- 保険の基本的な仕組みがわからない
- 保険の種類とその具体的な特徴を知りたい
- 保険選びのポイントを把握したい
保険の制度や種類について学ぶ機会は意外と少ない。
実際に保険に加入するとなった際に種類が多すぎて選ぶのに困ったという人もいるのではないだろうか。
この記事では、保険の基本的な仕組みから、各種保険の特徴・選び方のポイントまでを詳しく解説する。
保険について基礎から学びたい、という人はぜひ参考にしてもらいたい。
保険の基本的な仕組みとは
具体的に加入する前に、そもそも保険とは何か、基本的な概念や仕組みを理解することが欠かせない。
定期的に納付する保険料はどのように活用されるのか、万一の際の保障や保険料の決まり方なども含めて把握しておこう。
保険の共同負担という理念
保険は「誰かが困ったときのため、みんなで助け合おう」といった共同負担や相互扶助の考え方によって仕組みが作られ、維持されている。
なぜ共同負担の仕組みが必要なのか。それは我々の生活にはさまざまなリスクが存在し、全てのリスクに自力で対応しようと思うと多額の負担や損失が発生するおそれがあるからだ。
例えばいま健康上の問題が全くなかったとしても、自分だけでなく家族等も含めて突然病気やけがをするリスクは常に存在し、いつ発生するか予測するのは非常に困難だ。
仮に治療費として500万円かかることが分かった場合、預貯金等の資産が少なければ必要な措置を受けられないおそれもある。
そのようなリスクを軽減するために「みんなで支え合おう」と考えて作られたのが保険だ。ひとりで500万円用意するのは難しいが、例えば500人で助け合えば1人1万円の負担で済む。
このように共同で1人あたりの負担を軽減して大きな保障を得られるのが保険の基本的な仕組みである。
保険料はどう決まる?加入者ごとに異なる理由
保険料や保険金は想定されるリスク内容や発生確率をもとに算出され、商品ごとに異なるのが一般的だ。
それぞれの加入者はリスクに見合った相応の保険料を負担するのが基本的な考え方だ。
例えば死亡保険の場合、20代と60代では死亡する確率が異なり、一般的に若年層ほど死亡率は低いと考えられるため保険料は低く抑えられる傾向がある。
仮に20歳も60歳も同じ保険料だと特に若年層から「高齢者のほうが死亡リスクが高いにもかかわらず、同じ保険料を負担するのはおかしい」等と不公平感が出てくるだろう。
自動車保険の場合、免許とりたての初心者の人と40年間無事故無違反の人では事故等のトラブルが発生するリスクや割合は異なるだろう。
免許とりたての場合は保険料が高く、更新する度に見直すと保険料が安くなるケースもあるのは公平性の考え方が根底にある。
保険会社としてもリスクが高い加入者の保険料を低く抑えると、万一の際の保険金や給付金負担が増し、収支バランスの悪化で会社経営に影響が出るかもしれない。
加入者それぞれが個別のリスクに見合った保険料を負担し、誰かが損失を被った際に保険会社は保険金や給付金を支給して保障するのが基本的な保険の仕組みである。
リスク分散と生活保障
死亡や高度障害、病気やけがによる通院や入院、火災や地震等による被害、自動車や自転車の運転による事故など、日常生活で起こりうるリスクを挙げるとキリがない。
リスクを過度に気にするあまり何もできなくなるのも問題だが、いつ誰がリスクを被るのか将来の予測が困難であることを前提に対策する必要があるだろう。
そのうえでいま自分自身に降りかかるリスクを想定し、リスクの分散や必要な保障を確保することが重要だ。
保険の種類とそれぞれの仕組み
ひとくちに「保険」といっても世の中にはさまざまな種類が存在する。
ここでは一般的に活用されることが多い3つの保険に絞って解説するのでぜひ参考にしてみてほしい。
遺族の生活立て直しや資産形成をも実現する生命保険
生命保険は数多ある保険の中でも最も一般的に馴染みがあるものといっても過言ではないだろう。
被保険者が死亡または高度障害状態になると受取人に保険金が支給されるタイプの場合は死亡保険といわれることもある。
自分自身に万一の事態が発生した際に必要となる治療費や葬儀費、残された家族の生活を立て直すために必要な資金を確保する手段の1つとして保険が活用されることも多い。
