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iDeCoの出口戦略を見据える!出金の際の注意点もご紹介

資産形成の手段 わたしのIFAコラム
この記事で解決できるお悩み
  • iDeCoの出口戦略について理解ができていない
  • iDeCoからの出金方法やその時期が分からない
  • iDeCoを使った退職後の資産運用方法について知りたい。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金に上乗せして積み立てる私的年金である。

節税しながら老後資金が積み立てられる優れた制度だが、出口戦略によって金額や受け取り方が大きく変わる。

退職後の生活資金や資産運用へ資産を効果的に回せるよう、iDeCoの出口戦略を見据えておこう。

本記事では、iDeCoの出口戦略の基本や退職後のiDeCoの運用方法などについて解説する。

目次

iDeCo出口戦略の理解

iDeCo出口戦略は、iDeCoの受け取り方やタイミングによる節税効果の違いが大きな要素を占める。

出口戦略の重要性や基本となる選択肢、メリット・デメリットなどを解説する。

なぜiDeCoの出口戦略が重要なのか

60歳以降に受け取れるiDeCoは、出口戦略を誤ると余計な課税で金額が減ったり、適切な時期に受け取れなかったりなど、定年後の生活に影響を与える可能性がある。

一時金か年金形式で受け取るかで、受け取りタイミングや税金のかかり方が変わる。効率的に受け取るためにも、事前に出口戦略は検討しておこう。

退職時におけるiDeCo出口戦略の選択肢

定年退職時におけるiDeCo出口戦略を考えるには、どのような選択肢があるかを事前に把握しておこう。iDeCoの受け取り方の基本情報は次の通りだ。

  • 受け取り方には一時金と年金形式の2種類が存在する(併用も可能)
  • iDeCo一時金を受け取って5年以上経過してから退職金を受け取ると、もう一度退職所得控除が適用できる(5年以内に受け取ると、勤続年数の重複部分が減額される)
  • 退職金を受け取って19年以内にiDeCo一時金を受け取ると、雇用期間とiDeCo加入期間の重複部分の退職所得控除額が減額される
  • iDeCoと退職金を同じ年に受け取ると、iDeCo+退職金の金額に対して退職所得控除額を適用する

iDeCoの出口戦略を立てるときは、これらの要素を理解しておくことが大切になる。

退職時にiDeCoを続投するメリットとデメリット

国民年金の任意加入者や厚生年金加入者は、65歳未満までiDeCoに加入できる。掛金をさらに積み立てられるので、積立金や節税額が増加するメリットがある。

一方でデメリットは、退職後も掛金の負担が続く点である。また積立額や運用益によっては、口座管理手数料やその他手数料で収支がマイナスになる可能性がある。

iDeCo出金の流れと注意点

iDeCo出金の流れと注意点について、順番に見ていこう。

出金開始のタイミングと手続き

iDeCoは最初の掛金を拠出してから10年以上経過していれば、60歳から出金が可能だ。

51歳以降でiDeCoを始めると、受け取れるのは61歳以降になる。60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は、加入から5年経過した日から受給できる。

