- 資産運用における円建てとドル建ての違いを知りたい
- 円建て・ドル建てのどちらを選ぶべきかわからない
- ドル円など為替レートついて詳しく知りたい
資産運用で金融商品に投資することは、低金利の銀行預金をすることよりも遥かに理にかなっており、貯蓄一辺倒の日本社会においては、マネーリテラシーの向上にもつながる。
今回の記事では、そこからさらに一歩思考を進めてみる。そもそも、金融資産を円で持っている必要があるのか?世界には、円以外にもたくさんの通貨が存在する。海外投資をするにはどうしたらよいのだろうか?
今回は、ドル建てと円建てをターゲットに、外貨を活用した資産運用について説明していく。
円建てとドル建ての基本を理解しよう
最初に、円建てとドル建てそれぞれについて、簡単な説明から始めようと思う。
円建てとは
本来の円建てとは、輸出入の貿易など国境を越えてのサービスや商品の受け渡しにおいて、発生する金銭のやり取りを円を単位としてお互いに表示し、実際の支払いも円で行うことである。
投資における円建てとは、金融商品を円で購入し保有することを意味する。通例として「JPY」と表示されることが多い。
ドル建てとは
同様に、投資においてドル建てと言う場合、金融商品をアメリカドルで購入し保有することを意味する。
通例として「USD」と表示されることが多い。
為替リスクとは
為替リスクとは、為替相場の変動により、保有資産の価値が相対的に上がったり下がったりすることをいう。
日本で為替リスクという場合、日本円以外の通貨で保有する資産に関して言及される。
例えば、ドル建てで金融商品を保有している場合であれば、ドル円の為替レートの変動により、最終的に商品を売却して円転(=外貨から円に替えること)した際に、商品自体の価格の変動とは別に為替の変動分で、手元に残る利益が増減することになる。
円建て投資とドル建て投資のメリット・デメリット
円建てとドル建て、それぞれの投資上でのメリット・デメリットを紹介していこう。
円建て投資のメリット・デメリット
円建て投資の分かりやすいメリットとしては、日本で生活をする我々にとって、生活通貨と直結しているので扱いやすいということがある。
例として、日本の銀行や証券会社であれば、資金を口座に送金したり引き出したりするのも簡単であり、そのまま円で行えるため手数料が安い。
また、円ベースでの環境下では、為替リスクを抑え、安定して運用することが可能な点もメリットと言える。
その他のメリットとして、普段から円で物の価値を判断することに慣れているので、直感的に理解しやすい。
例えば、100万円が高いのか安いのか妥当なのか、円の感覚に慣れているからこそ直ぐに判断ができる。
デメリットとしては、金利が圧倒的に低いことがまず挙げられる。保有していても、利息のうまみはない。
コロナウイルスが世界的に流行をしてから、世界各国の中央銀行は政策金利を断続的に引き上げている。
アメリカの中央銀行は、従来の0.25%から2022年3月は0.50%の幅で金利を引き上げ、現在は5.25%となっている。
かたや日本は、2016年に日銀がマイナス金利を導入してから、ずっとマイナス0.10%である。
これにより、外国為替取引(FX)であれば、円を買うポジション(円ロング)を保有しているだけで、手数料(スワップポイント)で毎日お金が減るなどの影響が出ている。
基本的に投資の視点からすると、円建ての資産を保有していること自体が相対的に損失であり、本来最大化できたはずの利益から見れば、資産が目減りしていると言えるのだ。
相対評価では円を持っていること自体がデメリットとなっている。
ドル建て投資のメリット・デメリット
ドル建て投資のメリットとしては、金利が高いことが真っ先に挙げられる。金利が高いので、ドル資産の保有自体に価値があるというわけだ。
世界の三大通貨は、アメリカドル・日本円・ユーロである。
とりわけ、アメリカドルは世界の基軸通貨と言われるほど、「通過界の公用語」のような存在感があり、圧倒的な流動性がある。そのため、ドルで行われる決済は手数料が安い。
