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投資信託の乗り換えを勧められたら?今の投資信託と提案された商品を比べて判断する方法

銀行や証券会社の担当者から「今の投資信託を売って、こちらに乗り換えませんか」と勧められたことはありませんか?新しい商品の説明を聞くと、今の商品より良さそうに見えるものです。

ただ、乗り換えでは「今の商品を売る」「新しい商品を買う」という2つの取引を一度に行います。売るときは利益に税金がかかり、買うときは購入時手数料がかかる商品もあります。そのため、入れ替えた直後の資産は、たいてい売る前より少なくなるのです。

乗り換えで払う税金と手数料、毎年の信託報酬がいくら変わるかを計算すれば、乗り換える必要があるかどうかは判断できます。

今の商品が、老後の生活費など使う予定のあるお金に合った運用になっているなら、急いで乗り換える必要はありません。同じ投資対象で信託報酬(持っている間に毎年かかる費用)が大きく下がる場合や、数年以内にお金を使う予定がある場合は、検討する価値があります。

乗り換えるかどうか迷ったときは、この記事を参考にしてください。

この記事でわかること
  • 乗り換えで最初にかかる費用の目安
  • 今の商品と提案された商品の比べ方
  • 使うときの手取りを、乗り換えた場合と持ち続けた場合で比べる方法
  • 担当者に聞きたい質問と断り方
目次

投資信託の乗り換えを勧められたら最初に確かめること

今の投資信託を売って、別の投資信託を買うことを「乗り換え」(買い替え)といいます。乗り換えるときは、売る商品に利益が出ていれば約20%の税金がかかり、買う商品によっては購入時手数料もかかります。

そのぶん、乗り換えたあとに運用できるお金は、売る前の評価額より少なくなるのです。その負担に見合うかどうかは、担当者に費用と乗り換える理由を説明してもらってから判断しましょう。

乗り換えの手続きとお金の流れ

たとえば、評価額500万円(うち利益100万円)の投資信託を売り、購入時手数料3.3%の商品に乗り換えるとします。売ってから新しい商品を持ち続けるまでのお金の増減は、次のとおりです。

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手順お金の増減内容(500万円の例)
① 今の商品を売る−約20万円(税金)利益100万円に約20%の税金がかかり、手元に残るのは約480万円
−信託財産留保額かかる商品では、売るときにさらに差し引かれる
② 売ったお金が入金される±0約480万円が入金される。ただし、入金までの4〜5営業日は運用されない
③ 新しい商品を買う−約15万円(購入時手数料)約480万円のうち、新しい商品を買えるのは約464万円。手数料の割引や優遇があれば、この金額は小さくなる
④ 新しい商品を持ち続ける−約7.7万円(毎年の信託報酬)信託報酬が年1.65%の場合。今の商品が年0.5%なら毎年約2.5万円なので、負担が増える。今より信託報酬が安い商品なら、安くなった分が+になる

※ 計算のための仮の数値です。購入時手数料は税込3.3%(購入金額に上乗せする方式)で計算し、運用による増減は考慮していません。

乗り換えた時点で、運用に回せるお金が約36万円減ってしまいます。

勧められたのがスイッチングの場合

担当者から「スイッチング」を勧められることもあります。スイッチングは、同じシリーズの投資信託の中で、為替ヘッジのありとなしや、コースを替える乗り換えです。

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項目通常の乗り換えスイッチング
乗り換え先どの投資信託でもよい同じシリーズの中の決められた商品
購入時手数料買う商品の手数料がかかる安いか無料のことが多い
売るときの税金利益が出ていればかかる利益が出ていればかかる
信託財産留保額かかる商品があるかかる商品がある

※ NISA口座ではスイッチングを取り扱わない販売会社もあります。出典:SMBC日興証券「スイッチング」、マネックス証券「乗換(スイッチング)手数料率とは」「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース」、ゆうちょ銀行「投資信託のスイッチング」