またiDeCoは、受給要件を満たしていれば、受取時期を60〜75歳の間で任意に変更が可能だ。

iDeCoを出金するときは、記録関連運営管理機関(RK)に請求を行う。

RKの連絡先は、iDeCo加入中に定期的に送付される「年金資産の残高通知」などに記載されている。わからない場合は、RKへ直接連絡しよう。

出金方法の選択とその影響

出金方法には、一括受け取りの一時金と、分割受け取りの年金形式の2種類が存在する。

一時金での一括受取は「退職所得控除」、年金形式での分割受取は「公的年金等控除」が適用される。

年金形式の場合は、5年〜20年以下の有期年金として受け取る(運営管理機関によっては終身年金も可能)。受取回数は、年1〜6回の間で設定されることが多い。

一時金と年金形式を併用する場合は、積立金の一部は一時金、残りは年金形式で受け取るという形になる。

税金対策とiDeCoの出金

1回の節税効果が大きいのは、iDeCo一時金のほうだ。退職所得控除は長年の労働に対する報奨金の意味合いがあり、税負担が軽くなる措置が講じられている。

所得控除額が優遇されることに加え、他の所得とは合算しない分離課税や2分の1課税が適用される。

退職所得にかかる税金および退職所得控除額の計算式は次の通りだ。

退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)✕1/2

スクロールできます
iDeCo加入年数(退職金の場合は勤続年数)退職所得控除額
20年以下40万円✕加入年数(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円✕(加入年数-20年)

年金形式の場合は一時金と異なり、分離課税ではなく総合所得になるので注意しよう。年金形式は一度の控除額は一時金に劣るものの、年金を受け取る年ごとに毎回控除されるのが特徴だ。

合計所得金額が1,000万円以下の人は、次の控除額が適用される。

スクロールできます
公的年金等にかかる雑所得以外の所得にかかる合計所得金額1,000万円以下
受取時の年齢公的年金等の収入金額合計額公的年金等にかかる雑所得の金額
65歳未満60万円以下0円
60万円超~130万円未満収入金額の合計額-60万円
130万円以上~410万円未満収入金額の合計額✕0.75-27万5,000円
410万円以上~770万円未満収入金額の合計額✕0.85-68万5,000円
770万円以上~1,000万円未満収入金額の合計額✕0.95-145万5,000円
1,000万円以上収入金額の合計額-195万5,000円
65歳以上110万円以下0円
110万円超~330万円未満収入金額の合計額-110万円
330万円以上~410万円未満収入金額の合計額✕0.75-27万5,000円
410万円以上~770万円未満収入金額の合計額✕0.85-68万5,000円
770万円以上~1,000万円未満収入金額の合計額✕0.95-145万5,000円
1,000万円以上収入金額の合計額-195万5,000円

1つの例として、「退職金1,500万円・勤続年数30年」「iDeCo積立金500万円・加入年数10年」の人でさまざまなパターンをシミュレーションで見てみよう(復興特別所得税は考慮しない)。

iDeCo一時金を退職金と同時に60歳で受け取る場合、収入金額は1,500万円+500万円の2,000万円になる。

またiDeCoの加入年数10年は勤続年数30年と重複するので、退職金控除額の計算は30年を使用する。

2,000万円-{800万円+70万円✕(30年-20年)}✕1/2=250万円

250万円✕税率10%-9万7,500円=所得税額15万2,500円(住民税額25万円)

退職金を60歳、iDeCo一時金を65歳で受け取る場合は、退職金支給から19年以内にiDeCoが支払われている。

このケースは加入年数と勤続年数の重複部分は省かれるので、iDeCoには最低控除額の80万円のみの適用になる(20年ルール)。

退職金

1,500万円-{800万円+70万円✕(30年-20年)}✕1/2=0円=所得税額・住民税額0円

iDeCo

500万円-80万円✕1/2=210万円210万円✕10%-9万7,500円=所得税額11万2,500円(住民税額21万円)

iDeCo一時金を60歳、退職金を65歳で受け取るパターンは、iDeCoを受け取ってから5年以上経過している。

そのため、iDeCo・退職金の両方に減額なしの退職所得控除が適用される(5年ルール)

退職金

1,500万円{800万円+70万円✕(30年-20年)}✕1/2=0円=所得税額・住民税額0円

iDeCo

500万円-(40万円✕10万円)✕1/2=50万円50万円✕5%=所得税額2万5,000円(住民税額5万円)

退職後のiDeCo運用について

退職後にiDeCo積立金を受け取った後、さらにiDeCo積立金の運用について考えることも大切だ。

退職後のiDeCoについて解説する。

年金と一時金、出金はどちらがお得?

