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老後資金の取り崩し中の暴落対策!生活費を守る現金の使い方と売却額の見直し方

生活費のために投資信託を少しずつ売っている最中に、相場が大きく下がった。このまま売り続けてよいのか、迷ったことはありませんか?

「投資信託は下がったときは売らずに待つのが基本」と聞いても、毎月の生活費は待ってくれません。値下がりした投資信託を売れば、損を確定させてしまう気がします。かといって、急に暮らしを切り詰めるのも避けたいところです。

こうした迷いを減らすためにも、まずは預金で何か月暮らせるかを確かめましょう。

預金に余裕があれば、しばらくは預金から生活費を出し、投資信託の売却を止められます。余裕がなければ、売却額を一時的に下げ、先に延ばせる支出を見直します。こうして値下がりした時期に売る量を減らしておくと、相場が戻ったときに値上がりする口数が多く残ります。

使った預金をいつ戻すか、売却額をいつ元に戻すかも、あわせて決めておきましょう。

この記事では、下落中の生活費の出し方を、預金の残り具合と下落の時期に分けて紹介します。老後資金の取り崩し計画を見直すときの参考にしてください。

この記事でわかること
  • 預金は何か月分あればよいか
  • 下落中も投資信託を売り続けてよいか
  • 売却額はどこまで下げてよいか
  • いつ元の計画に戻せばよいか
目次

取り崩し中の暴落対策は預金の確認から

生活費のために投資信託を売っている最中に評価額が大きく減ると、「何か手を打たなければ」と焦るものです。ただ、何が不安なのかによって、先にとる対応は違います。

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不安の理由確かめる数字先にとる対応
今月や来月の生活費が払えるか預金で暮らせる月数預金から生活費を出し、売却を止める
老後資金が最後まで持つか投資信託の残高と、毎年売る金額売却額を下げる。何歳まで持つかを計算し直す
値下がりした投資信託を売るのが惜しい毎月売っている金額が、生活に必要な額を超えていないか必要な額だけ売る。多く売っている分は止める

最初に確かめたいのは、今月や来月の生活費が払えるかどうかです。

預金で払えるとわかれば、老後資金が最後まで持つかどうかも、値下がりした投資信託を売るかどうかも、落ち着いて考えられます。

預金で何か月暮らせるかを計算する

預金で暮らせる月数は、「生活費に使える預金÷毎月の不足額」で出せます。ここでいう預金は、普通預金や定期預金など、すぐに引き出せる現金のことです。毎月の不足額は、生活費のうち年金などの手取り収入だけでは足りない分の金額です。不足額がまだはっきりしない場合は、年金と生活費から毎月使える額を試算する方法で先に計算しておきましょう。

夫婦2人で、年金の手取りが月22万円、生活費が月32万円の家庭を例に計算してみます。

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項目金額(例)確かめ方
年金などの手取り収入月22万円年金振込通知書、通帳の入金額
毎月の生活費月32万円家計簿、通帳とカードの引き落とし
毎月の不足額月10万円生活費−手取り収入
普通預金・定期預金の残高240万円通帳、ネットバンキング
今後1年の臨時の支出30万円家の修繕、車検、冠婚葬祭など予定しているもの
生活費に使える預金210万円預金残高−臨時の支出
預金で暮らせる月数21か月210万円÷10万円

※ 金額は計算のための例です。総務省「家計調査」(2025年)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の不足額は平均で月42,434円でした。ご自身の家計の数字で計算してください。

臨時の支出を先に差し引くのは、預金を生活費に使い切ったあとで修繕費などが必要になると、結局は値下がりした投資信託を売ることになってしまうからです。日本FP協会も、お金を「日常やいざというとき使うお金」「少し先に使うお金」「当面は使う予定のないお金」に分けて管理する方法を紹介しています。修繕費や車検代は、このうちの「少し先に使うお金」として分けておきましょう。

自分の預金で何か月暮らせるか、あとで紹介するケースのどれに近いかは、次の診断で確かめられます。質問にはすべてタップで答えられます。

下落したときの取り崩し かんたん診断

預金が1年分以上あれば今は売らなくてよい

相場が下がると、今月の生活費のためにも投資信託を売らなければと考えがちです。ただ、この例では預金だけで1年9か月暮らせます。相場が下がった月に、生活費のために投資信託を売る必要はありません。

一方、預金が数か月分しかない場合は、しばらく売却を続けながら、売る金額を調整することになります。では、値下がりした投資信託を売り続けると、老後資金にはどんな影響が出るのでしょうか。

同じ利回りなのに残高が半分以下になるのはなぜ?

