非課税保有期間が無期限化された新NISAは、20代が長期の資産形成を始めるうえで活用しやすい制度である。
ただし、新NISAは「使えば必ず資産が増える制度」ではない。投資には元本割れのリスクがあり、生活費や近い将来使うお金まで投資に回すと、相場が下がったときに困る可能性がある。
20代で新NISAを始めるなら、まずは生活に必要なお金を確保したうえで、少額から長期・積立・分散を意識して取り組むことが大切だ。
本記事では、20代から資産運用に取り組むメリットや、新NISAを利用する際の注意点、投資信託を選ぶときの確認ポイントを解説していく。
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まず押さえたい新NISAの基本
20代が新NISAを使う前に、制度の基本を押さえておこう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用できる人 | 日本国内に住む18歳以上の人(利用する年の1月1日時点) |
| 非課税になるもの | NISA口座で保有する上場株式・投資信託等の売却益、配当金、分配金など |
| 年間投資枠 | つみたて投資枠:120万円 成長投資枠:240万円 合計:360万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 売却後の枠 | 売却した商品の簿価分は、翌年以降に再利用できる |
| 注意点 | NISA口座で生じた損失は、特定口座や一般口座の利益と損益通算できない |
新NISAは税制上のメリットが大きい一方、投資枠には上限があり、対象商品にも条件がある。
また、上場株式等の配当金をNISAで非課税にするには、原則として証券会社を通じて受け取る方式を選ぶ必要がある。口座開設時や配当金の受取方法を設定するときは、金融機関の案内を確認しよう。
20代が新NISAを始めるメリット

20代が新NISAで資産運用を始めるメリットとして、主に次の3つが挙げられる。
- 長期運用の時間を確保しやすい
- 少額から積立しやすい
- 経済や税制に関する知識を身につけやすい
20代なら時間を味方につけられる
20代から新NISAを利用する大きなメリットは、長い運用期間を確保しやすいことだ。
株式や投資信託は日々価格が変動するため、短期間では大きく値下がりすることもある。プロの投資家でも、相場の動きを正確に予測し続けることは難しい。
一方で、20代は30代・40代から始める場合に比べて運用期間を長く取りやすい。長期・積立・分散を意識して続ければ、短期的な値動きに振り回されにくくなり、複利効果も活かしやすくなる。
複利とは、運用で得た利益を再び元本に組み入れて運用する仕組みである。利益がさらに利益を生むため、運用期間が長いほど効果を実感しやすい。
ただし、長期運用をしても元本割れのリスクがなくなるわけではない。将来使う予定があるお金と、長く運用できるお金を分けて考えることが重要だ。
20代なら少額投資で始められる
20代から資産運用を始めると、同じ目標金額を目指す場合でも、毎月の積立額を抑えやすい。
たとえば、「65歳までに2,000万円を準備する」という目標を立てた場合に、年利3%で運用できたと仮定すると、毎月必要となる積立額は次のようになる。
年利3%で65歳までに2,000万円を貯めるために必要な積立金額
| 資産運用を始める年齢 | 目標達成に必要な毎月の積立額 |
|---|---|
| 25歳 | 2万1,597円 |
| 35歳 | 3万4,321円 |
| 45歳 | 6万920円 |
| 55歳 | 14万3,122円 |
参考:毎月末に積み立て、年利3%で複利運用できたと仮定した試算。税金・手数料は考慮していない。将来の運用成果を保証するものではない。
65歳までに年利3%で2,000万円を準備する場合、55歳から始めると毎月約14万円の積立が必要になる。一方、25歳から始める場合は毎月約2万円で同じ目標を目指せる。
もちろん、実際の運用成果は相場環境によって変わる。それでも、早く始めるほど積立期間を長く取れるため、無理のない金額で資産形成を続けやすい。
20代から経済や税制に関する知識を身につけられる
新NISAを始めると、自然と経済や税制に関心を持つ機会が増える。
投資信託や株式の価格は、景気、金利、為替、企業業績、政治情勢などさまざまな要因で変動する。自分の資産がどのように動くのかを知るには、ニュースや金融機関の情報を確認する習慣が役立つ。
