資産運用の管理が負担になってきたと感じたことはありませんか?
値動きを見るたびに、売るか持ち続けるかで手が止まる。証券会社と銀行に口座が分かれていて、全部でいくらあるのかすぐには出てこない。
そろそろプロに任せたいと思っても、何をどこまで任せればよいのかがわかりません。任せた途端に、自分の考えが通らなくなるのではという心配もあります。
お金を増やすことより、日々の管理から離れたい。けれど自分の考えまで手放したくない。この2つは両立できます。プロに任せる範囲は、資産の全部でも一部でも自分で選べるからです。
任せ方は、助言を受けて売買は自分で続ける形と、判断と売買をまとめて運用会社に任せる投資一任の2つに分かれます。迷っているなら、退職金などまとまったお金の一部だけを投資一任にして、残りは自分で運用する形から始めましょう。任せる金額は後から増やせますし、毎年の費用も任せた分にしかかかりません。
どこまで任せるかは、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に保有している商品を見てもらいながら決めるのが近道です。
この記事では、助言と投資一任の違い、ファンドラップやロボアドバイザーに毎年かかる費用、資産の一部だけを任せる方法を順に見ていきます。相談先そのものを探している方は、「60代の資産運用はどこに相談する?IFAがおすすめな理由と選び方」も参考にしてください。
- 助言と投資一任で、売買するのは誰か
- 任せると毎年いくらかかるか
- 資産の一部だけを任せる方法
- 任せても自分で決めること
※本記事の制度・手数料・サービス内容は2026年9月時点のものです。
資産運用でプロに任せられるのは商品選びと売買まで
あなたがプロに任せられるのは、主に商品選びと売買です。
お金を使う時期や、いくらまで減っても生活に困らないかは、どの任せ方を選んでもあなた自身が決めることになります。まずは、普段やっていることのうち、どれを手放したいのかを確かめましょう。
プロに任せられることと自分で決めること
資産運用で普段やっていることを、プロに任せられるものと自分で決めるものに分けると、次のようになります。
| やっていること | 具体的には | プロに任せられるか |
|---|---|---|
| 商品を選ぶ | どの投資信託や株式を買うかを決める | 任せられる |
| 売買する | 注文を出す、積立を設定する | 任せられる |
| 配分を戻す | 値上がりで増えすぎた資産を売り、減った資産を買う | 任せられる |
| 残高を確認する | 口座ごとの評価額と損益を見る | 報告を受け取る形にできる |
| 使う時期を決める | いつから取り崩すか、いくら残すか | 自分で決める |
| 減ってよい額を決める | どこまでの値下がりなら生活に影響しないか | 自分で決める |
プロに任せれば、こうした手間はすべてなくなりそうに思えるかもしれません。しかし、表の下の段にある「使う時期」と「減ってよい額」は、任せた後もあなたに残ります。投資一任でも、運用の方針を決めるときに「いつ使うお金か」「どれくらいの値動きまで受け入れられるか」を運用会社に伝えるのは、契約するあなた本人だからです。
つまり、任せることで軽くなるのは、商品選びと売買の手間に限られます。生活にかかわる判断まで代わりに決めてもらえるわけではありません。ここを混同したまま契約すると、任せたのに不安が減らないという結果になってしまいます。
【診断】どこまで任せる?
