることです。利益分だから減ってもかまわない、と割り切れるかどうかを先に考えておくと、値下がりしたときに慌てずに済みます。

元本払戻金を受け取ってきた投資信託なら、元本の一部はすでに分配金の形で戻っています。そうなると「元本分」がいくらなのかは、評価額からは読み取れません。いくら売るかは、評価額ではなく、トータルリターンと使う予定から決めましょう。そうすれば、売る金額を実際の損益と必要な金額に合わせられます。

特定の商品に資産が偏ったときは、保有する商品全体の比率から考える方法もあります。

詳しくは「60代の投資信託はどう見直す?保有資産の一覧化と重複・偏りの整理手順」をご覧ください。

NISAで利益確定すると非課税枠は翌年以降に戻る

NISA口座で出た利益には税金がかかりません。売った後の扱いにも、課税口座にはない特徴があります。NISAで商品を売ると、翌年以降に売った商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活します。

非課税で持てる上限は1,800万円で、そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円です。たとえば簿価300万円分の投資信託を売れば、翌年以降に300万円分の枠が戻ります。

枠が戻るなら、売ってもすぐに買い直せると考えがちです。ところが枠が戻るのは翌年以降で、売った年のうちには戻りません。

同じ年に買い直すと、その年の年間投資枠を新たに使うことになります。また1年に使える枠は360万円までなので、戻った枠をすぐに全部使えるとは限りません。

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状況持ち続ける一部売る売る確認すること
目標額に届き、使う時期が近い値下がりで目標を割るおそれがある使う分だけ利益を確定できる保有額が使う額に近い場合に考える課税口座なら税引き後の手取り
使う予定がまだ先で、偏りもないそのまま持ち続けられる急ぐ理由は少ない売った後の預け先を別に決める必要がある配分比率が崩れていないか
値上がりで特定の商品に偏った値下がり時の影響が大きくなる比率を戻す手段になる偏りが大きい場合に考える保有商品全体の比率
NISA口座で利益が出ている非課税のまま持てる売った簿価分の枠が翌年以降に戻る利益に税金はかからない年間投資枠360万円の範囲で使えるか

利益が出ている商品は、使う時期と手取りを見れば、売るかどうかの答えを絞り込めます。含み損を抱えると、同じ物差しを当てる前に、損失額ばかりに目が向きやすくなります。

含み損の投資信託・株は損切りか保有か

含み損の投資信託・株は、損失の大きさより「商品の中身」と「使う時期」で、持ち続けるか損切りするかを比べます。

含み損を抱えると、早く損を切るか、戻るまで待つかの二択で考えがちです。ただ、どちらの考え方も、損失額しか見ていません。見るべきは、その商品が今も自分の目的に合っているかどうかです。

損切りを考えるきっかけは商品の中身の変化

損切りを考える合図は、どこに表れるのでしょうか。手がかりは、損失額より商品の中身の変化にあります。

運用方針が買ったときと変わっていれば、その商品を選んだ理由そのものが崩れた状態です。値が戻るのを待つ根拠も、同時に弱くなります。

保有中の費用も見直しの材料です。運用管理費用(信託報酬)は日々差し引かれるため、持つ期間が長いほど負担が積み重なります。

値が戻るのを待つ間も、費用はかかり続けます。似た運用の商品より費用が重ければ、持ち続ける理由を考え直してよい場面です。

もう1つは繰上償還です。繰上償還とは、運用会社が信託期間の途中で運用をやめ、受益者にお金を前倒しで返すことです。残っている口数や純資産が減ったときなどに起こります。

値下がりしたまま償還されれば、その時点で損失が確定します。戻るまで待つという選択肢そのものが、途中で消える可能性もあるのです。

暴落しても持ち続けてよいケース

中身に変化がない商品なら、損切りするかどうかの答えは変わります。世界中の多くの株式や債券に分散した投資信託で、使う時期がまだ先なら、暴落時も保有を続ける選択があります。値下がりのたびに売ると、損失を自分で確定させることになるからです。

ただし、同じ「持ち続ける」にも2つの形があります。「塩漬け」と、見直す時期を決めたうえで持ち続けることです。塩漬けとは、損失を見たくないまま明細を開かずに放置する状態のことです。