手数料が安いぶん、最初に減るお金は通常の乗り換えより小さくなります。ただ、利益に税金がかかる点は同じで、評価額500万円(うち利益100万円)なら約20万円が差し引かれます。

注意したいのは、別のシリーズの商品への乗り換えも「スイッチング」と呼ばれることがある点です。その場合は購入時手数料がかかることもあるので、どのシリーズの商品に替えるのかを担当者に確かめましょう。

為替ヘッジのありとなしを替えるスイッチングでは、手数料が0円でも、為替の影響の受け方が変わります。ヘッジありの商品には日米の金利差に応じたヘッジコストがかかり、2025年6月末時点では米ドルで年4%前後でした。円高で値下がりするリスクを抑えたいのか、毎年のコストを避けたいのかで、選ぶコースは変わります。

乗り換えを決める前に確かめる3つの説明

乗り換えを決める前に、担当者から次の3つの説明があったかを確かめましょう。銀行や証券会社などの販売会社は、乗り換えを勧めるときにこれらを説明するよう、法令と日本証券業協会のルールで求められています。

確かめる説明内容
2つの商品の違い今の商品と提案された商品、それぞれの投資対象や仕組み
自分に合っているか乗り換えが、お金を使う予定や自分の希望に合っているか
生じるリスクと費用値動きのリスクと、税金・手数料などの費用

※ 日本証券業協会「投資信託等の乗換え勧誘時の説明義務に関するガイドライン」(2021年11月15日改訂)をもとに作成。ETF、REIT、MMFなどは対象外です。

説明が足りないまま乗り換えの話が進むことは、実際にあります。証券取引等監視委員会の事例集(2018年)でも、乗り換えにかかる手数料や為替リスクの説明が不十分だった証券会社の例が取り上げられました。

販売会社は、乗り換えのときに説明する項目を社内で決めています。たとえば、三井住友信託銀行が公開している確認事項には、次のように書かれています。

売却ファンド

  • ファンドの性格(投資方針、投資対象、リスク等)
  • 直近の概算損益額、売却するファンドの基準価額決定日
  • 解約金額に応じた信託財産留保額および解約手数料の金額
  • 課税方法(個別元本、取得価額、税率)等

購入ファンド

  • ファンドの性格(投資方針、投資対象、リスク等)
  • 購入金額に応じた申込手数料の金額、保有期間中の信託報酬、投資顧問報酬、解約時の信託財産留保額・解約手数料・成功報酬の料率
出典:三井住友信託銀行「投資信託 売却・乗換勧誘該当時の確認事項」より抜粋

このうち金額が示されていない項目は、「今回の乗り換えで、税金と手数料がいくらになるか紙に書いてください」と頼んでみてください。金額が出てこないなら、その日は決めずに持ち帰りましょう。

今の商品を売らずに、新しい投資信託を買い足すよう勧められた場合は、乗り換えにはあたりません。買う前に確かめる点は、銀行で勧められた投資信託を買う前の確認で紹介しています。

乗り換えた場合と持ち続けた場合の手取りを比べる

以下のツールを使えば、お金を使うときに売った場合の手取りを、乗り換えた場合と持ち続けた場合で比べられます。今の商品と提案された商品の数字と、お金を使い始める時期を入れて確認してみてください。

乗り換えた場合と持ち続けた場合の手取り比較

お金を使うときに売った場合の手取り(税金を引いた金額)を、乗り換えた場合と持ち続けた場合で比べます。

ステップ 1 / 4

1. 今の商品(金額と口座)

万円
万円

資料を見ても数字がわからなかった場合は、担当者に確認してみてください。

なお、判断に迷うときは、提案した金融機関とは別の立場にいる資産運用の専門家に、2つの商品を比べてもらいましょう。今の商品を持ち続ける案や、一部だけ変える案も含めて相談することができます。

資産運用ナビでは、金融機関に属さない資産運用アドバイザー(IFA)を無料で紹介しています。今の商品の資料と提案書を用意して、乗り換えるべきかどうかを相談してみてください。