負担に感じている作業と、自分で決めておきたいことの組み合わせは、人によって違うはずです。質問に1問ずつ答えると、あなたがいま比べるべき任せ方がわかります。
どこまで任せる?任せ方の目安診断
いまの負担と、任せたいお金について答えてください。助言・一部だけ投資一任・投資一任中心のどれを比べるとよいかの目安がわかります。選ぶと次の質問に進みます。
任せる前に使う分を分けたいタイプ
数年以内に使う予定のお金を任せると、値下がりした時期に取り崩すことになってしまいます。投資一任でも助言でも、値動きのある商品で運用する点は同じです。
まずは使う分を預金に分け、当面使わないお金だけを任せる対象にしましょう。
次にやること
- いつ、いくら使う予定かを書き出します。
- その金額は預金で持っておきます。
- 残ったお金のうち、どこまで任せるかを決めます。
まずIFAと任せたいことを整理したいタイプ
何を任せたいか、いくら任せるか、いつ使うお金かが、まだはっきりしていない状態です。このまま契約すると、任せたのに不安が減らないという結果になってしまいます。
けれども、一人で全部を決めてから相談する必要はありません。取引残高報告書を持ってIFAに相談すれば、どの作業を手放すか、いくら任せるかを一緒に整理できます。
次にやること
- 取引残高報告書か、担当者に出してもらった保有商品の一覧を用意します。
- 「値動きを見るのがつらい」「配分に自信がない」など、困っていることを一言メモします。
- IFAに相談して、助言で足りるのか、投資一任が要るのかを確かめます。
助言を受けて自分で続けるタイプ
売買の操作は続けられて、迷っているのは判断のほうです。この場合は、判断の相談相手がいれば足ります。
投資一任にすると、自分で続けられる作業にまで毎年の費用を払うことになってしまいます。
次にやること
- IFAに相談しながら自分で注文する形と、投資顧問契約で助言を受ける形の費用を比べます。
- 年に何回、どんな形で相談できるかを申し込む前に聞きます。
- 相場が大きく動いたときに注文を出せるか不安なら、一部だけ投資一任にする形も比べます。
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一部だけ投資一任にするタイプ
自分で続けられる部分と、手放したい部分がはっきりしている状態です。退職金などまとまったお金の一部だけを投資一任にして、残りは自分で運用しましょう。
費用は任せた分にしかかからず、報告を見ながら後から金額を増やすことも、減らすこともできます。
次にやること
- 生活費の数年分を預金に残したうえで、任せる金額の上限を決めます。
- ファンドラップとロボアドバイザーの費用、担当者がつくかどうか、やめるときの条件を比べます。
- 任せた後の報告の回数と、面談があるかを申し込む前に聞きます。
投資一任を中心に年1回見直すタイプ
値動きの確認や売買の判断そのものが負担で、資産の大半を任せたい状態です。この場合は投資一任が中心になります。
ただし、預ける金額が大きいほど費用も増え、3,000万円を年率1.1%で任せると毎年33万円かかってしまいます。任せた後も年1回は運用状況を説明してもらい、続けるかどうかを自分で決めましょう。
次にやること
- 生活費として数年以内に使う分は運用に回さず、預金に残します。
- 年1回の面談や運用報告があるサービスを選びます。
- 口座と商品の数を減らし、確認する書類を少なくしておきます。
どこまで任せるかは、費用や、やめられる時期、あなたに残る作業を合わせて決めるものです。IFA(特定の銀行や証券会社に属さず、独立した立場で資産運用の相談に乗るアドバイザー)なら、取引残高報告書をもとに、助言と投資一任のどちらが合うか、任せるならいくらかまで一緒に整理できます。
\ いくら任せるかをIFAと決める /
資産運用ナビでIFAに無料相談するこの診断は、ご回答をもとにした目安を示すものです。特定のサービスや商品を勧めるものではありません。費用は2026年9月時点の各社の公表資料に基づく例です。
では、意見だけ聞く形と、売買まで任せる形とでは、あなたの手元に残る作業はどう変わるのでしょうか。
助言と投資一任は売買する人が違う
助言では最終的な投資判断も注文もあなたが行い、投資一任では運用会社が判断して売買まで行います。
同じ「任せる」でも、法律上の契約の種類が違い、あなたの手元に残る作業も変わります。
助言を受けても売買するのは自分
助言を受ける契約は投資顧問契約と呼ばれ、相手は投資助言・代理業の登録を受けた事業者です。資産運用業協会は、助言業務について次のように説明しています。
顧客である投資者に対して投資顧問(助言)契約に基づき、有価証券の価値等または金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し、投資者から報酬を得て、投資者のために助言を行う業務です。最終的な投資判断は投資者自身が行います。
資産運用業協会「資産運用業とは」
どの商品をいくら買うかという提案は受けられますが、注文を出すのはあなたです。助言を聞いたうえで「今回は見送る」と決めることもできます。