一方、見直す時期を決めて持つ場合は、トータルリターン通知が届いたときなどに損益を確認すると決めたうえで保有を続けます。外から見れば同じ保有でも、見直す時期を決めていれば、売るべきタイミングが来たときに気づけます。

NISA口座で損失が出ている場合は、売ったときの扱いが課税口座と異なります。NISA口座の商品を売って出た損失は、特定口座や一般口座の利益や配当と相殺できず、翌年以降への繰越もできません。税金の面で取り戻す手段がないため、売るかどうかは商品の中身と使う時期で決めることになります。

生活費を取り崩している最中に相場が大きく下がった場合は、どの資産から取り崩すかという別の判断が必要になります。

詳しくは「老後資金の取り崩し中の暴落対策!生活費を守る現金の使い方と売却額の見直し方」をご覧ください。

ナンピン(買い増し)の前に確かめること

持ち続けると決めた商品でも、値下がりした分を買い増すかどうかは別の判断です。値下がりした商品を買い増して平均の買値を下げる方法を、ナンピンと呼びます。平均の買値が下がれば、少しの値上がりで損失を減らせるように見えるでしょう。

ところが値下がりが続けば、投じた金額が大きい分だけ損失額も膨らみます。損失を小さくするための方法が、損失を大きくする側に回ることがあります。

退職金の運用で損失が出ると、早く取り戻したい気持ちが強くなるものです。焦って追加でお金を入れたり、値動きの大きい商品に乗り換えたりすると、損失がさらに広がるおそれがあります。

買い増す前に確かめたいのは、追加するお金の役割です。そのお金が近いうちに使う予定のものなら、買い増しより手元に残すほうが計画に沿います。

個別株は集中度と業績の変化を見る

個別株は、投資信託と違い、1社の値動きがそのまま資産に響きます。含み損の株を持ち続けるかどうかを判断する材料は、1社への集中度と業績の変化の2つです。資産全体のうち1社の株が大きな割合を占めていれば、その会社の業績次第で老後資金全体が大きく増減します。

業績の変化を見るときは、その株を買った理由がまだ成り立っているかを確かめます。たとえば配当を目当てに買った株なら、配当が続いているかどうかが見直しの目安です。株価が下がっていても配当が続いていれば、買った理由は失われていません。

反対に買った理由が崩れていれば、株価が戻るのを待つ根拠も弱くなります。全部を売るか残すかの二択にせず、一部だけ売って割合を下げる方法も選べます。

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状況持ち続ける一部売る売る確認すること
使う時期が近い値を戻すのを待つ時間が短い使う分だけ現金にできる保有額が使う額に近い場合に考える別に使える現金があるか
使う時期が先で、幅広く分散した商品見直す時期を決めて持てる比率が崩れた分だけ調整できる急ぐ理由は少ない分散の中身と費用
運用方針の変化や繰上償還の可能性がある中身が変わったまま持つことになる影響を見ながら保有を減らせる見直しのきっかけになる運用方針、純資産総額の推移
個別株で1社に集中している1社の業績に資産全体が左右される集中度を下げられる買った理由が崩れた場合に考える資産全体に占める割合
NISA口座で損失が出ている値上がりした場合の利益は非課税売っても損失は相殺できない売っても損失は繰り越せない課税口座の利益と相殺できない点

損失額ではなく中身と使う時期で見れば、損切りか保有かの二択で悩む必要はありません。使う分だけを売り、残りは見直す時期を決めて持ち続けるという選び方もできます。損切りか保有かを自分だけで決めきれないときは、第三者に判断を確かめてもらうのも1つの方法です。資産運用ナビなら、含み損の商品をどうするかを、保有明細をもとにIFAに無料で相談できます。

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売るときの税金・費用と売ったお金の預け先

特定口座や一般口座で投資信託・株を売ると、利益に20.315%の税金がかかります。

損失は、一定の条件で他の利益と相殺できます。売った金額がそのまま手元に残ると考えがちですが、課税口座では税金を差し引いた額が手取りです。一方で、損失が出たときには、その損失を税金の計算に生かせます。

課税口座の利益には20.315%の税金がかかる

上場株式等を売って得た利益には、所得税15%と住民税5%がかかります。所得税には、所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税が上乗せされます。合計すると、2026年9月時点の税率は20.315%です。

