退職金を一度に投資するか、少しずつ分けて買うかで迷ったことはありませんか?
退職金が振り込まれ、運用に回す額もおおよそ決めた。ところが、いざ買う段階になると手が止まります。「一括のほうが増える」という話もあれば、「分けて買うほうが安心」という話もある。買った翌月に大きく下がったら、取り戻す前にお金を使う時期が来てしまうのではないか。そう考えると、なかなか注文を出せません。
こうした迷いを減らすためにも、運用に回す額を決めたら、途中で下がっても売らずに続けられる期間を選んで分けて買いましょう。過去のデータでは、一度に投資したほうが増えた期間のほうが多くなっています。しかし、退職金は金額が大きく、買った直後の下落に耐えきれず売ってしまうと、損失が確定してしまいます。
NISAで買う場合は、1年に360万円までしか買えません。1,000万円を超える額は、どちらを選んでも数年に分けることになります※。
この記事では、一括投資と分けて買う方法で増え方と減り方がどう変わるかを、1,000万円の試算で比べました。そのうえで、分けて買う期間の決め方と、相場が大きく動いたときの対応を紹介します。退職金の買い方を決めるときの参考にしてください。
- 1,000万円を一括と分割で買ったときの増減の例
- 退職金を分けて買う期間と毎月の金額の決め方
- NISAの年間投資枠に合わせた購入計画の例
- 相場が大きく下がったときに計画を変える条件
※この記事は、受け取った退職金をどう投資するか(買い方)の話です。退職金を一時金で受け取るか年金で受け取るかは扱いません。
※ 制度・数値は2026年9月時点の情報です。
そもそも60代からNISAを始めるかどうかで迷っている場合は、60代からNISAを始めてよい人と見送る人の違いを参考にしてください。
退職金は一括投資と積立のどっちがいい?下がっても待てるかで選ぶ
増える見込みが高いのは一括投資です。ただし、退職金を運用するなら、買った直後に下がっても売らずに続けられるかどうかで、一括か分割かを選びましょう。下がった途中で売ってしまうと、一括投資で増える見込みも受け取れなくなってしまうためです。
増える見込みが高いのは一括投資
分けて買うほうが損をしない、と考える方は多いのではないでしょうか。ところが、過去のデータを見ると結果は逆です。
運用会社のバンガードは、米国・英国・欧州など7つの市場の過去データ(最も長いもので1976〜2022年)を使い、まとまったお金を一度に投資した場合と、3か月に分けて投資した場合を比べました。1年ごとの期間で成果を比べると、一度に投資したほうが上回った期間は、市場によって61.6〜73.7%ありました。分ける期間を長くするほど、一度に投資したほうが上回る割合は高くなっています。
理由は、株式が長い目で見ると値上がりしてきたことにあります。早く買った人ほど、値上がりを受け取る期間が長くなります。反対に分けて買うと、まだ買っていないお金はその間、預金のまま置かれてしまいます。
分けて買えば最初の下落で減る額は小さい
それでも、一括投資をためらう気持ちには理由があります。同じ調査で、成果が悪かったほうから5%の場面を比べると、今度は分けて買ったほうが上回りました。上回った幅は、株式だけで運用した場合で3.6%、株式4割・債券6割で0.6%でした。
つまり、分けて買う方法は、増やす方法というより、大きく下がった場面で減る金額を小さくする方法です。一度に1,000万円を投資すれば、翌月の下落はその1,000万円全体にかかります。12回に分けていれば、下落がかかるのは1回目に買った約83万円だけで済みます。
退職金の運用で後悔を招くのは、多くの場合この「最初の下落」です。値下がりした画面を見続けて不安になり、下がったところで売ってしまうと、その後に値が戻っても損失は取り戻せなくなってしまいます。一括投資の成果は、下がっても持ち続けた場合の数字だと考えておきましょう。
【診断】自分に合う買い方と分ける期間を出す
一括で買ってよいか、分けるなら何年・毎月いくらかは、運用に回す額と、いくら減るまで待てるかで変わります。4つの質問にタップで答えると、自分に合う買い方の目安がわかります。運用に回す額が決まっていない場合や、いくら減るまで待てるかわからない場合は、「まだ決めていない」「わからない」を選んでください。
退職金のうち、運用に回す額はいくらですか?
手元に残す現金を除いた額で、近いものを選んでください。
買った直後に値下がりしたら、いくら減るまで売らずに待てますか?
