50代から新NISAは遅い?毎月いくら・ポートフォリオ・デメリットを解説

50代から新NISAを始めるのは、遅くありません。ただし、判断の基準は年齢ではなく、投資に回すお金を「いつ使うか」です。退職や収入減が近い50代では、非課税枠を多く使うことより、近い将来に必要な現金を残し、下落時にも続けられる金額と、取り崩し方を先に決めることが重要です。

この記事では、50代が新NISAを始めてもよいかを判断する基準、毎月の積立額の決め方、ポートフォリオ例、デメリット、退職前後の出口戦略までを順番に解説します。制度・統計情報は、2026年8月5日時点で確認できる公的資料を基準にしています。

この記事でわかること
  • 50代から新NISAを始めても遅くない理由と、投資を急がないほうがよい状況
  • 平均額に流されず、家計から毎月の積立額を決める方法
  • 50歳・55歳・59歳から65歳まで積み立てた場合のシミュレーション
  • 預貯金や年金資産まで含め、家計全体でポートフォリオを考える方法
  • 50代特有のデメリットと、退職金の一括投資などの失敗を避ける方法
  • 積み立てた資産をいつ、どのように取り崩すかという出口戦略
目次

50代から新NISAを始めるのは遅い?結論は「使う時期次第」

50代という年齢だけを理由に、新NISAを諦める必要はありません。新NISAは制度が恒久化され、非課税で保有できる期間も無期限です。日本国内に住む18歳以上の人が対象で、上限年齢は設けられていません。退職したからといって、保有商品を売却する必要もありません。

一方で、50代なら誰でも積極的に投資すべきという意味ではありません。数年後に使う予定のお金まで投資すると、相場が下落したときに回復を待てず、損失を抱えたまま売却する可能性があります。大切なのは「今、何歳か」ではなく、そのお金を使うまでに何年あるかです。

まず確認する3つの分かれ道
  • おおむね5年以内に使うお金:新NISAより、必要時に元本割れしにくい置き場所を優先する
  • 10年以上使わないお金:生活予備資金を確保できていれば、新NISAでの分散投資を検討できる
  • 使う時期や老後の収支が分からない:商品選びより先に、退職後の家計を整理する

50歳時点の平均余命は30年以上あるが、すべてのお金を長期運用できるわけではない

厚生労働省の2025年簡易生命表では、50歳時点の平均余命は男性32.82年、女性38.41年です。50代からでも、その後の生活は長く続く可能性があり、老後の後半に使うお金なら10年、20年単位で運用できるケースがあります。

ただし、平均余命は投資可能期間を示す数字ではありません。住宅の修繕、子どもの独立支援、親の介護、自動車の買い替え、退職直後の生活費など、近い将来に必要なお金は別に確保する必要があります。

退職までの年数と、資産を運用できる年数は同じではない

たとえば55歳で65歳退職を予定している場合、退職までの期間は10年です。しかし、75歳以降に使うお金なら、退職後も保有を続けることで20年以上の運用期間を確保できます。

反対に、60歳で住宅ローンを完済するためのお金は、55歳時点では5年後に使う資金です。同じ人の資産でも、使う目的によって運用できる期間は異なります。

新NISAは投資商品ではなく、利益を非課税にするための制度

新NISAを利用しただけで資産が増えるわけではありません。新NISAは、対象となる株式や投資信託などから得た売却益・配当・分配金を非課税にするための制度です。値上がりするか、値下がりするかは、NISA口座の中で購入した商品によって決まります。

項目2024年からのNISAの概要
対象者利用する年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者。上限年齢なし
つみたて投資枠年間120万円。長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
成長投資枠年間240万円。対象となる上場株式や投資信託など。つみたて投資枠と併用可能
年間投資枠2つの枠を合わせて最大360万円
非課税保有限度額合計1,800万円。そのうち成長投資枠は1,200万円まで
非課税保有期間無期限
売却後の枠売却した商品の取得金額分が翌年以降に復活。年間投資枠への上乗せはない
口座数1人1口座。つみたて投資枠と成長投資枠は同じ金融機関で利用
新NISAの主な制度概要

制度の上限は「ここまで非課税で購入できる」という数字であり、「ここまで投資すべき」という目標ではありません。50代では、使える枠よりも、家計から無理なく出せる金額を先に決めます。

