新NISAを活用して資産運用を始めると、どのくらい資産が増えるのだろうか。
結論から言えば、新NISAは長期の資産形成に使いやすい制度だが、投資成果を保証する制度ではない。
シミュレーションは、積立金額・運用期間・想定利回りをもとに将来の資産額をイメージするための試算である。実際の運用では、相場環境や投資対象によって評価額が大きく変わる可能性がある。
本記事では、新NISAの基本、資産運用を検討する理由、投資額・期間・利回り別のシミュレーション、運用戦略を解説する。
新NISAを始める前に、無理のない積立額や自分に合う運用方針を考える参考にしてほしい。
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シミュレーションの前に!知っておきたい新NISAと資産運用の基本

新NISAで資産成長をシミュレーションする前に、まずは制度の仕組みと資産運用の基本を確認しておこう。
新NISAは、投資で得た利益を非課税にする制度である。投資信託や株式などから得られる売却益・配当金・分配金が、制度上の要件を満たす範囲で非課税になる。
ただし、NISAは元本保証の制度ではない。利益が出た場合の税金を抑えられる一方で、投資先の値動きによって損失が出る可能性はある。
新NISAの仕組み|年間最大360万円、総枠1,800万円
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がある。両方を同じ金融機関で併用できるが、投資対象や使い方は異なる。
※表は横にスクロールできます。
| つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 日本国内に住む18歳以上 | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | |
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 合計1,800万円 ※成長投資枠のみの上限は1,200万円 | |
| 投資対象 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託など | 一定の上場株式・投資信託・ETF・REITなど |
| 買付方法 | 積立投資 | 一括投資・積立投資 |
NISA口座は1人につき1口座のみ開設できる。つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできないため、口座開設先は取扱商品や使いやすさを比較して選びたい。
非課税保有限度額は、簿価(取得金額)で管理される。保有商品を売却した場合は、売却した商品の簿価分が翌年以降に復活し、再利用できる。
ただし、売却した年のうちに枠がすぐ戻るわけではない。また、翌年以降に再利用する場合も、年間投資枠の範囲内で買い付ける必要がある。
制度上は年間最大360万円まで投資できるが、枠を使い切る必要はない。生活費や近く使う予定のお金を確保したうえで、余裕資金の範囲で活用することが大切だ。
なぜ資産運用を検討するべきなのか
資産運用を検討する理由の一つは、インフレによって現金の購買力が下がる可能性があるためだ。
インフレとは、物価が上がり続けることを指す。総務省統計局の消費者物価指数では、2026年3月分の全国総合指数は2020年を100として112.7、前年同月比は1.5%上昇している。
物価が上がると、同じ金額の現金で買えるものは少なくなる。預貯金は安全性や流動性の面で大切だが、すべてを現金のまま置いておくと、長期的には購買力が目減りする可能性がある。
だからといって、現金をすべて投資に回す必要はない。生活費や緊急資金は預貯金で確保し、当面使う予定のない資金の一部を投資に回すかどうかを検討するのが基本である。
NISAは、こうした長期的な資産形成を進める際に、運用益を非課税にできる制度として活用できる。
長期投資のメリットと新NISAとの親和性
新NISAは、長期投資と相性がよい制度である。
非課税保有期間が無期限になったため、旧NISAのように非課税期間の終了を強く意識せず、長く保有しやすくなった。
長期投資では、短期的な価格変動に振り回されすぎず、時間をかけて資産形成を進めることができる。また、利益を再投資できる場合は、複利効果を活かしやすい。
複利効果とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資し、利益が次の利益を生む仕組みのことだ。
ただし、長期で保有すれば必ず利益が出るわけではない。投資信託や株式は値下がりする可能性があり、長期投資でも元本割れリスクは残る。