投資顧問契約は、契約書を受け取った日から10日以内であれば解除できる仕組みです。ただし、解除までにかかった分の報酬は業者が請求できるため、支払い済みの場合はその分を差し引いて返金されます。
投資一任は判断と売買をまとめて任せる
投資一任は、運用会社が投資判断に基づいてあなたの資産を運用する契約で、相手は投資運用業の登録を受けた事業者です。銀行や証券会社のファンドラップと、ロボアドバイザーの投資一任型が、この契約にあたります。
ロボアドバイザーという名前でも、注文を出す人が型によって違う点には注意が必要です。三菱UFJ銀行の説明では、投資一任型は「投資先商品の選定から売買、リバランスまで運用にかかる手間をお任せできます」とされ、アドバイス型は「ロボアドバイザーからのアドバイスに基づいた売買やリバランスは自分で行う必要があります」と書かれています。
アドバイス型では、提案までは自動でも、注文を出すのは自分のままです。管理の手間を減らしたいなら、申し込む前にどちらの型かを確かめましょう。
IFAや銀行の担当者は提案と注文の取り次ぎ
IFAや、銀行・証券会社の担当者に相談しながら運用する形は、助言とも投資一任とも別の位置づけです。
IFAは金融商品仲介業者として登録されており、金融商品取引法第66条の13で、顧客から金銭や有価証券を預かることが禁じられています。あなたの資産を預かっているのは、IFAが提携している証券会社です。
金融商品仲介業者は、いかなる名目によるかを問わず、その行う金融商品仲介業に関して、顧客から金銭若しくは有価証券の預託を受け、又は当該金融商品仲介業者と密接な関係を有する者として政令で定める者に顧客の金銭若しくは有価証券を預託させてはならない。
金融商品取引法 第66条の13(金銭等の預託の禁止)
証券会社は、預かった資産を自社の資産と分けて管理しています。証券会社が破綻し、この分別管理に不備があった場合でも、日本投資者保護基金が1人1,000万円を上限に補償します。
そのため、IFAに相談しても運用そのものを代わりにやってもらえるわけではありません。IFAが担うのは、商品の提案と注文の取り次ぎ、そして運用を続けるあいだの相談相手としての役割です。判断ごと任せたい場合は、IFAに相談したうえで投資一任の契約を選ぶことになります。
| 比べる点 | 自分で運用する | 助言を受ける | 投資一任 |
|---|---|---|---|
| 商品を選ぶ人 | 自分 | 助言を参考に自分 | 運用会社 |
| 注文を出す人 | 自分 | 自分 | 運用会社 |
| 契約 | なし | 投資顧問契約 | 投資一任契約 |
| 相手の登録 | — | 投資助言・代理業 | 投資運用業 |
| 費用の形 | 売買手数料と信託報酬 | 年率の助言報酬 | 年率の一任報酬と信託報酬 |
| 自分で決めること | すべて | 買うか見送るか | 運用方針・任せる金額・続けるかどうか |
任せる方法の種類をひと通り見たい方は、「資産運用をプロに任せたい人必見!プロに任せるおすすめの投資法と注意点を解説」もあわせてご覧ください。
判断と売買まで任せるなら、その分の費用が毎年かかります。では、1年でいくら払うことになるのでしょうか。
資産運用をプロに任せると毎年いくらかかる?
投資一任では、任せる報酬とは別に、組み入れられた投資信託の費用も毎年かかります。
案内に出ている年率だけで比べると、実際に払う額を少なく見積もってしまいます。ここでは1,000万円を任せた場合で見ていきましょう。
ファンドラップの費用
大和証券のダイワファンドラップは、ファンドラップ・フィーとして最大年率1.54%(税込)がかかります。投資顧問料と取引等管理手数料を合わせた料金で、料率は資産の評価額と選んだ運用スタイルで決まる仕組みです。これとは別に、組み入れられている投資信託の運用管理費用(信託報酬)も、投資信託の資産から差し引かれます。
1,000万円を預けた場合、ファンドラップ・フィーだけで年15万4,000円です。仮に信託報酬が年0.3%なら、さらに3万円が加わります。評価額が変わらないまま10年続ければ、費用の合計は180万円を超えてしまいます。
始められる金額と、やめられる時期も確かめておきましょう。ダイワファンドラップは300万円以上1万円単位で、解約や減額を申し込めるのは契約から3か月後です。少額から始めるなら、1万円以上で申し込めるダイワファンドラップオンラインもあります。こちらのフィーは年率1.1%(税込)、投資信託の運用管理費用は概算で年0.11~0.34%です。
ロボアドバイザーの費用
ウェルスナビの手数料は、預かり資産の年率1%(税込1.1%、現金部分を除く)で、3,000万円を超える部分は年率0.5%(税込0.55%)です。運用するETF(上場投資信託)の経費率として年0.05~0.12%程度がかかりますが、これはETFの運用のなかで差し引かれます。
1,000万円なら手数料は年11万円です。入出金や売買、口座管理の手数料はかからず、利用期間と金額の条件を満たすと6か月ごとに手数料が下がる長期割もあります。
ただし、ファンドラップと違って担当者はつきません。申し込みから運用まで画面上で完結するかわりに、相場が大きく動いたときに人に相談しながら決める場面はなくなります。