なお、「積立NISA」「つみたてNISA」と検索されることもありますが、2023年までのつみたてNISAで新規購入できる期間は終了しています。2024年以降に積み立てる場合は、新NISAの「つみたて投資枠」を利用します。

50代が新NISAを始める前に確認したい5つのこと

商品ランキングを見る前に、次の5項目を確認しましょう。ここが曖昧なまま投資額や銘柄を決めると、退職前後の家計と投資方針がかみ合わなくなります。

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確認すること確認する理由具体的に見る項目
1. 収入が減る時期積立を続けられる期間が変わるため退職予定年齢、再雇用後の収入、配偶者の収入
2. 退職後の収入運用資産から補う金額を把握するため公的年金の見込額、企業年金、退職金、その他の定期収入
3. 近い将来の支出必要時に値下がりしている可能性があるため住宅修繕、教育、車、介護、ローン返済、医療費
4. すぐ使える現金下落時の売却を避けるため生活予備資金、臨時支出用の預貯金
5. 許容できる損失額値下がり時にも保有を続けられる配分にするため何万円の含み損(売却前の値下がり)までなら、生活と気持ちに影響しないか
新NISAを始める前の確認項目

企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)、解約時にお金が戻るタイプの保険も家計の資産ですが、必要なときにすぐ現金化できるとは限りません。生活予備資金は、これらと分けて、すぐ使える預貯金などで確保します。

お金を「使うまでの期間」で3つに分ける

資産を次のように分けると、NISAに回せる範囲を判断しやすくなります。年数は一律のルールではなく、値下がりへの耐性や支出の確実性に応じて調整するための目安です。

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使うまでの期間主な目的基本的な置き場所の考え方
おおむね5年以内生活費、住宅修繕、教育、車、介護、ローン完済など元本割れを避けたいお金として、預貯金などを中心に確保する
おおむね5年超〜10年使う時期は見えているが、金額や時期に調整余地がある支出安全性と換金しやすさを重視し、投資する場合も範囲を限定する
おおむね10年以上老後後半の生活費、長期的な資産形成など価格変動を受け入れられる範囲で、新NISAによる分散投資を検討する
使うまでの期間による資金の分け方

退職金も、受け取る前から全額を投資資金として数えないほうが安全です。実際の受取額、税引後の手取り、住宅ローン返済、退職後の生活費などを確認したうえで、長期間使わない部分だけを投資候補にします。

50代の新NISAは毎月いくら?平均ではなく家計から決める

日本証券業協会の調査では、2025年中につみたて投資枠で購入した50代1,030人の平均購入額は年49.5万円でした。単純に12か月で割ると、月約4万1,000円です。

ただし、この数字は2025年に新NISAで実際に購入した50代の平均であり、50代全体の推奨額ではありません。収入、住宅ローン、扶養家族、退職金、預貯金、年金見込額は人によって大きく異なります。平均より多いか少ないかではなく、退職後も困らない金額かどうかで判断します。

毎月の積立額を決める基本式

毎月の投資可能額 = 手取り収入 − 生活費 − 返済額 − 近い将来に使うお金の積立 − 生活予備資金の補充 − 家計の余白

家計の余白とは、急な出費や物価上昇があっても、積立を止めたり投資商品を売ったりせずに済むための予備です。

家計の状態別に考える積立額の目安

次の金額は一律の推奨額ではなく、判断の方向を示す例です。まずは、相場が下がっても積立を止めずに済む金額を選びます。

家計の状態積立額の考え方
毎月赤字、または金利の高い借入がある新NISAを急がず、家計改善や返済を優先する。積立額0円も適切な判断
生活予備資金が不足しているまず現金を増やす。値動きを学ぶために始めるなら、金融機関で設定できる範囲の少額に抑える
近い将来の支出を確保できている毎月の黒字から家計の余白を残し、月1万円〜5万円などを検討する
退職後の収入見通しが立ち、十分な現金があるつみたて投資枠の上限である月10万円まで選択肢になるが、上限を使い切る必要はない
家計の状態別・積立額の考え方

金額を一度決めたら終わりではありません。退職、再雇用、住宅修繕、介護などで家計が変わったときは、減額・停止を含めて見直します。

50歳・55歳・59歳から65歳まで積み立てた場合の試算

積立期間によって、同じ月額でも結果は変わります。以下は年3%で運用できたと仮定した単純なシミュレーションです。将来の運用成果を保証するものではなく、実際には値下がりや元本割れもあります。

