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うつ病になると保険に入れないのか?利用可能な公的制度と保険を解説

この記事で解決できるお悩み
  • うつ病になった時に保険が利用できるか知りたい
  • うつ病の人が活用できる公的支援制度が知りたい
  • うつ病の人でも加入できる保険が知りたい

近年、日本ではうつ病と診断される人の割合が増加傾向にある。

また、長期入院になるケースも多く、うつ病を含む精神に関する傷病に備え、保険を活用したいと考える方も多いだろう。

では、うつ病になってから加入できる保険はあるのだろうか。

また、保険加入後にうつ病になってしまった場合でも、引き続き利用することは可能なのだろうか。

そこで本記事では、うつ病になった場合の保険加入の可否、および活用できる公的支援制度や加入しやすい保険について解説する。

うつ病になっても保険が活用できるのか知りたいという人は、ぜひ参考にしてほしい。

目次

うつ病の人は保険に入れるのか

うつ病の人は保険に入れるのか 生命保険ナビ

社会の変化に伴い、現代人には様々なストレスが降りかかっている。

うつ病を含む精神疾患にかかることはもはや決して特殊なことではない。

では、うつ病の人でも保険に加入することはできるものだろうか。

また、保険加入後にうつ病になってしまった場合、保障を受けることはできないのだろうか。

この章では、「うつ病と保険の関係性」について解説する。

うつ病の人はどれくらいいるのか

うつ病の人が増えている、と聞いたことがある人は多いと思う。

ただ、実際にどれくらいの人がかかっているものなのだろうか。

厚生労働省が発行する「患者調査」によれば、令和2年度の時点で躁(そう)うつ病を含めた気分障害の患者数は119.4万人となっている。

詳細に書くと、入院患者が28万人、通院患者が91.4万人となる。100万人以上の方が、精神疾患に苦しめられているのだ。

うつ病を抱えながら働いている人もいるが、基本的には休職して治療する必要がある。

そのため、治療に必要な期間の目安も知っておくべきだろう。

2020年に武田製薬が発表している「雇用形態別うつ病患者さん調査」によれば、うつを発症して休職した265人中、1ヶ月以上休んだ人は197人になる。

割合にすれば、75%近くの人が月・年単位で休まざるを得なくなっているのだ。

また、厚生労働省が毎年発行している「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.6%となっている。

これは令和3年調査の8.8%を上回る数字となっており、1ヶ月以上休職する人の数も増えていることが分かる。

上記のように、うつ病になると長期間の休みが必要になることが予想される。

仕事を休む期間が長くなれば、収入は大きく減少してしまうだろう。

うつ病の人が保険に加入しにくい理由

うつ病の発症後に、保険へ入って生活の保障をしてもらいたいと考える人もいるだろう。

ただ、残念ながらうつ病になると保険に加入することは難しくなる。一体なぜなのだろうか。

うつ病の人が保険に加入しづらいのには、明確な理由がある。保険に申し込むと、自分の健康状態や既往歴などを申告し審査を受ける。

申告すべき告知項目の中には、うつ病を含む精神疾患も含まれている。つまり、うつ病だと審査が通らず保険に加入できないことが多いのだ。

なお、保険に入る際に審査が必要になる理由は、加入者間の公平性を保つためである。

前述の通り、うつ病患者の入院は長期化しやすい。健康な人と比べて、うつ病患者には支払う保険金が多くなりがちだ。

加入者間での保険金の支払いを偏らせないためにも、事前審査による健康状態の確認が必要になる。

うつ病患者が審査に通る可能性は低い。そのため、病状を隠して保険に加入する人が出てきてもおかしくない。

はたして、そのまま保険を利用することができるのだろうか。

仮にうつ病を隠して加入できたとしても、後の調査で病歴や服薬の状態は明らかになるだろう。

嘘が発覚した場合は告知義務違反となり、保険金が支払われなくなる。

また、契約は解除され、罰則金を請求される可能性も高い。告知を正しく行わなければペナルティが課されるのだ。

保険加入後にうつ病を発症するとどうなるのか

保険加入前にうつ病を発症してしまった場合、加入が難しくなることは理解できたと思う。

では、加入後に発症した場合は保険を利用できるのだろうか。結論から言うと、問題なく保険金がおりる場合と、おりない場合がある。

生命保険や医療保険の場合、保険金がおりる可能性は高いと言える。

ただ、以下の場合は保険金を受け取ることができない。

  • 通院時に保険金が出ない場合
    • 通院給付金の上限日数に達している場合
    • 入院後の通院だけが対象になっていて、入院をしていない場合
  • 入院時に保険金が出ない場合
    • 入院給付金の上限日数に達している場合
    • 告知義務違反があった場合
    • 責任開始日(保険の保障が始まる日)より前に入院した場合

