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60代の債券投資は安全?社債・国債・債券ファンドのリスクと違い

銀行や証券会社で利率の高い社債を勧められ、債券なら元本が戻ると思ってよいのか迷ったことはありませんか?

金利が上がり、預金より利息の多い債券の話を聞く機会が増えました。株より値動きが小さいとも聞きます。とはいえ、株の値下がりを避けたくて選んだ債券で、別の損は負いたくないものです。

こうした不安を減らすためにも、まず知っておきたいのが、債券の元本が戻る条件です。債券は、発行した国や会社が払い続ければ、満期に額面の元本が戻ります。一方で、満期前に売れば金利しだいで値下がりし、会社が破綻すれば元本が減ってしまいます。満期のない債券ファンドには、額面が戻る日がありません。そのため、使う時期が決まっているお金は、その時期までに満期が来る債券で持ち、1社の社債にまとめないようにしましょう。

この記事では、社債・劣後債・個人向け国債・債券ファンドのリスクの違いと、使う時期に合わせた持ち方を紹介します。劣後債は種類によって損をする場面が違うため、実際の発行例もあわせて載せました。どの債券で、どの満期で持つかを決めるときの参考にしてください。

この記事でわかること
  • 債券なら元本は必ず戻るのか
  • 劣後債は普通の社債より危ないのか
  • 債券ファンドは待てば元に戻るのか
  • 年金の不足を債券で毎年補うにはどう持つか
目次

60代の債券投資のリスクは払う人と使う時期で変わる

債券は、国や会社がお金を借りるときに発行する借用証書のようなものです。買った人は決まった日に利子を受け取り、満期が来ると額面の金額を返してもらえます。

発行した国や会社が払い続ければ満期に額面が戻る

たとえば、利率1.5%・満期5年の社債を1,000万円分買うと、毎年15万円(税引前)の利子を受け取り、5年後に1,000万円が戻ります。途中で相場がどう動いても、満期まで持ち、発行した会社が払い続ける限り、受け取る金額は買ったときに決まっています。

「債券は安全」と言われるのは、この点です。株式や株式の投資信託は、売るときの値段がいくらになるか決まっていません。

元本が減るのは満期前に売ったときと発行体が破綻したとき

ただし、額面が戻るのは「満期まで持つ」「発行した国や会社が払える」の両方がそろったときだけです。どちらかが欠けると、元本が減ってしまうことがあります。

一つは、満期前に売る場合です。債券はその時々の市場の値段で売ることになり、金利が上がっていると買ったときより安くなってしまいます。もう一つは、発行した会社が経営破綻した場合で、約束どおりに返してもらえず、元本の一部または全部が戻らなくなってしまうことがあります。

債券ファンドには満期がない

債券ファンドは、たくさんの債券をまとめて運用する投資信託です。組み入れているのは債券ですが、満期が近づいた債券を売って新しい債券に入れ替え続けるため、ファンドとしての満期はありません。つまり、「満期まで持てば額面が戻る」という債券の仕組みは、債券ファンドには当てはまらないのです。

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種類払う人満期に元本は戻るか満期前の換金主なリスク
個人向け国債国戻る発行から1年たてば国が額面で買い取る。直前2回分の利子に相当する額が差し引かれる中途換金時の差し引き
個人向け社債(普通社債)会社会社が払えれば戻る証券会社にその時々の値段で売る。買い手が少ないと安くなる会社の破綻・金利の上昇・売りにくさ
劣後債会社会社が払えれば戻る。破綻したときの返済は普通社債より後普通社債と同じ普通社債のリスクに加え、返済の順番や特約(種類による)
債券ファンド運用会社が債券を入れ替えて運用満期がない。額面が戻る約束もない基準価額でいつでも換金できる金利の上昇・組み入れた債券の破綻・運用の費用

※ 出典:財務省「個人向け国債を知る」、日本証券業協会「個人向け社債の特徴やリスク、価格情報の入手方法」をもとに作成
※ 預金保険で守られるのは預金です。債券や投資信託は銀行の窓口で買っても預金ではないため、預金保険の対象になりません。

「安全かどうか」は、誰が払うのかと、そのお金をいつ使うのかで決まります。元本保証のある預金と、元本保証のない運用商品の違いは、「60代の資産運用は何から始める?必要性の判断から商品選び・進め方まで」でも紹介しています。

【診断】あなたの債券は使う時期に合っている?

