- 薬を飲んでいても保険に入れるのかどうかが知りたい
- どのような病気を患っていると保険に入りにくいのか知りたい
- 薬を飲んでいても入りやすい保険が知りたい
「薬を服用していても保険に入れるのか?」という疑問に対して、本記事では詳細に解説している。
どのような薬を飲んでいたら、どのような病気を患っていたら、保険に入りずらくなってしまうのかも具体的な例と共に紹介する。
また、引受基準緩和型医療保険とはどういったものであるのかについても解説する。
健康を守るためにも、そして大切な家族を守るためにも、保険の適用範囲を理解することは重要なことの一つである。
薬を飲んでいると保険に入れない?
医療保険や生命保険などへの加入を検討する際、「直近で入院したり通院したりしていた場合は加入が難しいのでは」と不安に感じる人は多いだろう。
実は、服用している薬の種類によっては保険への加入に条件がついたり、場合によっては加入できなかったりするのだ。
保険に加入できるかどうかの具体的な条件は保険会社によって異なるため、一概には言えない。
継続的に薬を服用している状態において、医療保険や生命保険に加入できるのか、詳しく解説しよう。
「薬を服用中=保険に入れない」ではない
結論として、「薬を服用していたら保険に入れない」という単純な関係ではないことを覚えておこう。
保険の審査は非常に複雑で、主に以下の内容をもとに総合的に判断されている。
- 過去にどのような病気やケガなどをしてきたか
- 直近1年や半年に通院・入院していないか
- 過去・現在にどのような薬を継続的に服用してきたか
- 過去の入院歴や手術歴 など
「薬を服用しているか」は、あくまで保険加入を判断する材料の一つにしか過ぎない。
だが、重視される項目の一つであることは間違いないのだ。
保険の告知義務には正直に回答しよう
保険の加入にあたっては、「予防のため」に服用している薬だとしても正直に申告する必要がある。
医療保険や生命保険の世界においては、服用の目的が何であれ、告知の対象となるケースが大半だ。
本来告知すべき項目に対してあえて申告しなかった場合、虚偽の申告として保険金が支払われないケースもあるため気をつけよう。
繰り返しになるが、「薬を服用しているから保険に加入できない」わけではない。
保険に加入する際は、各社が用意する申告書に正直に回答することだけは忘れないようにしよう。
保険が適用される薬とされない薬の違い
薬の服用が保険の加入を左右するかどうかについて、一般的に、以下に挙げる薬などの服用は影響を及ぼさない。
- 風邪薬や頭痛薬など、病院に罹っておらず医師から処方を受けていない市販薬の服用
- サプリメントや市販のビタミン剤など、健康増進を目的とした服用
病院に罹っていない状況で服用した薬は、購入するに至る経緯・経路を辿ることはできないため、気にする必要はない。
一方、病院で処方される薬はカルテや診療報酬の明細(レセプト)を確認すれば、いつ・どのような経緯で薬を服用したかが明らかになる。
そのため、「市販されているかどうか」は一つの基準として覚えておいて損はないだろう。
実際に告知する際は、質問項目に該当するかどうかを判断し、該当する病歴や服用歴はありのままに記載することが大切だ。
質問項目に回答する際は、以下の点を意識するとよいだろう。
- 薬を服用することになった原因を具体的に書く
- 服用している薬の正式名称を記載する
- 精密検査などを受けている場合は、検査結果の数値を明記する
保険会社に自身の状況を正しく知ってもらうことを意識すれば問題ないはずだ。
保険に入れない薬が存在する理由
状況によって保険に加入できなかったり、保険料が割り増しになったりするのは、「保険の公平性」の観点からすると当然のことである。
服用している薬によって保険に加入できないのは、その薬を服用している人に保険金を支払う可能性が相対的に高いからなのだ。
保険会社の立場で考えると理解しやすいが、保険金の支払い事由に該当しやすい人とそうでない人を比べた際、両者に同じ保険料を負担させるのは公平性の観点からすると不適切だろう。