また、就業不能保険については、うつ病を含む精神疾患が支給対象になっていないことが多い。

就業不能保険とは、怪我や病気によって長期間働けない時の生活費を保障するものだ。

保障対象外になる理由としては、精神障害は完治の判断が難しく再発もしやすい点が挙げられる。

つまり、治ったタイミングが正確には分からず、無期限に支給される可能性があるということだ。

また、保険が適用される場合にも通院費用には保険金が支給されない、など支払い条件は厳しくなりやすい。

各保険会社に、自分が加入している保険が精神疾患に対応しているかを問い合わせて確認するといいだろう。   

うつ病の人が利用できる民間保険以外の公的支援制度

うつ病の人が利用できる公的支援制度 生命保険ナビ

ここまで、うつ病の人が保険を利用する際には厳しい条件があることを解説した。

では、うつ病になると支援は全く受けられなくなるのだろうか。

決してそんなことはなく、利用できる公的支援制度がいくつか存在する。

そこでこの章では、うつ病の人でも利用できる公的支援制度について詳しく解説する。

傷病手当金と生活保護

まずは、生活費を支援する制度から見ていこう。傷病手当金や生活保護が該当する。

傷病手当金は健康保険制度の1つである。会社員が怪我や病気で働けなくなり、会社から給与を受け取れなかった場合に一部費用を保障してくれる。

会社を3日連続で休んだ後の4日目から金額が計算される。費用の計算式は、以下の通りだ。

【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)

(※)支給開始日の以前の期間が12ヵ月未満の場合は、次のいずれか低い額を使用して計算を行う。

ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
イ 標準報酬月額の平均額

なお、健康保険の制度になるため、自営業者や会社を辞めた人は使うことができない点には注意してほしい。

また、生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を援助する制度となる。

各市町村に設置されている福祉事務所へ申請を出せば利用可能だ。

申請時には、以下の事項が確認される。

  • 売却できる資産があるか(土地や車など)
  • 働くことができるかどうか
  • 手当金など他の制度を活用して生活することができないか
  • 親族など扶養義務者からの援助が受けられないか

上記事項の確認後、定められた生活費を満たすように支給金額が決定される。

傷病手当金や後述する自立支援医療とも併用が可能で、足りない生活費や医療費を賄ってくれる制度だ。

自立支援医療

次に、医療費を保障する制度として自立支援医療を解説する。

自立支援医療とは、心身障害の治療費を軽減する公費負担医療制度のことを指す。

つまり、うつ病患者の医療費を支援してくれるのだ。

自立支援医療を利用した場合の医療費の計算式は、以下のようになる。

公的医療保険(7割)+自立支援医療(所得に応じた負担割合)+患者の自己負担(1割もしくは所得に応じた負担上限額)