子どもが産まれて加入するパターンも少なくないが、これは万一の事態が発生すると幼い子どもや配偶者等の家族が取り残され、生活が困窮するリスクに備えたいと考えるからである。
生命保険(死亡保険)は大きく分けて終身保険、養老保険、定期保険の3種類が存在する。
終身保険は保険料が変わらず、文字通り保障が一生涯続くのが大きな特徴だ。
保険期間も満期がないため、被保険者が万一死亡すると受取人に設定されることが多い配偶者や子ども等の家族は何歳でも確実に保険金を受け取れるメリットがある。
養老保険は保険期間が設定されており、被保険者が死亡や高度障害等の事態にならない場合も満期を迎えると保険金を受け取れるのが特徴だ。
死亡だけでなく子どもの教育費や老後資金対策をしたい場合にすすめられるケースが多い。
定期保険は一般的に「掛け捨てタイプ」と呼ばれる保険で満期保険金や解約返戻金はない。
その分、終身保険や養老保険よりも保険料が安い傾向がある。
「必要な保障を必要なときに付けておきたい」というニーズには最適な商品といえるだろう。
資産の積立が可能になる個人年金保険
個人年金保険は公的年金に上乗せする形で自分で老後資金を確保する手段として活用されるものだ。
毎月保険料を一定期間納付し、受け取り開始時期を迎えると、一括または年金形式でもらえる。
受け取れる期間や運用方法は商品によって大きく異なることも少なくないため、契約前の内容確認は必須だ。
老後の生活に備えて資産の積み立てができるのが大きな特徴だ。
個人年金保険は契約時にあらかじめ定められた利率で運用する定額型と、契約者が選定した投資信託等の金融商品の運用実績次第で将来の年金額が変化する変額型に大きく分かれる。
他にも受け取り期間を定めるのか終身タイプにするのか、円建てか外貨建てかなどによっても商品が変わるため、自身のニーズに沿って判断する必要がある。
医療費を抑える医療保険
我が国は公的医療保険も充実しており、高額療養費制度によって医療費の窓口負担(自己負担)が軽減され、健康保険加入者は傷病手当金を受けられる場合がある。
ただし、公的医療保険の対象外となることが多い先進医療を受けたい、入院時も個室を積極的に利用したい、その他想定外の事態に備えたい、といった場合は民間の医療保険に加入して保障をプラスさせるのも1つの方法だ。
医療保険は治療や入院費などの負担増加に備える手段の1つだが、自分自身にとってどのような保障が必要なのか考えることも重要だ。
保険の仕組みを理解して自分にとって適切な保険を見極める
限られた資産を効果的に配分するためにも、自分にとって必要な保障は何か考えて適切な保険を見極めることが重要だ。
定期的に保険料を負担しても実際は保障内容に大きな偏りがあり、万一の際に十分な保障を受けられないと本末転倒だからだ。
ここでは自身のニーズやリスクの分析、保険商品の内容確認の重要性について解説する。
保険に対する自身のニーズとリスクの分析
自分や家族の現状や将来を見据えて、どのようなリスクが発生する可能性があり、必要な保障はどれくらいか明確にしよう。
例えば独身のAさん(親兄弟はいるが全員独立している)と、結婚して妻と0歳の子どもが1人いるBさんとを比較して考える。
Aさんは自分自身の病気やけが、死亡等のリスクに備える必要があり、万一の際の治療方針や葬儀の価値観等と照らし合わせ、預貯金等の資産では賄いきれない場合は死亡保険や医療保険に加入してカバーする必要があるかもしれない。
Bさんは自分自身だけでなく妻子も含めて備える必要がある。
万一自分自身が死亡すると妻や幼い子どもが残されてしまうからだ。
特に妻が専業主婦やパート等の場合は収入が減って生活の立て直しが難しくなり、住宅ローンの返済ができない、賃貸暮らしの場合は家賃を支払えないリスクも発生する。
子どもの教育資金も今後増えることも考えると、生活立て直しや教育費準備等に必要な資金を保険で備えることも重要となるだろう。
このように自身のニーズやリスクはそれぞれ異なるため、保険商品の選定を行う前に明確にしておこう。
詳細な保険内容の確認
ニーズやリスクを明確にして初めて具体的な保険内容の確認や比較の段階に入る。