毎月同じ金額を売っていると、相場が下がっても受け取る生活費は変わりません。受け取る金額が同じなら、下がった月に売っても損得は変わらないように思えます。ところが、同じ金額を受け取るために手放す投資信託の量は増えてしまいます。

値下がりしたときに売ると多くの口数を手放してしまう

投資信託の持ち分は、「口数」という単位で数えます。同じ10万円を受け取るにも、基準価額が下がっていれば、売る口数は多くなってしまいます。

基準価額(1万口あたり)10万円を受け取るために売る口数
10,000円10万口
8,000円(2割下落)12万5,000口
7,000円(3割下落)約14万3,000口

※ 税金・手数料は含みません。

基準価額が2割下がった月に10万円分を売ると、下がる前より2万5,000口多く手放してしまいます。手放した口数は手元に残らないため、その後に基準価額が戻っても、その分の値上がりは受け取れません。

つまり、下落中に売った量が多いほど、相場が戻っても残高は元の金額まで戻らなくなってしまいます。

毎回同じ金額を売る定額の取り崩しは、下がった月ほど多くの口数を売る方法です。野村アセットマネジメントも、定額の取り崩しは「運用状況が悪化した場合、急速に資産が減少する」としています。定額と定率の取り崩し方の違いは、定額・定率など投資信託の取り崩し方の違いで詳しく紹介しています。

平均の利回りが同じでも下落の順番で残高が変わる

この例で多く手放す2万5,000口は、基準価額8,000円なら2万円分です。1回だけなら小さな金額でも、取り崩しは10年、20年と続きます。2,000万円を投資信託で運用し、毎年120万円を取り崩して生活費に充てる場合で、下落が先に来たときと後に来たときを比べました。

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年A:先に下落B:後に下落
1年目−20%+20%
2年目−10%+10%
3年目0%+10%
4〜7年目毎年+5%毎年+5%
8年目+10%0%
9年目+10%−10%
10年目+20%−20%
10年間の平均利回り年3%年3%
10年後の残高(毎年120万円を取り崩した場合)約721万円約1,487万円
10年後の残高(取り崩さなかった場合)約2,541万円約2,541万円

※ 編集部の試算。毎年の初めに120万円を取り崩し、残りをその年の利回りで運用した場合。利回りは計算のための例で、税金・手数料は含みません。

AとBは、同じ10年間の利回りを、並べる順番だけ入れ替えたものです。平均の利回りが同じなら、10年後の残高も同じになりそうに思えます。実際、取り崩さなければ、どちらも10年後の残高は約2,541万円で変わりません。

ところが、毎年120万円を取り崩すと、先に下落したAの残高は約721万円です。後に下落したBの約1,487万円と比べると、半分以下になってしまいます。

65歳から取り崩しを始めたとして、11年目以降も年3%で運用しながら同じ額を取り崩し続けると、残高がなくなるのはAが82歳、Bが91歳です。

このように、平均の利回りが同じでも、下落の順番で残高が変わることを「順序リスク」(シーケンス・リスク)といいます。

この結果は、編集部が選んだ利回りの並びだけで起きることではありません。三菱UFJ信託銀行のMUFG資産形成研究所も、3,000万円を国内株式で運用し、65歳から94歳まで毎年150万円を取り崩す場合で、利回りの順番を入れ替えたときの残高を試算しました。

MUFG資産形成研究所の試算

ノーマル配列の場合83歳で枯渇してしまった。(中略)配列変更の場合は95歳到達時にまだ1,766万円残ることになった

出典:MUFG資産形成研究所「個人投資家のための老後出口戦略~取り崩しの壁を乗り越える~」(2025年11月25日)

運用した期間の利回りは同じでも、順番を入れ替えただけで、資産が83歳でなくなるか、95歳でも1,766万円残るかが分かれました。

取り崩しを始めて早い時期の下落ほど影響が長く残る

Aの残高が大きく減ったのは、取り崩しを始めてすぐの、残高が最も多い時期に下落したからです。この時期に多くの口数を手放すと、その後10年近く上昇が続いても、手放した口数の分の値上がりは受け取れなくなってしまうのです。