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開始年齢・積立期間月1万円月3万円月5万円月10万円
50歳から15年間約227万円
(元本180万円)
約681万円
(元本540万円)
約1,135万円
(元本900万円)
約2,270万円
(元本1,800万円)
55歳から10年間約140万円
(元本120万円)
約419万円
(元本360万円)
約699万円
(元本600万円)
約1,397万円
(元本1,200万円)
59歳から6年間約79万円
(元本72万円)
約236万円
(元本216万円)
約394万円
(元本360万円)
約788万円
(元本720万円)
年率3%で積み立てた場合の試算

前提:毎月末に積み立て、年率3%を月次換算し、運用で得た利益も再投資する複利で計算。手数料・税金・物価変動は考慮していません。金額は1万円未満を四捨五入しています。

月10万円は、つみたて投資枠の年間上限120万円に相当します。50歳から15年間続けると元本は1,800万円になりますが、すでに新NISAで購入している分があれば、総枠の残りは少なくなります。また、運用益が出て時価が1,800万円を超えても、それだけで総枠を超過した扱いにはなりません。総枠は購入時の金額で管理されます。

50代の新NISAポートフォリオは「NISA口座の外」まで含めて考える

50代のポートフォリオで避けたいのは、NISA口座の中だけを見て「株式何%、債券何%」と決めることです。預貯金、課税口座、企業型DC、iDeCo、退職金、解約時にお金が戻るタイプの保険なども含め、家計全体でどの程度の価格変動を引き受けるかを考えます。

たとえば、NISA口座が株式100%でも、家計全体では十分な預貯金を持っているなら、全体の株式比率は低くなります。反対に、預貯金が少ない状態でNISAを株式100%にすると、家計全体が大きな値動きにさらされます。

まず安全性を優先する資金を確保し、残りの範囲で投資比率を決める

  1. 数年以内に使うお金と生活予備資金を、預貯金などで確保する
  2. 残った長期資金のうち、値下がりしても使わずに待てる金額を決める
  3. その範囲で、株式・債券などの配分や投資信託を選ぶ
  4. NISA口座内と口座外を合算し、家計全体の配分を確認する

「安全資産」「投資資産」という分類だけでなく、必要なときに現金化できるかも確認します。企業型DCやiDeCoは老後資産ではありますが、生活予備資金と同じ役割は持てません。

「30%下落しても続けられるか」で金額を点検する

損失にどこまで耐えられるかは、「積極型」「安定型」といった言葉だけでは判断しにくいため、金額に直して考えます。

下落時の簡易ストレステスト

投資に回す600万円をすべて株式型の商品に入れ、仮に30%下落した場合、評価額は約180万円減ります。30%は最大損失を示す数字ではありません。180万円の含み損が出ても、生活資金を取り崩さず、慌てて売らずに保有できるかを考えるための仮定です。難しいと感じるなら、投資額または株式比率を下げます。

50代のポートフォリオ例

以下は、家計全体の配分イメージです。50代の標準配分ではなく、使う時期と下落への耐性の違いを示すための例です。安全性を優先する資金は預貯金など、投資資産は株式型・バランス型の投資信託などを想定しています。

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考え方家計全体の配分例想定する状況新NISAの使い方の例
守りを優先安全性を優先する資金70〜80%
投資資産20〜30%
退職や資金使用が近い、年金不足額が未確定、値下がりへの不安が大きい少額積立から始める。値動きを抑えたバランス型などを検討
増やす・守るを両立安全性を優先する資金50〜60%
投資資産40〜50%
近い支出と生活予備資金を確保でき、10年以上使わない資金がある広く分散された株式型またはバランス型を積み立てる
長期運用を重視安全性を優先する資金30〜40%
投資資産60〜70%
退職後収入の見通しが立ち、長期資金が多く、大きな下落にも耐えられる低コストで広く分散された株式型を中心にし、家計全体で比率を管理
50代の家計全体におけるポートフォリオ例

配分はあくまで例です。必要な現金、年金・退職金、家族構成、住宅費、健康状態などによって適切な比率は変わります。「50代だから株式50%」のように、年齢だけで固定しないことが重要です。

投資信託を選ぶときは5点を確認する

  • 投資対象:国内、米国、全世界など、どこに投資する商品か
  • 資産配分:株式100%か、債券などを含むバランス型か
  • コスト:購入時手数料だけでなく、保有中に差し引かれる信託報酬(運用管理費用)など
  • 重複:複数の商品を持つことで、同じ企業や地域への投資が重なっていないか
  • 継続性:大きく下落しても、仕組みを理解したうえで保有を続けられるか