2027年1月以後は、所得税額の1%にあたる防衛特別所得税が加わります。税金が増えるように見えますが、同時に復興特別所得税が1.1%になります。

上乗せ分は、合わせて所得税額の2.1%のままです。合計の税率は変わりません。

公募の投資信託(特定株式投資信託を除く)も、税金の計算では上場株式等に含まれます。税金がかかるのは、売った金額そのものではありません。売った金額から取得費と委託手数料などを差し引いた利益です。

源泉徴収ありの特定口座なら、所得税と復興特別所得税を合わせた15.315%と、住民税5%が差し引かれます。2027年1月以後は、この15.315%に防衛特別所得税も含まれます。この場合は確定申告をしないことも選べるので、手続きの手間を省けるのが利点です。

損失は他の利益と相殺でき3年間繰り越せる

利益に税金がかかる一方で、損失も税金の計算に生かせます。課税口座で売って出た損失は、同じ年の他の上場株式等の利益と相殺できます。

この仕組みが損益通算です。申告分離課税を選んだ上場株式等の配当とも相殺できます。

損益通算をしても控除しきれない損失は、翌年以後3年間にわたって繰り越せます。これを繰越控除といいます。繰越控除を受けるには、売却がなかった年も含めて、毎年、付表などを添えた確定申告が必要です。

ここで注意したいのが、確定申告の手間です。源泉徴収ありの特定口座は申告不要を選べる口座です。

ところが、他の口座の損益と相殺する場合や、繰越控除を受ける場合は確定申告が必要になります。損失を生かすには、申告の手間を自分で引き受けることになります。

NISA口座で出た損失は、損益通算も繰越控除もできません。特定口座や一般口座の利益や配当と相殺することも、翌年以後に繰り越すこともできない仕組みです。

解約時と買い直し時にかかる費用

手取りに影響するのは、税金だけではありません。信託財産留保額は、投資信託を購入または解約する際に、手数料とは別に差し引かれる費用です。販売会社の収入にはならず、信託財産に残されます。

差し引かれる商品と差し引かれない商品があり、どちらに当たるかが載っているのは目論見書です。解約時に差し引かれる商品なら、その分も引いて手取りを計算すると、実際に受け取る金額とのずれを防げます。

換金の方法には「買取請求」と「解約請求」の2つがあります。どちらを選ぶかで税金が変わりそうに見えます。けれども2009年の税制改正で、両者の税金の扱いに違いはなくなりました。

費用は、売った後に同じ商品を買い直すときにも生じることがあります。購入時手数料は販売会社に支払う費用で、申込価額の数%です。

手数料がかからないノーロードの商品もあります。売って買い直すなら、売るときの税金と買うときの手数料の両方が、手元に残る金額を減らします。

売ったお金の預け先は使う時期で決める

手取りが分かれば、残るのはそのお金の預け先です。使う時期ごとに預け先を決めておくと、何のためのお金かを見失いません。

換金を申し込んでから入金までは、およそ4〜5営業日かかります。支払日が決まっているお金は、その日数も見込んで売る日を決める必要があります。

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用途使う時期預け先の例確認すること
生活費の不足分毎月普通預金何か月分を手元に置くか
近いうちの支出(住まいの修繕・医療など)近いうち普通預金、定期預金支払日までに引き出せるか
数年先の支出数年先定期預金など元本が値動きしないもの満期と支払時期が合うか
使う予定がまだないお金決まっていない運用を続ける口座、NISA口座翌年以降に戻るNISA枠、資産全体の配分

預け先が決まれば、売る金額も決まります。残るのは、その判断を誰と確かめるかです。

売り時を相談するときに用意するもの

相談の前に保有明細と「使う時期・金額」のメモをそろえておくと、売る・持ち続けるの判断を具体的に話し合えます。

相談はどの商品を売ればよいかを聞く場だと考える人もいるでしょう。ところが話が進みやすいのは、答えを聞こうとするときより、損益と予定がそろっているときです。材料がそろっていれば、相談の時間を判断そのものに使えます。

取引残高報告書などの書類をそろえる

そろえる書類は3つで、それぞれ役割が違います。取引残高報告書は、口座で保有している商品と金額を一覧で確かめるための書類です。トータルリターン通知は、分配金や売却額を含めた損益を示すものです。

