- 経営者におすすめの資産運用法が知りたい
- 運用時の適切なリスク管理法を身につけたい
- 経営者が資産運用するメリットが知りたい
経営者で資産運用を検討している方も多いのではないだろうか。
しかし、経営者はサラリーマンと異なり本業のために余剰資金を確保しておきたいこともあるかもしれない。
またリスクをとって経営しているからこそ元本割れの恐れがある投資を避けたいという立場の人もいるだろう。
資産運用をするべきかどうかは、会社または経営者個人の置かれている状況による。
しかし経営者だからこそ、事業の成長や経営者自身の人生を守るために資産運用という選択肢を持っておくことには意義があるだろう。
本記事では経営者が知るべき資産運用の意義やメリット、おすすめの運用法、リスク管理について解説する。
経営者が資産運用する意義
経営者が資産運用という選択肢を持つことで、余剰資金を有効活用ができる。
また経営者個人の人生を豊かにしたり守ったりする手段としても有効だ。
しかし、資産運用はメリットばかりではない。元本割れしてしまうリスクもあるため注意するべきこともある。
- 会社の余剰資金の使い道
- 経営者が資産運用するメリット
- 経営者が資産運用する時の注意点
以上3つの観点から、経営者が資産運用する意義を確認していこう。
会社の余剰資金の使い道
会社に余剰資金がある場合の一般的な使い道は以下の通り。
- 事業への再投資
- 借入金の返済
- 内部留保
余剰資金があれば会社が新しいビジネスを展開する際に活用することもできれば、バランスシートを安定させることもできる。
しかし、新規事業に積極的に再投資できる機会に常に恵まれるとは限らない。
内部留保しておくのも手かもしれないが、資金が効率的に活用できないということも考えられるだろう。
資産運用は本業で余剰資金をうまく活用できないときの選択肢となり得る。もちろん経営者個人が資産運用を通して家計を守る際にも有効だ。
ビジネスの世界は流行り廃りが激しい。2022年の調査だが、東京商工リサーチによると倒産企業の平均寿命は23. 8年という結果が公表されている。
環境の変化で事業の継続が難しくなることも少なくないだろう。経営者は会社員や公務員よりも、実は不安定でリスクを背負って事業を営んでいる。
限られた事業だけで会社はもちろん、経営者の人生を一生支え続けることはできるのだろうか。
事業とは別に資産運用という選択肢を持っておくことで会社、または経営者の人生を守れる可能性も高まるはずだ。
- 参考:東京商工リサーチ
経営者が資産運用するメリット
経営者が資産運用するメリットは以下の通り。
- 財務基盤を安定的にできる
- 運用益をビジネスに再投資
- 節税対策ができることもある
会社で資産運用をすることで余剰資金が増えれば、会社の財務基盤を安定させることができるだろう。
例えば借入金を運用益で返済することで自己資本比率などを高められるはずだ。運用益をビジネスに再投資して事業拡大につなげることもできるかもしれない。
また法人で資産運用をするメリットとして各種、節税メリットもある。
詳しくは税理士に相談することをおすすめするが、投資に関する書籍やセミナー代の損金算入や事業と株式運用の損益通算などの適用も考えられる。
法人で投資をすることで個人ではできない節税スキームができないか確認してみるのも良いだろう。
経営者個人で資産運用をするのもメリットがある。
- 自分の事業だけに生活を依存せずにすむ
- 老後資金の形成
- NISAのような法人では利用できない制度を使える
経営者だからと言って必ずしも法人で投資をする必要はない。経営者個人の家計を守るために資産運用をするのもメリットは大きい。
経営者は会社員のように簡単に転職はできず、リスクを背負って自分の事業を営んでいるだろう。
事業がうまく軌道に乗ればリターンは大きいかもしれないが、倒産などの憂き目にあう会社も珍しくない。
また事業継承がうまくいかずにビジネスが続けられないこともあるだろう。
資産運用の良いところは事業以外からの収入や資産増が期待できることだ。
自身の経営する事業の経営環境が厳しい場合、別の事業に転身するのは簡単ではないだろう。
しかし、資産運用ならば時代の流れに応じて、その時々の時流に乗った国や業種に投資先を切り替えていける。
また、時代の流れが速くなり企業やビジネスモデルの寿命が短くなると、人間の寿命のほうが経営している会社の寿命よりも長くなることも考えられる。
そのため会社の寿命を延ばすのと並行して、経営者自身と家族の将来を守るために老後資金を資産運用で別に形成しておくことも備えとして有効だ。
経営者個人で資産運用をする場合、法人が使える節税メリットが使えないこともあるが、個人だからこそ使えるNISAなどのメリットもある。
経営者が資産運用する時の注意点
経営者が資産運用の選択肢を持っておくことにはメリットが多い。しかし、注意点もある。
- 損失を出してしまう恐れがある
- 本業がおろそかになってしまうことがある
- 社内の理解を得られないこともある
資産運用は必ず儲かるというものでもない。元本割れしてしまうこともある。
