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60代の資産運用ポートフォリオはどう決める?残す現金と運用に回す額の決め方

退職金や満期金が入ったものの、どれだけ運用に回してよいのかわからず、預金に置いたままになっていませんか?

このままでは、物価が上がった分だけお金が目減りしてしまいそうです。一方で、「60代なら株式は何割」といった年齢別の配分例を見ても、自分の年金や生活費に合っているのかはわかりません。運用して減ったときに生活が苦しくならないか、配偶者が反対しないかも気になります。

こうした迷いや不安を減らすためにも、まず手元に残しておく現金の額を決めましょう。

生活費の不足分や介護への備えなど、使う予定のあるお金を先に預金で取り分けておけば、運用しているお金が値下がりしても暮らしは変わりません。残ったお金のうち「値下がりしても生活に困らない額」が、運用に回す額になります。株式と債券の割合は、その額が決まってから考えましょう。

※ お金を使う時期ごとに分けて置き場所を決める考え方は、日本FP協会の生活設計の教材でも紹介されています。

この記事では、手元に残す現金の決め方と、運用に回す額・配分の決め方を順番に紹介します。夫婦で考え方が違う場合や、満期金を受け取った場合の考え方も取り上げました。資産配分を決めるときの参考にしてください。

この記事でわかること
  • 手元に残す現金の積み上げ方
  • 運用額と株式の割合ごとの下落時の損失額
  • 夫婦で許容できる損失額の合わせ方
  • 満期金や売却代金を受け取ったときの配分の決め方

※本記事の制度・数値は2026年9月時点のものです。

目次

60代の資産運用ポートフォリオは残す現金から決める

ポートフォリオ(資産配分)は、株式を何割にするかではなく、手元に残す現金の金額から決めましょう。残す現金が決まれば、運用に回せる額も、その中の株式の割合も計算で出せます。

年齢別の配分例が自分に合うとは限らない

年齢から株式の割合を出す目安は、証券会社の解説でも紹介されています。たとえば三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「120(または100)-年齢=株式保有比率(%)」という計算式を紹介し、60歳なら株式60%・債券40%になるとしています。SBI証券の解説では、株式など値動きの大きい資産の割合の目安を「110-年齢」としています。

65歳に当てはめると、次のとおりです。

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目安の式65歳の株式の割合紹介している例
120-年齢55%三菱UFJモルガン・スタンレー証券
110-年齢45%SBI証券(株式など値動きの大きい資産の割合として)
100-年齢35%三菱UFJモルガン・スタンレー証券・SBI証券(以前の目安として)

同じ65歳でも、どの式を使うかで株式の割合は35%から55%まで変わります。しかも、どの式も使っているのは年齢だけです。年金で毎月の生活費をまかなえる人と、毎月数万円を貯蓄から取り崩す人とでは、株価が下がったときの生活への影響が違います。

総務省の家計調査(2025年)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月26万3,979円でした。これに対し、年金などの収入から税金や社会保険料を引いた手取り(可処分所得)は月22万1,544円です。平均すると、毎月約4.2万円を貯蓄から補っていることになります。

ただし、これは平均です。企業年金がある、住宅ローンが残っている、再雇用で給与があるといった事情で、毎月の不足額は世帯ごとに変わります。不足額が大きい世帯ほど、株価が下がった時期にも資産を取り崩すことになってしまいます。配分例が自分に当てはまるかは、自分の数字で計算してはじめてわかります。

配分を決める手順

自分の数字で配分を決めるときは、次の順番で進めます。

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順番決めること決め方
1手元に残す現金年金で足りない生活費、医療・介護の予備費、10年以内の予定支出を目的ごとに足し上げる
2運用に回す額下落したときに減る金額が、暮らしを変えずに受け止められる範囲に収まるかで決める
3株式と債券の割合受け止められる損失額から、株式に回す額を逆算する

順番を逆にして株式の割合から決めると、残す現金が足りなくなったとき、値下がりした株式を売って生活費にあてることになってしまいます。運用を始める前に確かめておきたいことは、60代の資産運用の始め方で順を追って紹介しています。