生活に響かない額を選びましょう。
買い始めた直後に、どのくらいの下落に備えますか?
買う商品全体の値下がり率です。迷ったら「3割」を選んでください。
どの口座で買いますか?
NISAで1年に買えるのは360万円(毎月30万円)までです。
では、一括と分割では、増え方と減り方が具体的にどう変わるのでしょうか。
一括投資と分けて買う方法で変わる増え方と減り方
一括投資は値上がりを受け取る期間が長いぶん多く増え、分けて買う方法は下がったときに減る金額を抑えられます。ただし分けて買うと、買い終わるまでの待機資金は増えません。NISAで買う場合は、年間の枠によって買える額にも上限があります。
| 比べること | 一括投資 | 分けて買う |
|---|---|---|
| 値上がりしたとき | 最初から全額に値上がりがかかる | 後から買う分は高い価格で買うことになる |
| 値下がりしたとき | 全額に値下がりがかかる | 買った分にだけかかる。下がった価格で多くの口数を買える |
| まだ買っていないお金 | なし | 買い終わるまで預金などに置かれ、ほとんど増えない |
| 手間 | 注文は1回 | 積立設定をすれば自動。途中で計画を変えるかを考える場面がある |
| NISAの枠 | 成長投資枠なら1年240万円まで一度に買える | つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1年360万円まで |
| 向いている人 | 値下がりしても売らずに持ち続けられる。債券の割合が高い | 初めて投資する。最初の下落で売ってしまいそうで不安 |
分けて買うと平均の購入価格がならされる
毎月同じ金額で買い続けると、価格が低い月には多くの口数を、高い月には少ない口数を買うことになります。この買い方をドル・コスト平均法と呼びます。
| 購入月 | 基準価額(1万口あたり) | 購入額 | 買えた口数 |
|---|---|---|---|
| 1か月目 | 10,000円 | 30万円 | 30万口 |
| 2か月目 | 8,000円 | 30万円 | 37.5万口 |
| 3か月目 | 12,000円 | 30万円 | 25万口 |
| 合計 | 平均購入価格 約9,730円 | 90万円 | 92.5万口 |
※ 基準価額の3か月の平均は10,000円。手数料は考慮していません。
基準価額※の平均は10,000円でも、毎月同じ金額で買うと、1万口あたりの購入価格は約9,730円に下がりました。値下がりした月に多く買えるためです。
※ 基準価額:投資信託の1万口あたりの値段。投資信託が持っている株や債券の値動きで毎日変わります。
こう聞くと、分けて買うほうが必ず得に思えるかもしれません。しかし、値上がりが続く相場では、後から買う分ほど高くなり、一括で買った場合より平均の購入価格は上がってしまいます。
まだ買っていないお金は預金のまま増えない
分けて買う場合、まだ買っていないお金(待機資金)は、買い終わるまで普通預金などに置いておきます。1,000万円を2年24回に分けるなら、1年目の終わりでもまだ500万円が預金です。
それなら、できるだけ長く分けたほうが安全だと考える方もいるでしょう。たしかに、分ける期間を長くするほど途中で減る金額は小さくなります。一方で、預金に置かれる期間も長くなり、値上がりした相場では一括に比べて増える額が少なくなってしまいます。物価が上がっている時期なら、預金に置いている間に同じ金額で買える物も減ってしまいます。分ける期間は、長くすればよいわけではありません。
NISAで買えるのは1年に360万円まで
退職金をNISAで運用するなら、年間投資枠も買い方を決める条件になります。NISAで1年に買えるのは、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合わせた360万円までです。非課税で持てる上限は、合計で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)です。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 1年に買える額 | 120万円 | 240万円 |
| 買い方 | 積立のみ | 一度にまとめて買うことも、積立もできる |
| 非課税で持てる上限 | 2つの枠の合計で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) | |
| 使わなかった枠 | 翌年に繰り越せない | |
