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60代の投資信託はどう見直す?保有資産の一覧化と重複・偏りの整理手順

投資信託の数(本数)が増えて、何をどれだけ持っているのかわからなくなったと感じたことはありませんか?

退職金で投資信託を買い、銀行の担当者に勧められて別の商品を買い足し、ネット証券では自分で積立も始めた。そんな方も多いのではないでしょうか。どれも買った理由のある商品ですが、全部を合わせると、どの国や資産にお金が集まっているのかはわかりにくくなります。

整理したい気持ちはあっても、売れば税金がかかり、損を確定させてしまうかもしれない。そう考えると、手をつけにくいものです。

見直しの最初の作業は、売る商品を決めることではありません。全部の口座の資産を1枚の一覧にまとめることです。一覧にすると、同じ投資先に重なっている商品や、信託報酬の高い商品がわかります。売らずに調整できる分から手をつけ、売るときは税金と手数料を計算してから決めれば、損も手間も増やさずに済みます。

この記事では、保有資産の一覧の作り方から、投資先の重なりや偏りの確かめ方、税金を抑えて整理する順番、家族との共有までを取り上げました。投資信託の見直しを考えている方は、参考にしてください。

この記事でわかること
  • 口座をまたいで保有資産をまとめる一覧の作り方
  • 投資信託どうしで投資先が重なっているかの調べ方
  • 売らずに資産の配分を整える方法
  • 売るときにかかる税金の計算例

※本記事の制度・手数料の情報は2026年9月時点のものです。

目次

60代で投資信託の見直しを考えるきっかけ

見直しが必要かどうかは、1本ずつの成績ではなく、持っている資産を合計したときの形で決まります。きっかけは人それぞれでも、確かめる方法は一覧を作ること一つです。

見直しを考える5つのきっかけ

投資信託を見直したいと感じる場面は、次の5つに分かれます。

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きっかけよくある場面見直しで確かめること
本数が増えた退職金の運用や担当者の提案で、気づけば8本以上持っている投資先が重なっていないか
口座が複数ある銀行・対面の証券会社・ネット証券に分かれ、合計がわからない資産全体のうち株式がどれだけあるか
お金を使う時期が近い退職して、数年以内に生活費の取り崩しが始まる値動きの大きい資産に偏っていないか
満期・償還の知らせが届いた債券の満期や、投資信託の繰上償還のお知らせが来た受け取るお金をどこに置くか
家族に伝えていない自分に何かあったとき、どこに何があるかを配偶者が知らない家族と共有しておく情報

どれに当てはまっても、最初にすることは同じです。口座ごとの画面や報告書を見ているだけでは、合計した形はわかりません。

実際、野村アセットマネジメントが2025年10月に50代以上を対象に行った調査では、約2割が自分の保有金融資産額を把握していないと答えています。50代に限ると約4人に1人です。複数の口座を持つようになると、合計は誰かが計算しない限り出てこないのです。

見直しは一覧を作るところから始める

見直しの順番は、次の4つです。

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順番やること使うもの
1全部の口座の資産を1枚の一覧にまとめる取引残高報告書、通帳、保険証券
2投資先の重なり・偏り・信託報酬を確かめる各投資信託の月次レポート
3売らずに調整できる分から整え、必要な分だけ売る売ったときの税金と手数料の計算
4一覧の保管場所を家族に伝える作った一覧

売る商品を先に決めてしまうと、1本だけを見て判断することになります。ほかの商品と投資先が重なっていても気づけず、残した商品の側に同じ偏りが残ってしまいます。

見直しの頻度は、年1回で十分です。資産運用業協会も、保有資産の見直しは1年に1回程度でよく、相場が大きく動いて配分が崩れたときは調整を考えるとしています。退職、年金の受け取り開始、満期や償還の知らせのように暮らしやお金の流れが変わったときも、一覧を作り直す時期です。