例えば、日本円からユーロに替える際、実は日本円がユーロに直接両替されているわけではない。
日本円がドルに一旦両替され、そのドルがユーロに両替されるのだ。直接的に他の通貨に替わるのはアメリカドルなのである。
だから、アメリカドルは手数料が安く、他の通貨は高い。これは、国際的なサービスや金融商品を取引する際に際立つだろう。
ちなみに、他通貨と直接交換性があるアメリカドルが絡んだ通貨ペア(ドル円、ユーロドル、など)をドルストレートと呼ぶ。一方、他の通貨ペアは、例えば円であれば(ユーロ円、ポンド円、など)円クロス(人によってはクロス円)と呼ぶ。
これは「一旦ドルを経由(クロス)して」交換されていることに由来する。
その他のメリットとして、外貨建てとして資産が分散されるため、リスク分散になることも忘れてはならない。
最後に、ドル建て投資のデメリットであるが、金利変動リスクと、日本円でのみ生活が完結している場合は利便性が悪い点が挙げられる。
このデメリットが、本当にデメリットになるかどうかは、投資スタイルにもよるだろう。
それぞれの注意点
円建てにしてもドル建てにしても、どちらで投資するのが良いかは状況により正解が変わる。投資商品の特徴や、あなたの投資計画によるのだ。
一つ覚えていて欲しいのは、「単一通貨自体には価値の尺度はない」ということである。
例えば、円で考えたとき、100円はあくまで100円であり、その価値が時間経過で90円や110円になったりすることはない。
通貨が高くなった、安くなったなどの話、つまり身近で言えば円高円安などは、あくまで通貨の交換レートの話であり、比較する通貨があって初めて成立する概念なのである。
円がドルに対して安くなった、などのような具合だ。
ここに大きな誤解を生じている要素がある。「円安で1ドルが140円になった」などと報道されるが、本当に円が安くなったかは、もっと複数の通貨と比較して検証しないとわからない。
つまり、実は円の価値は絶対的にに見てほぼ変わっていなくても、ドルの価値が上がった場合、円とドルの比較だと円安に「見かけ上は見える」のだ。
さらに言うと、円が買われ気味で価値が上がっていたとしよう。しかし、ドルがそれ以上に更に買われ価値が大きく上昇しているとしたら、ドル円のペアだけの変動を見ると「円安に見え」円の価値が落ちているように感じるだろう。
しかし、ドル円以外の円クロスは、円高に進むのである。このような事実は、まずメディアで報道されることはない
このように、通貨の価値とは相対的であり、その変化や金利の利点を活かすには、しっかりとした観察と分析が必要なのだ。
円建て投資とドル建て投資はどちらを選ぶべきか
円建てとドル建てについて、一通り解説したところで、実際どちらで投資を行うべきか検討してみたい。
金利差と為替変動を長期投資に活かす
前述したように、円とドルでは金利が全く違うので、長期的な投資において、どちらで投資するかで差が出てくるのは間違いない。
2023年7月現在で、日本の金利はマイナス0.10%。アメリカは5.25%だ。この5.35%に及ぶ差は大きい。
銀行の金利だとピンとくるかもしれない。三菱UFJ銀行を参考に比較してみよう。
日本の銀行預金金利は、0.001%。定期預金でも、0.002%程度である。これに対し、外貨定期預金は0.01%の金利となっており、10倍の差が出ている。
いかに、円建てとドル建ての金利差が効いているかが分かるかと思う。
このように、金利差が投資商品の利回りなどに現れているのなら、同じ投資対象でもドル建てで運用した方が、最終的な利益が大きくなる可能性は高いと言える。
そして、為替レートの変動も投資に活かしたい。
金利と共に、為替差益も収支に影響してくる。円安が続く傾向ならば、ドル建て投資をすることで、投資商品の価値が下がった場合でも為替差益で補填できリスクヘッジとなる。
このように、ドル建てなどの外貨建て投資は、上手く利用すると資産運用のリスクヘッジにもなるのである。
ドル建て投資が有効なケース
