特定口座で持っている投資信託を、NISAで買い直したほうがいいのか迷ったことはありませんか?
NISA口座を開いたものの、枠はほとんど使っていない。家族やネットでは「NISAに移したほうが得」と聞く。ところが調べてみると、特定口座の商品はNISAにそのまま移せず、一度売るしかありません。長く持ってきた投資信託ほど値上がりしていて、売れば利益に税金がかかってしまいます。税金を払ってまで買い直す意味があるのか、決めきれずにいる方も多いでしょう。
ただ、買い直すかどうかは、今かかる税金の額だけで決めるものではありません。そのお金をいずれ売って使うなら、今の含み益にかかる税金は、値下がりしない限り、今払っても後で払っても同じ額です。手数料がかからず、しばらく使わないお金であれば、買い直したほうが手取りは多くなります。反対に、買い直しの手数料がかかる、数年以内に使う予定がある、NISAの枠を預金で埋められる、といった場合は、特定口座に残したほうが手取りは減らずに済みます。
この記事では、売るときにかかる税金と費用をもとに、買い直した場合と特定口座に残した場合の手取りを比べます。あわせて、ケースごとの判断と、買い直すときの売る順番を紹介します。ご自身の保有商品をどうするか決めるときの参考にしてください。
- 税金を払って買い直すと、手取りは増える?減る?
- 含み損がある商品は、先に売ったほうがいい?
- 数年以内に取り崩すお金も、NISAに移すべき?
- NISAの枠は、預金で使うのと買い直しで使うのとどちらがいい?
※税制・NISA制度の情報は2026年9月時点のものです。
NISAを始めるかどうかから考えたい方は、「60代からNISAはやめたほうがいい?始めてよい人・見送る人と口座の選び方」をご覧ください。
特定口座の投資信託はNISAで買い直すべき?
含み損がある商品や含み益の小さい商品は、買い直しても手取りがほとんど減らないため、NISAへ移す候補です。
含み益が大きい商品も、手数料がかからず、当面使う予定のないお金なら、買い直したほうが手取りは多くなります。特定口座に残したほうがよいのは、手数料がかかる場合、数年以内に使う場合、NISAの枠を預金で埋められる場合です。
特定口座の商品はそのままNISAへ移せない
特定口座や一般口座で持っている投資信託や株を、NISA口座へそのまま移すことは制度上できません。NISAで持ちたい場合は、特定口座で売り、そのお金でNISA口座から買い直します。
売った時点で、含み益には税金がかかってしまいます。長く持ってきた商品ほど含み益は大きく、この税金が損に思えて、買い直しをためらう方も多いのではないでしょうか。しかし、税金が損になるかどうかは、その商品を今後どうするかで変わります。
買い直してよい商品と特定口座に残す商品
買い直すかどうかは、商品ごとの含み損益と、そのお金を使う時期で決まります。
| 保有商品の状態 | 10年以上使う予定がない | 数年以内に使う予定がある |
|---|---|---|
| 含み損がある | 買い直す候補。売っても税金はかからず、損失は同じ年の特定口座の利益と相殺できる | 特定口座に残し、使うときに売る |
| 含み益が小さい | 買い直す候補。税金はわずかで済む | 特定口座に残し、使うときに売る |
| 含み益が大きい | 手数料がかからなければ買い直す。手数料がかかるなら、取り戻すまでの年数で決める | 特定口座に残す。買い直しても非課税で運用できる期間が短い |
表のどこに当てはまるかは、証券会社の取引画面にある保有商品の一覧か、窓口で担当者に出してもらう一覧で確かめましょう。評価額と買ったときの金額が並んでいるので、含み損益はすぐにわかります。
NISAの枠は預金で使うこともできる
NISAの枠を使う方法は、特定口座の商品の買い直しだけではありません。投資に回せる預金があるなら、その預金でNISAの商品を買い、特定口座の商品はそのまま持ち続ける方法もあります。
この方法なら、特定口座の含み益に今は税金がかからず、NISAの枠も埋まります。預金が十分にあり、NISAの生涯の上限1,800万円を預金だけで埋められるなら、買い直す必要はありません。
【診断】買い直すか特定口座に残すかを確かめる
いちばん金額の大きい商品について、質問にタップで答えてください。含み損益・手数料・使う時期・預金の使い方から、買い直すか特定口座に残すかの目安がわかります。
約1分・タップで答える診断
特定口座の投資信託はNISAで買い直す?判断の目安診断
いちばん金額の大きい商品を思い浮かべて答えてください。買い直すか、特定口座に残すかの目安がわかります。