保有資産を1枚の一覧にまとめる

一覧に書くのは、資産ごとに6つの項目だけです。数字の多くは、金融機関から届く取引残高報告書から書き写せます。

一覧に書く6つの項目

書き出すのは投資信託だけではありません。預貯金、株式、債券、保険、借入も同じ1枚に書きます。株式がどれだけあるかは、預貯金も含めた金融資産の合計で見ないとわからないからです。住宅ローンの返済予定によっても、手元に置いておく現金は変わります。

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項目書く内容わかる書類
預け先と商品金融機関名と商品名(投資信託は投資先の地域と種類もメモ)取引残高報告書
口座の種類NISA口座・特定口座・一般口座のどれか取引残高報告書
評価額今売ったらいくらになるか取引残高報告書
取得価額買ったときの金額(損益の計算に使う)取引残高報告書
使う予定生活費・予定の支出・10年以上先・未定など自分で決める
メモ満期日・償還日、信託報酬(年率)、保険の受取人交付目論見書、保険証券

取引残高報告書は、取引があれば原則3か月に1度、取引がなくても残高があれば年1回以上届く書類です。手元にない場合は、担当者に「保有している商品の一覧を出してください」と頼めば用意してもらえます。ネット証券なら、取引画面の保有資産のページで同じ数字を確かめられます。

資産一覧の記入例

65歳で、銀行・対面の証券会社・ネット証券・勤務先の持株会に資産がある場合の記入例です。

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資産預け先商品口座評価額取得価額使う予定メモ
預貯金銀行普通預金・定期預金—800万円—生活費・予備費定期預金は2027年3月満期
投資信託銀行米国株式(アクティブ型)特定250万円200万円未定信託報酬 年1.65%
投資信託銀行先端技術株(テーマ型)特定120万円150万円未定信託報酬 年1.9%
投資信託ネット証券全世界株式(インデックス型)NISA500万円400万円10年以上先信託報酬 年0.1%程度
投資信託ネット証券米国株式(S&P500連動型)特定500万円350万円未定信託報酬 年0.1%程度
債券証券会社個人向け社債特定200万円200万円5年後2031年満期
株式持株会勤務先の株式—400万円250万円未定退職後も保有
保険生命保険会社一時払い終身保険—300万円—家族に残す受取人は妻
借入銀行住宅ローン—残高500万円——2031年完済予定

※ 数値はすべて記入例です。保険の欄は、解約した場合に受け取れる金額です。

この例の本人は、株式に投資する商品を「5本に分けて持っている」と考えています。ところが一覧にすると、株式に投資する4本の投資信託と勤務先の株式を合わせて1,770万円。借入を除いた金融資産3,070万円のうち、約6割が株式です。

分けて持っているつもりでも、合計すると株式の割合が高くなっていることは珍しくありません。どの投資先に重なっているのかは、各投資信託の月次レポートで確かめられます。

【診断】自分の資産の偏りを確かめる

一覧を作る前に、どこに偏りがありそうかを確かめたい方は、次の4つの質問に答えてみてください。金額を入れる必要はなく、当てはまるものを選ぶだけで、株式の割合や投資先の重なり、信託報酬について見直す点がわかります。

保有資産の偏りチェック

預貯金や保険も含めた金融資産のうち、株式はどのくらいですか?

株式の投資信託と勤務先の株式も含めます。だいたいで大丈夫です。

持っている株式の投資信託を、すべて選んでください

商品名に入っている言葉で選べます。

勤務先の株式(持株会を含む)はどのくらいありますか?

信託報酬が年1%以上の投資信託はありますか?