助言だけを受ける場合の費用
売買は自分で続け、方針と商品の助言だけを受ける形もあります。自分で注文を出す分、投資一任より安く済むと考える方が多いかもしれません。
けれども、人が担当する助言の費用は、投資一任と変わらないこともあります。たとえばイデア・ファンド・コンサルティングの資産運用サービスは投資顧問契約にもとづく助言型で、報酬は契約資産額の部分ごとに料率が決まります。2,000万円以下の部分は年率1.100%、1億円を超える部分は年率0.275%です。
1,000万円なら報酬は年11万円で、ロボアドバイザーの投資一任型と同じ額になります。そのかわり、年1回の対面相談と運用状況の報告、年2回の運用レポートがあり、電話やメールでいつでも相談できるのが、ロボアドバイザーとの違いです。一方で、注文を出すのは自分なので、売買のたびに証券会社の手数料もかかってしまいます。
費用をかけずに助言だけ受けたいなら、アドバイス型のロボアドバイザーも候補です。三菱UFJ銀行の説明では、アドバイス型は「手数料がかからないことが多い」とされています。
| 任せ方 | 1,000万円あたりの年間費用 | 別にかかるもの | 始められる金額 | やめるときの条件 |
|---|---|---|---|---|
| ファンドラップ | 最大15万4,000円(ダイワファンドラップ) | 投資信託の運用管理費用 | 300万円以上 | 契約から3か月後以降に申し込む |
| ファンドラップ(オンライン) | 11万円(ダイワファンドラップオンライン) | 投資信託の運用管理費用 年0.11~0.34% | 1万円以上 | 契約から3か月後以降に申し込む |
| ロボアドバイザー(投資一任型) | 11万円(ウェルスナビ) | ETFの経費率 年0.05~0.12%程度 | サービスにより異なる | 全額を出金すればいつでも止められる・出金手数料0円(ウェルスナビ) |
| 助言(投資顧問契約) | 11万円(イデア・ファンド・コンサルティング。2,000万円以下の部分は年1.1%) | 自分で売買するときの手数料と信託報酬 | サービスにより異なる | 契約書の受領から10日以内はクーリング・オフ |
| ロボアドバイザー(アドバイス型) | かからないことが多い(三菱UFJ銀行の説明) | 自分で売買するときの手数料と信託報酬 | サービスにより異なる | サービスにより異なる |
※2026 年9月時点の各社の公表資料をもとにしています。料率は運用スタイルや資産額によって変わる点にご注意ください。
すでにファンドラップを契約していて費用が高いと感じている場合は、「ファンドラップの手数料は高い?費用と受けている支援から継続・解約を判断する方法」で続けるかどうかを判断できます。
どの任せ方でも、費用が預けた金額に応じてかかる点は同じです。それなら、資産の一部だけを任せることはできないのでしょうか。
プロに任せる範囲は資産の一部だけでも選べる
資産の一部だけを任せて、残りは自分で運用する形も選べます。
投資一任の費用は預けた額で決まるため、どこまで任せるかを決めることは、毎年払う費用を決めることと同じです。以下の年齢と金額は例です。
①方針の助言だけ受けて売買は自分で続ける
63歳で、退職金と貯蓄の1,000万円を運用しているケースです。積立や売買の操作は苦にならないものの、今の配分のままでよいのかを自分では決められずにいます。
操作は続けられて、迷うのは判断だけ。それなら助言を受ける形が合います。投資顧問契約で助言を受けると、イデア・ファンド・コンサルティングの料率なら1,000万円で年11万円です。IFAに相談しながら自分で決めて注文する形なら、IFAを通じた取引ごとにIFA手数料がかかります(マネックス証券の例)。どちらでも、判断があなたに残る点は同じです。
とはいえ、注文を出すのはあなたなので、相場が大きく動いたときに手が止まってしまうなら、②か③に進みましょう。
②退職金の一部だけを任せる
65歳で、金融資産2,000万円のうち退職金から800万円を運用に回したいと考えているケースです。NISAの積立は自分で続けられるものの、まとまった800万円をどう配分するかは決めきれていない状態です。
この場合、800万円だけを投資一任にして、NISAの積立は自分で続けるという分け方ができます。年率1.1%なら費用は年8万8,000円です。2,000万円すべてを任せると年22万円かかるので、毎年13万2,000円少なく済みます。
任せた800万円の運用報告を見ながら、続けるか、金額を増やすか、やめるかを後から自分で決められるのも利点です。
③日々の管理から離れて見直しだけ受ける
68歳で、複数の金融機関に計3,000万円を預けているケースです。値動きの確認そのものが負担で、何か月も口座を開かないことも珍しくありません。
日々の管理から離れたいなら、投資一任が中心になります。年率1.1%で3,000万円なら費用は年33万円です。預ける金額が大きいほど費用も増えるため、生活費として数年以内に使う分は運用に回さず、預金で持っておきましょう。
あわせて、年1回は運用状況を説明してもらえる相手を決めておく必要があります。投資一任にしても、続けるかどうかを判断するのはあなただからです。