新NISAを使う際は、「長く持てば安心」と考えるのではなく、投資目的、運用期間、リスク許容度に合った商品を選ぶことが重要だ。
また、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、低コストの投資信託を土台にしながら、成長投資枠でETFや個別株を一部組み合わせるといった使い方もできる。
大切なのは、投資枠の大きさではなく、自分が無理なく続けられる金額と資産配分を決めることである。
新NISAで資産はどのくらい増えるのか?資産成長をシミュレーション

ここからは、新NISAを使って積立投資を行った場合の資産成長をシミュレーションする。
以下の試算は、毎月末に一定額を積み立て、年率を一定として複利計算した概算である。手数料、税金、為替変動、信託報酬などは考慮していない。
実際の運用成果はシミュレーション通りになるとは限らない。想定利回りは、将来の運用成果を保証するものではなく、投資判断は商品内容やリスクを確認したうえで行う必要がある。
シミュレーション①:毎月3万円を20年間積み立てる場合
まず、毎月3万円を20年間積み立てるケースを見てみよう。積立元本は720万円である。
| 想定利回り | 積立元本 | 20年後の評価額 | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 年率3% | 720万円 | 約985万円 | 約265万円 |
| 年率5% | 720万円 | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 年率7% | 720万円 | 約1,563万円 | 約843万円 |
利回りが高いほど評価額は大きくなるが、高いリターンを期待できる資産ほど値動きも大きくなりやすい。
シミュレーションでは右肩上がりに見えるが、実際の相場では途中で大きく下落する局面もある。20年間続けられる金額で積み立てることが重要だ。
シミュレーション②:毎月5万円を30年間積み立てる場合
次に、毎月5万円を30年間積み立てるケースを見てみよう。積立元本は1,800万円となり、新NISAの非課税保有限度額を使い切るイメージである。
| 想定利回り | 積立元本 | 30年後の評価額 | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 年率3% | 1,800万円 | 約2,914万円 | 約1,114万円 |
| 年率5% | 1,800万円 | 約4,161万円 | 約2,361万円 |
| 年率7% | 1,800万円 | 約6,100万円 | 約4,300万円 |
30年のように長い期間で積み立てると、複利効果によって運用益が大きくなりやすい。
ただし、積立元本が1,800万円に達すると、新NISAの非課税保有限度額を使い切ることになる。保有を続けることはできるが、追加で新規買付をするには売却による枠の再利用などを考える必要がある。
また、年率7%のような高めの想定では、相応に価格変動リスクも大きくなる。評価額だけでなく、途中でどの程度の下落に耐えられるかも考えておきたい。
シミュレーション③:課税口座とNISA口座の差を比較する
NISAの特徴は、運用益が非課税になる点だ。では、課税口座と比べるとどれくらい差が出るのだろうか。
ここでは、毎月3万円を20年間、年率5%で運用できたと仮定する。積立元本720万円、評価額は約1,233万円、運用益は約513万円である。
| 口座の種類 | 運用益 | 税額の目安 | 税引後の運用益 |
|---|---|---|---|
| 課税口座 | 約513万円 | 約104万円 | 約409万円 |
| NISA口座 | 約513万円 | 0円 | 約513万円 |
課税口座では、上場株式等の配当等や譲渡益に原則20.315%の税金がかかる。上記の試算では、NISA口座を使うことで約104万円分の税負担を抑えられる計算になる。
一方で、NISA口座で損失が出た場合、課税口座の利益と損益通算することはできない。非課税メリットだけでなく、損失時の扱いも理解しておこう。
新NISAで実践すべき運用戦略

シミュレーションで将来の資産額をイメージできたら、次は実際の運用戦略を考えよう。
新NISAを活用するうえでは、投資計画、リスク管理、ポートフォリオの設計が重要になる。
新NISAにおける投資計画とポートフォリオの重要性
新NISAで資産運用を始める場合、最初に決めるべきなのは銘柄名ではなく投資計画である。
投資計画がないまま始めると、相場が下がったときに焦って売却したり、家計に無理のある金額を積み立てたりしやすい。
投資を始める前に、以下の点を整理しておこう。
- 投資目的:老後資金、教育資金、住宅資金、余裕資金の運用など