例えばリーマンショック前後の時期に問題になったのが、銀行が中小企業向けに提案した為替デリバティブ取引だ。
金融庁の公式ページでは、主要銀行等が中小企業に対して販売した為替デリバティブの損失は集計可能なものだけで計1,400億円の損失になったというデータが今でも残っている。
さらに、さかのぼるとバブル期の「財テク」で経営者や個人が本業以外で資産を増やそうと、資産運用が盛んだった時代がある。
その後、バブル崩壊の憂き目にあい本業を軽視し、財テクに走ることがネガティブに捉えられたこともあった。
経営者が会社の事業として資産運用をするとなると、損失を出したり本業がおろそかになったりしてしまうこともある点には注意してほしい。
また、経営している会社の体制によっては、社内の理解を得られずに資産運用が裏目に出てしまうこともあるかもしれない。
経営者が個人で資産運用をする場合も大切な老後資金を失ったり、本業が疎かになったりする恐れもある。
資産運用はやり方を間違えてしまうとデメリットもあるため注意したい。
経営者におすすめの資産運用の戦略
資産運用にはリターンもあれば、リスクもある。リスク管理をすることで資産運用のデメリットを抑えつつ、メリットを享受できるようになる。
資産運用を会社経営や人生の選択肢に加えるためにも知っておきたい適切なリスク管理法について以下の3つの点から解説する。
- 資産状況を分析して余剰資金で運用する
- 長期投資を前提に運用する
- 分散投資を心がける
資産運用に取り組む際の参考にしてみてほしい。
資産状況を分析して余剰資金で運用する
会社でも個人でもキャッシュフロー表などを用いて資産状況が一目で確認できるようにしておくべきだ。
例えば会社の場合、帳簿では利益が出ていても手元に現金がなくなって、期限までに借入金を返せなくなったり購入したものの代金を払えなくなったりする黒字倒産に十分に注意したい。
実は赤字が続いても存続できている会社は少なくない。しかし手元に資金がなくなれば経営が回らなくなってしまう。
会社の経営状態を確認するには、現金の流れを追いやすくしておくことが欠かせない。
中小企業の場合、上場企業のようなキャッシュフロー表の作成義務はないものの、作っておくことでリスク管理に役立てられるだろう。
経営者個人が投資をする場合も家計のキャッシュフロー表を作ってみることで、お金の出入りを一目で把握できるようになる。
日本FP協会などにある家計のキャッシュフロー表を参考に、家計のお金の出入りを見なすことも資産運用の余剰資金の活用で役立つはずだ。
- 参考:日本FP協会
長期投資を前提に運用する
法人でも経営者個人でも資産運用は長期投資を前提に取り組んでほしい。
短期の回転売買を繰り返す資産運用法はゼロサムゲームと呼ばれる参加者の損益の総和が0となり、誰かが損をしてしまう状況に陥ってしまう。
しかし長期投資にすることで株式投資はプラスサムのゲームになる。
長期的にみると世界経済全体が拡大を続けているためだ。また投資期間を長く設けることで複利の恩恵も受けられる。
投資するタイミングを分散すれば極端な高値づかみをしてしまうリスクも回避できる。
分散投資を心がける
分散投資をすることで資産運用のリスクを軽減できることが知られている。
例えば資産クラスを株式だけでなく債券や不動産、コモディティなど値動きに相関関係が低いものを組み合わせることで、日々の資産の増減が緩やかになる。
また、特定の銘柄に集中投資をしてしまうと発行体固有のリスクが高くなる。
例えば投資先の会社が決算発表でアナリストの予測を上回らなかっただけで株価が1割、2割下がるという話は珍しくない。
ストップ安のない米国株なら一夜にして3割程度下げてしまうこともあるほどだ。
投資先の不祥事やコンプライアンス違反などでも下げてしまうこともある。
分散投資をしておけば仮に保有している銘柄の価値が下がったとしても、資産全体に対する影響は限定的になる。
比較的、リスクが低いと言われる債券のような資産クラスであっても適度な分散をおすすめする。
経営者におすすめの資産運用法
多忙で本業でもリスクをとって事業に取り組んでいる経営者には、中長期で安定的に資産形成に寄与する運用法をおすすめする。
そこで経営者でも無理なく取り組める代表的な運用法を3つ紹介する。
法人、経営者個人どちらにもおすすめの運用法なので参考にしてほしい。
インデックスファンド
インデックスファンドは日経平均やS&P500、MSCI ACWIなどの各種株価指数への連動を目指す投資信託のことだ。
信託報酬などのコストが低く抑えられた商品が多い。
個別株の集中投資に比べて大きなリターンは狙いづらいものの、インデックスファンドは各種指数を構成する銘柄に分散投資が簡単にできる。
組み入れ銘柄の入れ替えはファンド側で行ってくれるため、経営者が自分で手間と時間をかけて銘柄を入れ替えたりする必要もない。
具体的には三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slimシリーズの全世界株式、米国株式は取り扱っている証券会社も多いため投資対象としやすいのではないだろうか。