2014年12月1日以後に買い付けた投資信託などについて、販売会社から年1回以上届きます。運用方針や費用が載っているのは、目論見書です。3つをそろえると、評価額だけでは見えなかった損益・方針・費用が一通り手元に集まります。

複数の銀行や証券会社に口座があるなら、すべての口座の書類を集めておくと資産全体の偏りも分かります。1つの口座では偏りがなくても、合わせると特定の商品に寄っている場合があるためです。

使う予定と家族の考えをメモする

書類がそろっても、売る金額はまだ決まりません。書類が示すのは今の損益で、そのお金の予定までは載っていないからです。

そこで、そのお金をいつ・何に・いくら使う予定かをメモにしておきます。住まいの修繕、車の買い替え、子や孫への援助など、思いつくものを書き出すだけでも十分です。

家族の考えも、判断を左右する材料になります。配偶者が現金を多めに持っておきたいと考えているなら、それも書き添えておくと話が具体的になります。

売買を急がせない相談先を選ぶ

材料がそろったら、相談先を選びます。見るべき点は、売買を急がせず、保有方針から一緒に考えてくれるかどうかです。

値下がりが続く商品を持ち続けてよいかという悩みも、相談の入り口になります。勧められた商品が自分に合っているか確かめたい場合や、身近に相談相手がいない場合も同じです。

相場の見通しや損失の回復を約束する話が先に出る相談先は、ほかの相談先と比べてから決めましょう。相場の見通しは、自分の使う時期や目標額を決めてはくれないからです。判断の根拠が使う時期と目標額にあれば、持ち続けても売っても納得して次に進めます。

スクロールできます
書類・情報どこで手に入るか相談で使う場面
取引残高報告書口座のある銀行・証券会社保有商品と金額を一覧で確かめる
トータルリターン通知投資信託を買った販売会社(年1回以上。2014年12月1日以後の買付分)分配金を含めた損益を確かめる
目論見書販売会社・運用会社運用方針と費用を確かめる
使う時期と金額のメモ自分で作る売る金額と時期を決める
家族の考えのメモ家族と話して作る誰のための、いつのお金かを確かめる

ご自身の売り時を決める材料は、3つにまとまります。

  • 1つ目は、分配金と売却額を含めたトータルリターンで損益を読むこと。
  • 2つ目は、使う時期と目標額に照らして、持ち続ける・一部売る・売るを選ぶことです。
  • 3つ目は、課税口座の利益にかかる20.315%の税金と、NISA口座の損失を他の利益と相殺できない点を踏まえて、税引き後の手取りで考えることです。

売る・持ち続けるの判断に迷ったら、IFAに相談してみませんか。資産運用ナビでは、保有明細をもとに無料で相談できるIFAを探せます。相場の予想ではなく、お手元の明細と使う予定から一緒に考えてもらえます。

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投資信託の売り時に関するよくある質問

60代でNISAの投資信託が暴落したら売るべきですか?

暴落だけを理由に売る必要はありません。使う時期が先で幅広く分散した商品なら、持ち続ける選択もあります。NISA口座の損失は他の口座の利益と相殺できないため、売っても税金の面で損失を取り戻す手段はありません。

投資信託は何%上がったら利益確定すべきですか?

利益確定に決まった上昇率はありません。売るかどうかは、目標額に届いたか、使う時期が近いかで判断します。値上がりで資産の配分比率が崩れたときに、元の比率へ戻すために一部を売る方法もあります。

含み損の投資信託を売ると損失はどうなりますか?

特定口座や一般口座なら、同じ年の他の利益や配当と相殺でき、控除しきれない分は翌年以後3年間繰り越せます。繰越には毎年の確定申告が必要です。NISA口座の損失は、相殺も繰越もできません。

利益確定した投資信託を買い直してもよいですか?

買い直すことはできますが、課税口座なら売った時点で利益に税金がかかります。買い直すときに、購入時手数料がかかる商品もあります。NISA口座で売った場合、簿価分の枠が戻るのは翌年以降です。

売り時は購入先以外にも相談できますか?

購入先以外にも相談できます。取引残高報告書とトータルリターン通知があれば、どこで買った商品でも損益と使う予定をもとに話し合えます。

出典

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。

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