- 家計管理のやり方が分からない
- 年収や世帯の条件別に家計の目安が知りたい
- 理想的な資産管理のバランスが知りたい
家計管理をするうえで、目安を知ることは重要である。最近では、さまざまな価格が高騰する中で、家計をどのようにして安定させていくか、多くの人が興味を持つ内容だろう。
そこで本記事では、家計管理の目安とされる理想値や収入・支出の相場などから家計管理のポイントなどを解説していく。
家計管理を安定化することで、日々のくらしを豊かにし、将来の備えを作っていこう。
家計管理の理想値とは?
家計管理を行う際、まずは相場を知ることで、自身の現状を確認することが重要である。では、家計管理における相場はどのようなものなのだろうか。
ここでは、家計管理の理想値を確認するため、以下3つのポイントから解説していく。
- 家計の平均収入と平均支出
- 支出額の詳細
- 家計の黄金比率
それでは、一つずつ確認していこう。
家計の平均収入と平均支出
家計管理の理想値を確認する前に、まずは日本の平均収入額と平均支出額を確認していこう。
総務省統計局が行った2023年4月分の家計調査の結果では、2023年4月の日本国民2人以上の世帯に絞った世帯当たりの収入と支出を確認することができる。
世帯当たりの平均収入は553,975円となった。前年同月と比較すると1.4%減少しており、これは7か月連続の実質減少である。
一方で、世帯当たりの平均支出は303,076円となった。前年同月と比較すると4.4%減少しており、これは2か月連続の実質減少である。
支出額の詳細
平均支出額が確認できたが、それぞれの内訳はどのようになっているのだろうか。同調査結果で、世帯当たりの1か月間の用途別支出金額を確認することができる。
内訳としては、食料が約27.2%と項目では最大となっている。また、必要経費として発生する「食料」や「住居」、「光熱・水道」、「家具・家事用品」、「保健医療」を合わせると、約49.6%であった。
支出の各項目を確認すると、「光熱・水道」は電気代の高騰により、5か月連続の実質増加となっており、「保険医療」は保険医療サービスや医療品の高騰により、3ヵ月連続の実質増加となっている。
また、「食料」に関しては、7か月連続の実質減少となっているが、中分類を確認すると、外食費では増加していることが確認される。
これらの調査結果も、現在の日本では必要経費に相当する項目の価格が高騰していることを示しており、家計管理はより重要になっていると言えるだろう。
家計の黄金比率
アメリカの議員であるエリザベス・ウォーレン氏が提唱した家計の理想的な比率は「家計の黄金比」と呼ばれ、数値としては50:30:20で表される。
この比率は、支出の割合を指しており、生活必需品(食費、公共料金、家賃、ローン関係、その他維持費など)となるものを50%、贅沢品(外食費、レジャー費用、趣味に使用する費用など)となるものを30%、残りの20%は貯蓄や投資に回すものとなっている。なお、ここでの支出とは、税引後の手元に残る金額を指している。
例として、前述した2021年の平均支出額303,076円で考えた場合、以下となる。
- 生活必需品 :151,538円
- 贅沢品 :90,922円
- 貯蓄・投資 :60,615円
現在日本での平均支出額では、このような数値が黄金比となる。また、贈与金や仕送り金なども他世帯への移転支出も含まれていることを考慮する必要があるだろう。
各家計の理想値とは?
前項では、日本家計の相場や理想値とされるものを確認してきた。
ここでは、家計の黄金比を使用して、単身者や既婚者など、それぞれの世帯で具体的に発生する支出をモデルケースとして解説していく。
なお、自身で行う場合には、金融庁が発表している家計管理シミュレーターを使用することで、実際に詳細を確認するのもよいだろう。
単身世帯の理想家計
単身世帯の家計はどのような比率が理想なのか。単身者の場合、交際費や自己投資などに支出を回すことができる反面、使いすぎには注意が必要だ。ここでは、手取り額を20万円とした際、理想家計の一例としたものを紹介する。
ここでは、前述した家計管理の黄金比にそれぞれの項目を当てはめている。住宅費に関しては、都市部か地方かで差が生じやすい項目である。また、食費についても自炊などを行うことで、理想値に近づけていくことができるだろう。
項目 | 比率 | 予算(手取り20万円) | |
生活必需品 | 住宅費 | 25% | 50,000円 |
食費 | 15% | 30,000円 | |
光熱費 | 4% | 8,000円 | |
通信費 | 3% | 6,000円 | |
生活日用品費 | 2% | 4,000円 | |
保険料 | 1% | 2,000円 | |
小計 | 50% | 100,000円 | |
贅沢品 | 医療費 | 1.5% | 3,000円 |
交通費 | 3.5% | 7,000円 | |
被服費 | 5% | 10,000円 | |
交際費 | 8% | 16,000円 | |
娯楽費 | 5% | 10,000円 | |
その他 | 7% | 14,000円 | |
小計 | 30% | 60,000円 | |
預貯金・投資 | 20% | 40,000円 | |
合計 | 100% | 200,000円 |
夫婦二人世帯(共働き)の理想家計
では、夫婦二人世帯の理想家計を確認していこう。ここでは、手取り額を40万円とした際、理想家計の一例としたものを紹介する。
夫婦二人世帯の理想家計では、単身世帯に比べ、食費や生活日用品費を抑えるような形で算出している。
理由として、食費や生活日用品費は夫婦2人で負担するケースが多いためである。一方で、通信費に関しては、それぞれが携帯電話を持つなど、別々の負担するものであるため、比率が増加している形だ。
項目 | 比率 | 予算(手取り40万円) | |
生活必需品 | 住宅費 | 25% | 100,000円 |