- 買い直す含み損など
- 分けて買い直す年240万円ずつ
- 特定口座に残す近く使う・手数料
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まず保有商品の一覧を出してもらい、含み損益と手数料を確かめましょう。
近く使うお金は、買い直しても手取りはほぼ増えません。使うときに売りましょう。
NISAは預金で使えば、特定口座の商品は売らずに済みます。
同じ商品はNISAで買えません。手数料なしの別の商品と比べましょう。
売っても税金はかかりません。手数料なしの商品をNISAで買い直しましょう。
手数料の分、しばらくは残したほうが手取りは多くなります。
手数料なしで買える販売会社を探してから移しましょう。
含み益の小さい商品から年240万円ずつ移しましょう。
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では、預金では枠を埋めきれず、特定口座の商品を買い直すとしたら、売るときに手元のお金はどれだけ減るのでしょうか。
買い直すと手取りはいくら減る?売るときにかかる税金と費用
売るときに減るのは、含み益にかかる税金と、商品によって差し引かれる信託財産留保額です。
買い直すときには、販売会社によって購入時手数料もかかってしまいます。
次の表は、評価額1,000万円の投資信託を特定口座で売った場合の試算です。信託財産留保額は0.3%としています。
| 買ったときの金額 | 信託財産留保額 | 損益 | 税金 | 手元に残る金額 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 3万円 | +497万円 | 約101万円 | 約896万円 |
| 800万円 | 3万円 | +197万円 | 約40万円 | 約957万円 |
| 1,200万円 | 3万円 | −203万円 | 0円 | 997万円 |
※ 金額はすべて仮の例です。信託財産留保額がかからない商品もあります。
売ると2割ほどが税金で消えてしまう、と思われがちです。しかし、税金がかかるのは含み益の部分だけです。買ったときの金額が800万円なら、手元に残るのは約957万円で、1,000万円のうち約96%をNISAで買い直せます。買ったときより値下がりしていれば、税金は1円もかかりません。
含み益には20.315%の税金がかかる
税金は、売った金額全体ではなく、利益の部分にだけかかります。上の表で買ったときの金額が500万円なら、利益497万円に20.315%をかけた約101万円が差し引かれます。
20.315%の内訳は、所得税15%、復興特別所得税※0.315%、住民税5%です。
※ 復興特別所得税:2027年1月からは防衛特別所得税が加わりますが、同時に復興特別所得税の税率が下がるため、合計の20.315%は変わりません。
源泉徴収ありの特定口座なら確定申告をしなくてよい
源泉徴収ありの特定口座で売れば、税金は口座の中で差し引かれ、確定申告をしなくても手続きが済みます。確定申告をしなければ、売った利益は国民健康保険料の計算や、70歳以上の医療費の自己負担割合の判定にも含まれません。
含み益の大きい商品を売っても、保険料が上がる心配はありません。ただし、損失を翌年に繰り越すためや、ほかの証券会社の利益と相殺するために確定申告をすると、その利益が保険料の計算に含まれてしまいます。申告する前に、お住まいの市区町村の窓口で保険料への影響を確かめましょう。
含み損がある商品は税金がかからず同じ年の利益と相殺できる
一方、買ったときより値下がりしている商品なら、売っても税金は差し引かれずに済みます。そのうえ、その損失は、同じ年に同じ特定口座で出た利益と相殺されます。
たとえば、同じ年に特定口座で含み益のある商品を売り、税金が差し引かれていたとします。そのあとに含み損のある商品を売れば、差し引かれすぎた税金が口座に戻ります。含み損のある商品は、買い直すときにいちばん負担の少ない商品です。
ただし、NISAで買い直した後に値下がりして売っても、その損失はなかったものとされてしまいます。特定口座の利益と相殺することも、翌年以降に繰り越すこともできません。特定口座で出た損失は税金を減らせますが、NISAで出た損失は税金を1円も減らしません。
詳しくは「60代の投資信託・株の売り時は?利益確定・損切りと保有継続の判断」をご覧ください。
買い直すときの購入時手数料と信託財産留保額
同じ投資信託でも、購入時手数料は販売会社によって違います。ネット証券では手数料がかからない商品が多い一方、銀行や対面の証券会社では、買う金額の数%がかかる商品もあります。