- 運用期間:いつまで運用できる資金なのか
- 積立金額:家計に無理なく続けられる金額か
- リスク許容度:どの程度の値下がりまで受け入れられるか
- 現金比率:生活費や緊急資金を十分に確保しているか
- 見直し時期:年1回、ライフイベント時などに確認するか
ポートフォリオとは、保有する資産の組み合わせのことだ。
株式だけに偏ると値動きが大きくなりやすく、債券だけに偏るとリターンが物価上昇に追いつかない可能性がある。自分の目的に合わせて、株式、債券、REIT、金関連資産などを組み合わせることが大切だ。
なお、以下の投資プランは一般的な考え方であり、特定の商品や運用成果を推奨・保証するものではない。実際には、年齢、家計、運用期間、リスク許容度に応じて調整しよう。
投資のリスクと管理法
投資にはリスクがある。リスクを避けることだけを考えるのではなく、どのリスクをどの程度まで受け入れられるかを把握することが重要だ。
| リスクの種類 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 価格変動リスク | 投資商品の価格が上下するリスク。 | 過去の値動きや最大下落幅を確認する。 |
| 信用リスク | 株式や債券の発行体が財務悪化や債務不履行に陥るリスク。 | 企業の財務状況や格付けを確認する。 |
| 流動性リスク | 売りたいときに希望する価格やタイミングで売れないリスク。 | 取引量や市場規模を確認する。 |
| 金利変動リスク | 金利の変動で、主に債券価格が変動するリスク。 | 一般に金利上昇時は債券価格が下落しやすい。 |
| 為替変動リスク | 外貨建て資産の円換算額が為替で変わるリスク。 | 円高・円安の影響を確認する。 |
投資対象によって、抱えるリスクは異なる。全世界株式型の投資信託、米国株式型の投資信託、債券型、REIT、金関連資産では、値動きの特徴も期待できるリターンも違う。
投資商品を選ぶ際は、過去の成績だけでなく、どの資産に投資しているのか、手数料はいくらか、長期で保有できる内容かを確認しよう。
リスクの対処法
積立投資
積立投資とは、一定期間、一定額分の金融商品を買い続ける方法である。
一括投資では購入タイミングが1回に集中するが、積立投資では購入時期を分散できる。価格が高いときは少なく、価格が安いときは多く買うことになるため、購入単価を平準化しやすい。
ただし、積立投資をしても損失が出ないわけではない。投資対象の価格が長く下落し続ける場合は、積立投資でも評価損を抱える可能性がある。
分散投資
分散投資とは、資産、地域、通貨、時間を分けて投資する方法である。
例えば、株式だけでなく債券を組み入れたり、日本だけでなく海外資産にも投資したりすることで、特定の資産が下落したときの影響を抑えやすい。
ただし、分散しても市場全体が大きく下落する局面では、資産全体が値下がりすることもある。分散投資はリスクを消す方法ではなく、リスクを管理する方法と理解しておこう。
長期投資
長期投資では、短期的な価格変動に左右されすぎず、時間をかけて資産形成に取り組みやすい。
また、利益を再投資できる場合は複利効果を活かしやすい。新NISAは非課税保有期間が無期限のため、長期投資との相性がよい。
ただし、長期投資でも商品選びを間違えたり、リスクを取りすぎたりすると損失が出る。長く続けられる商品と金額を選ぶことが重要だ。
具体的な投資プラン
ここでは、投資方針別の考え方を紹介する。あくまで一般的な例であり、実際の比率や商品は自分の状況に合わせて調整しよう。
- 「リターンよりも値動きを抑えたい」
株式比率を抑え、債券やバランス型投資信託を検討する - 「リスクを取ってリターンを狙いたい」
株式比率を高める。ただし、大きな下落に耐えられる金額に抑える - 「株式と違う値動きの資産も持ちたい」
金関連資産やREITなどを一部組み入れる選択肢がある - 「分配金も意識したい」
ETFやREITを検討できるが、分配金や価格は保証されない - 「資産運用の知識が浅い」
低コストのインデックスファンドやバランス型投資信託から検討する
リスクを抑えたい人は、値動きの大きい資産に集中しないことが重要だ。一方で、リターンを狙う人も、株式やテーマ型ファンドだけに偏ると大きな下落に耐えにくくなる。
新NISAでは、つみたて投資枠を資産形成の土台にし、成長投資枠を上乗せ部分として使う方法も考えられる。
例えば、つみたて投資枠では全世界株式型やバランス型の投資信託を積み立て、成長投資枠ではETFや個別株を余裕資金の範囲で保有する方法だ。
ポートフォリオを作る際は、期待リターンだけでなく、「下がったときに売らずにいられるか」を基準に考えよう。
新NISAのシミュレーションをするなら誰に相談するべき?