| 比べる点 | ①助言だけ | ②一部を任せる | ③管理から離れる |
|---|---|---|---|
| 自分に残る作業 | 売買の注文と残高の確認 | 任せていない分の売買 | 報告の確認と年1回の見直し |
| 年間費用の目安 | 11万円(1,000万円・投資顧問契約)/IFA経由なら取引ごとの手数料 | 8万8,000円(800万円・年1.1%) | 33万円(3,000万円・年1.1%) |
| 自分で決めること | 買うか見送るか | 任せる金額と運用方針 | 運用方針と続けるかどうか |
| 向いている人 | 操作は続けられるが判断に迷う | まとまったお金の配分だけ決められない | 確認や操作そのものが負担 |
どのケースに近いかは、あなたが手放したい作業で決まります。迷うときは②から始めましょう。一任に回す金額は、後から増やすことも、減らして自分での運用に戻すこともできます。
ただ、自分の資産でいくら任せればよいか、費用が年いくらになるかを一人で計算して比べるのは、なかなかの手間です。保有している商品を見せながらIFAに相談すれば、任せる金額と費用の見込みを一緒に出せます。
\ どこまで任せる?をIFAと決める /
プロに任せる前にやっておきたいこと
任せる前に、口座と商品を減らし、任せた後に受けられるサービスを確かめておきましょう。
投資一任にしても、運用報告の確認と、続けるかどうかの見直しはあなたに残ります。準備をしないまま任せると、確認する書類はかえって増えてしまいます。
口座と商品を減らして確認する書類を減らす
証券会社に3つ、銀行に2つ口座があれば、取引残高報告書も5つの金融機関から届きます。そこに投資一任の運用報告が加われば、確認する書類はさらに増えてしまいます。
任せる前に整理しておきたいのは、投資対象が似ている投資信託と、ほとんど残高のない口座です。保有している商品の一覧は、担当者に頼めば出してもらえます。整理の手順は「60代の投資信託はどう見直す?保有資産の一覧化と重複・偏りの整理手順」をご覧ください。
面談や報告の回数を契約前に聞いておく
任せたあとに受けられるサービスは、契約によって違います。年1回の面談があるのか、運用レポートが届くだけなのか、電話やメールでいつでも質問できるのか。いずれも申し込む前に聞けばわかることです。
確かめずに契約すると、「思っていたより連絡が来ない」という不満を抱えたまま費用を払い続けることになってしまいます。担当者が替わって連絡が途切れたときの動き方は、「資産運用の相談先を変えたいときはどうする?担当者変更と保有商品の引継ぎ方」で紹介しています。
自分で管理できなくなるときに備える
プロに任せたいと考える理由のひとつに、将来、自分で判断できなくなることへの不安もあるでしょう。実際、本人の判断能力が下がると、証券口座で取引できなくなる場合があります。
まずは、取引している金融機関と連絡先を家族に伝えておきましょう。そのうえで使える仕組みに、日本証券業協会がつくった家族サポート証券口座があります。本人と家族があらかじめ任意代理契約を結んでおき、判断能力が下がった後も家族代理人が取引を続けられるようにするものです。2026年9月時点で、取り扱う証券会社は8社です。
一方で、任意後見や家族信託のように財産の管理そのものを誰かに託す手続きは、運用の相談とは別の話になります。司法書士や弁護士などの専門家に相談してください。
任せる範囲と費用は無料相談で決める
相談を受けることと、運用を任せる契約を結ぶことは別です。
どの任せ方にするか、いくら任せるかは、IFAに保有している商品を見てもらいながら決めましょう。
取引残高報告書を持って相談する
ここまで見てきたとおり、任せ方ごとに費用も、やめられる時期も、あなたに残る作業も違います。自分の資産額に当てはめて一つずつ比べていくのは、それだけで手間のかかる作業です。
IFAに相談するときは、取引残高報告書を持っていけば足ります。保有している商品と金額がわかれば、助言で足りるのか、投資一任が要るのか、任せるならいくらで年間の費用がいくらになるのかを、その場で一緒に整理できます。
お金を使う時期や、いくらまで減ってよいかがまだ決まっていなくても構いません。「まだ決めきれていない」と伝えれば、そこから一緒に考えてもらえます。
複数の証券会社と提携するIFAを選ぶ
銀行や証券会社の窓口では、その会社が扱うファンドラップなどのサービスの中から提案を受けることになります。ほかの任せ方と並べて比べたいなら、特定の金融機関に属さないIFAに相談しましょう。
IFAは金融商品仲介業者として登録され、2026年7月末時点で680者います。そのうち約4割は、2社以上の証券会社と提携しています(金融庁の登録一覧をもとに編集部で集計)。提携先が多いIFAほど、今の金融機関では扱っていない商品も含めて提案を受けられます。
相談先ごとの違いは、「60代の資産運用はどこに相談する?IFAがおすすめな理由と選び方」も参考にしてください。
\ 取引残高報告書を見せるだけ /
資産運用をプロに任せるときのよくある質問
契約をやめるときの扱いや、預けた資産の守られ方など、任せる前によく出る疑問に答えます。
投資一任契約は途中でやめられますか?
