- FXの専門用語が知りたい
- FXのポジション用語がわからない
- FXでよく使われる用語の意味を理解したい
FX(外国為替証拠金取引)の初心者が最初に戸惑うのが数々の専門用語ではないだろうか。
取引画面をひらけばAskやBid、pips、証拠金維持率など普通に生活していたら、聞いたこともない用語が飛び交っている。
意味の分からない用語が並ぶ中、実際にFX取引を始めるのは不安だろう。
しかし、重要用語を一つ一つ理解していくことはFXに対する理解の助けとなる。
また、たくさん意味の分からない用語が並んでいると不安になるかもしれないが、一つ一つの用語はそれほど理解が難しいものではない。
少しずつ慣れていけば、自然に専門用語に対する抵抗感もなくなるだろう。
本記事では、FXの基本用語からポジション関連、注文方法、そして頻出用語まで、FXの仕組みを幅広く解説していく。
これらの用語を理解することで、FX取引の世界がより身近になり、トレードをより楽しめるはずだ。
FXの基本用語10選
まずFXの基本となる用語10選を紹介する。
いくつご存知だろうか。
用語 | 説明 |
---|---|
通貨ペア | 取引対象となる2つの国の通貨の組み合わせ |
Ask(アスク)/Bid(ビッド) | Ask:売り手が提示する為替レート(買値) Bid:買い手が提示する為替レート(売値) |
スプレッド | 売値(Bid)と買値(Ask)の差額 |
ロット | 取引の単位 |
pips(ピップス・ピプ) | 為替レートの最小変動単位 |
証拠金 | 取引を行うためにFX会社に預ける資金のこと |
レバレッジ | 少額の資金で大きな取引を行うための仕組み |
ロスカット | 損失が出ているトレードが強制的に決済される仕組み |
スワップポイント | 異なる金利の通貨を保有することで発生する金利差調整分 |
ポジション | トレードにおける未決済で残っている取引契約のこと |
端的に重要用語と解説をまとめた。しかし、1行説明が書かれているだけだと、最初はイメージしづらいのではないだろうか。
この重要用語はFXを理解する上で欠かせないものばかりだ。そこで、一つずつ具体例を交えて詳しく解説する。
通貨ペア
取引対象となる2つの国の通貨の組み合わせのこと
FXはForeign Exchangeの略でexchangeは英語で交換という意味だ。
FXは2カ国間で通貨を交換する取引のため、トレーダーはまず取引する通貨ペアを決める必要がある。
例えば、USD/JPY(ドル円)、EUR/JPY(ユーロ円)、GBP/JPY(ポンド円)など2カ国間の通貨ペアの中から好きな組み合わせを選んで取引できる。
日本のFX会社では30以上の通貨ペアを取引できるFX会社も珍しくない。
ちなみに通貨ペアごとに値動きに特徴があり、例えばGBP/JPY(ポンド円)や新興国が入った通貨ペアは値動きが激しく投機的な動きになりやすいことで知られている。
そのため通貨ペアを選ぶ際には、事前に過去にどのような値動きをしていたのかを確認してみることを強くおすすめしたい。
また、「通貨ペア」と一緒に覚えておきたい用語として、「ドルストレート」と「クロス円」もよく見聞きする機会があるだろうから、説明する。
- ドルストレート
- 米ドルと他の通貨のペア。比較的、値動きが安定しやすい
- クロス円
- 米ドル以外の通貨と日本円の通貨ペア。激しい値動きをしがち
ドルストレートには、例えばEUR/USD(ユーロドル)、GBP/USD(ポンドドル)などが挙げられる。
米ドルは基軸通貨のため流通、取引の量が非常に大きい。通貨ペア選びの観点から考えると、ドルストレートは流通量の小さい通貨ペアに比べて値動きが安定しやすい。
そのため、ドルストレートのUSD/JPY(ドル円)やEUR/USD(ユーロドル)は比較的、初心者向けと言えるだろう。
また先述したように現在の世界の基軸通貨は米ドルなので、米ドル以外の通貨と円を取引する際には、基本的に円で米ドルを買い、米ドルでその通貨を買うことになる。
米ドルを介した形(クロス)で取引されることから、米ドルを含まない日本円との通貨ペアのことを一般的に「クロス円」と言う。
クロス円の例としてGBP/JPY(ポンド円)やZAR/JPY(南アフリカランド円)が挙げられる。
クロス円はドルストレートに比べて、取引量が小さいこともあり激しい値動きになりやすい点に注意したい。
Ask(アスク)/Bid(ビッド)
- Ask
- 売り手が提示する為替レート(買値)
- Bid
- 買い手が提示する為替レート(売値)
Askは買値でBidは売り値だ。FXではAskとBidの2つの為替レートが同時に提示される。
通貨ペアUSD/JPYのケースで考えてみよう。