夫婦の資産をまとめて書き出す

配分は、口座ごとではなく資産全体で決めます。預貯金、投資信託、株式、NISA口座の商品、保険の解約返戻金、これから受け取る退職金や満期金まで、夫婦の分を1枚の紙に書き出しましょう。

口座ごとに見ていると、ネット証券の口座では株式が少なく見えても、銀行で買った投資信託と合わせると株式が資産の半分を超えていることがあります。保有している商品の一覧の作り方と、投資先の重なりの確かめ方は、60代の投資信託の見直し方で紹介しています。

手元に残す現金は使う時期と目的ごとに積み上げる

手元に残す現金は、使う目的ごとに金額を出して足し上げましょう。目的ごとに分けておくと、どのお金をいつ使うかがはっきりし、運用に回せる額も計算で出せます。

生活防衛資金は年金で足りない毎月の額から決める

生活防衛資金は、急な出費があっても、運用している資産を売らずに暮らすための現金です。目安としてよく挙がる「生活費の半年分から1年分」は、給与で暮らす現役世代が、失業や病気で収入が止まる場合を前提にした数字になります。

年金生活に入ると、年金は相場に関係なく毎月入ってきます。基準にするのは生活費そのものではなく、「年金で足りない毎月の額」です。家計調査の平均では、夫婦世帯で月約4.2万円、65歳以上の単身無職世帯で月約3.0万円が不足していました。

夫婦世帯の平均で計算すると、生活費1年分は約317万円ですが、年金で足りない額の3年分なら約153万円で済みます。同じ「生活防衛資金」でも、どちらを基準にするかで、運用に回せる額が160万円以上変わります。

ご自身の不足額は、年金の振込額と、通帳で確かめた1か月の支出から出せます。不足額の何年分を現金で持つかは、運用している資産が大きく下がったとき、売らずに待てる期間で決めましょう。この記事の記入例では3年分としました。さらに、家電の買い替えや冠婚葬祭、病気のときの細かな出費にあてる予備費を加えます。

年金を受け取るまでの生活費は運用に回さない

再雇用で収入が減る期間や、年金の受け取りを遅らせる(繰り下げる)期間は、生活費の大部分を貯蓄から出すことになります。数年以内に確実に使うお金なので、運用には回さず現金で持ちましょう。使うまでの期間が短いお金は、値下がりしても回復を待てないためです。

年金を受け取るまでの数年を貯蓄でまかなえるか、資産が何年もつかは、老後資金の取り崩しシミュレーションで試算できます。

医療費と介護費の予備費を置く

内閣府の調査(令和6年度、60歳以上が対象)では、今後優先的にお金を使いたいものとして「自分や配偶者あるいはパートナーの医療・介護の費用」を挙げた人が47.5%で最も多くなりました。経済的な不安としても、「自力で生活できなくなり、転居や有料老人ホームへの入居費用がかかること」を43.1%の人が挙げています。

ただ、医療費と介護費では備え方が違います。医療費には、1か月の自己負担に上限を設ける高額療養費制度があり、入院が長引いても自己負担は月ごとの上限までで済みます。上限額は年齢と所得で決まり、2026年8月から見直されました。

備えが必要なのは、期間が長くなる介護費です。生命保険文化センターの調査(2024年度)では、住宅の改修や介護用ベッドの購入など一時的な費用が平均47.2万円、月々の費用が平均9.0万円でした。介護の期間は平均55.0か月(4年7か月)なので、単純に合計すると1人あたり約542万円になります。

月々の費用の一部は年金でまかなえるため、全額を現金で残す必要はありません。この記事の記入例では、夫婦2人分の予備費として500万円を置きました。

介護に備えるお金を運用してよいかは、使う時期で決めましょう。10年以上使わない見込みなら運用に回す額に含めてかまいません。一方、数年以内に老人ホームへの入居を考えているなら、入居一時金など金額の見えている費用は現金で持っておきましょう。