大和総研のコラムにも、同じ下落でも「保有資産残高が大きい退職直後に起こったのと、老後資産の取り崩しが一定程度進んだ後の高齢期に起こったのでは受ける影響度が大きく異なる」とあります。

ただし、相場の下落はいつ来るかわかりません。取り崩しを始めた時期を選び直すこともできません。自分で変えられるのは、下落したときにどれだけ売るかです。

下落中は預金を使うか売却額を下げて売る量を減らす

とはいえ、売る量を減らしても生活費は毎月かかります。減らした分のお金は、別のところから用意しなければなりません。

方法は、預金から出すか、売却額を下げて先に延ばせる支出を見直すかです。先ほどのAの順番で相場が動いた場合に、それぞれ10年後の資産がどうなるかを計算しました。

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対応10年後の資産10年間に受け取った生活費生活への影響向いている状況
下落しても毎年120万円売る約656万円1,200万円変わらない—
下落した翌年から2年間は預金から出す約819万円1,200万円変わらない。預金は減る預金で1年以上暮らせる
下落した翌年から2年間は売却額を2割下げる約737万円1,152万円2年間で48万円の支出を延ばす預金が少なく、先に延ばせる支出がある

※ 編集部の試算。資産は投資信託1,760万円と預金240万円の合計2,000万円。投資信託の利回りは前の表のAと同じで、預金の利息は0円としています。「10年後の資産」は投資信託と預金の合計。税金・手数料は含みません。

同じ2,000万円を持っていても、下落した時期に預金から生活費を出すと、10年後の資産は約163万円多くなりました。

受け取った生活費は同じ1,200万円です。売却額を2割下げた場合も、10年後の資産は約81万円多くなっています。

どちらか一方を選ぶ必要はありません。「預金で1年しのぎ、それでも相場が戻らなければ売却額を下げる」のように組み合わせて使いましょう。

預金から生活費を出して投資信託の売却を止める

預金で1年以上暮らせるなら、まずは預金から生活費を出しましょう。定期売却サービスを使っている場合は、設定を止めるか、金額を小さくしておきましょう。

定期売却サービスの設定は、楽天証券でもSBI証券でも変更や解除ができます。楽天証券の場合、変更や解除の締切は次回注文日の前営業日です。締切を過ぎると、その月は元の設定のまま売却されてしまうので、下落に気づいた時点で手続きしておきましょう。

ただし、預金から出した分だけ、預金は減ってしまいます。先ほどの試算でも、10年後の預金は0円になっていました。使った預金をいつ戻すかも、決めておきましょう。

また、上昇が続く相場では、預金を多く持っていた分だけ、すべてを運用していた場合より資産が少なくなってしまうこともあります。預金を多めに持つのは、下落した時期に投資信託を売らずに済ませるためです。

定期売却の金額や割合を一時的に下げる

預金が少ない場合は、売却額を下げて、売る口数を減らしましょう。下げた分の生活費は、支出を延ばすか、少ない預金から補います。

毎回同じ金額を売る定額で取り崩している場合は、下落している間だけ金額を2〜3割下げるのが一つの方法です。楽天証券とSBI証券では、保有口数の一定割合を売る定率指定も選べます。定率は、基準価額が下がった月は売却額も自動で小さくなる仕組みです。

ただし、定率にすると受け取る金額が毎月変わってしまいます。生活費に足りない月が出ることもあるため、定率に切り替えるのは、足りない分を預金で補える場合にしましょう。

売却額を下げた分は大きな支出を延ばして補う

支出を減らすとなると、まず毎月の食費や光熱費を削ろうと考えるかもしれません。しかし、毎月の支出を削っても、減らせる額はそれほど大きくありません。見直すなら、1回の金額が大きい支出を1年延ばすほうが、暮らしを変えずに済みます。

先に延ばせる支出見直し方の例
旅行海外旅行を国内にする、次の年に回す
車の買い替え車検を通して1〜2年乗る
家のリフォーム急ぎでない工事は翌年に回す
子や孫への援助まとまった額の援助は時期をずらす

売却額を2割下げた先ほどの試算では、2年間で48万円の支出を延ばす計算でした。1年あたり24万円で、旅行1回分や家電の買い替え1回分ほどの金額です。

NISA口座と特定口座の両方に投資信託がある場合は、どちらから売るかでも手元に残る金額が変わります。売る口座の順番は、NISAと特定口座のどちらから取り崩すかの決め方を参考にしてください。