つまり、退職金1,000万円をすべてNISAで買う場合、一括投資を選んでも最短で3年に分かれます。1,800万円なら最短5年です。NISAの枠を超える分は特定口座でも買えますが、その場合は利益に20.315%の税金がかかってしまいます。
では、同じ1,000万円を一括で買った場合と、12回に分けた場合で、相場の動きごとにいくら変わるのでしょうか。
1,000万円を一括と12回で買った場合の増減
値上がりが続く相場では一括投資が多く増え、下がる相場や下がってから戻る相場では分けて買ったほうが多く残ります。ただ、どの相場になるかは買う前にはわかりません。そこで1年後の金額に加えて、途中でいちばん減ったときの金額も比べてください。
次の表では、1,000万円を初月に一括で買う場合と、毎月約83万円ずつ12回で買う場合を、4通りの値動きで試算しました。
| 値動き(基準価額) | 一括の1年後 | 12回に分けた1年後 | 一括が途中でいちばん減った額 | 分割が途中でいちばん減った額 |
|---|---|---|---|---|
| 上がり続ける(100→120) | 1,200万円 | 約1,102万円 | 減らない | 減らない |
| 下がり続ける(100→80) | 800万円 | 約884万円 | −200万円 | 約−116万円 |
| 半年下がって戻る(100→70→100) | 1,000万円 | 約1,190万円 | −300万円 | 約−96万円 |
| 上下して横ばい(100前後) | 1,000万円 | 約1,003万円 | −80万円 | 約−37万円 |
※ 基準価額100で1,000万円分を買えるものとし、12か月後の評価額を比べた編集部の試算です。分割の金額は、買った投資信託と、まだ買っていない預金の合計。手数料・税金・預金の利息は考慮していません。実在の指数や商品の値動きではありません。
1年間上がり続けた場合
基準価額が1年で100から120へ上がり続けた場合、一括で買った1,000万円は1,200万円になります。12回に分けて買った場合は約1,102万円で、一括のほうが約98万円多く増えました。
分けて買った人の平均購入価格は約108.9でした。後から買う分ほど高い価格で買ったため、受け取れた値上がりは一部にとどまりました。
1年間下がり続けた場合
反対に、100から80へ下がり続けた場合、一括で買った1,000万円は800万円になり、200万円減ってしまいます。12回に分けた場合は約884万円で、減った額は約116万円です。分けて買ったほうが、減る額が約84万円少なくなりました。
ただし、分けて買っても損失は避けられません。下がり続ける相場では、分けて買う方法も、減る金額を小さくするにとどまります。
半年下がってから元の価格に戻った場合
退職金の運用で最もつらいのは、この値動きです。100から70まで半年下がり、その後の半年で100に戻る相場を考えます。
一括で買った場合、1年後の金額は1,000万円で、元に戻っただけです。しかも半年後の時点では700万円まで下がり、300万円減った状態を見ることになってしまいます。12回に分けた場合は、半年後にいちばん減った額が約96万円です。70前後の安い価格で多くの口数を買えたため、1年後には約1,190万円になりました。
一括で買った人が元の1,000万円に戻るには、300万円減った状態を半年見続けて、売らずにいる必要があります。途中で不安になって売れば、700万円で損失が確定してしまいます。
上下しながら元の価格に戻った場合
上がったり下がったりを繰り返し、1年後に100に戻った場合は、一括も分割も1年後の金額はほぼ同じです。途中でいちばん減った額は、一括が80万円、分割が約37万円でした。
4通りを比べると、1年後の金額でどちらが有利になるかは相場しだいです。一方、途中でいちばん減った額は、どの値動きでも分けて買ったほうが小さくなっています。
つまり、一括か分割かを決めるときに確かめたいのは、相場の予想ではなく「300万円減った状態を半年見ても売らずにいられるか」です。いられるなら一括、自信がなければ分けて買いましょう。
では、分けて買うなら、何年・何回に分ければよいのでしょうか。
退職金を分けて買う期間と毎月の金額の決め方
分けて買う計画は、運用に回す額、分ける期間、まだ買っていないお金の置き場所の順に決めましょう。分ける期間は、NISAの枠で買い終わる年数と、途中で減っても続けられる金額から決まります。
分ける前に運用に回す額を決める
一括か分割かは、運用に回すと決めたお金を「いつ買うか」の話です。いくら運用に回すかは、分ける期間より先に決めておきましょう。