修繕や車の買い替えなど10年以内の予定支出を分ける

屋根や外壁の修繕、給湯器の交換、リフォーム、車の買い替え、子や孫への援助、旅行など、10年以内に使う予定のお金も運用から外します。使う時期が数年先なら、定期預金や個人向け国債に置けば、元本が減る心配をせずに利息を受け取れます。

退職金で住宅ローンを返すか、返さずに運用へ回すかで迷う場合は、退職金で住宅ローンを返すか運用するかで、手元に残す現金をもとに比べています。

現金取り置き表の記入例

夫65歳・妻63歳の夫婦で、退職金を含む金融資産が3,000万円の場合の記入例です。年金で足りない生活費は月5万円としました。

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目的使う時期金額の出し方記入例置き場所
年金で足りない生活費毎月不足額(月5万円)×3年分180万円普通預金
急な出費の予備費いつでも家電・冠婚葬祭・病気など100万円普通預金
医療・介護の予備費70代以降介護費用の平均をもとに夫婦2人分500万円定期預金・個人向け国債
住まいの修繕・車5〜10年以内見積もりや過去の支出から300万円定期預金・個人向け国債
家族への援助・旅行10年以内予定している金額200万円定期預金
合計(残す現金)1,280万円

※ 数値はすべて記入例です。

この夫婦が1,280万円を残すと、3,000万円のうち運用に回せる候補は1,720万円になります。ただ、1,720万円を全部運用に回してよいかは、まだわかりません。確かめたいのは、この額を運用したときにいくら減る可能性があるかです。

運用に回す額は下落したときに減る金額から決める

運用に回す額は、下落したときに減る金額を、暮らしを変えずに受け止められるかで決めましょう。金額で考えれば、配偶者とも同じ基準で話し合えます。

何%下がるかより何万円減るかで考える

退職金を運用するとき、「半分くらいなら」「3割までなら」と割合で考える方は少なくありません。ところが同じ「半分」でも、減る金額は退職金の額と、何に投資するかで変わります。

株式は、長い目で見れば物価の上昇を上回るリターンが期待できる一方、短い期間に大きく下がることがあります。全世界の株式の値動きを表す指数(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス、米ドル建て)は、2007年10月末から2009年3月9日までに58.38%下落しました。

債券も値下がりしないわけではありません。金利が上がると、すでに発行されている債券の価格は下がります。

株式が50%、債券が10%下がった場合に、運用額と株式の割合ごとにいくら減るかを計算しました。

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運用額株式3割株式5割株式7割
500万円−110万円−150万円−190万円
1,000万円−220万円−300万円−380万円
2,000万円−440万円−600万円−760万円

※ 株式が50%、債券が10%下落した場合の試算です。運用額のうち株式以外はすべて債券としました。実際の下落率は時期や商品によって異なります。

退職金2,000万円の半分、1,000万円を株式5割で運用すると、下落時には300万円減る計算です。株式を7割にすれば380万円になります。ご自身の運用額に近い行を表から探し、減る金額を確かめておきましょう。

\ ご自身の資産で下落時にいくら減るか /

暮らしを変えずに受け止められる損失額を先に決める

受け止められる損失額は、「減っても生活費には手をつけずに済む」「旅行を1年見送れば済む」のように、暮らしの言葉で決めると迷いません。手元に残す現金を目的ごとに確保してあれば、運用資産が下がっている間も、生活費はそこから出せます。

損失額が決まれば、株式に回す額の目安もわかります。株式が半分になる場面を想定するなら、株式に回すのは、受け止められる損失額のおよそ2倍までです。

記入例の夫婦が「300万円までなら暮らしを変えずに済む」と決めた場合で考えてみましょう。

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運用のしかた下落時に減る金額300万円と比べると
1,720万円を株式5割・債券5割で運用約516万円約216万円多く減る
1,720万円を株式2割・債券8割で運用約310万円ほぼ同じ
1,000万円を株式5割・債券5割で運用し、720万円は定期預金・個人向け国債に置く300万円同じ

