2014年に「少額投資非課税制度」、通称NISAがスタートした。NISAは日本での投資促進を目的として、個人投資の税制を優遇する制度である。
「NISAではどのような点で税制が優遇されているのか?」NISAは税制を優遇している制度であると聞くと、上記のような疑問を持つ方も多くいるだろう。
結論として、NISA口座を使うと定められている投資枠内で得た利益に関しては原則として非課税として扱われるのである。
しかしNISA口座を用いて資産運用をしていても、税金がかかってしまう例外ケースもあるため、非課税の恩恵を受けられるよう気をつける必要がある。
この記事ではNISAに関する税金の仕組みについて4項目で詳しく解説する。
3種類のNISAとそれぞれの特徴
NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3種類がある。
以下の表では3種類それぞれのNISA口座を比較している。
種類 | 一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA |
---|---|---|---|
購入可能年齢 | 20歳以上 (2024年以降は18歳以上) | 20歳以上 (2024年以降は18歳以上) | 0歳~19歳 (2024年以降は17歳まで) |
投資枠 | 年間120万円まで | 年間40万円まで | 年間80万円まで |
非課税期間 | 最長5年 | 最長20年 | 最長5年 |
投資方法 | 一括または積立 | 積立 | 一括または積立 |
ロールオーバー | 可能 | 不可能 | 可能 |
NISA口座は原則として3種類のどれか1つの口座しか開設することができない。
表を見てわかる通り投資枠や期間、そして投資方法がそれぞれ異なるため、自分の投資資金や資産運用の予定に合ったNISA口座を選択することが必要である。
NISAを用いた節税の仕組みとその具体例
一般的に金融商品への投資によって得た利益には約20%の税金が課せられる。
しかしNISAで得た利益に関しては非課税期間、そして投資枠内であれば税金が課せられることがなく確定申告の必要もない。
ここでは一般口座(課税口座)とNISA口座(非課税口座)それぞれに関して利益がでた場合どのような税金を支払う必要があるのかを具体的に比較していく。
金融機関の一般口座で投資利益が年間20万円出た場合
課税口座を使った金融商品への投資で得た利益に対しては20.315%、つまり4万6300円の税金を支払う必要があり、手元に残る利益の金額は15万3700円となってしまう。
具体的な金額を用いてこのように税金について考えてみると、投資利益に課せられる税金がいかに大きな割合を占めるかが理解できるだろう。
一般NISA口座で投資利益が年間20万円出た場合
一般NISAを用いた場合は、年間の投資枠120万円を使って購入した金融商品から得た利益に関しては非課税扱いとなる。
つまり一般NISAを用いることで税金を支払う必要がなく、20万円全額が手元に残ることになり年間4万6300円の節税をすることができる。
またロールオーバーを用いて、投資利益を翌年の投資枠に再投資して投資資金を大きくしていくことで、より多くの資産運用そしてより多くの税金の節税をすることができる。
NISAに税金が課せられる3つの例外ケース
ここまでそれぞれのNISAについて、そしてNISA口座で実際に資産運用をした際の具体的な節税効果について解説してきた。
NISAの投資枠内、非課税期間内においては投資利益は非課税として扱われると解説したが、税金がかかってしまう例外ケースが4つ存在する。
- NISA口座から課税口座に金融商品を移した場合
- NISAの非課税枠を超えて金融商品を購入した場合
- 18歳未満でジュニアNISAの払い出しをした場合
- 配当金受け取りを株式比例配分方式にしていない場合
それではそれぞれのケースについて詳しく解説する。
NISA口座から課税口座に金融商品を移した場合
NISAを活用して購入した金融商品から得た利益には非課税期間が定められており、期間を満了したあとは以下の3つの方法を取る必要がある。
- 保有金融商品を一般口座や特定口座などの課税口座に移す
- 売却して決済してしまう
- ロールオーバーをする
上記の方法のうち一番目の課税口座に移す方法を選んだ場合、保有している金融商品から得た利益は非課税期間終了後は課税対象となる。
その際に支払う税金に関しては、課税口座に移された時点での評価額が取得単価とされ、それを元に計算される。
もし、課税口座に移した時点では値下がりしていて、その後に価格が上昇してしまった場合、支払い税金額がNISA開始時点よりも大きくなってしまう場合もある。
また2番目の方法を選び、金融商品を売却して利益を得た場合に関しても売却利益に対して税金が課される。
課税口座に移したり売却をする際には、それに相当するNISA投資枠を再度使用することができないためよく考えておこなう必要がある。
NISAの非課税枠を超えて金融商品を購入した場合
非課税対象として扱われる投資枠の上限がNISA口座ではそれぞれ定められている。
証券会社によって異なるが、その投資枠を超えて金融商品を購入した場合は以下の2つの対応が取られる。
- 課税口座で自動的に買付けがされる
- そもそも購入することができない
課税口座にて買付けがされた金融商品から発生する投資利益には税金の支払い義務が発生するのである。
18歳未満でジュニアNISAの払い出しをした場合
ジュニアNISAは未成年者の資産形成を目的とした制度である。したがって災害などやむを得ない状況以外、3月31日時点で18歳になる年の前年12月まで払い出しをおこなうことを制限している。
そのため、18歳未満でジュニアNISA口座内の金融商品を売却して利益の払い出しをする場合、過去に得た利益にまでさかのぼって税金がかかってしまうため注意が必要である。
ジュニアNISAを用いる際は売却益の払い出しはせず、残りの投資枠内に再投資をしてうまく投資資金を回すことをおすすめする。
しかし2024年に開始される新制度のNISAではジュニアNISAの払い出し制限がなくなり、いつでも利益の払い出しが可能となる。
配当金受け取りを株式比例配分方式にしていない場合
NISAにて購入した金融商品から得ることができる配当金や分配金は以下の3つの方法で受け取ることが可能である。
- 配当金領収証方式:ゆうちょ銀行や郵便局に「配当金領収証」を持ち込み受け取る
- 受領口座方式・個別銘柄指定方式:指定の銀行口座で受け取る
- 株式数比例配分方式:証券会社で受け取る
配当金領収証方式や受領口座方式・個別銘柄指定方式を用いて受け取る配当金は課税対象となり、NISA口座ではできない損益通算や繰越控除が可能になる。
NISA口座で受け取る配当金や分配金を非課税にしたい場合は、株式数比例配分方式を選択する必要がある。
NISA口座を開設した時点では基本的に、株式数比例配分方式に自動設定されているが、設定に不安がある場合は証券会社に直接確認しておくようにするべきである。
まとめ
NISA口座を使うと基本的に投資利益は非課税となること、そしてNISAを使っていても課税対象となってしまう3つの例外ケースがあることを解説してきた。
NISAの税制優遇制度をうまく使うことでより多くの資金を効率よく投資に回すことができ、より多くの利益を期待することができる。
そのうえで、どのように資産運用していいか悩んでいる方は、「資産運用ナビ」に相談をしてはいかがだろうか。
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