勧められている債券や持っている債券が、自分のお金の使い方に合っているかを確かめてみましょう。種類・金額・満期・使う予定をタップで選ぶと、使う時期に合っているかと、あなたの金額での目安を表示します。

約1分・タップで答える診断

債券の持ち方診断(満期と使う時期)

どの種類の債券ですか

提案書や取引報告書の銘柄名で分かります。

その債券の金額はどのくらいですか

持っている場合は、買ったときの金額です。

満期まで、あと何年ですか

提案書の「償還日」「満期」の欄に載っています。

このお金は、いつ使う予定ですか

リフォームや車の買い替え、子や孫への援助も含めて考えてください。

預金や投資信託も合わせたお金のうち、この債券はどのくらいですか

だいたいで大丈夫です。

では、満期前に売ると、実際にいくら減るのでしょうか。

個別の債券と債券ファンドは値下がりの戻り方が違う

満期前の債券の値段は、市場の金利に合わせて毎日動きます。金利が上がると値下がりし、金利が下がると値上がりします。

金利が上がると満期前の債券は値下がりする

金利が上がると値下がりするのは、新しく発行される債券と比べられるからです。

金利が上がると手持ちの債券が値下がりする仕組み

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段階起きること
1.市場の金利が上がる新しく発行される債券の利率が2.5%になる
2.手持ちの債券は利率1.5%のまま同じ額面なら、受け取る利子は新しい債券より少ない
3.値段を下げないと売れない利子が少ない分だけ安く売ることになる

※ 金利が下がる場合は逆に、手持ちの債券は値上がりします。

日本証券業協会も、社債の価格について次のように説明しています。

金利が上昇すると市場価格が下がり、逆に、金利が低下すると市場価格は上がるという関係にあります。

日本証券業協会「個人向け社債の特徴やリスク、価格情報の入手方法」

値下がりの大きさは、満期までの残りの年数で変わります。利率1.5%の債券を1,000万円分持っていて、市場の金利が1%上がった場合を計算しました。

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満期までの残りいま売った場合値下がり満期まで持った場合
3年約971万円約29万円1,000万円が戻る(利子は毎年15万円)
5年約954万円約46万円1,000万円が戻る(利子は毎年15万円)
10年約913万円約87万円1,000万円が戻る(利子は毎年15万円)
20年約844万円約156万円1,000万円が戻る(利子は毎年15万円)

※ 編集部の試算。利払いは年1回、市場の利回りが1.5%から2.5%に上がった場合。利子は税引前で、税金・手数料は含みません。

同じ1%の金利上昇でも、満期まで3年なら約29万円、20年なら約156万円安くなってしまいます。満期が先の債券ほど、低い利率を受け取り続ける期間が長いためです。

個別の債券は満期まで持てば額面に戻る

一方、表の右の列のとおり、満期まで持てば金利がどう動いても1,000万円が戻ります。値下がりは「いま売った場合」の話で、売らなければ損は確定しません。

つまり、個別の債券で損を避けるには、満期より前に売らずに済むようにしておきましょう。そのお金を使う時期が満期より後であれば、途中で値下がりしても待てます。

債券ファンドは値下がりが戻る日が決まっていない

それなら、債券ファンドも値下がりしたときに待てばよいと考えるかもしれません。ところが、債券ファンドには満期がないため、「この日になれば額面に戻る」という日がありません。

金利が上がると、債券ファンドの基準価額も下がってしまいます。その後は、利率の高い新しい債券への入れ替えが進むにつれて受け取る利子が増え、時間をかけて値下がり分を取り戻していきます。ただ、いつ取り戻せるかはその後の金利の動きしだいで、取り戻す前にお金が必要になれば、値下がりした基準価額で換金することになってしまいます。

債券ファンドを選ぶときは、運用の費用や組み入れている債券の種類も確かめましょう。投資信託の費用の比べ方は、「60代の投資信託の選び方は?オルカンとS&P500の違いと候補の絞り方」で詳しく紹介しています。