※ 株式50%・債券10%下落の試算です。

株式の割合を下げるか、運用額を絞るか。どちらを選んでも、減る金額は300万円前後に収まります。物価の上昇に備えて株式をある程度持ちたいなら運用額を絞る方法、預金に置くお金を増やしたくないなら株式の割合を下げる方法が向いています。

インターネットのリスク許容度の診断を使った場合も、結果の配分をご自身の運用額に当てはめ、いくら減る場面があるかを計算して確かめましょう。

退職金を全額運用に回さない

退職金を全額運用に回すと、手元の現金が足りなくなったとき、値下がりした資産を売って生活費にあてることになってしまいます。NISAの枠が空いていることも、全額を入れる理由にはなりません。NISAは利益に税金がかからない口座で、値下がりを防ぐ仕組みではないためです。

退職金をまとめて投資するか、何回かに分けて買うかは、退職金は一括投資か分割かで比べています。

【診断】残す現金と運用に回せる額を出す

ここまでの手順を、ご自身の数字に当てはめて計算できる診断を用意しました。金融資産の合計と年金で足りない毎月の額を入れたら、あとはタップで答えるだけです。わからない項目は「わからない」を選べば、平均の数字で計算します。

いくらまで運用していい?資産配分かんたん診断

預貯金・投資信託・株式などの金融資産は、合わせていくらですか?

夫婦の分と、これから受け取る退職金や満期金も含めます。例の数字が入っているので、書き換えてください。

万円

年金で足りない生活費は、毎月いくらですか?

毎月の生活費から、年金の振込額(手取り)を引いた額です。足りている場合は0と入れてください。

万円

一緒に暮らしている家族に近いものを選んでください

医療・介護の予備費を何人分置くかに使います。

この先10年のうちに予定していることを、すべて選んでください

選んだものは、かっこ内の目安の金額で計算します。

年金はもう受け取っていますか?

運用に回せるお金は約です。相場が大きく下がり、このお金が1年で減ったとき、売らずに待てるのはどこまでですか?

2008年の金融危機のときは、全世界の株式が半分以下まで下がりました。

※回答をもとにした目安です。年金で足りない生活費は3年分、急な出費の予備費は100万円、医療・介護の予備費は1人250万円として計算しています(生命保険文化センターの調査で、介護費用は1人あたり平均約542万円。月々の費用の一部は年金でまかなう前提)。株式の目安は、株式が50%、債券が10%下がった場合の試算です。「わからない」を選んだ項目は、年金で足りない額を月約4.2万円(総務省「家計調査」2025年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均)、10年以内に使う予定のお金を500万円として計算しています。予定しているお金は、修繕やリフォーム・車の買い替えを各150万円、子や孫への援助・大きな旅行を各100万円とした目安で、見積もりがあれば置き換えてください。

現金・債券・株式の役割と配分の例

運用に回す額が決まっても、その中を株式と債券にどう分けるかが残ります。分け方を決める前に、現金・債券・株式をそれぞれ何のために持つのかを確かめておきましょう。役割がわかれば、株式の割合を決めた理由を自分の言葉で配偶者に説明できます。

現金は生活を守り株式は物価の上昇に備える

減るのが怖いなら、全部を預金に置いておけばよいようにも思えます。ところが内閣府の調査で、経済的な不安として最も多かったのは「物価が上昇すること」(74.5%)でした。預金だけで持っていると、物価が上がった分だけ、お金で買えるものが減ってしまいます。

預金で生活を守りながら物価の上昇にも備えるには、資産ごとに役割を分けて持ちます。

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資産主な役割値動き向いているお金
円預金生活費と急な出費にあてるなし数年以内に使うお金
個人向け国債元本を守りながら利息を受け取る元本割れしない(発行から1年たてば、直近2回分の利子相当額を差し引いて換金できる)3〜10年後に使うお金
債券の投資信託株式の値動きをやわらげる金利が上がると下がる運用資産のうち値動きを抑えたい部分
株式の投資信託物価の上昇を上回る成長を目指す大きい10年以上使わないお金
外貨・金円安や物価上昇への備えの一部為替や価格で大きく動く運用資産の一部