Askが160.00で Bidが159.995の場合は、1ドルを160円で購入することになる。例えば10,000ドルを買う場合は160万円が必要となる。
逆に10,000ドル売る場合は1,599,950円を受け取ることになる。
FX会社の取引画面では、Bid(売、SELL)、Ask(買、BUY)など間違えないようにしてくれているところも多いが、基本用語なので覚えておこう。
スプレッド
AskとBidの差額
スプレッドはAskとBidの差額のことだ。例えばドル円でAsk160.000(買)、Bid159.995(売)ならば0.5銭がスプレッドということになる。
この差額はFX会社の収益である反面、トレーダーにとっては開いているほどコストとなってしまう。
スプレッドが小さいケース
スプレッド0.5銭の場合Askが160.000(買)でBid159.995(売)で10,000ドルを買って売った場合は、1,599,950円(売値)−1,600,000円(買値)で50円のマイナスとなる。
スプレッドが大きいケース
スプレッド1円の場合Askが160.000(買)でBid159.000(売)で10,000ドルを買って売った場合は、1,590,000円(売値)−1,600,000円(買値)で10,000円のマイナスとなる。
※値動きがなく同じタイミングで売買したと仮定
このようにスプレッドの開きが大きいほど、損をしてしまう。FX会社によってスプレッドは異なる。
基本的にスプレッドが小さい方がトレーダーにとってはコストを抑えた取引ができると理解しておこう。
ロット
取引の単位のこと
ロットとはFXでは通貨ペアを取引する際の単位のことだ。
具体的には1ロット1,000通貨、10,000通貨などの形で目にすることが多いだろう。FX会社によって1ロットが異なる。
USD/JPYの通貨ペアで具体例を考えてみよう。
例えば「1ロット=10,000通貨」のFX会社の場合、1ロット10,000ドル単位で取引することになる。
Askが160.000だとすると日本円で160万円を動かすことになる。
しかし、「1ロット=1,000通貨」のFX会社ならば1ロット1,000ドル単位で取引することになるため16万円分ですむ。
ロットが小さい方が少額から取引をはじめやすいという点をおさえておこう。
pips(ピップス・ピプ)
為替レートの最小変動単位
為替レートの値動きの最小変動単位をpipsまたはpipと呼ぶ。pipはpercentage in pointの略で、pipsはpipの複数形だ。
異なる通貨ペア同士の値動きを比べる際にpipsという共通の単位を用いることで比較しやすくなる。
注意したいのがpipsはFX会社によって同じ通貨ペアであっても定義が異なる点だ。
例えば、トレイダーズ証券株式会社が運営している「みんなのFX」では、USD/JPYは1pipで0.01(1銭)と定義しているが、外為どっとコムでは1pipを0.001(0.1銭)としている。
そのためpipsに関しては取引前に利用するFX会社の定義を確認しておこう。
証拠金
取引を行うためにFX会社に預ける資金のこと
FXは日本語で「外国為替証拠金取引」という。FXで取引をする際にFX会社に預ける資金のことを証拠金と呼ぶ。
FXは株式(現物取引)のように売買の都度、代金を受け渡すわけではない。
証拠金を預けて売買によって発生した損益の差額を受け渡す差金決済の形で取引が行われる。
FX以外にも担保となる証拠金を預ける取引として、CFD取引や先物取引、株式の信用取引などがある。
証拠金を使った取引には共通点が多いため、FXに慣れれば他の証拠金取引も取り組みやすくなるはずだ。
レバレッジ
少額の資金で大きな取引を行うための仕組み
FXでは担保に預ける証拠金以上の額を取引できる。この少ない資金で大きな額を取引できる仕組みと考えればレバレッジを理解しやすいだろう。
日本のFX会社ではレバレッジの上限が決まっており25倍までとなっている。
例えばUSD/JPYのレートが160円と仮定し、10,000通貨で取引する場合160万円相当の取引をすることになる。
FXではレバレッジを25倍までかけられるため、1,600,000円(取引金額) ÷ 25(レバレッジの倍率)で計算すると64,000円の証拠金で理論上は1,600,000円を動かして取引できることになる。
ちなみにこの計算式は必要証拠金を求める式でもある。
FXでは取引の際に最低限、預け入れなければならない必要証拠金があるが、かけられるレバレッジ次第で金額が左右される。
レバレッジと必要証拠金は密接な関係にあるということもおさえておこう。
ロスカット
損失が出ているトレードが強制的に決済される仕組み
FX会社では損失が出ている取引が強制的に決済される仕組みが存在する。