値下がりの目安はデュレーションでわかる

債券ファンドが金利の上昇でどれくらい値下がりするかは、「デュレーション」という数字で目安がわかります。東京海上アセットマネジメントは、デュレーション(修正デュレーション)を次のように説明しています。

債券に投資をする投資信託で、月報などに載っている修正デュレーションは、金利が1%上昇(低下)すると債券価格がどの程度下落(上昇)するかを示しています。

東京海上アセットマネジメント「【運用編】デュレーションとは」

たとえば、デュレーションが7年の債券ファンドなら、金利が1%上がると基準価額はおよそ7%下がる計算です。1,000万円分持っていれば、およそ70万円値下がりしてしまいます。

デュレーションは、多くの債券ファンドの月次レポートに載っています。勧められたときは、担当者に「このファンドのデュレーションは何年ですか」と聞いてみてください。

では、満期まで持てば額面が戻る個別の債券なら、どの会社の社債を選んでも安心なのでしょうか。

退職金で社債を買うときに確かめること

個別の債券のうち、個人向け国債は国が払い、社債は会社が払います。社債には、国債にはないリスクがあります。

発行した会社が払えなくなると元本が戻らない

社債の元本と利子は、発行した会社の返済力に支えられています。日本証券業協会は、社債のリスクについて次のように説明しています。

社債発行企業などが倒産した場合などには、当該社債の元本や利息の支払いが行われない場合があります。

日本証券業協会「個人向け社債の特徴やリスク、価格情報の入手方法」

会社の返済力の目安になるのが、格付け会社がつける「格付け」です。AAA(トリプルA)、AA、A、BBBと下がるほど、返済できなくなる可能性が高いと評価されていることを表します。一般に、BBB以上が「投資適格」と呼ばれます。

ただし、格付けは返済力の評価で、破綻しないことを約束するものではありません。会社の業績に合わせて変わることもあり、買ったときにAだった社債が、満期までに下がってしまうこともあります。

最近は、個人向けの社債が増えています。野村資本市場研究所によると、2025年の個人向け社債の発行額は2兆7,775億円で、過去最高の水準でした。銀行や証券会社で社債を勧められる機会が増えているのは、このためです。そのうえで、同研究所は次のように指摘しています。

知名度の高い企業であることが必ずしも安全性を意味するわけではなく

野村資本市場研究所 加藤雅貴・江夏あかね「個人向け社債の発行額が過去最高水準」(NOMURA ウェルスタイル、2026年9月10日)

名前をよく知っている会社でも、返済力は格付けで確かめましょう。

劣後債は種類によって損をする場面が違う

社債の中でも、商品名に「劣後特約付」と入っているものは劣後債です。劣後債を持っていると、会社が破綻したときに、預金や普通の社債などがすべて返し終わるまで返済を受けられなくなってしまいます。楽天証券は、劣後債の性格を次のように説明しています。

一般無担保社債と弁済順位が最も低い株式との中間的性格を持っています

楽天証券「初めての劣後債投資」

こう聞くと、劣後債はどれも危ないものに思えます。ところが、実際に個人向けに売られている劣後債を見ると、格付けは発行した会社によって大きく違います。2026年に個人向けに募集された劣後債を2つ比べました。

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三菱UFJフィナンシャル・グループ 第42回ソフトバンクグループ 第8回
劣後債の種類銀行グループの劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2)事業会社の劣後債(ハイブリッド社債)
募集2026年7月2026年4月
満期10年(2036年7月)35年(2061年4月)。5年後から会社の判断で期限前償還できる
利率(税引前)年3.404%当初5年は年4.97%。その後は1年国債の金利に上乗せして見直し
格付けAA−(JCR・R&I)BBB+(JCR)。会社自体の格付けはA
ついている主な特約実質破綻時免除特約:実質的に破綻したと認定されると、元本と利子の全額が支払われない利払繰延条項:会社の判断で利子の支払いの全部または一部を先に延ばせる
最低購入額100万円100万円

※ 出典:三菱UFJ eスマート証券、岩井コスモ証券、日本格付研究所の公表資料をもとに作成
※ 募集時の条件です。格付けは三菱UFJ フィナンシャル・グループが2026年7月21日時点、ソフトバンクグループが2026年4月の新規格付け時点のものです。

