- 証券会社と銀行の違いを知りたい
- 銀行で投資信託を購入しても良いのか判断したい
- 資産運用で証券会社と銀行をどう使い分けるべきか知りたい
「証券会社と銀行は何が違うのか」「銀行で投資信託を購入しても良いのか」と迷う人は少なくありません。
結論から言うと、銀行は預金・融資・決済など、日常のお金を管理するために使う金融機関です。一方、証券会社は株式、債券、投資信託、ETFなどの投資商品を売買するために使う金融機関です。
資産運用では、生活費や近い時期に使うお金は銀行預金で管理し、中長期で増やしたいお金は証券会社や金融機関の投資商品を活用する、と整理するとわかりやすくなります。
ただし、銀行でも投資信託を購入できる場合があります。大切なのは「銀行か証券会社か」だけで判断するのではなく、どの商品を、どの費用で、どのサポート体制で購入するかを確認することです。
本記事では、証券会社と銀行が提供しているサービスや両者の違い、資産運用における使い分け方を解説します。
証券会社と銀行の違いを一覧で確認
まずは、証券会社と銀行の違いを一覧で確認しましょう。
| 項目 | 証券会社 | 銀行 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 有価証券の取引や資産形成を支援する | 預金・融資・決済を提供する |
| 代表的な商品・サービス | 株式、債券、投資信託、ETF、REIT、NISAなど | 普通預金、定期預金、住宅ローン、振込、投資信託、NISAなど |
| 資産保護の仕組み | 顧客資産は分別管理される。返還が困難な場合は投資者保護基金による補償制度がある | 預金保険制度により、決済用預金は全額保護、一般預金等は1金融機関ごとに元本1,000万円までと利息等が保護される |
| 元本・リスク | 投資商品は価格変動、信用、為替などのリスクがある。値下がり損は補償されない | 円預金は価格変動がないが、保護範囲には上限等がある。投資信託や外貨預金には別途リスクがある |
| 向いている資金 | 中長期で増やしたい資金 | 生活費、予備資金、近い時期に使う資金 |
| 確認すべき点 | 取扱商品、手数料、取引ツール、相談体制、NISA対象商品 | 預金保険の範囲、投資信託の手数料、NISA対象商品、相談体制 |
銀行でも投資信託を購入できる場合があります。ただし、投資信託は預金ではなく、価格変動によって損失が出る可能性がある金融商品です。
「銀行だから安全」「証券会社だから危ない」と単純に考えるのではなく、商品内容、手数料、リスク、NISA口座の使い方を確認して選ぶことが大切です。
証券会社とは?金融の視点から理解する

証券会社は、株式や債券などの有価証券の取引を通じて、企業や国などの資金調達と投資家の資産運用をつなぐ役割を持つ会社です。
個人投資家にとっては、投資商品を売買するための口座を開き、資産形成を進めるために利用する金融機関と考えるとわかりやすいでしょう。
証券会社の基本的な機能とサービス
証券会社では、株式や債券、投資信託などの売買、金融商品の情報提供、取引口座の管理、NISA口座の提供などが行われています。
日本の証券会社は、大きく分けると対面証券会社とネット証券会社があります。
代表的な対面証券会社
- 野村證券
- 大和証券
- SMBC日興証券
対面証券会社では、担当者に相談しながら商品選びや運用方針を検討できる場合があります。一方で、手数料体系や提案される商品は証券会社によって異なるため、契約前に確認が必要です。
代表的なネット証券
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
ネット証券は、スマートフォンやパソコンで取引しやすく、会社によっては比較的低コストなサービスや手数料体系を用意している点が特徴です。
ただし、サポート体制、操作性、取扱商品、NISA対象商品は証券会社ごとに異なります。手数料だけでなく、使いやすさや必要な情報を得られるかも比較しましょう。
証券会社を通じて購入できる主な投資商品
証券会社で購入できる代表的な投資商品には、株式・債券・投資信託・ETFなどがあります。
- 株式:企業が資金を調達するために発行する証券です。株価の値上がり益や配当金を期待できますが、値下がりする可能性もあります。
- 債券:国や企業などが資金を調達するために発行する金融商品です。利子や満期時の償還が期待できますが、発行体の信用リスク、金利変動リスク、為替リスクなどがあります。
- 投資信託:多くの投資家から集めた資金を、運用会社等の専門家が株式や債券などに投資する商品です。少額から分散投資しやすい一方、元本保証はありません。
- ETF:証券取引所に上場している投資信託です。株式のように市場で売買できる点が特徴です。
投資商品を選ぶ際は、期待できるリターンだけでなく、どのようなリスクがあるのか、いつ使う資金なのかを確認することが重要です。
証券会社に預けた資産はどう守られる?