売るときにも、信託財産留保額が差し引かれる商品があり、差し引かれる割合は商品ごとに違います。どちらがかかるかは、その商品の交付目論見書で確かめられます。窓口で買った商品なら、担当者に「売るときと買うときにかかる費用」を聞いてください。その場で答えてもらえます。
含み益の大きい商品を売れば、100万円単位の税金を先に払うことになります。その税金を払ってまで買い直して、特定口座に残しておいた場合より手取りは本当に増えるのでしょうか。
買い直した場合と特定口座に残した場合で手取りを比べる
そのお金をいずれ売って使うなら、手数料がかからない限り、買い直したほうが手取りは多くなります。
手取りが減ってしまうのは、買い直しに手数料がかかる場合と、買い直した後に値下がりした場合です。
いずれ売るなら含み益の税金は先に払っても後で払っても同じ
特定口座に残しておけば、税金を払わずに済むように思えます。しかし、特定口座の商品も、使うときには売ります。そのとき、今の含み益にも、この先の値上がり分にも、まとめて20.315%の税金がかかってしまいます。値下がりしない限り、今の含み益にかかる税金は、今払っても後で払っても同じ額です。
買い直した場合は、今の含み益の税金を先に払います。その分、NISAで運用できる金額は少なくなってしまいます。一方で、買い直した後の値上がり分には税金がかかりません。
次の表は、評価額1,000万円・買ったときの金額500万円の投資信託について、買い直した場合と残した場合を比べた試算です。どちらも、表の年数が経ったときに全部売ったとして計算しています。
| 条件 | 売るまでの年数 | 買い直した場合の手取り | 残した場合の手取り | 買い直した場合の増減 |
|---|---|---|---|---|
| 年3%で増える・手数料なし | 1年 | 約925万円 | 約922万円 | 約3万円多い |
| 年3%で増える・手数料なし | 5年 | 約1,042万円 | 約1,025万円 | 約16万円多い |
| 年3%で増える・手数料なし | 10年 | 約1,207万円 | 約1,173万円 | 約35万円多い |
| 年3%で増える・購入時手数料2.2% | 1年 | 約905万円 | 約922万円 | 約17万円少ない |
| 年3%で増える・購入時手数料2.2% | 5年 | 約1,019万円 | 約1,025万円 | 約7万円少ない |
| 年3%で増える・購入時手数料2.2% | 10年 | 約1,181万円 | 約1,173万円 | 約8万円多い |
| 年2%で減る・手数料なし | 1年 | 約881万円 | 約883万円 | 約2万円少ない |
| 年2%で減る・手数料なし | 5年 | 約812万円 | 約822万円 | 約10万円少ない |
| 年2%で減る・手数料なし | 10年 | 約734万円 | 約753万円 | 約19万円少ない |
※ 金額はすべて仮の例です。利回りは毎年一定とした仮定の計算で、信託財産留保額は含めていません。将来の運用成果を示すものではありません。
手数料がかからなければ、1年後にはもう買い直した場合の手取りが上回ります。税金を払った分を何年もかけて取り戻す、ということにはなりません。買い直した後の値上がり分に税金がかからないためです。
手取りが減るのは手数料がかかるときと値下がりしたとき
購入時手数料が2.2%かかると、買い直した場合の手取りは、7年目までは残した場合を下回ってしまいます。上回るのは8年目からです。8年以上使わないお金でなければ、手数料のかかる販売会社で買い直すのは見送りましょう。
値下がりした場合も、買い直したほうが手取りは少なくなってしまいます。特定口座に残していれば、値下がりした分だけ売るときの税金も減ります。NISAでは、値下がりしても払い済みの税金は戻らず、損失もなかったものとされてしまうからです。
とはいえ、値上がりするか値下がりするかは、買い直す時点ではわかりません。買い直すかどうかは、手数料をかけずに買えるかと、長く持っていられるお金かで決めましょう。
数年以内に取り崩すお金は買い直しても非課税の効果が小さい
表のとおり、手数料がかからなくても、1年後に売るなら買い直した効果は約3万円にとどまります。数年以内に生活費として取り崩すお金は、買い直しても非課税で運用できる期間が短く、手間のわりに手取りはほとんど増えません。
取り崩しが近いお金は特定口座に残し、NISAと特定口座のどちらから先に使うかを決めておきましょう。