食費 | 14% | 56,000円 | |
光熱費 | 4% | 16,000円 | |
通信費 | 4% | 16,000円 | |
生活日用品費 | 1% | 4,000円 | |
保険料 | 1% | 4,000円 | |
小計 | 50% | 200,000円 | |
贅沢品 | 医療費 | 1.5% | 6,000円 |
交通費 | 3% | 12,000円 | |
被服費 | 5% | 20,000円 | |
交際費 | 8% | 32,000円 | |
娯楽費 | 5% | 20,000円 | |
その他 | 5% | 18,000円 | |
小計 | 30% | 120,000円 | |
預貯金・投資 | 20% | 80,000円 | |
合計 | 100% | 400,000円 |
夫婦二人+子供二人世帯の理想家計
最後に、夫婦二人+子供二人世帯の理想家計を確認していこう。ここでは、手取り額を50万円とした際、理想家計の一例としたものを紹介する。
夫婦二人+子供二人世帯の理想家計では、夫婦二人世帯に比べ、食費や通信費、生活日用品費、保険料など各種比率を増やして算出している。
また、自動車関連費や教育費、小遣い、嗜好品などの項目を新たに加えている。一方で、交際費や預貯金の金額を減額することで、調整を行っている。
理由として、子供にかかる費用が新たに加わった要因が大きく、また年齢的にも資産をある程度持つと予想し、算出している。
項目 | 比率 | 予算(手取り50万円) | |
生活必需品 | 住宅費 | 24% | 120,000円 |
食費 | 17% | 85,000円 | |
光熱費 | 4% | 20,000円 | |
通信費 | 4.5% | 22,500円 | |
生活日用品費 | 2% | 10,000円 | |
自動車関連費 | 1% | 5,000円 | |
保険料 | 2.5% | 12,500円 | |
小計 | 55% | 275,000円 | |
贅沢品 | 医療費 | 2% | 10,000円 |
教育費 | 8% | 40,000円 | |
交通費 | 3% | 15,000円 | |
被服費 | 3% | 15,000円 | |
交際費 | 2% | 10,000円 | |
小遣い | 9% | 45,000円 | |
嗜好品 | 1% | 5,000円 | |
その他 | 2% | 10,000円 | |
小計 | 30% | 150,000円 | |
預貯金・投資 | 15% | 75,000円 | |
合計 | 100% | 500,000円 |
これらのケースはあくまで一例のため、まずは自身の収入と支出を洗い出した後、近しいものに当てはめてみるのがよいだろう。
理想値に近づけるポイント
家計管理において、理想的なバランスで管理するためのポイントについて解説する。
家計状況の見える化
家計管理を行ううえで、まずは現在の家計状況を可視化することである。
家計状況を可視化することで、収入と支出のバランスを確認することができるため、無駄遣いをしている箇所や貯蓄や投資に回せる資金の発見にも繋がる。
家計管理の見える化には、日本FP協会が提供している「家計の収支確認表」や「家計のバランスシート」などを用いることで、簡単に現在の家計状況を可視化することができるので、お勧めである。
黄金比をもとに見直し
家計状況の見える化ができたら、次は自身の収入をもとに黄金比を適用し、算出していこう。
生活必需品:贅沢品:貯蓄・投資を5:3:2で振り分け、自身のものと見比べるとどうだろうか。ここで、どこかの比率が偏っている場合は、再配分を行う必要があるだろう。
一方で、比率に大きな差がない場合は、さらに項目を詳細にしていき、その中の偏りを確認することで、家計状況をより深く把握できる。
このような家計の見直しは、定期的に行うことがよく、さらに第三者から提案を受けることで今後の生活をより豊かにすることができる。こうした見直しには、専門家への相談も検討すると良いだろう。
FPとIFAへの相談
専門家の相談を利用する場合、FP(ファイナンシャルプランナー)か、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)になるだろう。
FPを利用する場合は、金融商品の仲介まではできない点と、相談料がかかるケースがある点に注意が必要である。
一方、IFAは、家計状況の把握だけでなく、最適な金融商品をどう組み合わせるべきかアドバイスがもらえて、かつ仲介までサポートできる。
家計の状況についてのアドバイスだけでなく、金融商品の説明や販売まで希望している場合は、IFAを活用すると良い。
信頼できるIFAの探し方
「資産運用ナビ」では、数あるアドバイザーの中から、自身が相談したい課題の解決が得意なIFAや相談可能な地域で検索をかけて、自分に合ったIFAを探せる。
初心者にも相談しやすいIFAや、自分が相談したい内容から、最適なIFAを探してみると良いだろう。
家計管理は黄金比で目安を把握したうえで見直しを行うこと
本記事では、家計管理の目安を知るポイントを解説してきた。
家計管理では、生活必需品:贅沢品:貯蓄・投資を5:3:2とする黄金比を目安として、支出の配分を決めることが理想とされている。
自身で確認を行う場合は、「家計の収支確認表」や「家計のバランスシート」などを活用することで、見える化がしやすくなるので、お勧めである。
また、第三者に確認してもらうことで、自身では気づけなかった改善点を把握することができるため、IFAのような家計管理の専門家を活用することで将来の生活を安定化させることができる。
IFAへの相談は「資産運用ナビ」を利用してみると良い。専門的な知識と豊富な経験を持つIFAが信頼できるパートナーになり、効果的な投資方法や資産形成のサポートを行ってくれる。
もし資産管理やシミュレーションを検討しているなら、無料相談も行っているので、相談だけでも利用してみると良い。