ネット証券大手のSBI証券でもSBI・Vシリーズなど新しい注目のインデックスファンドが次々に登場している。
積立投資をすることで時間分散もでき、無理なく長くて手間もあまりかけずに続けられるだろう。
バランスファンド
資産クラスを株式に限らず債券や不動産などにも分散できる投資先がバランスファンドだ。
株式以外の資産クラスが組み入れられることで、株式市場全体の下げにも強いのが特徴だ。
株式市場が好調な場合は、株式のみで構成された投資信託にパフォーマンスが劣ってしまうことはあるが、より安全性を重視したいという投資家におすすめだ。
例えば、大和アセットマネジメントのiFree年金バランスのようなGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオ(国内株式25%、国内債券25%、外国株式25%、外国債券25%)に連動を目指す投資信託などがある。
他にも不動産を組み込んだタイプのバランスファンドなども存在する。
先進国債券
大きなリターンにはならないが安定した資産運用先として先進国債券も経営者におすすめだ。
例えば米国債ならば円安が進んでも為替差益が生じるため、円安に対する備えにもなるだろう。
また、日本に比べて米国は金利が高いことも魅力だ。大手ネット証券のひとつ、SBI証券では2024年4月から「債券シミュレーション」サービスの提供を開始している。
債券の利回り計算は煩雑で外貨建てともなると、さらに分かりづらく個人投資家には手を出しづらかったが、想定リターンを出しやすくなったため、外貨建ての債券投資に興味がある方は試してみるのも良いだろう。
ただ、債券に関しては証券会社によって取り扱い商品に差があるため資産運用の専門家に相談してみるのもおすすめだ。
- 参考:SBI証券 ニュース
経営者は資産運用の相談を誰にすべき?
経営者にとって資産運用は会社や家計の資産を守るために持っておくべき選択肢だ。
しかし、資産運用に時間と手間をかけるより本業に集中したいという人も多いだろう。
そこで、おすすめなのが資産運用の専門家に相談することだ。特に経営者の場合、法人で資産運用をするケースも考えられるため、専門的なアドバイザーに相談するメリットは大きい。
経営者が資産運用を専門家へ相談する重要性
経営者の場合、資産運用を法人ですることもあれば、事業継承と絡めて考えることも考えられる。
そのため、一般的な個人投資家向けの情報だけでは上手く資産運用に取り組めないこともあるだろう。
会社の経営状況やタックスプランニングなども含めた総合的なコンサルティングが必要となれば、専門家に相談するのがおすすめだ。
個人で資産運用をするにしても、専門家に相談するメリットは大きい。
家計のライフプランや老後資金なども含めた個別具体的なアドバイスを期待できる。
IFAの役割とメリット
資産運用の専門家を選ぶならIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)がおすすめだ。
特定の金融機関に所属していない資産運用の専門家で中立的な提案が期待できるためだ。
経営者ともなると銀行などの特定の金融機関と繋がりがある方も多いのではないだろうか。
そのため、資産運用の提案を銀行などの金融機関から受ける機会も多いかもしれない。
しかし、銀行をはじめとした金融機関のアドバイザーや営業員は、所属先の営業方針に縛られやすいこともある。
そのため本当に投資家に寄りそった提案をしてもらえないことも考えられる。
IFAはそのような縛りがないため、経営者の資産運用の相談やサポートで頼りになる存在だ。
「わたしのIFA」がおすすめ
身近に資産運用の相談ができるIFAがいないという方におすすめのサービスが「わたしのIFA」だ。
投資家がIFAを検索しマッチングできる。悩んでいる内容や資産状況、年齢などのプロフィールを入力することで、おすすめのIFAの経歴や専門分野が閲覧できる。
そして、相性の良さそうなIFAに無料で相談できるという仕組みだ。仮に相談してみて相性が合わない場合も別のIFAに無料相談ができる。
そのため、妥協せずに資産運用のパートナーとなるIFAを探せるのが特徴だ。
経営者だからこそ抱えている資産運用の悩みにも答えてくれるプロがきっと見つかるだろう。まずは気軽に相談してみてほしい。
経営者は会社や自分のための資産運用を始めよう
経営者が資産運用を始める意義について解説した。経営者が資産運用という選択肢を持つことで、会社の余剰資金を活用できるようになる。
また、経営者個人の家計や老後を守る手段としても資産運用は有効だ。
ただし、経営者の資産運用は法人で行う場合、節税や事業継承などの観点から専門知識が欠かせない。
個人で運用する場合も経営者だからこそ備えたいリスクを踏まえた運用が必要だろう。
本記事でも具体的な運用手法を取り上げたが、疑問や不安があれば、専門家に相談することをおすすめする。
特にIFAは中立な立場からの提案が期待でき、経営者の頼りになる資産運用のアドバイザーだ。
「わたしのIFA」を活用して、あなたに合ったアドバイザーを探してみよう。
経営者ならではの困りごとや悩みにも答えてくれるはずだ。