取り崩しが近い方は、「NISAと特定口座はどちらから取り崩す?預金も含めた老後資金の使う順番」をご覧ください。
とはいえ、含み損益も手数料も預金の額も人によって違います。年齢や口座の状態が違う場合、買い直すか残すかはどう変わるのでしょうか。
NISAで買い直すかをケースで考える
同じ特定口座の投資信託でも、含み損益、手数料、使う時期、預金の額によって、買い直すか残すかは変わります。
金額はすべて仮の例です。
| ケース | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| ①62歳・銀行で買った投資信託に含み損がある | 売って、手数料のかからない商品をNISAで買う | 税金がかからず、損失を特定口座の利益と相殺できる |
| ②65歳・20年持った投資信託の値上がりが大きい | 手数料なしで買えるなら、年ごとに分けて買い直す | 長く持つお金なら、買い直した後の値上がり分が非課税になる |
| ③68歳・数年以内に取り崩しを始める | 特定口座に残す | 非課税で運用できる期間が短く、手取りはほとんど増えない |
| ④預金が多くNISAの枠を預金で埋められる | 特定口座はそのまま、NISAは預金で買う | 含み益の税金を今払わずに枠を埋められる |
ケース①62歳・銀行で買った投資信託に含み損がある
10年前に銀行で買った投資信託が、評価額300万円・買ったときの金額360万円になっています。毎月分配型で、信託報酬は年1.6%ほどです。
この商品は、売っても税金がかかりません。同じ年に特定口座で利益を出していれば、損失60万円と相殺され、差し引かれた税金が戻ります。毎月分配型は成長投資枠の対象外のため、同じ商品はNISAで買えません。売ったお金は、手数料がかからず信託報酬の低い商品をNISAで買う候補になります。
ただし、値下がりの理由が相場全体の下落なら、持ち続けていれば値を戻す可能性もあります。売る前に、なぜ値下がりしているのかを確かめておきましょう。
ケース②65歳・20年持った投資信託の値上がりが大きい
20年前から持っている株式の投資信託が、評価額1,000万円・買ったときの金額500万円になっています。生活費は年金と預金でまかなえており、この投資信託は10年以上使う予定がありません。
ネット証券で同じ商品を手数料なしで買えるなら、成長投資枠で1年に買える240万円ずつ、4〜5年かけて買い直すのが候補です。前の章の試算のとおり、手数料がなければ、長く持つほど買い直した場合の手取りが多くなります。
一方、今の販売会社でしか買えず、購入時手数料がかかるなら、話は変わります。7〜8年のうちに使う可能性があるなら、特定口座に残しておくほうが手取りは減らずに済みます。
ケース③68歳・数年以内に取り崩しを始める
特定口座に1,500万円の投資信託があり、70歳から毎月10万円ずつ取り崩す予定です。NISAの枠はほとんど使っていません。
この場合は、特定口座に残したまま取り崩しに使うのが基本です。買い直しても、数年以内に売るなら非課税になる値上がり分はわずかです。移している途中で取り崩しが始まれば、どの口座から売るかの管理も複雑になってしまいます。
NISAの枠は、取り崩しに使わない預金を長く運用したい場合に使いましょう。
ケース④預金が多くNISAの枠を預金で埋められる
退職金を含めて預金が3,000万円あり、特定口座には含み益の大きい投資信託が800万円あります。預金のうち1,500万円ほどは、10年以上使う予定がありません。
この場合は、特定口座の投資信託には手をつけず、預金からNISAで買う方法が候補です。含み益の税金を今払わずに済み、NISAの枠も預金で埋まります。特定口座の投資信託にかかる税金は、使うときに売るまで払わずに済みます。
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NISAで買い直すときの売る順番と買い方
買い直すときは、含み損のある商品から売り、NISAで1年に買える金額の範囲で何年かに分けて移します。
買い直すと決めたら、一度に全部売って移したほうが早いように思えます。しかし、NISAで1年に買える金額には上限があり、上限を超えて売った分は、特定口座で買い直すことになってしまいます。
含み損の商品から売ると税金が少なくて済む
含み損のある商品と含み益のある商品を同じ年に売れば、損益が相殺され、その年の税金が少なくなります。最初の年に含み損の商品を売り、残りの枠で含み益の小さい商品を売る順番にすれば、税金をほとんど払わずに移し始められます。