所得に応じて支援額の上限は決まっているが、医療費の9割程度が保障され、患者が支払う費用は全体の1割程度で済む。うつ病の人は特に活用すべきだろう。

なお、申請は市町村ごとに設置されている精神保険福祉センターなどの専用窓口で行う。

必要な書類は自治体ごとに違う場合もあるので、事前に確認しておくとスムーズに手続きを進められるだろう。

精神障害者保健福祉手帳

最後に精神障害者保健福祉手帳について紹介しよう。

うつ病を含む精神障害により、長期にわたって日常生活に支障をきたしている人を対象にした制度である。

等級は1級〜3級まで存在し、数字が小さくなる毎に障害の具合が重くなる。

手帳を持っていれば、様々なサービスが活用可能となるというわけだ。サービスは全自治体共通のものと自治体独自のものの2種類がある。

全自治体共通のサービスとしては、NHK受信料の減免・所得税や住民税の控除が挙げられる。

また、各自治体毎のサービスとして鉄道やバス・水道料金などの公共料金の割引や、福祉手当などの支給を行っているところもある。

申請は自立支援医療と同じく精神保健福祉センターが窓口になっていることが多い。

必要なものは、申請書・うつ病など精神疾患の診断書・本人の写真になる。

窓口で費用を払う必要はなく、1回手帳を作成すると2年間有効となる。他の制度と同時に活用すると良いだろう。

うつ病の人でも加入しやすい保険とは

うつ病の人でも加入しやすい保険とは 生命保険ナビ

ここまでの説明で、公的支援制度については理解したが、うつ病の人でも利用しやすい保険はないのか、と思う人もいるだろう。

実際に精神疾患があっても加入しやすい保険は存在する。うつ病だからといって、保険への加入を諦める必要はないのだ。

最後の章では、うつ病の人が加入しやすい保険について解説を行う。

引受基準緩和型医療保険

まず紹介するのは、引受基準緩和型医療保険だ。

基準緩和型保険は、一般的な医療保険と比べて告知項目が少ない。

つまり、現在の健康状態や既往歴に対する調査が緩く、うつ病の人でも加入しやすい保険と言えるのだ。

ここで、引受基準緩和型医療保険の商品を1つ紹介しよう。

チューリッヒ生命の終身医療保険「プレミアムZワイド」は、加入時の告知項目が以下の3点のみとなっている。

  • 最近3ヶ月以内に、医師から入院・手術・先進医療のいずれかをすすめられたことがありますか。
  • 過去2年以内に、病気やケガで入院をしたこと、または手術を受けたことがありますか。
  • 過去5年以内に、ガン・上皮内ガン(高度異形成も含む)、肝硬変、統合失調症、認知症、アルコール依存症で、医師の診察・検査・治療・投薬のいずれかを受けたことがありますか。

上記の条件から、入院さえしていなければうつ病の人でも十分加入できる可能性がある保険と言える。

ただし、同じく終身医療保険である「プレミアムZ」と比べて保険料が割高となる点には注意しよう。

40歳男性が「プレミアムZワイド」に加入する際の保険料は月々2,465円であり、「プレミアムZ」の1,344円を大きく上回っている。

保険料は高額になりがちではあるが、うつ病の人でも利用しやすい保険と言えるだろう。

無選択型保険

次に紹介するのは、無選択型保険である。

無選択型保険は告知の必要がない。前述の引受基準緩和型よりも更に加入しやすい保険となっている。

ただ、その分保険金が支払われる条件が厳しい・保険料が高額になることは認識しておこう。

また、そもそも販売している保険会社は少ない。

一部の損害保険会社で販売されているのみとなるため、基準緩和型保険へ加入できない時の最終手段と認識しておくと良いだろう。

がん保険

最後に紹介するのはがん保険だ。文字通り、がんへの保障に特化したものになる。

当然がん保険へ加入する際も告知義務はある。ただ、必要な告知はがんに関連したものとなっていることが多い。

そのため、うつ病の人でも入れる可能性があるのだ。

ここで、うつ病でも入りやすいがん保険を1つ紹介しよう。アフラックの『「生きる」を創るがん保険 WINGS』は、「入院している、もしくは直近3ヶ月以内で入院をすすめられたことがあるか」という告知項目以外は、全てがんや関連の病気に対するものとなっている。

つまり、うつ病でも入院していなければ加入可能ということだ。

うつ病でもがん保険を利用できる可能性は十分にある。保障が必要と考えている時は加入を検討するようにしよう。

なお、持病のある方に向けた保険加入のポイントについては以下の記事でも解説している。適宜参考にしていただきたい。

あわせて読みたい

うつ病で保険加入を考えているなら、引受基準緩和型医療保険や無選択型保険を選択しよう

まとめ 生命保険ナビ

本記事では、うつ病になった場合の保険加入の可否、および活用できる公的支援制度や加入しやすい保険について解説した。

うつ病になると、保険へ加入する際に必要な審査に通らず、加入できないことが多い。

ただ、傷病手当金などの公的支援制度や審査の基準が緩い引受基準緩和型保険などを利用することは可能だ。

自分に必要な保障内容を考え、公的制度や保険を選択していく必要がある。

どの保険を利用するか、一人で決めるのが不安という方がいれば、保険のプロに相談することをおすすめする。

一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分に必要な保険を的確に選ぶことができるはずだ。

また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。

そんな時はマッチングサイト「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。

無料で利用できるので、是非活用してほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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