\ 乗り換えるべきかをプロに相談 /

自分で比べて決めたい場合は、このまま読み進めてください。ここから先で、比べるポイント、税金と手数料の考え方、乗り換えるかどうかの目安を順に説明していきます。

今持っている投資信託と提案された商品を比べるポイント

今持っている投資信託と提案された商品は、投資対象、費用、分配の方針の3点で比べましょう。担当者の説明を聞くだけでは、同じ銘柄にどれだけ投資しているかや、費用がいくら変わるかまではわかりません。

比べる前に、2つの商品の正式名称を確かめておきましょう。たとえば「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」には、為替ヘッジありのAコース、なしのBコース、毎月決算型のDコースなどがあり、コースごとに値動きや分配金が違います。

資料は自分で探すより、担当者に「今の商品と提案された商品の交付目論見書と月次レポートを見せてください」と頼むのが近道です。その場で資料を見れば、正式名称もわかります。

投資対象と値動きの大きさ

まず、2つの商品がそれぞれ何に投資しているかを確かめましょう。投資対象を確かめる資料は交付目論見書の「ファンドの目的・特色」、組入上位の銘柄なら月次レポートや運用報告書です。

新しいテーマの商品を勧められると、今の商品とは投資先も違うように思えます。ところが、組入上位の銘柄を比べてみると、今の商品と同じ銘柄が多く入っている場合があります。同じ銘柄が多ければ、乗り換えても値動きの傾向はあまり変わらないため、費用がかかるだけです。

投資対象がまったく違う場合は、値動きの大きさを比べましょう。手がかりは、交付目論見書の「投資のリスク」と、「運用実績」にある年間収益率の推移です。数年以内に使う予定のお金なら、期待できるリターンより先に、下落したときの幅が受け入れられるかを確かめましょう。

買うとき・持っている間・売るときにかかる費用

投資信託の費用は、支払うタイミングで次のように分かれます。

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タイミング費用内容
買うとき購入時手数料購入時に販売会社に支払う。申込金額の数%が目安で、かからない商品(ノーロード)もある
持っている間運用管理費用(信託報酬)保有額に応じて日々差し引かれる。年率で表示される
持っている間監査報酬・売買委託手数料など信託財産から間接的に支払われる。売買委託手数料は事前に金額を示せない
売るとき信託財産留保額途中で換金するときに差し引かれる。ない商品もある

※ 出典:資産運用業協会「投資信託のコスト」をもとに作成

乗り換えでは、今の商品を売るときと新しい商品を買うときに、それぞれ費用がかかります。ただ、長く持つほど金額が積み上がるのは、毎年かかり続ける信託報酬です。

たとえば、信託報酬が年0.5%の商品から年1.65%の商品に乗り換えると、毎年1.15%分の費用が多くかかってしまいます。わずかな率に見えますが、400万円を持っていれば1年あたり約4.6万円の負担増です。

10年持ち続ければ、多く払う費用は約46万円になります(運用による増減を考えない単純計算)。

分配の方針と資産全体での役割

同じ投資対象でも、毎月分配型のように分配金を受け取る商品と、分配金を出さずに再投資する商品では、お金の受け取り方が違います。年金の不足分を分配金で補いたいのか、当面は使わずに増やしたいのかで、合う商品は変わります。

提案された商品が、手持ちの資産の中でどんな役割になるかも確かめましょう。今の商品が株式中心で、提案された商品も株式中心なら、乗り換えても資産全体の偏りはそのままです。

複数の投資信託を持っている場合は、どれが同じ役割なのかを先に整理しましょう。60代の投資信託の見直しの手順で保有資産を一覧にすると、提案された商品が資産全体でどんな役割になるのかがはっきりします。

乗り換えにかかる税金と手数料

乗り換えで最初に差し引かれるお金は、売却時の税金と、購入時の手数料です。どちらも、提案を受けた時点で金額を計算できます。

利益が出ている場合の税金

特定口座や一般口座で保有する公募投資信託を売って利益が出た場合、利益に対して20.315%の税金がかかります。内訳は所得税15%と住民税5%に、所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を加えたものです。2027年1月からは、この2.1%が復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%に分かれますが、合計の税率は変わりません。

