AD
資産運用を考える時、多くの人がつまずくのが「何にどのくらい投資するか」を決めることである。
分散投資の大切さは理解できても、具体的にどう投資すればいいか選べないという悩みをよく聞く。
この記事ではポートフォリオの組み方についてのヒントを紹介する。
投資のポートフォリオとは?
資産運用を考えるとき、ポートフォリオの作成が欠かせない。まずはポートフォリオの基礎について見ていこう。
ポートフォリオとは
投資の世界においては、複数の投資商品を組み合わせたものを指す。
株式や投資信託の「銘柄」、債券の「発行体」など、どの金融商品をいくら保有しているか具体的に総合したものであり、円グラフなどを作成して一覧する。
分散投資やアセットアロケーションとの違い
混同しやすい金融用語として、「分散投資」や「アセットアロケーション」がある。以下でそれぞれの意味と違いを整理しておこう。
- アセットアロケーション:金融商品のジャンルで見た資産配分。
- ポートフォリオ:「A社株式」「個人向け国債」など具体的な金融商品の組み合わせ。
- 分散投資:資金を複数の投資先で運用すること。
・アセットアロケーション:株式25%、債券25%、コモディティ10%、不動産20%、預貯金20%
・ポートフォリオ:株式(A社、B社、C社)、債券(個人向け国債、D社債)、コモディティ(ゴールド、プラチナ)、不動産(アパート経営)、預貯金(E銀行預金、F銀行5年定期預金)
資産運用を考える時には、アセットアロケーション、ポートフォリオ、分散投資の実行、という順で取り組むのが一般的だ。
自分に合うポートフォリオの組み方
資産運用には「正解」がなく、効率のよい運用方法は一人ひとり異なる。自分に最適なポートフォリオを作成するためのヒントを紹介しよう。
アセットアロケーションを考える
まずは大まかな資産配分をイメージしよう。個人投資家の場合、以下の投資先を軸にすると考えやすい。
- 国内株式
- 海外株式
- 国内債券
- 海外債券
- コモディティ
- 不動産(REIT・現物)
- ETF(国内外株式・国内外債券・コモディティ・不動産REIT)
- 投資信託(国内外株式・国内外債券・コモディティ・不動産REIT)
- 不動産(現物)
パターン1は、投資についての情報収集が苦にならず、自分で考えて行動したい人に向いている。
個別に銘柄・種類を指定できるため、投資先の重複や偏りを意識的に防ぐことができる。
時間と手間がかかる分、自分好みの投資スタンスを築ける良さがある。
パターン2は、資産運用の必要性は感じているものの、どんな金融商品を選べばいいか自力では決めきれない人におすすめである。
投資信託であれば1種類の中でも細かく分散投資ができる。ETFは市場の指数に投資ができるので、分散投資に有効な投資先だ。
投資信託やETFのカテゴリー内で、異なる投資対象の商品を複数選択しよう。
ただし、商品間で投資先の重複が起きる可能性がある点に注意が必要だ。運用レポートなどで詳細を確認しながら対象を絞り込もう。
なお、ETFと投資信託については、別記事「投資信託とETFの違い」も参照してほしい。
投資スタンスに基づいて投資対象ごとの割合を決める
アセットアロケーションが見えてきたら、具体的にどの銘柄・金融商品で運用するか考える。
ここで鍵となるのが、具体的な投資スタンスである。
たとえば「将来のために資産運用したい」「なんとなく老後が不安」などの想いをより掘り下げてみよう。
「10年後までにプラス50%の利益を得たい」「収益を上げることよりも物価上昇時でも目減りしない資産形成を優先したい」など、具体的であればあるほど良い。
ここで資産運用のイメージをはっきり持つことで、投資先の絞り込みに役立つ。
以下に投資スタンスの一例とポートフォリオ作成のアイディアを紹介する。
・手堅く資産運用したい
債券をメインに、株式やREIT、金などのコモディティにも少し資金を振り分けよう。日本国内のみを投資対象にすれば、為替変動リスクの影響を受けない。ただ、日本国内の経済状況が全体的に落ちこんだ時は資産にも影響が出る。海外資産も保有しておくことでこの事態にも対応できる。
・積極的に利益を狙いたい
株式をメインに、REITやコモディティにも積極投資する。国内外にバランスよく投資するもよし、敢えて海外の投資対象を多めに保有するのもよい。大きなリターンを狙える一方、価格変動リスクも大きくなる点には注意が必要だ。
・10年後の定年退職も視野に入れたい
上記2項目いずれかの投資スタンスで運用を開始し、少しずつ投資資産を現金化する。老後の生活費を他で確保しているなら問題はない。だた、定年退職直前まで積極的に運用すると、仮に市場が下落した場合、これまでの運用成果を得られず不利になる恐れがある。そうならないためにも、数年かけて徐々に利益を確定していくことや、債券比率を高めていくことが望ましい。
ポートフォリオを作成する
アセットアロケーションが具体的に定まれば、個別銘柄・商品を選びやすくなる。
許容できるリスク・リターンを考慮すること、投資先が重複したり偏ったりしないよう注意することを意識して、ポートフォリオを組んでみよう。
とはいえ、個人投資家が投資できる金融商品は非常に多く、ポートフォリオ作成に悩む人もいるだろう。
そんな時は「資産運用ナビ」で投資の専門家に相談しよう。ヒアリングを通じてあなたに最適なポートフォリオを作成してもらえる。
プロの視点が入ることで資産運用がよりスムーズになるのでおすすめだ。
ポートフォリオ作成時の注意点
ポートフォリオの作成や運用について、次のポイントを意識してほしい。一度ポートフォリオを作成したからといって、油断は禁物だ。
値動きの特徴を確認しよう
ポートフォリオを組む時は、値動きが異なる投資商品を組み合わせることが大切だ。
そのためには相関係数が役に立つ。相関係数についての詳細は、別記事「分散投資とポートフォリオの違いは?リスクや相関係数を踏まえた資産運用のヒント」をぜひ参照してほしい。
年1回程度、リバランスを実施しよう
運用成果によって、当初のポートフォリオの構成割合が変動していく。
できれば年1回程度、元々のポートフォリオで設定した運用割合に戻してほしい。これを「リバランス」という。
リバランスを行うことで、割合が増加した資産の利益確定が可能となる。逆に、割合が減少している投資対象を買い増しておけば将来の値上がりタイミングで有利な運用も期待できる。
定年退職など資金需要がある数年前からバランスを見直そう
先ほど解説したが、資金需要のタイミングをあらかじめ予測し、数年前から少しずつ投資割合を調整しよう。
投資の価格変動リスクにも対応できる。投資は始め時以上に、終わり時が肝心だ。
運用期間中、どんなに良い成果をあげていても、売却時に損失が出ていては元も子もない。投資資産を売却するタイミングは丁寧に考えよう。
まとめ
ポートフォリオは奥が深い。人により「正解」が異なる上、実際に運用してみないとそのポートフォリオが自分に合っているか判断できない面もある。
投資のプロであるIFAの力も借りながら、ベストな選択をしてほしい。