年間240万円の成長投資枠に入らない金額は何年かに分ける
NISAで1年に買える金額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。ただし、つみたて投資枠で買えるのは対象の投資信託だけで、買い方も積立に限られます。特定口座の商品を一度にまとめて買い直すなら、使えるのは成長投資枠の240万円までです。
次の表は、特定口座に投資信託A・B・C(合計1,200万円)を持つ人が、成長投資枠を使って5年で移す場合の例です。
| 年 | 売る商品と金額 | 損益 | 税金 | NISAで買う金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | A 200万円(全部)・B 40万円 | −47万円 | 0円 | 240万円 |
| 2年目 | B 240万円 | +16万円 | 約3万円 | 約237万円 |
| 3年目 | B 20万円(残り)・C 220万円 | +111万円 | 約23万円 | 約217万円 |
| 4年目 | C 240万円 | +120万円 | 約24万円 | 約216万円 |
| 5年目 | C 240万円(残り) | +120万円 | 約24万円 | 約216万円 |
※ A:評価額200万円・買ったときの金額250万円(含み損)、B:評価額300万円・買ったときの金額280万円(含み益が小さい)、C:評価額700万円・買ったときの金額350万円(含み益が大きい)。評価額は変わらないものとした仮の例です。1年目の損失の残り約47万円は、同じ年に特定口座で出たほかの利益と相殺できます。
移し終えるまでに5年かかり、その間に払う税金は合計で約74万円です。65歳で始めれば、移し終えるのは70歳になります。移している途中で取り崩しが始まるなら、Cは特定口座に残したまま使うほうが手間も税金もかかりません。
NISAで生涯に持てる金額は、買ったときの金額で1,800万円まで(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。預金からの積立でもNISAを使っている場合は、その分も含めて上限に収まるかを確かめておきましょう。
詳しくは「新NISAで1,800万円を超えたらどうなる?その後の運用と枠の復活を解説」をご覧ください。
同じ商品をNISAで買えない場合がある
特定口座で持っている投資信託を、そのままNISAで買い直せるとは限りません。毎月分配型の投資信託や、信託期間が20年未満の投資信託などは、成長投資枠の対象外です。銀行や対面の証券会社で以前に買った投資信託には、こうした商品も少なくありません。
同じ商品を買えない場合や、販売会社から別の商品を勧められた場合は、今の商品と新しい商品の費用と投資先を比べてから決めましょう。
別の商品を勧められた場合は、「投資信託の乗り換えを勧められたら?今の投資信託と提案された商品を比べて判断する方法」をご覧ください。
売ってから買うまでの値動きに気をつける
投資信託は、売る手続きをしてからお金が入るまで、およそ4〜5営業日かかります。その間にNISAで買い直す商品の値段が上がれば、同じ金額で買える口数は少なくなってしまいます。
売る日と買う日をどう合わせるかは、販売会社の手続きによって違います。窓口で買い直すなら、担当者に「売ったお金でいつ買えるか」を聞いてから手続きしましょう。一度に買うか何回かに分けて買うかで迷う場合は、分けて買う考え方も参考にしてください。
一度に買うか分けて買うかは、「退職金は一括投資と積立のどっちがいい?分けて買う期間と始める時期の決め方」をご覧ください。
ただ、口座が複数の金融機関に分かれていると、どの商品をいつ移すかを自分だけで決めるのは手間がかかってしまいます。
買い直すか迷ったら口座全体をIFAに見てもらう
買い直すかどうかは、特定口座だけでなく、NISAの枠の残り、預金、取り崩しの予定を合わせて決めることです。
口座をまたいで見てもらえる相談相手がいれば、自分で表を作らなくても順番が決まります。
商品を販売した金融機関に聞くとその会社の商品を勧められることがある
いつもの銀行や証券会社の窓口で聞けば、買い直すかどうかを答えてもらえそうに思えます。しかし、窓口は商品を売る販売会社でもあるため、「NISAで買い直すなら」と、その会社で扱う商品での買い直しや乗り換えを勧められてしまう場合もあります。
また、窓口が見ているのは、その会社に預けている口座だけです。NISA口座や預金が別の金融機関にある場合、その会社の口座だけを見た答えになってしまいます。