運用に回す額が決まらないまま分けて買い始めると、途中で相場が上がったときに「もっと入れればよかった」、下がったときに「入れすぎた」と、運用に回す額から迷い直すことになってしまいます。年金で足りない生活費と、医療や住まいの出費に備える現金を先に残してください。そのうえで、下がっても暮らしを変えずに済む金額を運用に回しましょう。
アドバイザーナビが55歳以上の退職者113名に聞いた調査では、退職金を運用に回している人は約47%、全額を預金にしている人は38.9%でした。運用に回している人も、退職金の全額を投資しているとは限りません。
手元に残す現金と運用に回す額の決め方は、60代の資産運用ポートフォリオの決め方で紹介しています。
分ける期間は1〜3年を目安にする
何年に分けるかは、途中でいちばん減る額と、NISAの枠の2つから決めましょう。
| 決めること | 確かめること | 例 |
|---|---|---|
| 期間の短さの下限 | 途中でいちばん減る額が、減っても暮らしを変えずに済む金額に収まるか | 300万円は困るが100万円なら続けられる → 1年以上に分ける |
| 期間の長さの上限 | NISAで買うなら、枠で買い終わる年数 | 1,000万円なら3年、1,800万円なら5年 |
上の試算のように、半年下がって戻る値動きでは、1年に分けるだけで途中でいちばん減る額が一括の3分の1ほど(300万円→約96万円)になりました。そのため編集部では、1〜3年を目安にしています。5年以上に分けると、最初の数年は退職金の大半が預金のまま置かれてしまいます。
分ける期間と回数が決まれば、1回あたりの金額は運用に回す額を回数で割るだけです。毎月決まった日に同じ額を買う積立設定にしておけば、相場を見て毎回迷うこともなくなります。
買うまでのお金は普通預金か定期預金に置く
分ける期間が決まったら、まだ買っていないお金の置き場所も決めておきます。買う予定の月までに、確実に引き出せる場所を選びましょう。
| 置き場所 | 向いているお金 | 注意すること |
|---|---|---|
| 普通預金 | 数か月以内に買う分 | 利息はわずか |
| 定期預金 | 買う時期が決まっている分(満期を購入月に合わせる) | 満期前に解約すると、利息が少なくなる |
| 個人向け国債 | 1年以上先に買う分 | 発行から1年たつまで換金できない。換金時は直前2回分の利子相当額(税引前)×0.79685が差し引かれる |
個人向け国債は、元本割れしない置き場所として候補に挙がりがちです。ただ、発行から1年間は換金できないため、1年以内に買う予定のお金を置くと、下がった月に前倒しで買うこともできなくなってしまいます。
預金や国債の特徴は、まとまったお金の預け先でも比べています。
ここからは、年齢や投資経験が違う人を想定して編集部が作成した購入計画の例です。
例①NISAで1,000万円を3年に分けて買う
60歳で定年を迎えたAさんは、退職金2,000万円のうち、10年以上使わない1,000万円を運用に回すと決めました。再雇用で働いているため、当面の生活費は給与でまかなえます。
AさんはすべてNISAで買う予定のため、そもそも一括投資はできません。そこで、年360万円の枠に合わせて3年で買い終える計画にしました。1年目と2年目は、毎月つみたて投資枠で10万円、成長投資枠で20万円を積み立てます。3年目は残りの280万円を12回に分けます。まだ買っていないお金は、普通預金と、購入時期に合わせた定期預金に置きます。
例②初めての投資なので2年に分けて買う
65歳で年金生活に入ったBさんは、投資の経験がありません。退職金と預金から600万円を運用に回すと決めましたが、値下がりした画面を見るのが怖いと感じています。
そこでBさんは、600万円を2年24回に分け、毎月25万円ずつNISAで買う計画にしました。1年に300万円なので、NISAの枠に収まります。途中で基準価額が3割下がっても、下落がかかるのはそれまでに買った分だけです。1年目の終わりでも半分の300万円は預金に残っているため、下がったときに生活費が足りなくなることもありません。
例③債券が多いので一括か数回で買う
63歳のCさんは、会社員時代から投資をしてきました。NISAの枠は毎年の積立ですでに使っているため、退職金から運用に回す1,000万円は特定口座で買います。値動きを抑えるため、株式4割・債券6割の配分にしました。
債券の割合が高いと、一括でも分割でも、下がったときに減る金額はもともと小さくなります。バンガードの調査でも、株式4割・債券6割の場合、成果が悪い場面で分けて買ったほうが上回った幅は0.6%にとどまりました。Cさんのように配分で値動きを抑えていて、投資経験もある場合は、一括で買うか、3〜6回に分ける程度で十分です。