株式を少しでも持つのは、預金だけでは防げない物価上昇による目減りに備えるためです。債券を組み合わせると、株式だけで持つよりも資産全体の値動きが小さくなります。

個人向け国債と社債、債券の投資信託の違いは60代の債券投資のリスク、外貨で持つときの注意点は老後資金を外貨で持つリスクで紹介しています。

株式の割合は受け止められる損失額から逆算する

運用額が1,000万円の場合の配分の例です。

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配分の例株式債券下落時に減る金額向いている人
安定2割8割約180万円投資の経験が少なく、値下がりを見るのがつらい
中間4割6割約260万円投資信託を持った経験があり、数年の値下がりを待てる
成長6割4割約340万円残す現金を確保したうえで、10年以上使わないお金がある

※ 株式50%・債券10%下落の試算です。特定の配分を勧めるものではありません。

どの例を選ぶかは、年齢ではなく、受け止められる損失額で決めましょう。同じ65歳でも、残す現金を十分に確保でき、10年以上使わないお金がある人は「成長」を選べます。年金で足りない額が大きく取り崩しが続く人なら、「安定」でも180万円減る場面を受け止められるかを先に確かめましょう。

株式は国や地域と買う時期を分ける

株式に回すお金は、1つの国や会社に集中させず、国や地域を分けて持つのが基本です。全世界の株式に投資する投資信託なら1本で多くの国に投資できますが、その代表的な指数は2026年8月末時点で63.59%が米国株です。米国株の投資信託と組み合わせると、米国への集中がさらに強まってしまいます。

買う時期も分けておきましょう。まとまったお金を一度に株式へ入れると、その直後に下がったときの損失が大きくなります。何回かに分けて買えば買う価格がならされますが、分けても値下がりによる損失がなくなるわけではありません。

株式や債券の投資信託の選び方は、60代の投資信託の選び方で紹介しています。

NISAに入れる金額は配分を決めてから考える

「NISAには毎月3万円」「枠は使い切るべき」のように、NISAの金額から決める必要はありません。配分を決めたあと、運用に回す株式や債券の投資信託のうち、どれをNISA口座で持つかを考える順番で十分です。

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項目NISAのルール
1年間に投資できる額360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)
生涯で使える枠1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
年間の枠を使わなかった場合生涯の枠は減らず、翌年以降も1年に360万円まで投資できる
売った商品の枠購入したときの金額の分が、翌年以降に再び使える

生涯の枠は残るので、今年使い切らなくても、あとから入れられます。令和8年度の税制改正では、つみたて投資枠の対象に債券を中心に投資する投資信託を加えることが決まりました。配分のうち債券の部分をNISA口座で持つ選択肢も広がる見込みです。

60代からNISAを始めてよいか迷っている場合は、60代からのNISAの始め方を参考にしてください。

資産額や家族構成で変わるポートフォリオ

記入例の夫婦と資産額や家族構成が違っても、手順は同じです。変わるのは、残す現金の金額と、運用に回す額の決め方です。受け取ったお金の種類によっては、先に取り分けておくお金もあります。

金融資産が500万円から1億円までの場合

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金融資産残す現金運用に回す額の考え方注意すること
500万円資産の大部分が残す現金になることが多い生活費の不足と予備費を確保し、残りを少額から年金を受け取る前なら、運用より現金の確保を先にする
1,000万円資産の半分以上になることもある数百万円を目安にし、株式は損失額の2倍まで介護の予備費を削って運用額を増やさない
3,000万円1,000万〜1,500万円前後(記入例は1,280万円)1,500万円前後。株式の割合によって、減る金額が数百万円単位で変わる株式の割合を上げる前に、下落時に減る金額を確かめる
5,000万円〜1億円目的ごとの現金を確保しても、運用額が大きく残る3,500万円を株式5割で運用すると、下落時に約1,050万円減る管理の手間や、家族に残すお金との分け方も決めておく