また、NISA制度は2014年の開始以降、複数回の見直しが行われている。税制や制度の変更は資産形成に影響するため、早いうちから情報を確認する習慣を持つことは大きなメリットになる。
投資の知識は短期間で身につくものではない。20代から少額で経験を積むことで、30代以降のライフイベントに合わせたお金の判断もしやすくなる。
20代におすすめの新NISA銘柄選びのポイント

新NISAで運用を始めるとき、最初に迷いやすいのが銘柄選びである。
初心者が最初に検討しやすいのは、少額から分散投資しやすい投資信託だ。投資信託は、投資家から集めたお金を運用会社が株式や債券などに投資する仕組みで、1本で複数の銘柄に分散できる商品も多い。
20代が投資信託を選ぶときは、次の4点を確認しよう。
- NISA対象商品か
- ファンドの種類
- 運用手法
- 運用にかかるコスト
NISA対象商品か確認する
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる。ただし、どの商品でも自由に投資できるわけではない。
| 投資枠 | 主な特徴 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託やETFが対象 |
| 成長投資枠 | 上場株式や投資信託などが対象。ただし、整理・監理銘柄や一定の投資信託などは対象外 |
特に初心者は、まずつみたて投資枠の対象商品から候補を探すと比較しやすい。購入前には、金融機関の画面や目論見書で「どのNISA枠で買える商品なのか」を確認しておこう。
ファンドの種類
投資信託は、主にどの資産へ投資するかによってリスクとリターンの傾向が異なる。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 株式型 | 国内外の株式に投資する。高いリターンを期待できる一方、値動きも大きくなりやすい。 |
| 債券型 | 国内外の債券に投資する。株式型より値動きが抑えられる傾向があるが、金利や為替の影響を受ける。 |
| REIT型 | 不動産投資信託に投資する。不動産市況や金利の影響を受けやすい。 |
| バランス型 | 株式・債券・REITなど複数の資産に分散投資する。1本で資産配分を整えやすい。 |
20代は長期運用の時間を確保しやすいため、株式型を中心に考える人も多い。ただし、値動きが大きい商品を選ぶほど、短期的な下落に耐える必要がある。
値動きが不安な場合は、バランス型や債券型を組み合わせる方法もある。大切なのは「高いリターンが狙えるか」だけでなく、自分が下落時も続けられるかを考えることだ。
運用手法
投資信託には、主に「インデックス運用」と「アクティブ運用」がある。
| 運用手法 | 特徴 |
|---|---|
| インデックス運用 | 日経平均株価、TOPIX、S&P500など、特定の指数に連動する投資成果を目指す運用。 |
| アクティブ運用 | 市場平均やベンチマークを上回る投資成果を目指す運用。必ず上回るわけではない。 |
インデックス運用は値動きの仕組みを理解しやすく、コストも低い傾向にあるため、初心者が長期積立を始める際の候補になりやすい。
一方、アクティブ運用はファンドごとの運用方針や銘柄選定に特徴がある。特定のテーマや運用方針に魅力を感じる場合は選択肢になるが、コストや運用実績を確認することが欠かせない。
どちらが必ず優れているというわけではない。投資目的、リスク許容度、コストを比較して選ぶことが大切だ。
運用にかかるコスト
投資信託を選ぶ際は、運用にかかるコストも確認しよう。特に長期運用では、保有中にかかり続ける信託報酬の影響が大きくなりやすい。
| 費用 | 確認ポイント |
|---|---|
| 購入時手数料 | 購入時にかかる費用。近年は無料の商品も多いが、販売会社によって異なる場合がある。 |
| 信託報酬(運用管理費用) | 保有中に投資信託財産から差し引かれる費用。長期保有では特に確認したい。 |
| 信託財産留保額 | 解約時などに差し引かれる場合がある費用。かからない商品もある。 |
| その他費用 | 監査費用、売買委託手数料、投資対象ファンドの費用など。目論見書で確認する。 |
同じ指数に連動するファンドが複数ある場合は、信託報酬や実質的な費用、純資産総額、運用実績などを比較しよう。