三菱UFJフィナンシャル・グループの劣後債はAA−で、ソフトバンクグループの劣後債(BBB+)はもちろん、ソフトバンクグループという会社自体の格付け(A)よりも高い評価です。格付けだけを見れば、劣後債だから危ないとは言えません。

とはいえ、損をする場面がないわけではなく、種類ごとに違います。

銀行グループの劣後債でいちばん大きいのは、実質破綻時免除特約です。三菱UFJ eスマート証券は、この特約を次のように説明しています。

実質破綻時免除特約が付与されている債券の購入者に対する元利金の全部について支払いが行われず、購入者は当初の投資元本の全額を失う

三菱UFJ eスマート証券「新型劣後債(バーゼルⅢ適格Tier2債券)」

ここでいう実質破綻は、法律上の倒産とは違います。内閣総理大臣が、金融市場や金融システムに著しい混乱が生じるおそれがあると認定した場合を指します。つまり、銀行が倒産の手続きに入る前でも、この認定があれば元本は全額戻りません。普通の社債のように、会社に残った財産から一部が戻ることもありません。格付けが高く、その可能性は低いと評価されていますが、起きたときには投資した金額のすべてを失ってしまいます。

一方、事業会社の劣後債では、満期の長さと期限前償還に気をつけましょう。ソフトバンクグループ第8回の満期は35年先の2061年で、5年後から会社の判断で償還できる条件がついています。実際、同社は2021年に発行した第5回の劣後債を、2026年6月に全額期限前償還しました。

そのため、「5年で戻ってくる」と考えて買う方もいます。しかし、期限前償還するかどうかを決めるのは会社で、約束ではありません。償還されなければ、そのまま35年先まで持つか、その時々の値段で売ることになってしまいます。利払繰延条項がついているため、会社の判断で利子の支払いが先に延ばされてしまうこともあります。

さらに、満期のない「永久劣後債」もあり、銀行が出すものはAT1債と呼ばれます。AT1債は、実質破綻の前でも、銀行の自己資本が一定の水準を下回ると元本が削られてしまう仕組みです。2023年3月には、スイスの大手銀行クレディ・スイスが救済合併される際、同行のAT1債およそ160億スイスフラン分が、スイスの金融監督当局の判断で無価値になりました。国内でも、三菱UFJフィナンシャル・グループの米ドル建てAT1債(最低20万米ドルから)などが、証券会社で個人向けに売られています。

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劣後債の種類満期損をする主な場面
銀行グループの劣後債(Tier2)あり(10年など)実質破綻と認定されると元本と利子を全額失う
事業会社の劣後債(ハイブリッド社債)あり(30〜35年など長い)期限前償還されなければ長く持つことになる。利子の支払いが延ばされることがある。破綻したときの返済は普通社債より後
永久劣後債(銀行のAT1債など)なし自己資本が一定の水準を下回ると元本が削られる。利子が支払われないことがある

このように、劣後債かどうかだけでは安全かどうかは決まりません。確かめたいのは、発行した会社の格付け、ついている特約、満期までの年数です。勧められたときは、この3つを担当者に聞いておきましょう。

なお、株価や為替の動きによって償還の金額や時期が変わる仕組債は、ここで紹介している社債とは別の商品です。仕組債の注意点は、「退職金で仕組債を勧められたら?損失と換金のリスクと契約前の確認点」で紹介しています。

社債は満期前に売ると安くなることがある

社債は、満期前に売るときにも注意が必要です。株式のように取引所で毎日たくさん売買されているわけではなく、多くは証券会社が買い取る形で売ります。日本証券業協会は、次のように説明しています。

その社債を買い付けていただけるお客様が容易には見込めないことなどから、証券会社も容易に買取りに応じることができないことや信用リスクなどを算定した価格(かなり安値となります。)でしか買取りに応じることができない場合もあります。

日本証券業協会「個人向け社債の特徴やリスク、価格情報の入手方法」

特に、会社の業績が悪くなって売りたい人が増えたときほど、買い手は少なくなります。満期前に売る可能性があるお金を社債に入れると、金利の上昇による値下がりに加えて、この売りにくさの分も安くなってしまいます。