下落中にしないほうがよいこと

相場が大きく下がると、「これ以上減る前に全部売ってしまいたい」と考えることもあります。ただ、全額を売ると損失が確定し、相場が戻ったときに値上がりする資産がなくなってしまいます。生活費に必要なのは毎月の不足額だけなので、売る量はその分に限りましょう。

生活費が足りないからといって、カードローンなどで借りるのはおすすめできません。返済が毎月の支出に上乗せされ、不足額がかえって大きくなってしまいます。

下落をきっかけに、金融機関の担当者から別の投資信託への乗り換えを勧められることもあるでしょう。乗り換えには売却時の税金や購入時手数料がかかるため、投資信託の乗り換えを勧められたときの確認点を読んでから判断しましょう。

下落の時期や預金の残りで対応はどう変わる?

預金を使うか、売却額を下げるか。どちらを優先するかは、預金がどれだけあるか、取り崩しを始めてどれくらいたっているかで変わります。年金が始まる前から取り崩しが進んだ後まで、時期の早い順にケースを分けて、優先する対応と元に戻す目安をまとめました。

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ケース状況(例)優先する対応元に戻す目安
①年金が始まる前に下落した62歳。生活費の全額を投資信託から取り崩し中年金開始までの生活費を、預金と収入でまかなえるか確かめる年金が始まり、取り崩す額が減った時点で見直す
②取り崩しを始めてすぐ下落し預金は2年分ある66歳。投資信託から毎月10万円を取り崩し。預金は2年分預金から出し、売却を止める預金が1年分を切る前に、売却の再開か減額を決める
③取り崩しを始めてすぐ下落し預金は半年分しかない65歳。退職金の多くを投資信託で運用し、預金は半年分売却額を2〜3割下げ、臨時の支出を延ばす評価額が下落前の水準に戻ったら、売却額を戻す
④取り崩しを10年続けてから下落した75歳。残高は当初の半分ほど売却額を下げ、何歳まで持つかを計算し直す計算し直した売却額を新しい基準にする

※ 年齢や金額は例です。

預金が2年分あれば、その間に相場も戻ると考えたくなります。しかし、相場がいつ戻るかは誰にもわかりません。1987年のブラックマンデーでは、日経平均株価は約5か月で下落前の水準に戻りました。一方、2008年のリーマン・ショックでは、リーマン・ブラザーズが破綻した2008年9月末に米国株(S&P500、配当込み・円換算)を100万円分持っていた場合、100万円に戻るまで42か月(3年半)かかった試算があります。

つまり、2年分の預金では足りないこともあるのです。

預金を使いながら、売却額を下げる準備もしておきましょう。

ケース①年金が始まる前に下落した

60〜64歳で年金が始まる前は、生活費の全額を取り崩していることも多く、取り崩す額が最も大きい時期です。一方で、年金が始まれば取り崩す額は小さくなります。下落の影響を強く受けるのは、年金が始まるまでの期間です。

まず、「年金開始までの月数×毎月の生活費」を、預金と収入でまかなえるかを確かめましょう。再雇用の給料や、高年齢雇用継続給付がある場合は、それも収入に入れて計算してください。高年齢雇用継続給付は、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に下がった場合に支給されます。支給率の上限は、60歳になった日が2025年4月1日以降なら賃金の10%、それより前なら15%です。

年金を繰り下げて受け取る予定なら、繰り下げている期間も取り崩しが続く点に注意しましょう。繰り下げるかどうかは、日本年金機構の案内で増額の条件を確かめたうえで、下落中に預金と収入で暮らせる月数とあわせて考えてください。

ケース②取り崩しを始めてすぐ下落し預金は2年分ある

取り崩しを始めてすぐに下落すると、残高が最も多い時期に多くの口数を売ることになるため、順序リスクの影響が最も大きくなってしまいます。預金が2年分あるなら、まずは預金から生活費を出し、投資信託の売却を止めましょう。

気をつけたいのは、預金の減り方です。預金が1年分を切っても相場が戻らない場合は、売却を再開するか、売却額を下げて再開するかを決めましょう。預金をすべて使い切ってから慌てて売ると、そのときに下落が続いていれば、結局は安い価格で多くの口数を売ることになってしまいます。

ケース③取り崩しを始めてすぐ下落し預金は半年分しかない

預金が半年分しかない場合、相場が戻るまで預金だけで暮らすのは難しいでしょう。売却額を2〜3割下げ、下げた分は旅行や買い替えなどの臨時の支出を延ばしてまかなってください。