信託報酬は、交付目論見書や月次レポートの「信託報酬」の欄に書かれています。

あなたの資産で起きていること

    見直しで先にやること

      IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは特定の銀行や証券会社の社員ではなく、独立した立場で資産運用の相談に乗るアドバイザーです。口座が複数の金融機関に分かれていても、まとめて見てもらえます。

      ※回答をもとにした目安です。全世界株式の米国株の割合は、全世界株式の代表的な指数の2026年8月末時点の比率(63.59%)です。「株式が半分以上」「勤務先の株式が1割以上」は、この記事で設定した見直しの目安です。信託報酬の金額は、評価額250万円・年1.65%の場合の計算例です。

      どこに口座があるかわからないとき

      昔作った口座が思い出せない場合は、金融機関からの郵便物、ネット証券からのメール、通帳の入出金の記録を確かめましょう。分配金の入金や積立の引き落としが、口座を見つける手がかりです。

      上場株式などの口座がどの証券会社にあるかは、証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」をすると確かめられます。本人の請求は1件4,400円(税込)で、受付は郵送のみ、結果が届くまでは約2か月です。

      ただし、開示の対象になるのは上場株式、ETF、REITなどに限られます。国債や社債は対象外で、銀行などで買う一般的な投資信託も対象に含まれていません。わかるのも口座のある証券会社の名前までで、保有している銘柄や残高は各証券会社に問い合わせる必要があります。銀行で買った投資信託は、通帳の記録から探すほうが早く見つかります。

      一覧から投資先の重なりと偏りを確かめる

      投資信託の本数が多くても、投資先が同じなら分散したことにはなりません。一覧ができたら、重なり・偏り・信託報酬・最初に決めた配分の4つを確かめましょう。

      同じ投資先に重なっていないか

      全世界株式と米国株式の投資信託は、名前を見る限り別の投資に思えます。ところが、全世界株式の代表的な指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)は、2026年8月末時点で63.59%が米国株です。組入上位10銘柄のうち9銘柄は、エヌビディア、アップル、マイクロソフトなどの米国企業でした。

      記入例の3本(米国株式のアクティブ型250万円、全世界株式500万円、S&P500連動型500万円)で計算すると、米国株への投資は少なくとも約1,070万円です。株式に投資する投資信託1,370万円の約8割が、米国株に集まっていることになります。テーマ型の120万円も米国の大型株が中心なら、割合はさらに上がります。

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      商品主な投資先重なり整理の考え方
      全世界株式(インデックス型)約6割が米国株米国の大型株が3本に共通株式の中心として残す候補
      米国株式(S&P500連動型)米国の大型株新しいお金の買い先から外す
      米国株式(アクティブ型)米国の大型株信託報酬が高いため、減らす候補
      先端技術株(テーマ型)米国の大型ハイテク株が中心上位10銘柄を比べ、重なっていれば減らす候補

      ※ 記入例にもとづく整理の一例です。特定の商品の売買を勧めるものではありません。

      投資先を確かめる資料は、各投資信託の月次レポートです。「組入上位10銘柄」と「国・地域別の構成比」を2本ずつ見比べれば、重なっているかがわかります。月次レポートは担当者に頼めばまとめて出してもらえ、ネット証券なら商品ページから開けます。

      株式や勤務先の株に偏っていないか

      次に、金融資産の合計のうち株式がどれだけあるかを見ます。記入例では約6割でした。数年以内に生活費の取り崩しが始まるなら、株価が大きく下がった時期に売らざるを得なくなってしまいます。

      勤務先の株式にも注意が必要です。記入例の400万円は金融資産の約13%で、1社の株価の動きがそのまま資産に響きます。退職後の持株会や自社株をどうするかは、退職後の持株会・自社株の扱いで、売却の条件とあわせて紹介しています。

      信託報酬の高い商品が残っていないか

      信託報酬は年率で書かれているので、1.65%と0.1%の違いは小さく見えるかもしれません。金額に直してみましょう。

      記入例の米国株式アクティブ型250万円は、信託報酬が年1.65%なので毎年約4.1万円かかります。同じ米国株に投資するS&P500連動型なら、年0.1%で約2,500円です。米国株への投資という点では同じなのに、毎年約3.9万円多く払っている計算になります。10年持てば約39万円です(運用による増減を考えない単純計算)。

      あわせて、月次レポートで純資産総額の推移も見ておきましょう。純資産総額が極端に小さい投資信託は、運用期間の途中で繰上償還されることがあります。

      ファンドラップや退職金のセットプラン、仕組債は、費用のかかり方や解約の条件が投資信託とは別です。ファンドラップの手数料が高いと感じたとき、退職金のセットプランの注意点、退職金で勧められた仕組債のリスクを参考にしてください。