満期前に売る必要が出てきたら、まず証券会社に「いま売るといくらで買い取ってもらえるか」を聞き、その値段を見てから売るかどうかを決めましょう。

退職金を1社の社債にまとめない

退職金の運用で、利率の高い1社の社債や劣後債にまとまった額を勧められることがあります。格付けの高い会社が破綻することはまれです。しかし、1社の社債に多くのお金を入れると、老後資金の大きな部分が、その会社1社の経営に左右されることになってしまいます。

1社に1,000万円を入れていれば、その会社に何かあったときに失う可能性のある金額は1,000万円です。先ほどの銀行グループの劣後債のように、実質破綻と認定されると全額を失う特約がついていれば、戻る金額は0円になってしまいます。同じ1,000万円を個人向け国債と複数の会社の社債に分けておけば、1社に何かあっても、影響はその会社に入れた分だけで済みます。

何社に分ければよいかという決まった基準はありません。目安にしたいのは、1社の社債が金融資産全体のどれくらいを占めるかです。その会社が破綻して入れた金額が戻らなかったとしても、暮らしを続けられる金額にとどめておきましょう。格付けの高い会社の劣後債でも、この考え方は同じです。

個人向け国債は1年たてば額面で換金できる

社債と比べると、個人向け国債は払う人が国で、満期前の換金の仕組みも違います。財務省によると、個人向け国債には変動10年・固定5年・固定3年の3種類があり、1万円から毎月買えます。

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個人向け国債個人向け社債
払う人国会社
満期3年・5年・10年銘柄ごとに決まる
最低購入額1万円多くは100万円程度から
利率最低0.05%が保証される。社債より低いことが多い会社の返済力や劣後かどうかで決まる
満期前の換金発行から1年たてば、国が額面で買い取る。直前2回分の利子に相当する額が差し引かれる証券会社にその時々の値段で売る。金利や買い手の数で値段が変わる

※ 出典:財務省「個人向け国債を知る」、日本証券業協会「個人向け社債の特徴やリスク、価格情報の入手方法」をもとに作成
※ 個人向け国債の利率は、募集月ごとに変わります。取引している銀行や証券会社の窓口や画面で確かめてください。

個人向け国債を満期前に換金すると、受け取る金額は「額面+経過した期間の利子−直前2回分の利子(税引前)×0.79685」です。たとえば、利率が年1%の個人向け国債120万円を換金する場合、差し引かれるのは約9,600円です。金利が上がっても、社債のように値段が下がることはありません。

そのため、使う時期が少しずれるかもしれないお金に向いています。一方、利率は社債より低いことが多くなります。社債の利率が高いのは、会社の破綻や売りにくさのリスクを引き受けている見返りです。

では、自分のお金を、どの債券にどれだけ入れればよいのでしょうか。

使う時期で決める60代の債券の持ち方

債券は、利率の高さで選ぶより先に、そのお金をいつ使うかで選びましょう。使う時期と満期が合っていれば、途中で金利が上がっても売らずに済みます。

数年以内に使うお金は満期を使う年に合わせる

リフォームや車の買い替えなど、数年後に使う予定のお金は、その時期までに満期が来る債券で持ちましょう。満期が使う時期より後だと、使うときに満期前に売ることになり、値下がりしていれば損をしてしまいます。

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お金の使い道使う時期向いている持ち方避けたい持ち方
毎月の生活費・急な出費1年以内預金債券(個人向け国債も発行から1年は原則として換金できない)
リフォーム・車・子や孫への援助2〜5年後その年までに満期が来る個人向け国債(固定3年・固定5年)や格付けの高い社債満期が使う時期より後の社債、債券ファンド
年金で足りない毎年の生活費毎年少しずつ満期を1年ずつずらした債券(債券ラダー)満期が一度に来る1本の債券
当面使う予定のないお金10年以上先債券ファンドと株式の投資信託の組み合わせ1社の社債や劣後債に集中させる持ち方