例④持っている投資信託と重ねずに買う
62歳のDさんは、特定口座で投資信託を500万円分持っています。退職金から新たに800万円を運用に回すにあたり、分けて買う対象は新たに投資する800万円です。
ただし、買い始める前に、すでに持っている投資信託と同じような商品を重ねて買っていないかを確かめてください。同じ投資先の商品を買い足すと、値下がりしたときに資産全体の減り方が大きくなってしまいます。持っている投資信託をNISAで買い直すかどうかは、売ったときの税金と費用を計算してから別に決めましょう。
買い直すときの比べ方は、特定口座の投資信託をNISAで買い直すときの比べ方で紹介しています。
4人の購入計画をまとめると、次のようになります。
| 項目 | Aさん(60歳) | Bさん(65歳) | Cさん(63歳) | Dさん(62歳) |
|---|---|---|---|---|
| 運用に回す額 | 1,000万円 | 600万円 | 1,000万円 | 800万円(新規分) |
| 口座 | NISA | NISA | 特定口座 | NISA・特定口座 |
| 分ける期間・回数 | 3年・36回 | 2年・24回 | 一括または3〜6回 | 2年・24回 |
| 毎月の購入額 | 30万円(3年目は約23万円) | 25万円 | ― | 約33万円 |
| 分ける理由 | NISAの枠 | 初めての投資で値下がりが心配 | 債券が多く値動きが小さい | 保有分と合わせた値動きを抑える |
| 待機資金の置き場所 | 普通預金・定期預金 | 普通預金 | 普通預金 | 普通預金・定期預金 |
※ 金額は例です。Dさんの毎月の購入額は、NISAで年360万円、残りを特定口座で買う想定です。
どの例に近いかは、年金の額や、これから使う予定によって変わります。自分の場合の期間と回数を1人で決めきれないときは、相談しながら決めましょう。
\ 自分に合う期間と毎月の金額をプロと決める /
購入計画を立てても、実際に買い始めると相場は動きます。大きく下がったときや、上がり続けているときに、計画を変えてよいのでしょうか。
暴落待ちや買い増しは先に条件を決めておく
暴落を待ってから買い始めると、待っている間に値上がりして買い始められなくなってしまいます。下がったときに買い増すなら、待機資金の範囲で次回以降の分を前倒しする、と条件を先に決めておきましょう。
| 状況 | 変えてよいこと | 変えないこと |
|---|---|---|
| 相場が大きく下がった | 待機資金の範囲で、次回以降の分を前倒しして買う | 生活に使う現金には手をつけない。運用に回す額は増やさない |
| 相場が上がり続けている | 何もしない(計画どおり買い続ける) | 残りを急いで一度に買わない。買うのを止めない |
| 急な出費が必要になった | 待機資金から出し、その分だけ運用に回す額を減らす | 買った投資信託を慌てて売らない |
| 年末にNISAの枠が残っている | 何もしない(翌年の枠で計画どおり買う) | 枠を埋めるために前倒しで買わない |
| 収入や健康、使う予定が変わった | 運用に回す額から見直す | 相場の動きだけを理由に計画を変えない |
暴落を待つと買い始められなくなってしまう
「今は高いから、暴落してから退職金を入れたい」と考える方もいます。気持ちは自然ですが、暴落がいつ来るか、どこが底かは誰にもわかりません。
待っている間に相場が上がり続けると、買い始める価格はどんどん高くなってしまいます。いざ下がり始めても、「もっと下がるかもしれない」と待ってしまい、結局買えないまま時間が過ぎることもあります。
暴落を待つより、決めた期間で分けて買い始めましょう。分けて買っていれば、途中で下がったときには安い価格で多くの口数を買えます。
買った後に下がって含み損が出たとき、売るか持ち続けるかは、値下がりした投資信託を売るか持つかの決め方を参考にしてください。
買い増すなら次回以降の分を前倒しする
大きく下がった月に、残りの待機資金を全部入れたくなることがあります。しかし、下がり始めた時点では、そこからさらに下がるかどうかはわかりません。待機資金を一度に使うと、そこから先の下落をすべて受けることになってしまいます。
買い増すなら、「基準価額が買い始めより2割下がったら、翌月と翌々月の分を前倒しする」のように、きっかけと金額を先に決めておきましょう。前倒しした分だけ、残りの回数を減らしてください。こうしておけば、運用に回す額も買い終わる時期も変わらず、生活に使う現金に手をつけることもありません。