保険金を支払うことをリスクと捉えた場合、リスクが高い人には、相応に高い保険料を負担してもらうのは当然のことだ。
極めてリスクが高ければ、保険の加入を断るのは無理もないだろう。
「極めてリスクが高い」ことの一つに、特定の疾病に対する薬の服用が該当するのである。
薬の服用に限らず、怪我をする可能性が高い職業に就いている人や、難病に罹っている人なども、相対的に保険金を支払う可能性は高まる。
保険の加入には、その人のリスクに応じた保険料や追加の条件が付されるもので、「公平性の担保」という保険の仕組みを踏まえると理解しやすいだろう。
保険に入れない薬と病気の例
どのような病気に罹っていると保険に加入できないのかに関して、具体的な基準は保険会社によって異なるため一概には言えない。
該当すると必ず加入できないわけではなく、条件付きで加入できることもある。
保険会社における「保険金を支払うリスク・可能性の高さ」をイメージすると理解しやすいはずだ。
実情として、以下の2つに該当すると保険に加入できないことが多いため覚えておくとよいだろう。
2つ以外にも加入が難しい病気はあるため、それぞれ詳しく見ていこう。
鬱病のケース
医療保険や生命保険の加入で特に注意が必要なのが、メンタルの病である。
以下に該当して悩まされている人も多いのではないだろうか。
- 過度な長時間労働
- 職場の人間関係
- 家庭でのトラブル
- 周囲と比べて極度に落ち込む
- スマホやSNSで情報をとり過ぎて疲れた
現代は人間関係のトラブルを中心にメンタルを病んでしまう人が非常に増えており、程度の問題はあれど、多くの人が不眠や心の不調を患っているのが実情だ。
「最近寝つきが悪くなってきたから、精神科に通って睡眠導入剤を処方してもらっている」人もいるだろう。
トラブル・問題の原因は何であれ、病院で「鬱病」「不眠症」などと診断されて薬を処方されていると、保険に加入できない可能性は高まる。
メンタルに不調をきたしている人の場合、入院・通院する可能性が高く、最悪の場合、自ら命を絶ってしまうこともあるだろう。
保険会社からすると、保険金を支払う可能性の高い人に対する保険の加入を見送るのはやむを得ないのである。
がんのケース
がんに罹っている場合においても、保険の加入ハードルはグッと高まる。
がんに罹患すると抗がん剤治療を進めるのが一般的だが、治療費は高額になるケースが大半で、期間は長期にわたる。
がんは転移して再発することもあるため、完治しても油断できない病だ。
がんが見つかるステージによっては命を落とす場合もあるため、保険の加入は難しくなりがちなのである。
国立研究開発法人国立がん研究センターによると、2019年に新たに診断されたがんは約999,075例あり、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性が65.5%、女性が51.2%とされている。
がんの発症リスクは、男性の場合3人に2人、女性の場合は2人に1人であるため、がん保険への加入は早期に検討すべきだろう。
がんに罹患した経験がある場合、保険の加入は相当難しいと思っておいたほうがよい。
少なくとも、がんを罹患していない人に比べて、保険に加入できる確率はかなり低いのが実情である。
その他のケース
鬱病やがん以外に気をつけたい疾病として挙げられるのは以下のとおりだ。
- 上皮内新生物
- 臓器系の病
- 指定難病
- 神経系の損傷
- 統合失調症や双極性障害
- 認知症やアルツハイマー病
- アルコール依存症
上記も一例であるが、治療が長期化したり、最悪の場合に命を落とす可能性がある病は、保険の加入が難しくなるだろう。
具体的な疾病例は保険会社の告知事項に記載されているため、保険加入の際は注意深く確認することが重要だ。
逆に、薬を服用していても保険に加入しやすいケースもある。
たとえば、高血圧の人が服用する血圧を下げる薬は、服用することで血圧を正常値に保てるため、長期間服用している事実は健康管理ができている証拠にもなるのだ。
場合によっては、何も服用していないため血圧が高い人よりも保険に加入できる可能性は高いだろう。
薬を服用中でも加入しやすい保険とは?