やめられます。ただし条件はサービスごとに違い、ダイワファンドラップでは解約や減額を申し込めるのは契約から3か月後以降です。ウェルスナビは、全額を出金すればいつでも運用を止められ、出金手数料もかかりません。課税口座で運用していた場合、解約時に利益が出ていれば、その利益に税金がかかります。
助言を受ける契約をやめたいときはどうしますか?
投資顧問契約は、契約書を受け取った日から10日以内であれば、書面やメールでクーリング・オフができます。10日を過ぎた後の手続きは、契約書に書かれた解約の方法どおりです。クーリング・オフをしても、それまでにかかった分の報酬は業者が請求できます。
任せた資産は運用会社が破綻したらどうなりますか?
あなたの資産は、金融機関自身の資産と分けて管理されています。証券会社が破綻し、この分別管理に不備があって資産が戻らない場合は、日本投資者保護基金が1人あたり1,000万円を上限に補償します。
60代から投資一任を始めても遅くないですか?
始める年齢よりも、そのお金をいつ使うかで決まります。数年以内に使う予定のあるお金を任せると、値下がりした時期に取り崩すことになってしまいます。当面使わないお金だけを任せ、生活費に充てる分は預金で持っておきましょう。取り崩しが近い場合は、任せる前に取り崩しの計画から相談してください。
任せる範囲を決めてから契約する
あなたがプロに任せられるのは、商品選びと売買です。お金を使う時期や、いくらまで減ってよいかは、あなた自身が決めることになります。
この線引きをしてから契約すれば、任せたのに不安が減らないという事態は避けられるはずです。
助言なら、最終的な判断と注文はあなたに残ります。費用は、手数料がかからないことが多いアドバイス型のロボアドバイザーから、人が担当して年率1%程度かかる投資顧問までさまざまです。投資一任なら判断と売買まで任せられる一方で、預けた額に応じた費用が毎年かかってしまいます。そして、あなたが選べるのはどちらか一方だけではありません。資産の一部を任せて、残りは自分で運用する形もあります。
どこまで任せるか迷ったら、複数の証券会社と提携するIFAに取引残高報告書を見せて、任せる金額と費用を一緒に決めましょう。相談したからといって、契約する必要はありません。
\ 任せる範囲と費用をプロと整理 /
出典
- 資産運用業協会「資産運用業とは」
- 金融庁「投資運用業等 登録手続ガイドブック」
- e-Gov法令検索「金融商品取引法」(第66条の13、第37条の6)
- 東京都 東京くらしWEB「投資顧問会社から儲けさせてあげると勧誘され契約したが、やめたい。」
- 三菱UFJ銀行「ロボアドバイザー(投資一任型サービス)」
- 大和証券「ダイワファンドラップ/ダイワファンドラップオンライン ご留意事項」
- ウェルスナビ「手数料」
- ウェルスナビ「分別管理・投資者保護基金について」
- ウェルスナビ よくあるご質問「運用はいつでもやめることができるのでしょうか?」
- マネックス証券「IFAサービス よくあるご質問」
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- イデア・ファンド・コンサルティング「IDEAの資産運用サービス」
- 日本証券業協会 用語集「投資者保護基金」
- 日本証券業協会「家族サポート証券口座」
- 金融庁「金融商品仲介業者登録一覧」(2026年7月31日現在)