ロスカット、または強制ロスカットなどと呼ばれることもある。損失がFX会社の決めた水準に達した場合に強制的に決済されてしまう。
トレーダーを大きな損失から守るための安全弁のような役割もある。
しかし、強制ロスカット後に価格が戻ってしまい悔しい思いをするトレーダーも少なくない。
FX会社のロスカットの基準として使われているのが証拠金維持率だ。
FX会社各社が定めた証拠金維持率を割り込んだ場合、強制ロスカットされる。
例えば、10万円の証拠金で25万円分の取引(レバレッジ2.5倍)を行っている場合を考えよう。為替レートが思惑通りに動かずに、含み損が5万円になったとする。
この時、証拠金維持率は(10万円-5万円:純資産)÷(25万円÷2.5:必要証拠金)×100 = 50%となる。
もしこの業者のロスカットラインが50%だった場合、このポジションは強制決済されることになる。
ロスカットの証拠金維持率はFX会社によって50%や100%など違いがあるため、FX会社選びの参考にするのも良いだろう。
スワップポイント
異なる金利の通貨を保有することで発生する金利差調整分
通貨にはそれぞれ基準となる金利が存在する。そのため、金利差を調整することでトレーダー同士の公平性を保つ仕組みとしてスワップポイントがある。
高金利通貨を買い、低金利通貨を売るとスワップポイントが発生して利益となる。
例えば米国の金利を5%、日本の金利を1%と仮定してみよう。この場合、高金利通貨の米ドルと日本円の金利差は4%となる。
10,000USDを買い持ちした場合、4%分の金利差を日割りで受け取れる。
逆に低金利通貨(円)を買い、高金利通貨(米ドル)を売る場合は4%分の金利差を日割りで払わなければいけなくなる。
高金利通貨を買ってスワップポイントを狙うタイプのトレーダーもいる。
ポジション
トレードにおける未決済で残っている取引契約のこと
未決済のまま、通貨ペアを買い持ちしている場合はロングポジションをとっていると表現される。逆にある通貨を売っている状態のときはショートポジションとなる。
どのようなポジションを取るかでFXにおけるトレードの成否が決まる。
今どのようなポジションを持っているか、そのポジションによってどのようなリスクと機会があるかを常に把握しておくことがトレーダーにとって重要だ。
FXのポジションに関連する用語
ポジションに関連する代表的な用語は以下の通り。
ポジションに関連する用語 | 説明 |
---|---|
エントリー/イグジット | エントリー:新規ポジションを建てること イグジット:ポジションを手じまうこと |
S/L(ストップロス) | ポジションが予め決めた額にタッチしたら決済する自動注文 |
T/P(テイクプロフィット) | 利益を確定すること |
ロールオーバー | 未決済のポジションを翌日に持ち越すこと。ロールオーバーでスワップポイントが発生する。 |
それぞれ具体例も交えて確認してみよう。
エントリー/イグジット
- エントリー
- 新規ポジションを建てること
- イグジット
- ポジションを手じまうこと
ポジションを新規に建てることをエントリー、手じまうことをイグジットと表現することがある。
このエントリーとイグジットの組み合わせで損益が確定する。ちなみに買いでエントリーすることをロング、売りでエントリーすることをショートと呼ぶ。
エントリーとイグジットの価格やタイミングをいかに決めて実行するかでFXの成否が決まる。
S/L(ストップロス)
ポジションが予め決めた額にタッチしたら決済する自動注文
ストップロスとは損失を一定額に抑えるための自動決済注文のこと。日本語では逆指値とも呼ばれる。
FXに限らず相場の世界では、損切りが大切だと言われている。ストップロスをうまく使うことで昼夜問わず値動きがあるFXでも、安心してポジションが持てるはずだ。
ただし、ストップロスをエントリー価格から近すぎるところに設定してしまうと少しの値動きですぐに損失が確定されてしまう。
一方、ストップロスをエントリー価格から離しすぎると、負けトレードになったときの損失が大きくなる。
ちょうど良いところにストップロスを置けるかどうかは、トレーダーとしての腕の見せ所だろう。
T/P(テイクプロフィット)
利益を確定すること
T/P(テイクプロフィット)とは、含み益が出ているポジションを決済して利益確定することだ。
FXでは自動で予め決めた額になったら利益確定する注文という意味で使われることもある。
ロールオーバー
未決済のポジションを翌受け渡し日に持ち越すこと。ロールオーバーでスワップポイントが発生する。
ロールオーバーとは、ポジションを翌受け渡し日に持ち越すことだ。
金融機関が直接取引するインターバンク市場での外国為替市場では、基本的に約定成立から2営業日後が決済日となる。