信託報酬は目論見書の「ファンドの費用」などに記載されている。購入前に必ず確認しておきたい。
20代が新NISAを利用する際の注意点

20代が新NISAで資産運用に取り組む際は、次の3つに注意したい。
- 生活に必要な資金を確保する
- 長期の運用計画を立てる
- 定期的に運用意向を振り返る
生活に必要な資金を確保する
資産運用を始める前に、「日々の生活に必要なお金」と「投資に回すお金」を分けて考える必要がある。
投資は余裕資金で行うのが基本だ。家賃、食費、通信費、保険料、奨学金やローンの返済など、毎月必要なお金を把握したうえで、無理のない積立額を決めよう。
また、ケガや病気、転職、引っ越しなどに備えるための生活防衛資金も確保しておきたい。
生活防衛資金の目安は人によって異なるが、生活費の数か月分など、自分が安心して生活できる金額を考えておくとよい。
たとえば毎月20万円の生活費がかかる場合、半年分を目安にするなら120万円が必要になる。
投資信託や株式は売却して現金化できるが、入金まで数日かかる場合がある。また、相場が下がっているときに売却すると損失が確定する可能性もある。
近いうちに使う予定があるお金は、預貯金などで確保しておくことが大切だ。
長期の運用計画を立てる
新NISAを始める際は、長期の運用計画を立てよう。
新NISAでは非課税保有期間が無期限となり、従来よりも長期運用に活用しやすくなった。一方で、非課税期間の終了に合わせて売却する必要がないため、自分で売却や見直しのタイミングを考える必要がある。
何となく積み立てるだけでは、途中で目的を見失ったり、相場の下落時に不安になって売却したりする可能性がある。
新NISAを活用するなら、次のような点を事前に整理しておこう。
- 何のために投資するのか(老後資金、住宅資金、教育資金など)
- いつ頃まで運用するのか
- 毎月いくらなら無理なく積み立てられるのか
- 大きく値下がりしたときに続けられる金額か
20代はライフイベントが変わりやすい年代でもある。最初から完璧な計画を立てる必要はないが、目的と投資期間を決めておくと判断しやすくなる。
定期的に運用意向を振り返る
新NISAで資産運用を始めたら、定期的に運用意向を振り返ることも大切だ。
20代は、就職、転職、昇進、結婚、引っ越しなどによって収入や支出が変わりやすい。
収入が増えた場合は積立額を増やす選択肢がある。一方、支出が増えた場合は、無理に積立を続けるのではなく、金額を下げることも検討したい。
また、投資への理解が深まるにつれて、保有する資産の配分を見直したくなることもある。
基本は長期保有だが、年に1回程度や大きなライフイベントの前後に、次の点を確認しておこう。
- 積立額が家計に合っているか
- 投資目的や投資期間が変わっていないか
- 保有商品のリスクが自分に合っているか
- 手数料や対象商品に変更がないか
相場の値動きだけを理由に頻繁に売買する必要はないが、家計や目的が変わったときは柔軟に見直そう。
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20代から始める新NISAはプロに相談しよう!
20代から新NISAで資産運用を始める際、自分だけで判断するのが不安な場合は、金融のプロに相談するのも選択肢である。
初めての資産運用はプロに相談しよう
初めて資産運用に挑戦する場合、「何を買えばよいのか」「いくら積み立てればよいのか」「下落したらどうすればよいのか」と不安になる人は多い。
専門家に相談すると、家計状況、投資目的、リスク許容度に合わせて考えるべきポイントを整理しやすくなる。
ただし、専門家に相談しても、最終的に投資判断を行うのは自分自身である。提案された商品や運用方法について、手数料、リスク、相談料、取扱商品の範囲を確認することが大切だ。
新NISAは長く付き合う制度だからこそ、納得できる形で始めよう。
20代から新NISAを始めよう
20代は、長期運用の時間を確保しやすい年代である。新NISAを活用すれば、一定の投資枠の範囲内で、売却益や配当・分配金を非課税で受け取れる。
ただし、投資には元本割れのリスクがある。生活防衛資金を確保し、近い将来使うお金とは分けたうえで、無理のない金額から始めることが大切だ。
銘柄を選ぶ際は、NISA対象商品か、投資対象は何か、運用手法は自分に合うか、コストは高すぎないかを確認しよう。
不安がある場合は、専門家に相談しながら、自分の目的に合った運用方法を考えてみるとよいだろう。