商品数を増やせば自動的に分散できるわけではありません。似た指数に連動する投資信託を複数持つと、管理は複雑になる一方で、投資先はほとんど変わらないことがあります。初心者は、役割が明確な商品を1本または少数に絞るほうが管理しやすいでしょう。

50代が新NISAを利用するメリット

メリット50代にとっての意味
運用益が非課税通常は課税される売却益・配当・分配金を、一定の範囲で非課税にできる
非課税保有期間が無期限退職年齢に合わせて売る必要がなく、使う時期まで保有を続けやすい
積立額を変更・停止しやすい退職、再雇用、医療・介護費などの変化に合わせて家計を調整できる
必要な分だけ売却できる一度に全額を現金化せず、運用を続けながら一部ずつ取り崩せる
売却した分の総枠を再利用できる売却した商品の購入時金額分は、翌年以降に非課税保有限度額として再利用できる
50代が新NISAを使う主なメリット

売却で復活するのは、売却額や時価ではなく購入時金額分の総枠です。また、その年の年間投資枠が増えるわけではありません。

50代が知っておきたい新NISAのデメリット・注意点

若い世代より、資金を使うまでの期間が短くなりやすい

50代は、給与収入がある期間や退職までの期間が20代・30代より短い傾向にあります。投資直後に相場が下落し、そのまま資金を使う時期を迎えると、回復を待てない可能性があります。近く使うお金を投資から外し、取り崩し前に現金を増やす設計が必要です。

元本保証ではなく、非課税でも損失は発生する

新NISAのメリットは、利益に税金がかからないことです。損失を防ぐ制度ではありません。株式や投資信託の価格は変動し、購入額を下回ることがあります。

投資した金額そのものが所得控除になる制度ではない

新NISAの税制優遇は、売却益・配当・分配金などの運用益が非課税になることです。投資した年の所得から拠出額を差し引き、所得税・住民税を軽くする仕組みではありません。非課税枠を使っただけで、すぐに税金が戻るわけではない点に注意しましょう。

NISA口座の損失は損益通算・繰越控除ができない

NISA口座で発生した損失は、税務上はないものとみなされます。そのため、課税口座の売却益や配当と相殺する「損益通算」はできず、損失を翌年以降に持ち越す「繰越控除」もできません。値動きの大きい商品をNISAに集中させる場合は、この税務上の違いも理解しておきましょう。

上限を意識しすぎると、家計の現金が不足する

つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円で、合計年360万円まで投資できます。非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。しかし、これは制度上の上限であり、目標額ではありません。上限を埋めるために生活予備資金や近い将来のお金を減らすのは本末転倒です。

個別株の配当金は受取方法によって課税されることがある

NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税にするには、証券会社を通じて受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。発行会社から直接受け取る方式では課税扱いになるため、個別株やETF(上場投資信託)を買う人は受取方法を確認しましょう。公募株式投資信託の分配金には、この手続は必要ありません。

50代の新NISAで起こりやすい失敗と対策

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失敗例なぜ問題か対策
非課税枠を最短で埋めようとする生活予備資金や退職後の現金が不足しやすい制度上限ではなく、使う時期と家計の黒字から金額を決める
退職金を受け取ってすぐ全額投資する購入直後の下落で、生活資金まで減る可能性がある使うお金・守るお金・長期運用するお金に分け、投資時期も分散する
50代向けの固定比率をそのまま使う年金、資産額、家族構成、退職時期が違えば適切な配分も変わる家計全体の資産と、許容できる損失額から決める
人気ランキングだけで商品を選ぶ値動きや投資先を理解できず、下落時に売りやすい投資対象、株式比率、コスト、重複を確認する
似た投資信託を何本も持つ見かけほど分散されず、管理だけが複雑になる各商品の役割を決め、重複する商品を減らす
相場が下がるまで待ち続ける使わない長期資金が現金のままになり、開始時期を決められない長期運用できる資金なら、少額の定期積立で始める方法を検討する
出口を決めずに積み立てる必要時に相場が下がると、計画外の売却になりやすい使う数年前から、必要額を段階的に現金へ移す
50代の新NISAで起こりやすい失敗