夫婦で暮らしている場合は、どの支出を延ばすかを先に話し合っておきましょう。延ばす支出が決まっていれば、売却額をいくら下げられるかも決まります。

急な出費に備えて、預金は最低でも3か月分残しておきましょう。相場が戻ったときも、売却額を戻す前に、まず預金を増やしてください。手元にどれだけ現金を残すかは、手元に残す現金と運用に回す額の決め方で紹介しています。

ケース④取り崩しを10年続けてから下落した

取り崩しが進んで残高が減っていると、同じ下落率でも、残りの年数への影響は大きくなってしまいます。残高1,000万円から毎年120万円を取り崩している場合、2割下がると残高は800万円です。単純に割ると、取り崩せる年数は約8年から約7年に縮んでしまいます。

この場合は、下落している間だけ売却額を下げるのではなく、今の残高で何歳まで持つかを計算し直しましょう。計算し直した売却額が、これからの基準です。あわせて、投資信託のうち株式の割合が高すぎないかも確かめましょう。

このように、同じ下落でも、預金の量や年金の開始時期によって、預金をどこまで使い、売却額をいくらまで下げるかは人によって違います。自分の数字で決めたいときは、資産運用の専門家に一緒に計算してもらいましょう。

\ 下落中の売却額をプロと決める /

取り崩し計画はいつ元に戻せばよい?

相場が落ち着くと、つい元の売却額に戻したくなります。ただ、下落中に使った預金を戻さないまま売却額を元に戻すと、次に下落したときに預金から出す方法が使えなくなってしまいます。

使った預金は値上がりした年に戻す

先に戻すのは、売却額よりも預金です。

投資信託の評価額が、預金を使い始めたときの水準を上回ったら、定期売却の金額を少し上乗せして、使った分の預金を戻しましょう。

ただし、評価額がなかなか元の水準に戻らないこともあります。先ほどのAの試算では、10年後まで投資信託の評価額が、預金を使い始めたときの水準に戻りませんでした。「元の水準に戻ったら」だけを条件にすると、預金を戻す機会が来ないまま、預金が底をついてしまいます。

そのため、「1年間で評価額が10%以上上がった年は、上がった分の一部を売って預金に戻す」のように、上がった年ごとに少しずつ戻す方法もあわせて決めておきましょう。

次の下落に備えて売却と預金のルールを決めておく

相場が下がっている最中は、どうしても判断が揺れます。アセットマネジメントOneは、暴落に備える方法として、あらかじめ売買のルールを決めておく「マイルール」を挙げています。

投資信託を取り崩している最中なら、たとえば次のように決めておくと、下落したときに迷わずに済むでしょう。

決めておくこと例
預金から出し始める条件投資信託の評価額が、年初より2割以上下がった
売却額を下げる条件預金が1年分を切った
預金を戻す条件1年間で評価額が10%以上上がった
売却額を元に戻す条件預金が元の月数に戻った

※ 数字は例です。預金の量や毎月の不足額に合わせて決めてください。

MUFG資産形成研究所も、生活費に充てる資金を「じぶん年金勘定」として分け、年金のように定期的に受け取る方法を紹介しています。生活費を受け取る仕組みを先に決めておけば、相場を見るたびに売るかどうかを考えずに済みます。

なお、生活費とは関係なく、利益が出ている投資信託を売るかどうかを考える場合は、投資信託を売るタイミングの考え方を参考にしてください。

年1回は株式の割合を確かめる

下落中に預金を使ったり、売却額を変えたりすると、資産に占める株式と預金の割合が変わります。下落の直後は株式の割合が下がり、預金を戻さずに相場が上がると、株式の割合が高くなってしまいます。

毎年同じ月に、預金で暮らせる月数と、資産に占める株式の割合を確かめましょう。誕生月や年金の振込月など、毎年必ず思い出す月にしておけば、確かめ忘れを防げます。株式の割合が決めた割合から大きく外れていたら、売却する投資信託を選ぶときに、割合が高くなったほうから売って調整しましょう。

売却額を自分で決めきれないときはIFAに相談する

預金をどこまで使うか、売却額をいくら下げるか、いつ元に戻すかは、家計と資産の数字をもとに決めます。ただ、下落の最中に自分だけで金額を決めるのは難しいものです。MUFG資産形成研究所も、取り崩しには「残高減少への抵抗感」と「途中で枯渇してしまうのではないかという恐れ」がついて回ると指摘しています。