特定口座で「源泉徴収あり」を選んでいれば、税金は売却時に差し引かれ、確定申告をしなくても手続きが終わります。税金が引かれたことに気づきにくいのはこのためです。取引報告書を見ると、乗り換えで差し引かれた税額がわかります。

長く持って利益が積み上がった商品ほど、税金も大きくなります。評価額500万円のうち利益が100万円なら、税金は約20万円です。

持ち続けた場合は、使うときに売った時点の利益で税金が決まります。それまでに値下がりすれば税金は少なく、値上がりすれば多くなる仕組みです。

乗り換えると、今の利益にかかる税金がその時点で決まり、差し引かれてしまいます。

差し引かれた分は運用に回せず、その分の値上がりも受け取れません。また、乗り換えた年の翌年以降に値下がりして売っても、その損失で、乗り換えのときに払った税金を取り戻すことはできません。

含み損がある場合の損益通算

損失が出ている商品を売った場合、その損失は同じ年のほかの上場株式等の売却益や、申告分離課税を選んだ配当と相殺できます(損益通算)。相殺しきれなかった損失は、確定申告をすれば翌年以降3年間繰り越せます。

課税口座なら、損失のある商品を売っても税金の面で不利になるとは限りません。値下がりしている商品を持ち続けるか売るかは、税金とは別に判断します。

NISA口座で乗り換える場合の非課税枠

NISA口座なら、売っても利益に税金はかかりません。税金がかからないなら、乗り換えの負担は小さいように思えます。

ただし、売った分の非課税枠は、売った年のうちには戻りません。

項目NISA口座での扱い
売却益非課税
売却した分の枠売った商品の簿価(取得金額)の分が、翌年以降に再び使えるようになる
同じ年に新しい商品を買う場合その年の年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)の残りの範囲で買う
生涯の上限非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
売却損なかったものとみなされ、特定口座などの利益と損益通算できない。繰越控除もできない

※2026 年9月時点の制度。出典:金融庁「新しいNISA」、国税庁「No.1535 NISA制度」

そのため、NISA口座で大きな金額を乗り換えると、その年の年間投資枠に収まらず、売却代金の一部を課税口座で買うことになる場合があります。NISA口座で非課税のまま運用していたお金の一部が、課税口座へ移ってしまうわけです。

また、2027年からはつみたて投資枠の対象となる商品が広がる予定です(令和8年度税制改正大綱)。「NISAで買えるようになった商品」を理由に乗り換えを勧められた場合も、比べる項目は変わりません。

特定口座の商品を、同じ商品のままNISAで買い直す場合は考え方が異なります。損益・枠・費用の比べ方は、特定口座の商品をNISAで買い直す判断で扱っています。

手数料の割引・優遇がある場合

乗り換えでは、販売会社の割引や優遇で、購入時手数料が安くなることがあります。主なものは次の3つです。

種類内容
償還乗換優遇今の商品が償還(運用終了)したお金で、同じ販売会社の商品を買うと、購入時手数料が無料か割引になる。償還から一定期間内に限られることが多い
スイッチング同じシリーズの商品の中で乗り換える。為替ヘッジの有無やコースの変更などで、手数料が安いか無料のことが多い
販売会社のキャンペーン購入時手数料の割引や、購入金額に応じた現金・ポイントの進呈がある。期間や金額などの条件がつく

※ 対象となる商品や条件は、販売会社によって異なります。出典:iFinance「償還乗換優遇制度」、SMBC日興証券「スイッチング」、三井住友信託銀行「投資信託お申込手数料割引」

どれを使っても、利益にかかる税金は減りません。スイッチングも今の商品の換金を伴うため、利益が出ていれば税金がかかり、信託財産留保額がかかる商品もあります。

割引や優遇があるときは、割引後の手数料で、最初にかかる費用を計算し直しましょう。500万円の例で手数料が0円になれば、最初の費用は税金の約20万円だけになります。