      最初に決めた配分からずれていないか

      株式と債券、預貯金の割合を最初に決めていたなら、今の割合と比べます。値上がりした資産は、何もしなくても割合が大きくなるものです。資産運用業協会も、配分が当初の目標から大きく崩れたときは、値上がりした商品を売って配分を戻すことを挙げています。

      そもそも目標の配分を決めていない場合は、先に決めておきましょう。手元に残す現金と運用に回す額の決め方は、60代の資産配分の決め方で紹介しています。

      税金と手数料を抑えて整理する順番

      整理は、売らずに調整できる方法から先に使いましょう。売るのは、税金と手数料を計算してからでも遅くありません。

      売らずに配分を整える3つの方法

      重なっている商品を見つけると、すぐに売って整理したくなるものです。ところが課税口座で利益が出ている商品を売ると、その場で税金が差し引かれ、運用に回せるお金が減ってしまいます。

      そこで先に考えたいのが、今の商品は持ったまま、これから入るお金の行き先を変える方法です。

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      方法やり方向いている場面
      新しいお金の買い先を変える退職金・定期預金の満期金・償還金を、割合が少ない資産に回すまとまったお金が入る予定がある
      積立の買付先を変える重なっている商品の積立を止め、ほかの資産の積立に切り替える毎月積立を続けている
      分配金を受け取りに変える分配金の再投資をやめ、受け取った分を別の資産に回す分配金の出る商品が偏りの原因になっている

      どの方法も、今の商品を売らないので売却の税金はかかりません。株式の割合を下げるときも、一度に全部を切り替えず、少しずつ進めてかまいません。

      売るときにかかる税金と手数料

      特定口座や一般口座で投資信託を売って利益が出ると、利益に20.315%の税金がかかります。同じ年に損失の出た商品も売れば、利益と損失を相殺(損益通算)でき、税金を減らせます。

      記入例の銀行の特定口座にある2本で計算すると、次のとおりです。

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      売り方利益・損失税金
      米国株式アクティブ型だけを売る50万円の利益101,575円
      テーマ型も同じ年に売る50万円の利益−30万円の損失=20万円40,630円

      ※ 税率は所得税15%・住民税5%と、所得税額の2.1%の復興特別所得税を合わせた20.315%。2027年1月からは復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に分かれますが、合計の税率は変わりません。信託財産留保額は考慮していません。

      2本とも同じ年に売れば、税金は約6.1万円少なくなります。同じ金融機関の特定口座(源泉徴収あり)の中なら、この相殺は自動で行われます。別の金融機関の口座どうしで相殺するには、確定申告が必要です。

      税金のほかに、商品によっては売るときに信託財産留保額が差し引かれます。売ってから代金が入金されるまでは、およそ4〜5営業日かかります。

      NISA口座の商品は、売っても税金がかかりません。ただし、売った分の枠がすぐに戻らない点に注意が必要です。

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      項目NISA口座での扱い
      売ったときの利益非課税
      売った分の枠売った商品の取得金額の分が、翌年以降に再び使えるようになる
      売ったときの損失なかったものとみなされ、特定口座などの利益と相殺できない

      記入例の全世界株式500万円をNISA口座で売ると、取得金額400万円分の枠が戻るのは翌年です。重なりを減らしたい場合も、NISA口座の商品は残し、特定口座の商品から整理するほうが非課税の枠を減らさずに済みます。

      整理する商品の順番

      売る場合は、税金と毎年の費用の両方が減る商品から手をつけます。

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      順番商品の状態理由
      1ほかの商品と投資先が重なり、信託報酬が高く、利益が小さいか含み損売っても税金が少なく、毎年の費用も減る
      2純資産総額が小さく、繰上償還されるおそれがある償還される時期を待たず、自分で売る時期を決められる
      3課税口座にあり、利益が大きい税金が大きいため、売らずに新しいお金の買い先で調整する
      4NISA口座にある非課税で持ち続けられ、売った枠は翌年まで戻らない