※ 持ち方は一例です。

1年以内に使うお金は、債券ではなく預金で持っておきましょう。手元にどれだけ預金を残し、どれだけを運用に回すかを決めるときは、「60代の資産運用ポートフォリオはどう決める?残す現金と運用に回す額の決め方」を参考にしてください。

当面使わないお金なら債券ファンドも使える

10年以上使う予定のないお金なら、満期のない債券ファンドも使えます。株式の投資信託と組み合わせると、株価が大きく下がった年も、資産全体の値下がりを小さくできます。ただし、債券ファンドも金利が上がれば値下がりしてしまい、戻る日も決まっていません。使う時期が決まっているお金を債券ファンドで持つのは避けましょう。

外国の債券や外国債券のファンドは、金利に加えて為替の動きでも円での金額が変わります。円高になると、債券の値段が変わらなくても円での受取額が減ってしまいます。外貨で持つときの注意点は、「老後資金を外貨預金で持つリスクとは?円に戻すときの損と外貨で持ってよい金額」で紹介しています。

残るのは、年金で足りない生活費を毎年補うお金です。毎年使うお金を、どの満期の債券で持てばよいのでしょうか。

年金の不足を毎年補うなら満期を1年ずつずらす

毎年使うお金を1本の債券で持つと、満期より前の年の分は、その都度売ることになります。売るたびに、そのときの金利で値段が変わってしまいます。

そこで使えるのが、満期を1年ずつずらして債券を持つ方法です。満期が階段のように並ぶことから、「債券ラダー(はしご)」と呼ばれます。

毎年使う額ずつ満期が来るように債券を分ける

たとえば、67歳で年金で足りない額が年120万円なら、1年後から5年後まで、毎年120万円ずつ満期が来るように債券を分けて持ちます。合わせて600万円です。

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満期が来る年満期に戻る額使い道
1年後(68歳)120万円68歳の1年間の不足分
2年後(69歳)120万円69歳の1年間の不足分
3年後(70歳)120万円70歳の1年間の不足分
4年後(71歳)120万円71歳の1年間の不足分
5年後(72歳)120万円72歳の1年間の不足分
合計600万円5年分の不足分

※ 金額は例です。このほか、満期までの間は毎年の利子も受け取れます(税引前の利子から20.315%の税金が差し引かれます)。

毎年1本ずつ満期が来るので、戻ってきた120万円をその年の生活費に回せます。どの債券も満期まで持つため、途中で金利が上がっても値下がりの影響を受けません。相場を見て、売る時期や売る額を考える必要もなくなります。

満期で戻るお金は預金口座や証券口座に入るので、1年分をまとめて普通預金に移せば、毎月の生活費として使えます。

満期が来たら次の債券を買い足すか決める

満期が来たら、戻ったお金を使い切るか、次の債券を買い足すかを決めましょう。

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満期が来たときの動きこんなときに向く5年後の姿
戻ったお金を生活費に使い、持っている債券を1本ずつ減らしていく5年間で不足分をまかない、その後は別の資金に切り替える予定がある5年で600万円を使い切る
戻ったお金は生活費に使い、別の資金から5年後に満期が来る債券を1本足す毎年の不足がこの先も続き、投資信託などの売却代金を債券に移していきたい常に1〜5年後に満期が来る5本がそろう

後者の場合、毎年足していく5年後満期の債券は、そのときの金利で買えます。金利が上がっていれば、次の債券は前より高い利率になります。金利がどう動くかを当てなくても、毎年少しずつ今の金利に合わせていける点が、この持ち方の特徴です。

反対に、金利が下がっていれば、新しく買う債券の利率は下がってしまいます。それでも、5本のうち毎年入れ替わるのは1本だけなので、利子が一度に大きく減ることはありません。

個人向け国債だけなら満期をずらさなくてよい

ここまで読むと、債券ラダーはどの債券でも組むべきものに思えます。ところが、個人向け国債だけで持つなら、満期をずらさなくても同じことができます。

個人向け国債は、発行から1年たてば、いつでも国が額面で買い取るからです。たとえば固定5年を600万円分買っておき、毎年120万円分ずつ換金しても、元本は減りません。差し引かれるのは、換金する分の直前2回分の利子に相当する額だけです。利率が年1%なら、120万円の換金で差し引かれるのは約9,600円です。

