- 通貨オプションとは何か?
- オプション取引のメリットとデメリットは何か?
- オプション取引を活用するための方法や戦略は何か?
投資について勉強していくと、オプション取引という言葉を耳にすることがある。
普段の投資ではなかなかお目にかかれない言葉である。
しかし、実は様々な金融商品の中にこのオプション取引が組み込まれている。
オプション取引について詳しく知っておかないと、金融商品の仕組みを理解できず、気付かぬ間に大きなリスクを背負っている可能性もある。
今回の記事では、まずオプション取引の仕組みについて解説し、通貨オプションについての理解を深めていきたい。
通貨オプションとは?概要と仕組みについて
そもそもオプション取引とはどのようなものなのだろうか?
オプション取引とは、ある投資対象を、特定の期日に、予め定められた価格で、売買する「権利」を買う・売る取引のことを指す。
通貨オプションとは、特定の通貨を売買する権利を売り買いする取引だと捉えれば問題ない。
権利を売買するということで少し複雑に感じるかもしれないが、以下の観点を覚えておけば、概要を掴める。
- 権利対象
- 「買い」なのか「売り」なのか
- 権利行使価格
- いくらになったら買う権利・売る権利を行使するのか
- 権利行使期間
- いつまでに権利を行使すればいいのか
- 満期日
- 権利の期日
- オプションプレミアム
- 権利を購入するために必要な資金
オプションプレミアムは、本質的価値と時間的価値で構成される。本質的価値とは、権利行使価格と投資対象資産の市場価格との差分を指す。
時間的価値とは、権利の期日がどれくらい未来になっているのか、残存期間で投資には、
- 買い(ロング)ポジション
- 売り(ショート)ポジション
の2種類の取引がある。
オプション取引においては、
- 権利を買う=コールオプション
- 権利を売る=プットオプション
の2種類がある。
それぞれをかけあわせることで、オプション取引は下記の4種類の取引となる。
ロングコール | ある通貨を、特定の条件で「買う」権利を購入する |
ロングプット | ある通貨を、特定の条件で「買う」権利を売却する |
ショートコール | ある通貨を、特定の条件で「売る」権利を購入する |
ショートプット | ある通貨を、特定の条件で「売る」権利を売却する |
このうち、コールオプション(権利を買う)を選択する場合は、オプションプレミアムを支払う必要がある。
オプションプレミアムを支払うことで、投資対象の通貨が権利行使価格になった際に権利行使ができる。
一方、プットオプション(権利を売る)を売る選択をする場合は、オプションプレミアムを受け取ることができる。
このような仕組みで通貨オプション取引は成り立っている。
オプション取引のメリット・デメリット
オプション取引を活用するメリットは、下記にある。
- 損失が限定される
- 現在保有している投資対象のリスクをヘッジできる
- 少ない投資金額から取引ができる
- レバレッジをかけられる
- オプションを組み合わせて、相場環境に合わせた投資戦略を実現できる
まず、オプション取引を活用する事で損失を限定できることについて見ていく。
これはコールオプションを選択する場合のみであるが、損失額はオプション取引開始時に支払うオプションプレミアムに限定される。
その理由について、下記の例を活用して考えよう。
6ヶ月後に1ドル=100円で購入できる権利を1,000円のオプションプレミアムで買えると考えてみよう。
6ヶ月後にもし1ドル=110円になれば、1ドル=100円で購入できるので、利益を出すことができる。
もし6か月後に1ドル=90円となり、権利を行使しても利益が出ない場合は、権利を放棄することが出来る。
このように、最初に支払った1,000円のオプションプレミアムのみが損失として、損失を限定させることができる。
オプション取引を活用して、現在保有中の投資対象の値下がり/値上がりリスクの補填も可能だ。
現在保有している投資対象が短期的に下落すると予想するならば、「売る権利」を買い権利行使することで、下落による損失をカバーできる。
またオプション取引は、小資金から取引が可能であり、資金に倍率をかけ、レバレッジをきかせることも可能だ。
一方オプション取引の活用には下記のデメリットがある。
- 予想に反して相場が動くと、損失につながる
- 権利行使期間が決まっている
上記の点には注意してオプション取引を活用したい。
オプション取引の活用方法・戦略
オプション取引では、様々なオプションを組み合わせることで、相場環境に合わせた投資戦略を実現できる。
今後の相場見通しに応じて、下記のようなオプション取引の戦略が考えられる。
相場変動が大きくなる | ロングストラドル(買う権利・売る権利両方を買う) |
相場変動が小さくなる | ショートストラドル(買う権利・売る権利両方を売る) |
どちらかの方向に大きく変動 | ロングストラングル(買う権利・売る権利両方を買う) |
横ばい | ショートストラングル(買う権利・売る権利両方を売る) |
上記の4種類にオプション取引の戦略をまとめたが、
- 相場が大きく動く
- 相場があまり動かない
の2つに状況を集約できる。
前者の場合は、相場が大きく動きさえすれば、相場が上昇しようが下落しようが利益を出せる。
後者の場合も、相場がどちらの方向に動こうとも、一定の範囲内にとどまった値動きであれば利益を出せる、という形だ。
相場が大きく動くと予想する場合において採用される、ロングストラドル・ロングストラングルについて考える。
ロングストラドル・ロングストラングルは、相場が大きく動くことを予想する際に取るべき戦略であるが、どのような違いがあるのだろうか?
両者ともに、
- 同じ期限
- 「買う権利」と「売る権利」の同時買い
を購入する。
両者の違いをわけるのは下記だ。
- ロングストラドル…同一の権利行使価格である
- ロングストラングル…権利行使価格が異なる
ロングストラドルの場合、ロングストラングルよりも、最初に支払うオプションプレミアムは高くなるが、損益分岐点を超えるハードルが低くなり、利益を出す確率が高くなる。
一方ロングストラングルは、支払うオプションプレミアムは安くなる代わりに、損益分岐点を超えるハードルが高くなり、利益を出す確率が低くなる。
ショートストラドル・ストラングルは相場が横ばい・あるいは大きな変動がないと予想する場合に取る戦略である。
買う権利・売る権利それぞれの権利を「売る」ため、オプションプレミアムを受け取ることができる。
その代わり、一定の範囲を超えて相場が動くと、損失が生じる。
ショートストラドル・ストラングルともに、
- 同じ期限
- 「買う権利」と「売る権利」の同時売り
を行い、
- ショートストラドル…同一の権利行使価格である
- ショートストラングル…権利行使価格が異なる
となる。
ショートストラドルはストラングルよりも受け取れるオプションプレミアムは大きいが、ストラングルよりも損益分岐点の価格幅が狭いため、損失が生じる可能性がストラングルよりも高い。
ショートストラングルは、受けてとれるオプションププレミアムは少ないが、損益分岐点の科価格幅が広いため、損失が生じる可能性がストラドルよりも少ない。
まとめ
今回の記事では、オプション取引について、その仕組みとメリット、具体的な戦略について解説した。
オプション取引を活用することで、相場環境予想に応じて多様な戦略を考えることができ、トレードの選択肢が格段に広がる。
オプション取引、通貨オプションについて理解を深められていたら幸いである。
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