キャンペーンの期限を理由に「今月中に乗り換えたほうが得です」と勧められても、急ぐ必要はありません。使うときの手取りがどちらが多いかを計算してから決めてください。

500万円を乗り換えた場合の計算例

評価額500万円(取得価額400万円)の投資信託を特定口座で乗り換える場合を、2つのパターンで計算しました。

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項目A:信託報酬が上がる乗り換えB:信託報酬が下がる乗り換え
売却前の評価額500万円500万円
売却時の税金(利益100万円×20.315%)203,150円203,150円
購入時手数料約15.3万円(3.3%)0円
新しい商品を買える金額約464万円約480万円
乗り換えた時点で運用に回せなくなるお金約36万円約20万円
信託報酬(年率)0.5%→1.65%1.65%→0.1%
信託報酬(年額)約2.5万円→約7.7万円約8.3万円→約0.5万円
5年後に売ったときの手取り(持ち続けた場合)約470万円約448万円
5年後に売ったときの手取り(乗り換えた場合)約427万円約477万円

※ 計算のための仮の数値です。購入時手数料は税込3.3%(購入金額に上乗せする方式)で計算しました。信託報酬の年額は、乗り換え前は評価額500万円、乗り換え後は新しい商品を買える金額に年率をかけています。5年後の手取りは、値動きがないものとして、売るときの税金を引いた金額です。持ち続けた場合も、5年後に売るときに税金がかかります。信託財産留保額は考慮していません。

Aでは、5年後に売ったときの手取りが、持ち続けた場合より約43万円少なくなってしまいます。購入時手数料の約15万円に加えて、毎年の信託報酬が約5.2万円増えるためです。

Bでも、乗り換えた時点で税金の約20万円を払います。ただ、持ち続けた場合も5年後に売るときに税金がかかるため、手取りで比べると乗り換えたほうが約29万円多くなります。

同じBでも、購入時手数料が3.3%かかると、乗り換えたほうが手取りが多くなるのは約3年後からです。数年以内に使うお金なら、手数料を取り返す前に売ることになりかねません。

乗り換えるか持ち続けるかを決める目安

信託報酬が下がる商品を勧められると、乗り換えたほうが得に思えます。ただ、購入時手数料がかかる場合や、投資対象が変わる場合は、そうとは限りません。どちらを選ぶかは、お金を使う時期まであと何年あるかを考えて決めましょう。

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選択肢合う状況先に確認すること
乗り換える投資対象がほぼ同じで信託報酬が大きく下がる/数年以内に使うお金を、値動きの小さい商品に移したい/今の商品に繰上償還の予定がある購入時手数料と、使うときの手取り
持ち続ける今の商品が使う予定に合っている/乗り換えると費用が上がるのに、お金を使う予定は変わらない今の商品の運用方針や費用に変更がないか
一部だけ変える1本の商品に資産が集中している/使う時期に合わせて少しずつ移したい変える割合と、残す部分の役割

乗り換えを検討しやすいケース

乗り換えを検討してよい場合として、次の3つが挙げられます。

1つ目は、投資対象がほぼ同じで、信託報酬が大きく下がる場合です。同じ株価指数に連動する商品どうしなら運用成果を左右するのは主に費用なので、購入時手数料もかからなければ、使うときの手取りは乗り換えたほうが多くなります。評価額500万円で信託報酬が年1.65%から年0.1%に下がる場合、5年後の手取りは約29万円増えます。

2つ目は、近いうちにお金を使う予定がある場合です。数年以内に住まいの修繕や生活費の取り崩しが始まるなら、株式中心の商品から値動きの小さい商品へ一部を移せば、予定に合わせて備えられます。この場合、乗り換えるきっかけは相場の見通しではなく、自分の予定の変化にあります。

3つ目は、今の商品が途中で運用を終える可能性がある場合です。純資産総額が小さい投資信託は、運用成績が安定しにくく、運用期間の途中で繰上償還されることがあります。運用報告書で純資産総額の推移を見て、運用会社から償還のお知らせが届いているなら、償還されたお金をどこで運用するかも一緒に考えましょう。