つまり、債券ラダーが役に立つのは、満期前に売ると値段が変わる社債や、すでに発行されて売買されている国債(既発債)で持つ場合に限られます。社債は国債より利率が高いことが多い反面、満期前に売ると値下がりや売りにくさの影響を受けてしまいます。満期を1年ずつずらしておけば、毎年の分は満期で受け取れるので、社債の利率を受け取りながら満期前に売らずに済みます。

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社債や既発債で満期をずらして持つ個人向け国債をまとめて買い毎年換金する
毎年の受取額満期に額面で戻る額面から直前2回分の利子相当額を差し引いて戻る
利率社債は国債より高いことが多い社債より低いことが多い
組むときの手間満期の違う債券を探して何本も買う1回で買える
1本あたりの額社債は多くが100万円単位1万円単位で自由に換金できる
気をつけること1社に偏らないように発行した会社を分ける発行から1年は原則として換金できない

社債で組むときは発行した会社も分ける

社債で債券ラダーを組むときは、満期だけでなく、発行した会社も分けましょう。5本すべてを同じ会社の社債にすると、その会社に何かあったときに5年分の生活費がまとめて影響を受けてしまいます。

また、社債は多くが100万円単位でしか買えません。毎年の不足が120万円のように端数のある額なら、100万円ずつの社債で満期をずらし、足りない20万円分は預金や個人向け国債で補う方法もあります。

満期の違う社債や既発債は、証券会社がその時々に売り出している銘柄から選びます。どの満期の銘柄があるかは時期によって違うため、自分で探すより、担当者に「1年後から5年後まで、毎年満期が来るように組みたい」と伝えて、候補を出してもらいましょう。

債券の利子のほかに、投資信託の分配金などで年金を補う方法もあります。分配金との違いは、「毎月分配型の投資信託は老後の年金代わりになる?定期売却との違いと必要な元本」で紹介しています。

ケース別の債券の持ち方

ここまでの考え方を、よくあるケースに当てはめてみます。

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ケース状況(例)持ち方の例
1.3年後にリフォームをする65歳。3年後に500万円を使う予定固定3年の個人向け国債か、3年以内に満期が来る格付けの高い社債で500万円。債券ファンドは使わない
2.退職金の半分を1社の劣後債に勧められた62歳。退職金2,000万円のうち1,000万円を同じ会社の劣後債に格付けと特約を確かめたうえで、1社に入れる額を減らし、残りは個人向け国債や別の会社の社債に分ける
3.年金の不足を毎年補いたい67歳。年金で足りない額が年120万円1〜5年後に満期が来る債券を120万円ずつ、計600万円(債券ラダー)。個人向け国債だけなら固定5年をまとめて買い、毎年換金してもよい
4.株式の投資信託の値動きを抑えたい64歳。株式の投資信託が中心で、10年以上使わないお金がある債券ファンドを組み合わせる。使う時期が決まったお金は個別の債券に移す

※ 年齢や金額は例です。

ケース1では、500万円を3年後に必ず使います。債券ファンドで持つと、3年後に値下がりしていても換金することになってしまいます。満期が3年以内の債券なら、使う時期に額面が戻ります。

ケース2では、勧められた劣後債がAA−の銀行グループのものでも、実質破綻と認定されれば1,000万円全額を失う特約がついています。起きる可能性が低くても、退職金の半分をその1社に預けることになってしまいます。利率が魅力でも、1社に入れる額はその会社に何かあっても暮らしを続けられる範囲にとどめましょう。

このように、どの債券にいくら入れるかは、預金や投資信託を含めた資産全体と、お金を使う予定で決まります。自分の資産で満期と会社の分け方を決めたいときは、資産運用の専門家に一緒に確かめてもらいましょう。

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債券の満期と使う時期が合っているか迷ったら

勧められた債券が自分に合っているかは、商品の説明を読むだけではわかりません。自分のお金をいつ使うかと照らし合わせる必要があるためです。

勧められた社債の条件は担当者に聞く

社債を勧められたら、書面を自分で読み込む前に、まず担当者に聞いてしまいましょう。聞いておきたいのは、発行した会社とその社債の格付け、劣後特約や実質破綻時免除特約・利払繰延条項・期限前償還条項がついているか、満期前に売るといくらで買い取ってもらえそうか、です。