しかしFXではポジションを決済しなければロールオーバーが繰り返されるため、長期保有ができる。
またロールオーバーのタイミングでスワップポイントが発生する。
FXの注文方法に関連する用語
注文方法に関連する用語 | 説明 |
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指値注文/逆指値注文 | 指値注文:予め決めた価格まで下がったら買い、決めた価格まで上がったら売る注文 逆指値注文:予め決めた価格まで下がったら売り、または決めた価格まで上がったら買う注文 |
トレール注文 | 値動きに応じて逆指値の注文を有利な価格に引き上げていく注文 |
OCO(オーシーオー)注文 /IFD(イフダン)注文 | OCO:2つの注文を同時に出し、どちらかが成立したら他方が自動的にキャンセルされる IFD:最初の注文が成立したら、次の注文が自動的に発注される注文 |
IFO(イフダンオーシーオー)注文 | IFD注文とOCO注文を組み合わせた複合注文 |
指値注文/逆指値注文
指値注文は予め決めた価格まで下がったら買い、決めた価格まで上がったら売る注文だ。
例えば指値注文ならUSD/JPYのレートが150円では高いが149円まで下がったら買いたいと思った時に使える。
また149円で買いポジションをとって151円で売りたい場合は売りの指値注文が便利だ。
逆指値注文は予め決めた価格まで下がったら売り、または決めた価格まで上がったら買う注文だ。
逆指値注文の売りはストップロスとも呼ばれる。
逆指値の買いは、例えばドル円が150円台だが160円を超えたら勢いがつき162円ぐらいまで上がるのではないかという予想をした場合に便利な注文だ。
トレール注文
トレール注文は、値動きに応じて逆指値の注文を有利な価格に引き上げていく注文だ。
そして一度、引き上がった逆指値は戻らない。
例えばUSD/JPYを150円で買ったとして2円下の148円にトレール注文を設定したとする。
USD/JPYのレートが152円まで上がったら逆指値の注文が引き上がり150円になる。
154円まで上がれば152円まで逆指値の注文が引き上がる。
仮にUSD/JPYのレートが152円まで下がっても、引き上がった逆指値によって、手堅く利益確定できる。
OCO(オーシーオー)注文/IFD(イフダン)注文
OCOはOne Cancels Othersの略で2つの注文を同時に出す注文だ。
例えばUSD/JPYが150円の時、148円の指値買いと152円の逆指値買いを同時に出す。
どちらかが成立すると一方の注文は自動キャンセルされる。
例えば値動きが保ち合い(ボックス)を上値または下値のどちらかに抜けたら、トレンドをつけると予想した時に便利な注文だ。
IFDはif doneの略で最初の注文が成立したら、次の注文が自動的に発注される。
例えUSD/JPY150円で買えたら153円で売りたいというときに便利だ。
IFO(イフダンオーシーオー)注文
IFOはOCOとIFDを組み合わせた注文だ。最初にIFDが成立したらOCO注文が自動的に発注される。
例えばUSD/JPY150で買えた場合、153円になったら利益確定の売りをしたいが148円まで下がったら逆指値で損切りしたいというときに使える。
FXの頻出用語とその使い方
紹介しきれなかったFXでよく出てくる以下の頻出用語3つについても簡単に解説する。
- ネット
- ブレイク
- リグる
ネット
ネットとはFXや先物取引などの世界では、「差し引き」という意味で使われる。
買いと売りのポジションを差し引くとネットポジションとなる。
例えば為替相場のニュースなどで、円のポジションが10万枚の売り越しで先月の9万枚の売り越しに比べて1万枚以上ネットで増えたなどという形で使われる。
ブレイク
FXではボックス(保ち合い)と呼ばれる価格が一定の範囲の中で推移する状態が続くことも多い。
ブレイクはボックスを上値更新または下値更新すること。ブレイクを機に値が一方方向に走ってトレンドをつくるきっかけとなることもある。
トレンドフォロー型のトレーダーのエントリーポイントとしてよく使われる。
リグる
リグるはスラングで、利食いが変化した表現。利食いは利益確定と同じ意味だ。
例えば「雇用統計でドル円の値が予想通り動いて50pipsリグった!」という具合に使う。
FX専門用語を理解してトレードに役立てよう
FXの専門用語について特によく使うものを解説した。普通に生活していたら見聞きしない用語が多く最初は戸惑うかもしれない。
しかし一つ一つの用語を理解することでFXに対する理解が深まり、トレード戦略を立てる際にも役に立つだろう。
少しずつ用語を知り、自分の言葉で説明できるようになればFXをより楽しめるようになるはずだ。