持ち続けるほうが合うケース

「今後はこの分野が伸びる見通しです」「新しい商品が出ました」という理由だけの提案は、いったん持ち帰りましょう。見通しは外れることがあり、外れても乗り換えで払った税金と手数料は戻らないからです。

前回の購入から間もないのに、また乗り換えを勧められた場合は、その理由を具体的に聞いてください。

短い期間での乗り換えは、国や業界団体も問題視している点です。日本証券業協会は会員に対し、短期間での入れ替えはより慎重に判断するよう求めています。金融庁も2026年7月に公表した報告で、投資信託の回転売買などと同じ種類の課題が、商品を変えながら繰り返し起きていると指摘しています。

今の商品を持ち続けるほうがよいのは、乗り換えると信託報酬が上がるのに、お金を使う予定は変わらない場合も同じです。購入時手数料3.3%を払って信託報酬が年0.5%から年1.65%に上がると、評価額500万円なら5年後の手取りは約43万円減ってしまいます。その分を、新しい商品の運用成果で取り返す必要があるためです。

今の商品に含み損があり、「損を取り返すために別の商品へ」と勧められている場合は、乗り換えるかどうかと、損失をどう扱うかを分けて考えましょう。値下がりした商品を持ち続けるか売るかは、分配金も含めた損益を確かめたうえで判断します。損益の確かめ方と判断の手順は、60代の投資信託の売り時にまとめました。

一部だけ変えるケース

乗り換えは、全額を入れ替えるか、何もしないかの二択ではありません。一部だけ変えるのも一つの方法です。

1本の投資信託に資産の大部分が集中しているなら、一部を別の資産に移すだけでも偏りは小さくなります。お金を使う時期が数年に分かれている場合は、近いうちに使う分だけを値動きの小さい商品に移し、先に使う分は今の商品で運用を続ける方法もあります。

もう一つが、売らずに調整する方法です。退職金や預金など新しく使えるお金で提案された商品を買う、積立の買付先だけを変える、といった方法なら、今の商品を売るときの税金はかかりません。複数の商品の配分をどの順で整えるかは、60代の投資信託の見直しで整理しています。

担当者への確認と断り方

提案の説明に、税金と手数料の合計額や、今の商品を持ち続けた場合との比較が入っていないこともあります。その場合は、足りない情報を担当者に聞けば判断できます。

担当者に聞きたい8つの質問

次の8つを聞けば、乗り換えを決めるのに足りない情報を埋められます。

質問確認できること
乗り換えると、今の商品を持ち続ける場合と比べて何が良くなりますか乗り換える理由と、今の商品との比較があるか
500万円を乗り換えたら、税金と手数料は合計でいくらかかりますか最初にかかる費用の金額
この乗り換えで使える手数料の割引や優遇はありますか。期限はいつまでですか割引後の手数料と、期限を理由に急がされていないか
信託報酬は、今の商品と比べて年間いくら変わりますか毎年の費用がいくら増えるか、減るか
同じような投資先で、費用がより安い商品はありますかほかの選択肢があるか
この商品を換金するとき、どのような制限や不利益がありますか信託財産留保額や換金できない期間の有無
一部だけ乗り換える方法や、売らずに新しい資金で買う方法ではいけませんか全額を乗り換える必要があるか
この提案で、御社が受け取る手数料はいくらですか販売会社の利益と自分の利益の関係

※ 金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」(似た商品や代わりの商品と手数料を含めて比べて提案する)と、金融機関の「重要情報シート」の質問例をもとに作成

答えを聞いたら、金額と理由をメモに残しておくと、あとで比べたり家族と話したりするときに役立ちます。日本証券業協会も、会員の販売会社に対し、乗り換え時の説明の記録を作るよう求めています。