証券会社に預けたお金や有価証券は、証券会社自身の資産とは分けて管理されます。これを分別管理といいます。
証券会社が破綻した場合でも、分別管理が適切に行われていれば、投資家の資産は基本的に返還されます。
万が一、証券会社が顧客資産を円滑に返還できない場合には、日本投資者保護基金による補償制度があります。補償上限は、投資家1人あたり1,000万円です。
ただし、投資者保護基金は、株式や投資信託などの値下がりによる損失を補償する制度ではありません。証券会社の破綻リスクと、投資商品の価格変動リスクは分けて考えましょう。
ETFではマーケットメイクが流動性に関わる
証券会社等は、市場によってはマーケットメイカーとして参加することがあります。
マーケットメイクとは、マーケットメイカーが売り注文と買い注文の気配を提示し、投資家が売買しやすい環境を整える仕組みです。特にETFなどでは、流動性を高める目的で制度が設けられています。
投資初心者が最初に細かく理解する必要はありませんが、金融商品を選ぶ際には「売買しやすいか」「価格が大きく乖離しにくいか」という流動性の視点も大切です。
銀行とは?資産運用における位置づけ

銀行は、日常のお金の管理や決済、借入に使う場面が多い金融機関です。
資産運用の観点では、預金でお金を管理する役割と、投資信託など一部の投資商品を購入する窓口としての役割があります。
銀行の主なサービスと機能
銀行は、主に預金・融資・為替の3つの機能を担っています。
- 預金:顧客からお金を預かる機能です。普通預金や定期預金などが該当します。
- 融資:法人や個人にお金を貸し出す機能です。住宅ローンやマイカーローンなどが代表例です。
- 為替:現金を直接運ばずに資金を移動する機能です。振込や口座振替など、日常の決済に関わります。
銀行は、生活費の管理、給与の受け取り、公共料金の支払い、住宅ローンなど、日常生活に近いお金の流れを支えています。
銀行預金の役割と注意点
現金を手元で保管する場合と比べ、銀行預金は盗難・紛失のリスクを抑えやすく、振込や口座振替などの決済にも使いやすい点が特徴です。
ただし、金融機関が破綻した場合に、すべての預金が無制限に保護されるわけではありません。預金保険制度の範囲を確認しておきましょう。
- 決済用預金:当座預金や利息の付かない普通預金等は、全額保護されます。
- 一般預金等:定期預金や利息の付く普通預金等は、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
- 対象外となる預金等:外貨預金、譲渡性預金、無記名預金などは、預金保険の対象外となる場合があります。
預金は短期資金の管理に向いていますが、預け先や預金の種類によって保護の範囲が異なります。大きな金額を預ける場合は、預金先を分けることも検討しましょう。
また、預金金利が物価上昇率を下回ると、預金の実質的な価値が目減りする可能性があります。預金は便利で安全性が高い一方、資産を大きく増やす目的には向きにくいことも押さえておきましょう。
銀行による資産運用サービス
銀行では、普通預金や定期預金のほか、投資信託やNISAなどの資産運用サービスを取り扱っている場合があります。
銀行で投資信託を購入すること自体が悪いわけではありません。ただし、投資信託は預金とは異なり、元本保証はなく、価格変動によって損失が出る可能性があります。
銀行で投資信託を購入する前に、以下の点を確認しましょう。
- 購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額などのコスト
- 同じ投資信託を証券会社で購入できるか
- NISA口座で利用できる商品か
- 長期保有に向いた商品か
- 目論見書で投資対象・運用方法・手数料・税金を確認したか
- 相談内容が自分の目的やリスク許容度に合っているか
NISA口座は1人につき1口座のみ開設できます。銀行と証券会社で同時に複数のNISA口座を使うことはできません。
また、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することもできません。年単位で金融機関を変更することは可能ですが、NISAで購入したい商品がある場合は、取扱商品や手数料、使いやすさを比較して金融機関を選びましょう。