ドル建て資産は、アメリカ経済の動向に左右される。政策金利やFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録要旨により、金利やドル円のレートの変動に多大な影響が及ぶ。
つまり、ドル建て投資を行うには、グローバルな経済や金融市場の情報収集・検証が欠かせないと言えるだろう。
もし、FOMCの政策金利に関する声明で、利上げが続くことや利下げは暫くないことなどが言及されていれば、ドル建ては有効に機能するかもしれない。
加えて、為替市場がドル高に推移し続けているのなら、ますますドル建てが有利になるだろう。最終的に為替差益分で大きく利益が変わってくるからだ。
投資のプロに相談してみる
ドル建て投資には、専門的な為替の知識が必要であり、世界経済やアメリカのFOMCの声明など、複雑な要素が影響してくることが伝わっただろうか。
難しく感じるかもしれないが、投資のリスク分散やリスクヘッジになり、上手く利用すれば利益をより大きなものにできる。
何より、円だけでは本来得られたはずの利益に対し機会損失をしている可能性がある。
投資運用をもっと効果的なものにする為にも、ドル建て資産を取り入れて欲しいところだが、専門性も必要なので、投資のプロに相談しながら始めてみてはどうだろうか。
ドル建て投資を始めるなら誰に相談するべき?
ドル建て投資について相談するなら、IFAが適任だ。IFAに関して解説していこう。
IFAとは
そもそもIFAとは一体何かというと、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」とも呼ばれる資産運用の専門家のことだ。
独立系という名称からも分かるように、特定の金融機関に所属していないので、所属先に忖度することなく、真に顧客に向き合ったアドバイスを提供することができる。
その為、初心者でも相談しやすい専門家だと言える。
IFAが提供するリスク管理のポイント
IFAは資産運用のエキスパートであり、投資商品全般に精通している。もちろん、日本円やアメリカドルを始めとした外貨建て投資についても、高い専門性を有している。
複雑な為替や世界経済の情勢などを分析する必要があるドル建て投資において、IFAはその専門的な知識から的確なアドバイスを提供できるだろう。
気をつけるべきリスク管理のポイントなども踏まえ、総合的にあなたのドル建て投資をサポートする存在となるはずだ。
IFAが提供するサービス内容とメリット
IFAは、各種の投資運用についてしっかりとした専門知識を持っている。そのため、ドル建て投資の相談に限らず、あなたの資産運用全般を見直し、全体的な投資計画を立てることもできる。
資産状況や投資の目的などを伝えることにより、あなたに合わせ独自にカスタマイズされたプランを提供しアドバイスできるので、非常に安心して投資を行うことができるようになるだろう。
また、IFAの検索には検索プラットフォーム「資産運用ナビ」などの活用をおすすめする。
現在の資産状況や相談内容を選択することで、簡単に条件にマッチしたアドバイザーが見つけられるため、より効果的にIFAを選ぶことができるはずだ。
円建て投資とドル建て投資を上手に使い分けよう
この記事では、円建てとドル建て投資について、基本から知っておくべきポイントまでを丁寧に解説した。
円建て投資には、日本で生活する我々にとって為替リスクを抑えやすく、扱いやすいメリットがある。
一方、ドル建て投資は金利や為替差益での収益の最大化を狙え、為替によるリスクヘッジを行うこともできる等のメリットがある。
投資目的や資産状況を踏まえ、世界経済の動きなどを分析し、円建てかドル建てかを選ぶことが大切だ。
ただ、これらは複雑な要素も多いので、IFAに相談しアドバイスを受けることをおすすめする。
IFAが適切な投資戦略を立て、信頼できる資産運用のパートナーとなるだろう。
また、IFAの検索には「資産運用ナビ」などのプラットフォームを活用し、自身にあったアドバイザーを効率よく探すようにしよう。
以下のボタンから無料相談に申し込めるので、この機会に試してはいかがだろうか?