年末にNISAの枠が残っても急いで買わない
NISAの年間投資枠は、使わなかった分を翌年に繰り越せません。そのため年末が近づくと、「残りの枠を埋めないと損」と感じて、まとめて買いたくなることがあります。
しかし、枠を埋めるために前倒しで買うと、分けて買うと決めた計画を崩してしまいます。国民生活センターも「『非課税投資枠を使い切らなければ損』という考えは捨てましょう」と呼びかけています。枠が残っていても、翌年の枠で計画どおり買いましょう。
ここまでの条件を、自分の退職金の額や年金、使う予定に当てはめて決めるには、どうすればよいのでしょうか。
退職金の購入計画は無料相談で決める
運用に回す額、分ける期間と回数、下がったときの動き方は、相談しながら一度に決めてしまいましょう。買い時を当ててもらうための相談ではありません。相場が動いても続けられる買い方を、自分の家計に合わせて決めるための相談です。
銀行で一括購入を勧められたら買う前に確かめる
退職金が振り込まれると、銀行や証券会社から運用の案内を受けることが増えます。退職金の一部を定期預金にすると金利が上乗せされる代わりに、投資信託などを同時に買う「セットプラン」を勧められることもあります。
日本FP協会の生活設計の教材でも、値動きのある商品は一度にまとめて買わず、何回かに分けて買うことを勧めています。勧められた商品を一度にまとめて買う前に、その商品を売る立場にない相談先で、金額と買い方を確かめましょう。
勧められた投資信託を買う前に確かめたいことは銀行で勧められた投資信託の確かめ方、セットプランの注意点は退職金のセットプランの注意点で紹介しています。
IFAに相談して金額と期間を一度に決める
一括か分割か、何年に分けるか、下がったら前倒しするか。どれも、年金の額、これから使う予定、すでに持っている資産によって答えが変わります。1人で決めようとすると、運用に回す額と期間の関係や、NISAと特定口座の使い分けを何度も考え直すことになってしまいます。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)に相談すれば、資産全体を見たうえで、運用に回す額・分ける期間・口座の使い分けを一緒に決められます。買い始めた後も、相場が大きく下がったときに、計画どおり続けるか、前倒しするかを同じ相手に相談できます。相談には、退職金の額と、今の預金や投資信託がわかる通帳や取引報告書を持って行けば十分です。
資産運用ナビでは、金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料でご紹介します。一括か分割かで迷っている段階から相談できるため、買い始める前に計画を決めておきましょう。
\ 買い始める前に計画をプロと決める /
退職金の一括投資と積立でよくある質問
退職金をNISAで一度に全額投資できますか?
1年に買えるのは360万円までのため、それを超える額を一度に投資することはできません。一度にまとめて買えるのは成長投資枠の1年240万円までで、つみたて投資枠の120万円は積立でしか買えません。
相場が上がり続けたら残りをまとめて買ってもよいですか?
上がっていることを理由に計画を変えるのは避けましょう。まとめて買った直後に下がると、分けて買うと決めた意味がなくなってしまいます。上がり続けていても、計画どおり買い続けてください。
毎月の積立日は何日にしても変わりませんか?
何日に買うと有利、という決まりはありません。給与や年金の振込日の後など、待機資金を置いている口座から確実に引き落とせる日を選びましょう。
分けて買うのを途中でやめてもよいですか?
やめられます。まだ買っていないお金は、預金として手元に残ります。ただし、相場が下がったことだけを理由にやめると、安い価格で買える機会を逃してしまいます。やめるのは、急な出費や使う予定の変化など、運用に回す額を見直す理由があるときにしましょう。
【まとめ】退職金は下がっても待てる期間で分けて買う
増える見込みが高いのは一括投資です。しかし、退職金は金額が大きく、買った直後の下落で売ってしまうと損失が確定してしまいます。
運用に回す額を決めたら、途中でいちばん減る額が暮らしを変えずに済む範囲に収まる期間を選び、1〜3年を目安に分けて買いましょう。NISAで買う場合は、1年360万円の枠に合わせて期間を決めてください。
買い始めたら、暴落を待ったり年末に枠を埋めたりせず、先に決めた条件で動きましょう。運用に回す額や期間、口座の使い分けを1人で決めきれないときは、IFAに相談してください。
\ 通帳と取引報告書を持っていくだけでOK /