持ち帰る・断るときの伝え方

乗り換えに応じるかどうかを決めるのは本人です。資料を受け取り、日を改めて判断してかまいません。その場で伝えるときは、次のような言い方があります。

場面伝え方の例
その場で決めたくない「資料をいただいて、今の商品と比べてから決めます」
家族と相談したい「家族と相談してから、こちらから連絡します」
今回は見送りたい「今の商品で十分なので、今回は乗り換えません」
費用の説明が足りない「税金と手数料の合計額を書面でいただけますか」

申込期限を理由にその場での決定を促された場合は、まず期限の日付を確認しましょう。期限までに資料を比べる時間があれば、持ち帰ってから決められます。

親が75歳以上の場合に知っておきたいのが、その日のうちに決めずに済む仕組みです。日本証券業協会のガイドラインでは、75歳以上(特に80歳以上)の顧客に値動きの大きい商品などを勧めるとき、役席者の事前承認が必要で、注文も原則として翌日以降に受けることになっています。

今の商品を売らずに済む方法

提案された商品に魅力を感じた場合も、今の商品を売る必要はありません。退職金など新しく使えるお金の一部で提案された商品を買うか、積立の買付先だけを変える方法があります。今の商品に利益が出ているなら、税金がかからない分、使えるお金を減らさずに済みます。

断ったあとも、今の商品をこのまま持ち続けるかどうかという迷いは残るでしょう。提案した金融機関とは別の立場の専門家なら、今の商品の見直しも含めて相談できます。

\ 断ったあとの運用を相談できる /

投資信託の乗り換えでよくある質問

スイッチングやNISA・iDeCoの中での入れ替えは、口座によって税金や枠の扱いが変わります。

スイッチングと乗り換えは何が違いますか?

スイッチングは、同じシリーズの投資信託の中で商品を替える乗り換えです。購入時手数料は安いか無料のことが多いものの、特定口座や一般口座で利益が出ていれば、通常の乗り換えと同じく20.315%の税金がかかります。信託財産留保額がかかる商品もあります。

費用の高い投資信託から安い投資信託へは、必ず乗り換えるべきですか?

必ずではありません。購入時手数料がかかる場合は、信託報酬が安くなる効果で手数料を取り返すまでに数年かかることがあります。お金を使う時期に売ったときの手取りが乗り換えたほうが多く、投資対象も同じであれば、乗り換える意味があります。

NISAで売った枠は、いつ使えるようになりますか?

売った商品の簿価(取得金額)の分が、翌年以降に使えるようになります。売った年のうちに枠が戻るわけではないため、同じ年に買い直す場合は、その年の年間投資枠の残りの範囲になります。

iDeCoの中で商品を入れ替えるときも税金はかかりますか?

iDeCoは運用益が非課税のため、商品の入れ替え(スイッチング)で税金はかかりません。ただし、売買の実行までに日数がかかる場合や、コストがかかる場合があります。

【まとめ】投資信託の乗り換えを勧められたときの判断

乗り換えを勧められたら、その場で返事をせず、2つの金額を出してもらいましょう。今回かかる税金と購入時手数料の合計と、今の商品と提案された商品それぞれの信託報酬です。

乗り換えるかどうかは、お金を使うときに手元に残る金額が、どちらが多いかで決まります。

購入時手数料がかからず、信託報酬が年1.65%から年0.1%に下がる乗り換えなら、評価額500万円で5年後の手取りは約29万円増える計算です。反対に、購入時手数料3.3%を払って信託報酬が年0.5%から年1.65%に上がると、5年後の手取りは約43万円減ってしまいます。

金額が出てこない提案や、「今後伸びる見通し」だけが理由の提案は、その場で決めずに持ち帰りましょう。数字を比べても迷うときや、そもそも資料がそろわないときは、提案した金融機関とは別の立場の専門家に見てもらうと、今の商品を持ち続ける案や一部だけ変える案も含めて比べられます。

\ 提案と今の商品を一緒に比べる /

出典

※ 本記事は2026年9月時点の制度にもとづいて作成しています。個別の商品の購入や売却を勧めるものではありません。

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。

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