      記入例に当てはめると、最初に検討するのはテーマ型と米国株式アクティブ型の2本です。同じ年に売れば税金は約4.1万円で済み、毎年の信託報酬は2本で約6.4万円減ります。売ったお金は、一覧で割合が少なかった債券や預貯金に回せます。

      保有資産の整理のケース別の例

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      ケース状況進め方
      本数が多く投資先が重なっている10本以上の投資信託のうち、米国株中心の商品が複数ある重なる商品のうち信託報酬が高く利益が小さいものから減らす
      退職後も株式の割合が高い金融資産の6割以上が株式で、数年以内に取り崩しが始まる退職金や満期金を債券・預貯金に回し、足りなければ利益の小さい商品から売る
      1本に大きな含み益や含み損があるその1本を売るか持ち続けるかで迷っているその商品の損益と使う予定をもとに判断する
      乗り換えや新しい商品を勧められた担当者から、今の商品を売って別の商品を買う提案を受けた提案に応じる前に、一覧で資産全体の偏りが直るかを確かめる

      1本の投資信託を売るか持ち続けるかの判断は、60代の投資信託の売り時で詳しく紹介しています。今の商品を売って別の商品を買うよう勧められた場合は投資信託の乗り換えを勧められたとき、新しく買うよう勧められた場合は銀行で勧められた投資信託の確かめ方が参考になります。

      整理の順番は、税金・NISAの枠・使う予定の3つが重なるほど、自分だけでは決めにくいものです。銀行や証券会社の担当者が見ているのも、自社の口座にある商品だけです。複数の口座を持っているなら、一覧をもとに口座をまたいで見てもらえる専門家に相談する方法があります。

      保有資産の一覧をもとに、投資先の重なりや偏り、売るときの税金を資産運用のプロと確かめませんか。

      \ 口座をまたいで確かめる /

      家族との共有と口座をまとめるときの注意

      作った一覧は、保管場所を家族に伝えておきましょう。一覧があれば、自分に何かあったときに家族が口座を探す手間が大きく減ります。

      家族に伝えておきたいこと

      内閣府が60歳以上を対象に行った調査(令和6年度)では、認知機能が低下したときの財産管理を「子や他の親族に委ねる」と答えた人が36.4%、「配偶者あるいはパートナーに委ねる」が32.0%でした。つまり約7割の人は、いずれ家族に財産の管理を任せるつもりです。

      任される側の家族が、どこに何があるかを知らなければ、管理は口座探しから始めることになってしまいます。

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      伝えておく情報伝え方の例伝えていないと起きやすいこと
      取引している金融機関と口座の種類資産一覧の保管場所を伝える口座があることに家族が気づかない
      ネット証券やネット銀行の口座ログインIDの控えの保管場所を伝える(パスワードは書かない)郵便物が届かないため見落とされる
      お金を使う予定「生活費に使う分」「残したい分」を分けて伝える急いで全部売られる、または放置される
      保険の契約と受取人保険証券の保管場所を伝える請求が漏れる
      借入や保証契約書の保管場所を伝える返済の予定がわからない
      担当者の連絡先名刺を一覧と一緒に保管する問い合わせ先がわからない

      一人暮らしの人と配偶者に任せてきた人

      一人暮らしの場合は、一覧の保管場所を伝える相手を決めておきましょう。子どもやきょうだいなど、いざというときに連絡を受ける人が一覧の場所を知っていれば十分です。

      運用を配偶者に任せてきた場合は、せめて取引している金融機関の名前と担当者の連絡先を聞いておきましょう。一緒に一覧を作るのが、どの商品を何のために持っているのかを知るいちばんの近道です。

      家族が亡くなったあとに口座を探す場合、法定相続人も証券保管振替機構に開示請求ができます。相続人の請求は1件6,050円(税込)で、法定相続情報一覧図を出す場合は4,950円です。相続した株式や投資信託を売るか持ち続けるかは、相続した投資信託を売るか持つかで扱っています。