保険内容は商品によって大きく異なるため、定期的に支払う保険料や万一の際に支給される保険金額はもちろん、保障内容や支払い条件等も細かく確認することをおすすめする。
同じ種類の保険でも会社によって保険料や支払い条件、アフターサポートの有無や内容が異なることも少なくない。
そのため1つの保険会社のみで考えるのではなく、複数社から資料請求をして見積もりをとり、必要に応じて営業マンなどから詳しい説明を受けることも必要だ。
保険は死亡や病気、けがなど万一の事態に備えて加入するケースがほとんどだ。
そのため万一の事態が発生した際にどのような流れで保険金を受け取れるのか、緊急時の対応や連絡先も確認する必要がある。
緊急時は自分自身や残される家族等も含めて、当事者は適切な判断や対応が困難となることも少なくない。
その際に第三者として冷静に判断してサポートできる存在がいるかどうかは非常に大きいだろう。
- これまでの経験も踏まえて緊急時はどのような対応を行っているのか
- 緊急時の連絡先やその後の対応の流れ
- 緊急かどうか判断することが難しい場合はどうすればいいのか
主に上記3点を必ず確認し、緊急時に円滑にサポートしてくれる会社や人なのかどうか見極めることが重要だ。
もちろん保険会社や担当者に丸投げするのではなく、緊急時の連絡先や対応方法をメモしておくなど、各自準備しておくことも欠かせない。
保険会社や担当者を選ぶ際には評判と信頼性も確認しておくことをおすすめする。
レビューや評価を調べて顧客満足度が高いところを選び安心感を確保することも大切だ。
保険金の給付条件と保障内容のバランスを考慮
もちろん保障内容がより充実していることが望ましいが、そうすると一般的に保険料の負担も増えることが多いため、費用対効果や保険以外の資産とのバランスも検討することが欠かせない。
保険金や保障内容を求めるあまり、定期的な保険料支払いの負担が増加して家計を圧迫してしまっては本末転倒だ。
保険をそれぞれのニーズやリスクに合わせて選ぶことで将来の不測の事態に備えられるが、保険料負担を避けることはできないため、常に自身の経済状況と照らし合わせて見直しを続けることも重要である。
どれだけ契約上の保険金給付金額や保障内容が充実していても、必要なタイミングで支給されなければ意味がない。
商品によっては支払い条件が厳しく設定されているケースもあるため、必ず保険会社が提供している約款や重要事項説明書などの契約関係の書類は確認しよう。
例えば、日本生命保険相互会社が提供している医療保険の入院総合保険は「所定の入院で入院日数が1日、30日、60日、90日の各日数に達したとき」に入院給付金が支払われると、「各種保険/特約のお支払事由・ご留意点」資料に記載されている。
所定の入院とは具体的にどのようなケースが想定されているのか、対象外の入院が存在するのかなど、契約に関する疑問や不明点があれば、保険会社に質問して疑念を解消しよう。
また保険金や保障内容のバランスを考慮して自身にとって適切な保険商品を選ぶためにも、加入後に柔軟に見直しができるのかどうかも無視できないポイントである。
というのもライフプランや実際の状況は今後大きく変わることも少なくないからだ。
臨機応変に見直しができるとその時に最適な保障内容の保険を組める可能性が高くなるが、商品によっては柔軟な対応が難しいものもあるので注意しよう。
仕組みを理解してライフスタイルに合った保険を選択しよう
保険の仕組みや種類、そして選び方のポイントを解説してきた。
これらを学び実践することで、自身の人生設計に合う保険選びが可能となる。しかし、これらの情報だけでは保険が選びきれない場合もある。
結婚や事故などのライフイベントが発生することで、生活状況が変化し、保険に求める条件も変化することがあるからだ。
そこでおすすめなのが、保険のプロに相談することだ。保険のプロは一人一人のライフプランに合った保険を見つける手助けをしてくれる。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当を見極めることは難しい。
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