答えを聞いたら、そのお金を使う時期と満期を比べてみましょう。使う時期より満期が後なら、途中で売ることになったときの値下がりを見込んでおきましょう。

債券の配分は資産全体を見られるIFAに相談する

ただ、勧めた金融機関の担当者に聞くと、その金融機関が扱っている債券の中での答えになります。預金や、ほかの金融機関で持っている投資信託まで含めて、どの債券にいくら入れるかを考えてもらうのは難しいものです。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)なら、特定の金融機関に属さない立場で、預金・投資信託・債券を合わせた配分の相談に乗ってもらえます。使う予定のあるお金と時期を伝えれば、満期をどう分けるか、1社にいくらまで入れるかを、あなたの資産の数字で一緒に決められます。

相談の前に資料を作る必要はありません。持っている債券や投資信託の取引画面と、使う予定のお金と時期のメモがあれば、話を始められます。相談先の選び方をもう少し知りたい場合は、「60代の資産運用はどこに相談する?IFAがおすすめな理由と選び方」もあわせて読んでみてください。

資産運用ナビでは、金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料で紹介しています。勧められた債券が使う時期に合っているか、資産全体から相談してみてください。

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60代の債券投資でよくある質問

60代が債券を買うなら、個別の債券と債券ファンドのどちらがよいですか?

使う時期が決まっているお金なら、個別の債券が向いています。満期まで持てば額面が戻るため、使う時期に合わせて満期を選べます。債券ファンドは満期がなく、値下がりが戻る日が決まっていないため、10年以上使う予定のないお金を株式の投資信託と組み合わせるときに使いましょう。

社債を発行した会社が破綻したら、元本はどうなりますか?

約束どおりに返してもらえず、元本の一部または全部が戻らないことがあります。戻る金額は、会社に残っている財産と返済の順番で決まります。劣後債は普通の社債より返済の順番が後になり、銀行グループの劣後債のように実質破綻時免除特約がついていれば、実質破綻と認定された時点で元本と利子の全額が支払われなくなってしまいます。

劣後債は退職金の運用に向いていますか?

劣後債かどうかだけでは決まりません。格付けがAA−の銀行グループの劣後債もあれば、BBB+で満期が35年先の事業会社の劣後債もあります。発行した会社の格付け、ついている特約、満期までの年数を確かめ、持つとしても1社に入れる額はその会社に何かあっても暮らしを続けられる範囲にとどめましょう。

個人向け国債は満期前に換金すると損をしますか?

発行から1年たてば、国が額面で買い取ります。受け取る金額は額面に経過した期間の利子を足し、直前2回分の利子(税引前)に0.79685を掛けた額を差し引いたもので、金利の動きで元本が減ることはありません。ただし、発行から1年たつまでは原則として換金できないため、1年以内に使うお金は預金で持っておきましょう。

【まとめ】60代の債券投資は満期と使う時期を合わせて持つ

債券は、発行した国や会社が払い続ければ、満期に額面の元本が戻ります。ただし、満期前に売れば金利しだいで値下がりし、会社が破綻すれば元本が減ってしまいます。

使う時期が決まっているお金は、その時期までに満期が来る個人向け国債や格付けの高い社債で持ちましょう。年金の不足を毎年補うなら、満期を1年ずつずらす債券ラダーが使えます。満期がない債券ファンドは、10年以上使う予定のないお金を株式の投資信託と組み合わせるときに向いています。

劣後債は種類によって損をする場面が違うため、発行した会社の格付け、特約、満期を確かめましょう。1社に入れる額は、その会社に何かあっても暮らしを続けられる範囲にとどめてください。

どの債券にいくら入れればよいかを自分で決めきれないときは、金融機関とは別の立場の専門家に、資産全体から相談してみましょう。

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出典

※ 本記事は2026年9月時点の情報にもとづいて作成しています。試算は計算のための例で、将来の運用成果を示すものではありません。紹介した劣後債は種類の違いを説明するための例で、個別の商品の購入や売却を勧めるものではありません。

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。

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