※ 金額は目安です。年金で足りない額や予定支出によって変わります。

資産額ごとの運用の例は、1,000万円の運用方法や3,000万円の資産運用でも紹介しています。資産額が大きく、配分の管理を自分で続けるのが負担なら、資産運用をプロに任せるときの違いも参考になります。

一人暮らしの場合

一人暮らしでは、病気やけがのときに同居する家族の手助けを受けられません。家事代行や通院の付き添いなど、外部のサービスに払う費用も医療・介護の予備費に含めておきましょう。

長生きする期間も長めに見込みます。令和6年の簡易生命表では、65歳の平均余命は男性19.47年、女性24.38年です。女性なら、65歳から平均で24年あまり暮らすことになります。取り崩す期間が長くなるほど、運用資産を売って生活費を補う期間も長くなります。下落時に減る金額は小さめに抑えておきましょう。

夫婦で投資への考え方が違う場合

「妻が投資に反対している」「夫が退職金を勝手に投資しそうで不安」のように、夫婦で考え方が合わないことは珍しくありません。株式を何割にするかで話し合うと、どちらも自分の考えの根拠を説明できず、話が進まなくなってしまいます。

そこで、お互いに「いくらまで減っても受け止められるか」を書き出し、金額で比べましょう。

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確認すること本人配偶者決め方
1年で運用資産が減っても受け止められる額300万円100万円夫婦で共有するお金は、少ないほうの100万円に合わせる
減ったときに見送れる支出車の買い替えを先に延ばす旅行を1年見送る見送れる支出が大きいほど、受け止められる額を上げられる
運用に回したくないお金なし介護に備えるお金現金取り置き表の医療・介護の予備費に入れる
投資の経験投資信託を10年なし経験の少ない側が値動きに慣れるまで、株式の割合を低めにして始める
資産を確かめる頻度毎月年1回で十分年1回は2人で一緒に確かめる

※ 記入例です。

記入例で、夫婦で共有するお金を配偶者の100万円に合わせると、株式に回すのは200万円ほどまでになります。本人が300万円まで受け止められるなら、NISA口座は夫婦それぞれが持てるので、本人名義の資産の一部で株式を増やす分け方もあります。

話し合っても決めきれないときは、2人が書いた表をもとに、専門家に配分の案を出してもらうと、2人とも同じ数字を見ながら決められます。

退職金や保険の満期金を受け取った場合

退職金、保険の満期金、定期預金の満期金を受け取ったら、まずは全額を円預金に置いたまま、現金取り置き表を作りましょう。受け取った直後は金融機関から運用商品の案内を受けることがありますが、残す現金が決まるまでは契約を急ぐ必要はありません。会社員でも公務員でも、退職金を受け取ったあとの手順は同じです。

退職金の優遇金利がつく定期預金と、投資信託などを組み合わせたプランを勧められた場合は、退職金のセットプランの注意点を確かめてから決めましょう。

保険の満期金は、保険料を払った人と受け取る人が同じ場合、一時金で受け取ると一時所得として所得税と住民税の対象になります。受け取った金額から払い込んだ保険料と特別控除50万円を差し引き、その2分の1が課税の対象です。翌年の確定申告で納める税金の分も、現金で残しておきましょう。

自宅の売却代金や相続したお金を運用する場合

自宅を売ったお金は、住み替え先の購入費や家賃、引っ越し費用を先に取り分けます。売却で利益が出た場合の税金は翌年の確定申告で納めるため、その分も現金で残しておきましょう。住んでいた家を売った場合は、利益から最高3,000万円を差し引ける特例があり、税金がかからないこともあります。

相続したお金は、相続税の申告と納付の期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)まで、納税に使う分を現金で持っておきます。残りは、ここまでと同じ手順で配分を決めましょう。相続した株式や投資信託を持ち続けるか売るかは、相続した投資信託を売るか持つかで判断の手順をまとめています。