新NISAを活用して資産運用を始める場合、「どのくらい積み立てるべきか」「どの商品を選べばよいか」「自分のリスク許容度に合っているか」と悩む人も多い。
自分だけで判断しにくい場合は、資産運用の専門家に相談するのも選択肢の一つである。
新NISAの活用における専門家の重要性
新NISAは制度としては使いやすくなったが、投資判断そのものが簡単になるわけではない。
同じ毎月3万円の積立でも、全世界株式、米国株式、バランス型、債券型ではリスクと期待リターンが異なる。さらに、年齢、家族構成、住宅ローン、教育費、老後資金の状況によって、適した投資額も変わる。
資産運用の相談先としては、主に以下が挙げられる。
- 銀行
- 証券会社
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
FPは家計やライフプランの整理に役立つ一方、具体的な金融商品の売買の助言や仲介には、業務内容に応じた登録が必要になる場合がある。
証券会社や銀行は、取扱商品の範囲や手数料体系が相談先によって異なる。相談する際は、提案される商品のリスク、費用、取扱商品の範囲を確認しよう。
IFAの役割と利用するメリット
IFAとは、一般に独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる相談先であり、日本では金融商品仲介業者として活動しているケースが多い。
金融商品仲介業者は、金融商品取引業者(証券会社)または登録金融機関(銀行等)の委託を受けて、有価証券の売買の媒介などを行う者をいう。
IFAに相談するメリットとしては、資産配分や運用方針の整理、金融商品の売買手続きの支援、運用後の見直し相談などが挙げられる。
ただし、すべてのIFAが同じ商品を扱っているわけではない。所属金融機関、報酬体系、取扱商品、継続サポートの範囲は事業者によって異なる。
「独立系」という名称だけで判断せず、相談料、販売手数料、継続報酬、提案できる商品の範囲、利益相反の有無を確認しよう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法とその効果
新NISAのシミュレーションや運用方針について相談したい場合、自分に合うIFAを探すのに時間がかかることがある。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を利用すれば、条件に合ったIFAを探しやすい。
相談先を選ぶ際は、対応できる相談内容、得意分野、手数料体系、提案できる商品の範囲を確認しておこう。
新NISAの積立額や商品選びに不安がある場合は、シミュレーション結果をもとに相談し、自分の家計や目的に合う運用方針を整理するとよい。
新NISAを始める際は資産成長をシミュレーションしてみよう
新NISAは、投資で得た利益を非課税にできる制度である。非課税保有期間が無期限になり、つみたて投資枠と成長投資枠も併用できるようになったため、長期の資産形成に活用しやすい。
一方で、NISAは利益を保証する制度ではない。投資信託や株式の価格は変動し、元本割れする可能性がある。
資産運用を始める前に、毎月いくら積み立てるのか、何年運用するのか、どの程度の下落まで耐えられるのかをシミュレーションしておくと、無理のない計画を立てやすい。
ただし、シミュレーション結果はあくまで目安であり、実際の運用成果とは異なる。想定利回りだけで判断せず、投資対象、手数料、リスク、運用期間を確認しよう。
自分だけで判断するのが難しい場合は、FPやIFAなどの専門家に相談し、ライフプランに合う運用方針を整理するのも選択肢となる。
新NISAを活用する際は、投資枠を使い切ることよりも、長く続けられる金額と商品を選ぶことを優先しよう。
新NISAのシミュレーションに関するQ&A
出典
金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
金融庁「資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト」
金融庁「よくある質問:NISA特設ウェブサイト」
金融庁「つみたてシミュレーター」
金融庁「つみたて投資枠対象商品」(更新日:2026年5月11日)
金融庁「つみたて投資枠対象商品の分類(2026年5月11日時点)」(更新日:2026年5月11日)
金融庁「2023年までのNISA:NISA特設ウェブサイト」
国税庁「No.1535 NISA制度」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(更新日:2025年4月1日)
総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)3月分及び2025年度(令和7年度)平均」(公開日:2026年4月24日)
日本証券業協会「公社債の売買取引について」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」