個別株式やETFを取引したい場合は、証券会社等の取引口座が必要になるのが一般的です。銀行の窓口やアプリだけで売買できる商品は、あらかじめ確認しておきましょう。
【証券会社と銀行】それぞれの特性と活用の仕方

証券会社と銀行は、どちらが優れているというよりも、役割が異なる金融機関です。
ここでは、取扱商品・リスクとリターン・目的別の使い分けを整理します。
証券会社と銀行の運用商品比較
証券会社と銀行で取り扱う商品は、金融機関によって異なります。一般的な違いは以下の通りです。
| 商品・サービス | 証券会社 | 銀行 |
|---|---|---|
| 普通預金・定期預金 | 銀行預金とは異なる。証券会社によってはMRF等を利用する場合がある | 取り扱う |
| 国内株式・外国株式 | 取り扱う会社が多い | 銀行単体の預金口座では直接売買できない場合が多い。グループ証券口座等が必要なことがある |
| 債券 | 取り扱う会社が多い | 取り扱う場合がある |
| 投資信託 | 取り扱う | 取り扱う場合がある |
| ETF | 証券取引所で売買できる | 通常の投資信託販売とは異なり、取扱いは限定的 |
| NISA | 利用できる会社が多い。個別株やETFを購入したい場合は証券会社を検討しやすい | 利用できる銀行がある。投資信託中心の取扱いになることが多い |
大きな違いは、銀行には預金があり、証券会社は投資商品の選択肢が広い点です。
ただし、銀行でも投資信託を購入できる場合があります。比較すべきなのは「銀行か証券会社か」だけではなく、「どの商品を、どのコストで、どのサポート体制で購入するか」です。
リスクとリターンの視点からの評価
銀行預金は、日常生活に必要なお金や近い時期に使う予定の資金を管理するのに向いています。円預金であれば価格変動はありませんが、資産を大きく増やす効果は期待しにくい場合があります。
一方、株式や投資信託などの投資商品は、価格変動によって損失が出る可能性があります。その反面、長期的な資産形成では、預金だけでは得にくいリターンを期待できる場合があります。
重要なのは、資金の目的に合わせて使い分けることです。
- 生活費や近い将来使うお金:銀行預金で管理する
- 数年以上使わないお金:証券会社や金融機関の投資商品を検討する
- 急な出費に備えるお金:収入の安定性や家族構成に応じて、生活費数か月分などを目安に確保する
生活防衛資金の金額は、家族構成、収入の安定性、住宅ローンの有無などによって変わります。無理に投資へ回すのではなく、余裕資金で始めることが大切です。
金融商品を選ぶ際は、安全性、収益性、流動性の3つで考えると整理しやすくなります。安全性だけを重視するのか、収益性も求めるのか、必要なときに換金しやすいかを確認しましょう。
投資家の目的による選択
証券会社と銀行のどちらを使うべきかは、投資家の目的によって変わります。
| 目的 | 主な利用先 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 生活費や予備資金を管理したい | 銀行 | 預金保険の範囲、金利、使いやすさ |
| 個別株やETFを取引したい | 証券会社 | 取扱市場、売買手数料、取引ツール |
| NISAで長期投資したい | 証券会社または銀行 | 対象商品、手数料、積立設定、サポート体制 |
| 銀行で投資信託を相談したい | 銀行 | 提案理由、手数料、同じ商品を他社で買えるか |
| 幅広い投資商品を比較したい | 証券会社、IFAなど | 商品ラインナップ、費用、リスク説明 |
| 資産全体の使い分けを相談したい | 対面証券、IFAなど | 相談範囲、報酬体系、継続サポート |
迷ったときは、最初に「このお金はいつ使うのか」を考えましょう。使う時期が近いお金ほど預金向きで、使う時期が遠いお金ほど投資を検討しやすくなります。
自分だけで判断するのが難しい場合は、金融機関の窓口やIFAなど、お金の専門家に相談する選択肢もあります。
