20年振りに急激で大幅な円安が進む中、外貨建ての保険や預金はリスクが大きいと懸念している人も多いのではないでしょうか?
日本政府の懸念を予想以上に超え、1ドル=140円台後半を突破した。
このような中、外貨建ての保険や債券、FXにはどのようなリスクがあるのでしょうか?
この記事では外貨建てのリスクについて解説する。
そもそも円安になるとどうなるのか?
円安とは、米ドルやユーロなど外国の為替レートよりも1円の価値が下がることを示す。
このため、海外の製品を購入する時には不利になる。
一方、海外からみると円安になれば日本の製品がリーズナブルになるため、輸出をしている企業にとっては有利な条件となる。
例えば、1ドル=100円の為替レートで100万円の日本製品をアメリカ人が購入しようとした場合、このアメリカ人は1000ドル支払う必要がある。
しかし、1ドル=135円で同じ1000ドルの日本製品を購入する場合、1000000÷135=7,407ドルで購入することができる。
つまり、2,593ドル分節約できることになる。
このように円安になると海外から日本製品が買いやすくなり、輸出業は活気づく。
しかし、日本側からみると1ドル100円の場合、外国製品を安く購入できたものが1ドル=135円になることで、高くなる。
このため、輸入に頼っているエネルギー、例えばガソリンや電気・ガス代などの価格が上昇する。
円安・円高で外貨建て保険はどうなるのか?
外貨建て保険は、外貨で保険料の支払い、保険金、解約返戻金などを行う保険です。
主に米ドルや豪ドルなどがある。
外貨保険の運用は日本円よりも高い金利の通貨で行われるため、運用が成功した場合には保険金や解約返戻金が増額して受け取れるようになるのだ。
そのため、外貨で保険料を振り込む外貨建て保険は、円安になるとさらに高い保険料を支払う必要がある。
1ドル=100円の場合:100×200=20000 すなわち保険料の支払いは2万円だ。
しかし、これが1ドル=135円の円安に進むと
135×200=27000 つまり、1ドル=100の時と比較して7000円も高く保険料を支払わなくてはなりません。
そのため、保険金や解約返戻金は円高よりも円安の方が多く受け取りができるのだ。
1ドル=100円 受取額は200万円です。しかし、1ドル=135円の円安では
135×20000=2700,000 270万円となり、同じ2万ドルの保険金が70万円も増額して戻ってくる。
このため、外貨建て保険は円高の時に加入し、円安になると解約するのが上手に保険金を増額することができるのだ。
円安・円高でFXはどうなるのか?
FXについては、円安も円高も左右されません。
FXはロング(買い)かショート(売り)かで取り引きが行われる投資だ。
そのため、円高・円安の影響には左右されず、どちらの状態でも利益が出せる投資となる。
FXの取り引きを日本で行う場合には、円で外貨を購入して投資をするか、外貨を空売りするかのどちらかで取り引きをスタートする。
円を売った場合
取り引きにロングポジションで参加する場合、円安に進むと外貨高になるために含み益が上乗せされて利益を稼ぐことができる。
つまり、1ドル100円の時に円を売り、米ドルを購入してトレードを行い、1ドル=115円に円になった場合1ドル当たり15円の利益が発生する。
円を買った場合
取り引きにショートポジションで参加する場合、円高に進むと外貨安になるために含み益が上乗せされて利益を稼ぐことができる。
例えば1ドル100円で円を買い、米ドルを売ってトレードを行い、1ドル=95円になった場合には1円当たり5円の利益が発生する。
FXでは、ロングポジションで円安に進んだ方、より稼げるという結論になる。
円高・円安で外貨建て債券はどのようになるのか?
外貨建てのファンドは投資家から資金を預かり、米ドルやユーロなどに変換して債券に投資するため、毎日海外為替レートの変動に影響を受けている。
そのため、円高・円安に進むと外貨建てファンドは直接影響を受けるのだ。
外貨建てファンドが円高に進んだ場合
円高になると外貨の価値が下がるため、基準価額は為替レート差のマイナスになる。
1ドル100円の場合 ファンドの基準価額が10000円
これが1ドル95円に円高が進むと、ファンドの基準価額は9500円になります。
つまり、5000円分下落します。外貨建てファンドは、為替レートが何パーセント円高になったかに応じて、ファンドの基準価額がそれと同じ比率分の下落をすることになります。
外貨建てファンドが円安に進んだ場合
一方、円安になると外貨の価値が上がるため、外貨建てファンドの基準価額は為替レート差のプラスになります。
1ドル100円の場合 ファンドの基準価額が10000円
これが1ドル120円に円安が進むと、ファンドの基準価額は12000になります。
つまり、為替が20%円安になると、ファンドの基準価額もそれと比例して20%上昇します。
このように外貨建てファンドは円安になることで、為替レート差の恩恵を受けることができるのです。
外貨建てのリスクヘッジはどうする?
外貨は毎日、為替レートが変動しています。
さらに、外貨建ての預金、保険や債券、外国株式、外国為替証拠金取引など、それぞれの商品によって収益に関係するリスクは大きく違ってきます。
しかし、外貨建て投資のリスクは個別リスクと共通リスクに分類されます。
- 個別リスク
- レバレッジリスク、価格変動リスク、信用リスク、金利リスクなど
- 共通リスク
- カントリーリスク、為替リスク
外貨建てのリスクヘッジは、商品への投資を行う前と後でリスクヘッジの対策があります。
外貨建ての投資前に行うリスクヘッジ
外貨建ての保険、債券などの投資を行う前にリスクヘッジとしては、次の4タイプのものがあります。
- 格付け
- 信用度
- 財務案内
- 投資の時間を分散
- 投資の期間を複数回に分散
- 通貨の組み合わせを分散
- 売却方法の確認
- 商品の検討
- レバレッジの掛け方の検討
- 証拠金にゆとりを持つ
外貨建ての投資後に行うリスクヘッジ
外貨建ての保険、債券などに投資した後は次のようなことに注意してリスクヘッジを行います。
- 通貨の分散を為替レートに応じて分散割合を変更
- 外国為替証拠金取引に売りポジションをつける
- 長期の分散投資を高金利通貨で行う
- ロスカットを決める
- 実現益の貯蓄
- 評価益と評価損を見直し、同時決済
- 評価損をしないようにする
このように為替変動がある外貨建ては、分散、会社の格付けや信用度のチェック、社会情勢や相場などをチェックする、などの対策がリスクヘッジとして重要になります。
外貨建て投資の相談はプロへ
為替レートの変動が収益に影響を与える外貨建てのリスクは、その特徴を把握して、それぞれに見合った方法でリスクヘッジをすることが重要だ。
円安は悪影響にもみえるが、この状況に有利な投資を上手に活用することが成功の秘訣といえるだろう。
外貨建てのリスクを理解して投資に役立ててほしい。
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