ポートフォリオ案は資産運用の専門家と確かめる

現金取り置き表と、受け止められる損失額が決まったら、その数字で配分が成り立つかを資産運用の専門家と確かめましょう。

配分を自分の数字に当てはめるときは、年金を受け取る時期、介護の見込み、NISAの枠、今持っている商品を売ったときの税金まで、一度に考えることになります。どれか1つを変えると、残す現金も運用額も変わってしまいます。

ただ、こうした相談を銀行や証券会社の担当者にしても、提案できるのはその会社で扱っている商品です。資産が複数の金融機関に分かれていると、担当者に見てもらえるのは資産の一部だけになってしまいます。

一方、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、金融商品仲介業者として登録を受け、証券会社と提携して資産運用の相談に応じる専門家です。2026年8月末時点で679者が登録されており、そのうち約4割にあたる265者は2社以上の証券会社と提携しています(金融庁の登録一覧をもとに編集部で集計)。

相談には、この記事で作った現金取り置き表と、夫婦それぞれが受け止められる損失額のメモを持っていけば足ります。記入した金額をもとに、運用額と株式の割合、どの口座で何を持つかまで一緒に決められます。夫婦で同席できるかは、相談先に確認してください。相談先の選び方は、60代の資産運用の相談先の選び方で紹介しています。

資産運用ナビでは、金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料でご紹介します。

\ 残す現金と運用に回す額をプロと決める /

60代の資産配分でよくある質問

配分の見直し、今の資産の組み替え、取り崩しとの関係、家族に残すお金について、よくある質問に答えます。

決めた配分はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?

年1回、決まった時期に見直せば十分です。資産運用業協会も、保有資産の見直しは1年に1回程度でよく、相場が大きく動いて配分が崩れたときは調整を考えるとしています。退職、年金の受け取り開始、満期金の受け取り、介護の始まりなど、暮らしやお金の流れが変わったときも見直しましょう。

今持っている資産を決めた配分に近づけるにはどうすればよいですか?

今の商品を売る前に、退職金や満期金など新しく入るお金の買い先を変える方法から使いましょう。売らずに済めば、売却益にかかる税金も払わずに済みます。保有資産の整理の順番は、60代の投資信託の見直し方で紹介しています。

決めた配分で資産は何歳までもちますか?

毎月取り崩す額と、運用で増える見込みによって変わります。年金と支出をもとにした試算の手順は、老後資金の取り崩しシミュレーションで紹介しています。

取り崩しを始めたら配分は変えるべきですか?

生活費は手元に残した現金から出し、減った現金を年1回の見直しのときに運用資産から補う形にすれば、配分を大きく変えずに済みます。運用資産の売り方(毎月決まった額か、決まった割合か)は、投資信託の取り崩し方で比べています。

子どもに資産を残したい場合は配分を変えるべきですか?

内閣府の調査(令和6年度)では、将来の財産の使い道として「遺族等へ財産を残したい」が35.9%、「財産は自分のために使いたい」が33.0%でした。残したいお金は使う時期が先なので、自分の生活費とは分けて、運用に回す額に含めて考えましょう。自分の生活費と混ぜてしまうと、取り崩しで残すつもりのお金まで減ってしまいます。贈与税や相続税の判断は、税理士などの専門家に相談してください。

【まとめ】残す現金を決めてから資産配分を決める

資産運用のポートフォリオは、株式を何割にするかではなく、手元に残す現金から決めます。

年金で足りない生活費、医療・介護の予備費、10年以内の予定支出を目的ごとに足し上げ、残りのうち下落しても暮らしを変えずに済む金額を運用に回しましょう。株式に回すのは、受け止められる損失額のおよそ2倍までが目安です。

夫婦で考え方が違うときは、割合ではなく受け止められる損失額で比べます。表ができたら、その数字で配分が成り立つかを、口座をまたいで見てもらえる専門家に確かめてもらいましょう。

\ 作った表をそのまま相談に使えます /

出典

※ 本記事は2026年9月時点の制度にもとづいて作成しています。特定の商品や配分を勧めるものではありません。

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。

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