失敗を避ける中心は、商品選びより先に、資金の使用時期と出口を決めることです。

50代が新NISAを始める7つの手順

  1. 退職前後の家計を見える化する:現在の収入・支出に加え、退職後の年金、退職金、住宅費、保険料、医療・介護費を整理する
  2. お金を使う時期で分ける:おおむね5年以内、5年超〜10年、10年以上を目安に分類する
  3. 生活予備資金を確保する:相場下落時にも投資商品を売らずに済む現金を残す
  4. 毎月の積立額を決める:平均額や上限ではなく、家計の余白から継続できる金額を設定する
  5. 金融機関を選ぶ:商品ラインナップ、手数料、積立設定、サポート、売却・出金のしやすさを比べる
  6. 役割が明確な商品を選ぶ:投資先、資産配分、コスト、値動きを理解できる商品から始める
  7. 年1回と生活変化時に見直す:退職、再雇用、住宅修繕、介護、相続などがあれば、積立額と資産配分を調整する

口座開設後に、すぐ上限まで買う必要はありません。金融機関で設定できる範囲の少額から始め、値動きを経験しながら、家計と気持ちの両面で無理がないことを確認してから増額する方法もあります。

50代は始める時点で新NISAの出口戦略も決める

出口戦略とは、積み立てた資産をいつ、いくら、どのように現金化するかを決めることです。50代は、資産を増やす期間と使い始める時期が近いため、若い世代以上に重要です。

まず計算する数字

年間の取り崩し必要額 = 退職後の年間支出 − 年金・給与・その他の年間手取り収入

不足分をすべて投資商品の売却で賄うのではなく、近い数年分は預貯金で持ち、相場が下がった年に無理に売らなくて済む状態を作ります。

売却時期は年齢ではなく、資金を使う予定から逆算する

「65歳になったら全部売る」と決める必要はありません。65歳で使うお金は早めに現金化し、75歳以降に使う予定のお金は運用を続けるなど、目的ごとに分けます。

一つの目安として、使う時期の5年ほど前から、必要額を少しずつ預貯金へ移すと、直前の相場下落による影響を抑えやすくなります。ただし、5年という期間は絶対ではありません。支出の確実性、現金の保有額、値下がりへの耐性に応じて調整します。

退職直前・直後の下落に備える

取り崩しを始める直前や直後に大きく値下がりすると、安い価格で多く売却することになり、その後の回復に使える資産が減ります。これは、積み立て中の下落よりも家計への影響が大きくなりやすい場面です。

対策は、投資を完全にやめることではありません。近い将来に使う金額を先に現金化し、長く使わない分だけ運用を続けることです。資金を使う時期ごとに分けると、退職年に相場が悪くても、全資産を売る必要がなくなります。

一括売却ではなく、必要な分だけ取り崩す

新NISAは一部売却ができます。生活費の不足分だけを毎年または定期的に売却し、残りを運用し続ける方法も選べます。相場が下がったときに必要以上に売らずに済むよう、近い将来の支出は預貯金で確保しておくことが重要です。

売却した商品の購入時金額分は、翌年以降に非課税保有限度額として再利用できます。ただし、再利用分がその年の年間投資枠に上乗せされるわけではありません。

50代の新NISAに関するよくある質問

50歳・55歳から新NISAを始めるのは遅いですか?

遅いとは限りません。退職後もすぐに全資産を使うわけではないため、10年以上使わないお金があれば長期運用を検討できます。ただし、退職時に必要なお金や数年以内に使うお金は投資から分けてください。

59歳や退職直前から始めても意味はありますか?

意味があるかどうかは、資金を使う時期で決まります。退職直後の生活費に使うお金には向きませんが、70代以降まで使わない資金なら運用期間を確保できる可能性があります。退職金を受け取ってすぐ全額を投資せず、生活費と長期資金を分けましょう。

新NISAに年齢の上限はありますか?

上限年齢はありません。日本国内に住み、利用する年の1月1日時点で18歳以上であれば対象です。ただし、年齢にかかわらず、近く使うお金や生活予備資金まで投資に回さないことが大切です。

月1万円の積立でも意味はありますか?

月1万円でも、無理なく継続できるなら始める意味はあります。50歳から65歳まで15年間なら、元本だけでも180万円です。金額を増やすことより、家計を崩さず、下落時にも続けられることを優先してください。

50代は全世界株式とS&P500のどちらがよいですか?