薬を服用している場合は保険の加入が難しくなることもあるのだが、服用中でも加入しやすい保険が「引受基準緩和型保険」だ。
名称からイメージがつくかもしれないが、通常の医療保険や生命保険に比べて告知事項が限定的で、保険加入の審査が緩くなっていると考えて差し支えないだろう。
以下で、引受基準緩和型保険を詳しく解説しよう。
引受基準緩和型医療保険
保険商品には一般的なタイプだけでなく、薬を服用している人でも加入できる可能性の高い「引受基準緩和型保険」が用意されている。
「引受基準緩和」と書かれている通り、一般的には10項目ほどある告知事項に対して、3〜5つほどの場合が多い。
告知内容自体は保険の種類を問わずほぼ同じであるが、質問内容が限定されていると覚えておこう。
引受基準緩和型医療保険で提示される主な告知事項は以下の通りである。
- 今後3ヶ月以内に入院や手術の予定があるか
- 過去2年以内に入院や手術を受けたことがあるか
- 過去5年以内にがんで入院や手術をうけたことがあるか など
一般的な保険商品の告知事項に該当する場合でも、引受基準緩和型医療保険であれば該当しない可能性もあるだろう。
「薬を服用しているから保険には加入できない」と考える必要はなく、選択肢はほかにもあることは覚えておいてほしい。
引受基準緩和型医療保険のメリット
引受基準緩和型医療保険の場合、薬を服用していても保険に加入できる可能性が高い点は最大のメリットだろう。
告知事項が限定的であることは先ほど解説したとおりで、一般的な保険よりも緩い審査条件を満たせば保険に加入できる点は安心できるはずだ。
保険会社によっては、引受基準緩和型医療保険に一定の条件を付していることもある。
- 最初の1年間は保障額が通常の半分が上限
- 一定期間は保険料の支払額までしか保障されない など
条件は保険会社によって異なるため、詳細はしっかりと確認しよう。
ただし、引受基準緩和型保険の場合、月々の保険料は通常のタイプよりも割高になる点はやむを得ないところだ。
引受基準緩和型医療保険に入る際の注意点
引受基準緩和型医療保険を検討する際は、以下の点に注意しよう。
- 一般的な保険に加入できないか検討する
- 告知は正確におこなう
- 状況に合わせて保険は見直す
薬を服用しているからと言って一般的な医療保険に加入できないわけではないことは、繰り返し解説しているとおりだ。
月々の保険料も変わってくるため、まずは一般的な保険に加入できないか検討することが重要である。
持病や薬を服用していても、無条件(支払い時の特約なし)で一般的な保険に加入できる場合もあれば、一部条件つきで加入できることもあるだろう。
条件が付与された場合には、引受基準緩和型医療保険との比較により、保障内容や条件を吟味してほしい。
告知に関しては、虚偽申告をすると万が一の際に保険金を受け取れない可能性があるため、病歴や薬の服用歴、現在の健康状態は正確に申告しよう。
引受基準緩和型医療保険に加入した際も、一定期間が経過すれば一般的な医療保険に加入できる可能性もある。
そのため、保険は定期的な見直しが欠かせないのだ。
医療保険に加入していない状態を継続させることもリスクであるため、一旦は引受基準緩和型医療保険に加入して万が一に備え、状況が改善されたら再度検討するとよいだろう。
なお、持病のある方に向けた保険加入のポイントについては以下の記事でも解説している。適宜参考にしていただきたい。
正しく告知すれば、薬を飲んでいても加入できる保険は存在する
本記事では、「薬を服用していても保険に入ることができるのか」といった疑問を解決するために、保険が適用される薬とそうではない薬、保険に入れない病気の例、薬を服用中でも入りやすい引受基準緩和型医療保険について詳しく解説していった。
これらについて理解することは、治療を受ける上での選択肢を広げるためにも重要なことだが、治療と保険という視点からすると、詳しい知識を持つ保険のプロの意見を聞くことも有益であるだろう。
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