証券会社と銀行の使い分けに迷ったらIFAも選択肢

証券会社と銀行の使い分けに迷う場合、IFAに相談する方法もあります。
ここでは、IFAの役割や相談時に確認したいポイントを解説します。
IFAとは?投資の相談先の一つ
IFAとは、Independent Financial Advisorの略で、一般に独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれます。
日本では、金融商品仲介業者またはその所属外務員として活動するアドバイザーを指して使われることがあります。金融商品仲介業者は、証券会社や銀行等の登録金融機関の委託を受け、有価証券の売買の媒介などを行う者です。
ただし、IFAといっても、取扱商品、提携先の金融機関、報酬体系、相談できる範囲は事業者によって異なります。相談前に、登録状況や契約内容を確認することが大切です。
IFAが提供する資産運用のサポート
IFAが提供するサポートには、主に以下のようなものがあります。
- 家計状況や投資目的の整理
- リスク許容度に合わせた運用方針の相談
- 金融商品や金融機関の比較
- NISA口座をどの金融機関で開くかの相談
- 購入後の運用状況の確認
たとえば、「どの資金を銀行に置き、どの資金を投資に回すか」「NISA口座を銀行と証券会社のどちらで開くか」といった悩みを整理する際に役立つ場合があります。
また、相場が大きく下落したときに、感情的に売却してしまうことを避けるための相談相手になることもあります。
ただし、専門家に相談しても投資成果が保証されるわけではありません。提案内容を理解し、納得して判断することが重要です。
IFAの活用方法と確認すべき点
IFAのメリットとして、継続的に相談しやすいことや、複数の金融機関・商品を比較しながら説明を受けられる場合があることが挙げられます。
ただし、すべてのIFAが同じ商品を扱っているわけではありません。相談時には、以下の点を確認しましょう。
- 金融商品仲介業者としての登録状況
- 所属・提携している証券会社や金融機関
- 相談料、売買手数料、報酬体系
- 提案できる商品の範囲
- 提案理由とリスク説明の分かりやすさ
- 購入後のフォロー体制
初回相談の有無や相談料は事業者によって異なります。相談する場合は、費用や契約内容を事前に確認しておきましょう。
まとめ
本記事では、証券会社と銀行の違いや、それぞれの役割、資産運用における使い分け方を解説しました。
- 銀行は、預金・融資・決済を中心に使う金融機関
- 証券会社は、株式・債券・投資信託・ETFなどの投資商品を扱う金融機関
- 銀行でも投資信託を購入できる場合があるが、投資信託は預金ではなく元本保証もない
- NISA口座は1人1口座のため、取扱商品や手数料を比較して金融機関を選ぶことが重要
- 銀行預金と証券会社の預かり資産では、保護の仕組みが異なる
- 判断に迷う場合は、金融機関の窓口やIFAなどに相談する方法もある
証券会社と銀行は、どちらか一方だけを使うものではありません。短期資金は銀行預金で管理し、中長期で増やしたい資金は投資商品を活用するなど、目的に応じて使い分けましょう。
投資商品を選ぶ前に、「いつ使うお金か」「どの程度の損失に耐えられるか」「手数料は妥当か」を確認することが大切です。
出典
e-Gov法令検索「銀行法」
金融庁「預金保険制度」
預金保険機構「対象預金」
日本証券業協会「証券会社」
日本証券業協会「第一種金融商品取引業」
日本投資者保護基金「基金について」
日本投資者保護基金「投資者保護基金制度とは」
J-FLEC「金融商品の特徴」
全国銀行協会「詳しく知ろう!投資信託」
信託協会「投資信託」
金融庁「NISAを知る」
金融庁「よくある質問:NISA特設ウェブサイト」
日本取引所グループ「ETF」
日本取引所グループ「マーケットメイク制度」
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金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」