詳しくは「60代の資産運用はどこに相談する?IFAがおすすめな理由と選び方」をご覧ください。
IFAに相談するときは保有商品の一覧を見せる
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の無料相談では、ほかの金融機関の口座も含めて、買い直すか残すかを相談できます。相談のときは、各口座の取引残高報告書か、取引画面の保有商品の一覧を見せれば十分です。手元にない場合は、口座のある金融機関に印刷を頼んでください。すぐに出してもらえます。
あわせて、NISAで今年どれだけ買ったかと、数年以内に使う予定のお金も伝えておきましょう。どの商品をいつ移すかまで一度に決められます。
特定口座の投資信託をNISAで買い直すかどうかは、含み損益、手数料、使う時期、預金の額で決まります。税金を払うことだけを理由に、買い直しをあきらめる必要はありません。
資産運用ナビでは、特定の金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料で探して相談できます。どの商品をいつNISAに移すかを、あなたの口座の数字で一緒に決められます。
\ どの商品をいつ移すかを無料で相談 /
NISAの買い直しでよくある質問
一般口座で持っている商品も同じ考え方でよいですか?
同じ考え方で判断できます。一般口座の商品もNISA口座へそのまま移せないため、売ってから買い直します。一般口座で売った利益は、自分で確定申告をする必要があります。確定申告をすると、その利益は国民健康保険料の計算などに含まれてしまいます。
2023年までのNISAで持っている商品も買い直せますか?
2023年までのNISAの商品は、2024年からのNISAへそのまま移せません。非課税の期間が終わるまでに売るか、課税口座に移すかを選びます。売ったお金で2024年からのNISAの商品を買うことはできます。
詳しくは「旧NISAの非課税期間が終わったらどうする?含み損がある人ほど注意したい税金」をご覧ください。
株を買い直すと株主優待や配当はどうなりますか?
長く持っている株主を優遇する株主優待は、特定口座の株を売ってNISAで買い直すと、条件を満たさなくなってしまう場合があります。株主名簿をいつ確かめるかは会社ごとに違うため、売る前にその会社の株主優待の案内を確かめましょう。また、NISAで受け取る配当を非課税にするには、配当の受け取り方を株式数比例配分方式にしておく必要があります。
含み益のある商品を持ったまま相続になると特定口座とNISAで違いはありますか?
相続人が引き継ぐ買ったときの金額が違います。NISA口座の商品を相続すると、その金額は亡くなった日の時価になります。特定口座の商品は、亡くなった人が買ったときの金額をそのまま引き継ぐため、相続人が売ると、亡くなる前の含み益にも税金がかかってしまいます。
相続した商品をどうするかは、「相続した投資信託や株は売るべき?持ち続けるか決める方法と税金について」をご覧ください。
出典
- 国税庁「No.1535 NISA制度」
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
- 国税庁「No.1476 特定口座制度」
- 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税に関するQ&A」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト NISAを知る」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト 2023年までのNISA」
- SBI証券「一般口座や特定口座に保有している株式や投資信託をNISA口座へ移管することはできますか?」
- 資産運用業協会「投資信託のコスト」
- 資産運用業協会「投資信託なんでもQ&A 分配金・換金/償還」
- 横浜市「株式等の譲渡所得や配当所得などにより確定申告する方へ」
- 金融庁「NISAの抜本的拡充・恒久化のイメージ」
- 三井住友銀行「NISAのつみたて投資枠」
- 日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
- 三菱UFJ eスマート証券「長期保有で継続保有優遇の対象は株主番号によって識別される?」
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券「相続した株式等の取得価額はどうなりますか。」