      判断能力が低下したときに備えて、本人と家族が事前に任意代理契約を結ぶ「家族サポート証券口座」を扱う証券会社も出てきました。取扱いは2026年9月時点で一部の証券会社に限られます。任意後見や家族信託を含め、代理の手続きは専門の窓口に相談しましょう。

      証券口座を一つにまとめる前に確かめること

      口座を一つにまとめれば、家族にも管理しやすくなります。ただ、すべての商品を移せるとは限りません。

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      確かめること内容
      移す先で扱っているか移す先の金融機関が扱っていない投資信託は移せない。銀行で買った投資信託には、証券会社で扱いのないものもある
      移管手数料今の金融機関から出すときに手数料がかかる場合がある(マネックス証券は投資信託1銘柄につき3,300円(税込))
      一部だけ移せるか1銘柄の一部だけは移せず、全口数での移管になる例がある(マネックス証券)
      取得価額特定口座どうしの移管なら、取得価額は引き継がれる
      NISA口座の商品NISAの金融機関を変えても、変更前のNISA口座の商品は新しいNISA口座へ移せない

      移せない商品は、売るか元の金融機関に残すかを選ぶことになります。口座を移す手順と、今の担当者への伝え方は、資産運用の相談先を変える方法で紹介しています。

      投資信託や債券が償還されたときのお金の置き場所

      償還されたお金は、同じような商品にすぐ入れ直さなくてかまいません。一覧の「使う予定」の列を見て、置き場所を決めましょう。

      繰上償還のお知らせが届く条件

      投資信託には運用期間が決まっていますが、条件を満たすと途中で運用を終え、お金が投資家に戻されます。これが繰上償還です。資産運用業協会は、主な例として次の3つを挙げています。

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      繰上償還になる主な場合
      投資信託の残存口数が一定の規模を下回った場合
      純資産総額が減り、運用を続けることが難しくなった場合
      運用を終えることが投資家にとって有利と認められる場合

      2025年6月24日には内閣府令が改正され、規模の小さい投資信託を終わらせる手続きが簡単になりました。純資産総額が運用会社の決めた金額を下回る状態が一定期間続いた場合に運用を終える定めが約款にあれば、投資家による書面での決議を経ずに繰上償還できます。その場合、運用会社は償還の6か月前までに投資家へ知らせます。

      投資信託財産の純資産総額が一定の金額を下回った等の要件を満たした場合には投資信託契約を解約することができる旨を規定するために委託者指図型投資信託の投資信託約款を変更した上で、当該投資信託約款に基づいて投資信託契約を解約する場合には、当該約款変更および解約について、それぞれ書面による決議等を行うことを要しないこと

      金融庁「『投資信託及び投資法人に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)』の公表について」(2025年4月25日)

      純資産総額が小さい商品を持っているなら、お知らせが届く前に一覧で扱いを決めておくと慌てずに済みます。

      償還日まで持つか途中で売るか

      繰上償還のお知らせが届くと、償還日を待つか、その前に売るかを選べます。

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      項目償還日まで持つ償還日の前に売る
      受け取る金額の基準償還日の償還価額売る申込をした日の基準価額
      信託財産留保額かからないかかる商品がある
      受け取る時期選べない自分で選べる
      税金(課税口座)利益に20.315%利益に20.315%

      課税口座では、償還金も売ったときと同じように扱われ、利益が出ていれば税金がかかります。損失が出た場合は、同じ年のほかの売却益と相殺できます。

      どちらを選んでも、最終的な成果を左右するのは償還までの基準価額の動きです。お金を受け取りたい時期が決まっているかどうかで選びましょう。

      償還金の置き場所は使う予定で決める

      償還金を受け取ると、販売会社から同じような投資信託への買い直しを勧められることがあります。購入時手数料が安くなる優遇がついている場合もありますが、使う予定に合わないなら利用する必要はありません。