銀行や証券会社の担当者とは別の立場で相談できる

取引している銀行や証券会社の担当者に相談すると、今の投資信託を持ち続けるか、別の商品に替えるかという話になることが多いものです。ただ、下落中に老後資金を取り崩すときに決めたいのは、毎月いくら売るか、預金をいつ使っていつ戻すかといったお金のやりくりのはずです。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)なら、特定の金融機関に属さない立場で、こうしたお金のやりくりの相談に乗ってもらえます。預金をどこまで使うか、売却額をいくら下げるか、いつ元に戻すかを、あなたの家計の数字で一緒に決められます。

相談するときは今の画面を見せるだけでよい

相談の前に、新しく資料を作る必要はありません。証券会社の取引画面で保有している投資信託と評価額を見せ、通帳で預金残高と毎月の年金額を伝えれば、話を始められます。定期売却サービスを使っている場合は、その設定画面も見せましょう。

相談先の選び方をもう少し知りたい場合は、60代の資産運用の相談先の選び方もあわせて読んでみてください。

資産運用ナビでは、金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料で紹介しています。下落中の生活費と売却額をどう調整するか、あなたの数字で相談してみてください。

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老後資金の取り崩し中の暴落でよくある質問

シーケンス・リスク(順序リスク)とは何ですか?

老後資金を取り崩している期間の平均利回りが同じでも、下落と上昇の順番によって、残高が変わってしまうリスクです。取り崩しを始めてすぐに下落すると、残高が多い時期に多くの口数を売ることになるため、影響が大きくなってしまいます。取り崩しをしていなければ、順番が違っても残高は変わりません。

退職直後に暴落したら、取り崩しを止めたほうがよいですか?

預金で1年以上暮らせるなら、しばらく投資信託の売却を止め、預金から生活費を出してください。預金が少ない場合は、売却を止めずに金額を2〜3割下げ、先に延ばせる支出を見直しましょう。どちらの場合も、全額を売る必要はありません。

年金だけでは足りないとき、下落中の投資信託を売っても大丈夫ですか?

生活費に必要な分を売ることは問題ありません。気をつけたいのは、必要な額より多く売ってしまうことです。定期売却の金額が今の不足額より多くなっていないかを確かめ、多い分は止めましょう。

現金は生活費の何年分を用意しておけばよいですか?

決まった年数はありません。日本FP協会は、日常やいざというときに使うお金の目安として、当面の生活費の半年から1年分を挙げています。預金が1年分あれば、下落した直後に投資信託を売らずに済みます。ただ、過去には元の水準に戻るまで3年以上かかった下落もあります。預金を多く持つほど運用に回す額は減るため、預金は1〜2年分を目安にし、それを超える下落には売却額を下げて対応しましょう。

株価が下がったとき、年金生活の生活費はどう調整すればよいですか?

毎月の食費や光熱費を削るより、旅行・車の買い替え・リフォームなど、1回の金額が大きい支出を1年延ばすほうが、暮らしを変えずに調整できます。延ばした分だけ投資信託の売却額を下げれば、値下がりした時期に売る口数を減らせます。

【まとめ】老後資金の取り崩し中の暴落は売る量を減らして対応する

老後資金を取り崩している最中に相場が下がったら、まず預金で何か月暮らせるかを確かめましょう。預金が1年分以上あれば、今月の生活費のために投資信託を売る必要はありません。

下落した時期に売る量を減らせれば、同じ生活費を受け取っても、10年後の資産は多く残ります。

編集部の試算では、2,000万円のうち240万円を預金で持ち、下落した翌年から2年間を預金でまかなうと、毎年売り続けた場合より10年後の資産が約163万円多くなりました。

預金が少ない場合は、売却額を2〜3割下げ、旅行や買い替えなどの支出を1年延ばして調整してください。使った預金は値上がりした年に戻し、売却額を元に戻す条件も先に決めておきましょう。

預金の使い方や売却額の下げ幅を、自分の数字で決めきれないときは、金融機関とは別の立場の専門家に相談してみてください。

\ 預金と売却額の使い方を相談 /

出典

※ 本記事は2026年9月時点の情報にもとづいて作成しています。試算は計算のための例で、将来の運用成果を示すものではありません。個別の商品の購入や売却を勧めるものではありません。

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。

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