年齢だけでは決められません。全世界株式は多くの国の株式、S&P500連動型は主に米国の大型企業へ投資します。どちらも株式中心のため、相場によって大きく値下がりする可能性があります。海外資産は、為替の変動でも円換算の評価額が動きます。家計全体の株式比率、投資地域、コスト、使う時期を確認し、仕組みを理解できる商品を選びます。

両方を持てば必ず分散が高まるわけではありません。全世界株式には米国株が多く含まれることがあり、投資先が重複するためです。

まとまった預金は一括投資と積立のどちらがよいですか?

一律の正解はありません。長期間使わない資金でも、一度に投資すると購入直後の値下がりを大きく受けます。値下がりへの不安が強い人や投資経験が少ない人は、金額と時期を分けるほうが続けやすいでしょう。数年以内に使うお金は、一括・積立のどちらでも投資に回さないことが基本です。

50代は成長投資枠も使うべきですか?

必ず使う必要はありません。つみたて投資枠だけでも年120万円まで積み立てられ、つみたて投資枠だけで非課税保有限度額1,800万円を使うこともできます。個別株や、つみたて投資枠の対象外の商品を購入する明確な理由がある場合に、成長投資枠を検討します。

新NISAは何歳で売却すればよいですか?

特定の年齢で一括売却する必要はありません。資金を使う予定から逆算し、必要な分を段階的に現金化します。退職年齢ではなく、65歳、70歳、75歳以降など、実際に支出する時期ごとに分けると判断しやすくなります。

旧つみたてNISAや一般NISAの商品は新NISAへ移すべきですか?

2023年までのNISAで購入した商品は、新NISAの1,800万円とは別枠で管理され、旧制度の非課税期間が続きます。新NISAへ移管することはできません。非課税期間、使う時期、商品内容を確認し、必要がなければ慌てて売却する必要はありません。

まとめ:50代の新NISAは「いくら入れるか」より「いつ使うか」が先

50代から新NISAを始めても、遅いとは限りません。制度は恒久化され、非課税保有期間も無期限です。退職後すぐに使わない資金であれば、運用を続けられる時間を確保できる可能性があります。

ただし、50代は退職や収入減が近いため、若い世代以上に現金と出口の設計が重要です。次の順番で考えると、無理のない方針を作りやすくなります。

50代の新NISA 最終チェックリスト
  • 数年以内に使うお金と生活予備資金を、投資資金から分けた
  • 退職時期、年金見込額、退職金、住宅費などを確認した
  • 平均額や制度上限ではなく、毎月の黒字から積立額を決めた
  • NISA口座だけでなく、預貯金を含む家計全体の配分を確認した
  • 仮に株式部分が30%下落しても、慌てて売らずに済む金額にした
  • 何歳から、いくらずつ現金化するかを仮決めした

投資には元本割れの可能性があります。本記事の配分例やシミュレーションは一般的な考え方を示すもので、特定の商品・配分・運用成果を推奨または保証するものではありません。判断が難しい場合は、商品販売だけでなく、家計・年金・退職金・税金を含めて確認できる専門家へ相談してください。

参考文献・出典

以下の公的資料を2026年8月5日に確認しました。出典URLは本文内に置かず、ここにまとめています。

  • 金融庁「NISAを知る」
    https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/
  • 金融庁「資産形成の基本」
    https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/
  • 金融庁「2023年までのNISA」
    https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/till2023/
  • 国税庁「No.1535 NISA制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm
  • 国税庁「新NISAに関するQ&A(金融商品取引業者等向けの情報・令和8年7月改訂)」
    https://www.nta.go.jp/users/gensen/nisa/pdf/nisa_qa.pdf
  • 日本証券業協会「新NISA開始後の利用動向に関する調査報告書(2026年5月公表)」
    https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/shin-nisa-chousa/houkokusyo_2025.pdf.pdf
  • 厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表 主な年齢の平均余命」
    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life25/dl/life25-02.pdf

この記事を書いた人

NISAメディア編集部は、新NISA制度を「最大限に活かす」ための実践知をお届けしています。野村證券出身者・金融機関出身者を中心としたメンバーが、統計データと市場データを読み解きながら、新NISAのおすすめ口座新NISAのおすすめ銘柄新NISAの相談先などの情報を提供。運営元であるアドバイザーナビ株式会社は、資産運用アドバイザーを紹介するプラットフォーム「資産運用ナビ」を展開しており、読者が信頼できる専門家にスムーズに相談できるプラットフォームづくりをしている。