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      使う予定置き場所の例
      1〜2年以内の生活費普通預金・定期預金
      3〜5年後の予定の支出定期預金や個人向け国債など、値動きの小さいもの
      10年以上先・未定一覧で割合が少なかった資産

      記入例のように株式が約6割を占めているなら、償還金を債券や預貯金に回すだけで、売らずに株式の割合を下げられます。仕組債が早期償還されて、同じような仕組債を勧められた場合は、仕組債の早期償還と再投資の確かめ方を参考にしてください。

      一覧をもとに資産運用の専門家に相談する

      口座をまたいだ見直しは、特定の金融機関に属さない専門家に一覧を見てもらうと進めやすくなります。

      銀行や証券会社の担当者が提案できるのは、その会社の口座にある商品と、その会社で扱う商品です。記入例のように銀行・証券会社・ネット証券に資産が分かれていると、どの担当者も一部しか見ていません。

      IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、金融商品仲介業者として登録を受けて資産運用の相談に応じる専門家です。2026年7月末時点で680者が登録されており、そのうち約4割は2社以上の証券会社と提携しています(金融庁の登録一覧をもとに編集部で集計)。提携先が複数あれば、今の金融機関で扱っていない商品も含めて比べてもらえます。

      相談に持っていくのは、作った一覧だけで十分です。取引残高報告書がそろっていなくても、6つの項目を書いたメモがあれば、投資先の重なり、売るときの税金、NISAの枠の使い方まで一緒に確かめられます。

      見直しのあとも自分で管理を続けるか、運用を任せるかで迷う場合は、資産運用をプロに任せるときの違いも参考にしてください。

      資産運用ナビでは、金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料で紹介しています。作った一覧を用意して、どこから整理するかを相談してみてください。

      保有資産の一覧をもとに、どこから整理するかを資産運用のプロと決めませんか。

      \ 作った一覧を見せるだけ /

      投資信託の見直しでよくある質問

      投資信託の本数やリバランスの時期、繰上償還の損失、親の資産について、よくある質問に答えます。

      投資信託は何本まで持つのがよいですか?

      本数の決まりはありません。大事なのは、投資先が重なっていないことと、年1回の見直しで自分が確かめられる数であることです。同じ指数に連動する商品や、組入上位の銘柄がほぼ同じ商品を複数持っていても、分散にはなりません。

      リバランスはいつやればよいですか?

      年1回、決まった時期に配分を確かめ、大きく崩れていたら調整します。調整するときは、新しいお金の買い先を変える方法から使えば、売却の税金をかけずに済みます。

      繰上償還で損失が出たら税金はどうなりますか?

      特定口座や一般口座なら、償還による損失は同じ年のほかの上場株式等の売却益と相殺できます。相殺しきれない損失も、確定申告をすれば翌年以降3年間の繰り越しが可能です。NISA口座の損失は、なかったものとみなされます。

      親の資産運用が心配なときはどうすればよいですか?

      まず、親と一緒に資産一覧を作りましょう。どの商品を何のために持っているかがわかれば、偏りや使う予定について話しやすくなります。売るかどうかを決めるのは本人です。相談の場に家族が同席できるかは、相談先に確認してください。

      投資信託の見直しは一覧を作ってから決める

      投資信託の見直しの出発点は、売る商品を選ぶことではなく、全部の口座の資産を1枚の一覧にまとめることです。

      一覧にすると、投資先の重なり、株式や勤務先の株への偏り、信託報酬の高い商品がわかります。整えるときは、新しいお金の買い先を変えるなど売らずにできる方法を先に使い、売るなら税金と手数料を計算してから決めましょう。

      複数の口座にまたがる資産は、1つの金融機関の担当者だけでは見きれません。一覧ができたら、口座をまたいで見てもらえる専門家に相談して、どこから整理するかを決めてください。

      作った一覧をもとに、投資信託の見直しを資産運用のプロに相談しませんか。

      \ どこから整理するか決める /

      出典

      ※ 本記事は2026年9月時点の制度にもとづいて作成しています。個別の商品の購入や売却を勧めるものではありません。

      この記事を書いた人

      資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。

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