年金と一時金の出金のどちらが得になるかどうかは、個人の状況による。

「退職金をいくら受け取れるか」「退職金をいつ受け取ったのか」などをしっかりと分析しよう。

例えば、退職金+iDeCo一時金が退職所得控除で全額控除できるなら、一時金のほうが節税効果が高い。

口座管理手数料や給付手数料などが発生しないのもメリットだ。

一方で、退職金で退職所得控除の枠を使い切った場合は、年金形式を選択して公的年金等控除を毎年受ける選択肢がある。

また年金を受け取りつつ、残りの積立金の運用を続けたい人は年金形式を選択しよう。

併用するなら、退職所得控除の枠を使い切れる分だけ一時金、残りは年金形式にする方法などが考えられる。

退職後もiDeCoを活用する理由

厚生労働省「令和3年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳。

定年60歳・年休受給開始が65歳であっても、約20年は人生が続く計算になる。

退職後はiDeCoを引き出して終わりではなく、効率的な活用方法を考えることが大切になるだろう。

iDeCo出金後の投資戦略

年齢が若く現役で働いている人と比べ、定期的な収入が少ない老後で大きな損失が出ると、取り返しがつかない。

そのためiDeCo出金後の投資戦略は、長期・積立・分散投資を基にした安定した運用を基本にしよう。

運用商品として考えられるのは、さまざまな金融資産から構成されるバランス型ファンド、低リスク・リターンの運用ができる国債、日経平均株価などの代表的な指数と連動するインデックス型の商品などがポートフォリオの候補に挙がる。

当然ながら、生活費や医療・介護準備費などは別途で残しておこう。

あなたのiDeCo出口戦略、専門家に相談しよう

iDeCoの出口戦略に悩む人は、資産運用の専門家に相談するのがよいだろう。相談するメリットや質問例を解説する。

資産運用の専門家に相談するメリット

iDeCoに強い資産運用の専門家に、iDeCo出口戦略を相談するメリットは次の通りである。

資産運用の専門家に相談するメリット
  • iDeCo関係の経験・知識によって適切なサポートをしてくれる
  • あなたの資産額・家族構成・運用目標などをヒアリングした上で、ポートフォリオや運用計画を提案してくれる
  • 出口戦略後、老後の資産運用まで総合的に相談できる

適切な出口戦略を立てるための質問例

資産運用の専門家と一緒に適切な出口戦略を立てるためには、専門家との適切な情報共有が不可欠である。

積極的なサポートを受けるには、こちらも資産運用に対して積極的な姿勢を見せよう。質問の例をいくつかご紹介する。

  • 現状の預金額、保有資産、退職金・公的年金の見込額、定年後の収入予定など、あなたの状況を明確化し伝えた上で質問する
  • 「◯年後に〇〇万円増やしたい」「安定した運用で資産額を維持したい」など具体的な希望を伝え、専門家がポートフォリオを組みやすくする

専門家に相談することで得られる安心感

資産運用の専門家に相談することで、より安定した運用を期待できる。得られる安心感も大きいだろう。

また同時にあなた自身も積極的になることで、専門家のアドバイスを受けながら、資産運用の経験・知識を培うことが可能だ。

年齢による身体の衰えがくる分、「お金に働いてもらう」という感覚を養うことが、理想のセカンドライフを送るコツになる。

まとめ

本記事では、iDeCoの出口戦略の重要性、出金の流れと注意点、そして退職後の運用方法について詳しく解説した。

専門家に相談することで、iDeCoの出金方法や時期、再投資の方向性など、個々のニーズに合った最適な出口戦略を立てられる。

iDeCo出口戦略に関する具体的な知識や情報を得られ、安心して退職生活に備えられるだろう。

iDeCoの出口戦略は個々の生活設計や資産状況により変わるため、専門家に相談することが望ましい。

「資産運用ナビ」は、より親身になって資産運用や投資戦略について相談できる専門家を探すことができる。ぜひご活用してほしい。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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