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新NISAにおける投資対象を幅広く確認せよ

2024年がはじまりました。新NISAの始まりとともに、日本の株式市場は絶好調でバブル後の最高値を更新するといった景気のいいニュースが流れています。

新NISAは昨年からメディアでも取り上げられ続けていましたから、それを受けて年始から始めたという方も多いでしょう。

一方で、まだ始めていなかったという方も足元で好調な日本の株式市場をみて、やはり新NISAをやろう、と思った方もいるのではないでしょうか。

今回は新NISAで投資する対象について幅広くみていきたいと思います。

目次

鉄板はやはりインデックスファンド

 多くの個人投資家が新NISAで投資をしているのは、コストが低いインデックスファンドです。

新NISAが始まる前から日本でも個人投資家による資産運用の文化は拡大してきましたが、多くの個人投資家は「つみたて投資」を実践していました。新NISAがはじまっても、その投資方法を引き継いでいる方が多いようです。

 インデックスファンドといっても種類は多いのですが、大手ネット証券のランキングなどを見てみると、世界全体の株式市場に投資をするタイプと、米国の株式市場に投資をするタイプの2つに人気が集まっています。

具体的には世界全体の株式市場に投資をするタイプでは「オルカン」の愛称で親しまれている三菱UFJアセットマネジメントが運用する「eMAXIS Slim 全世界株式」の純資産が最も大きく、米国株式では同社が運用する「eMAXIS Slim米国株式」の人気があり、このファンドは米国を代表する株価指数S&P500に連動するものとなります。

 どちらの方がいいかと聞かれることがあるのですが、そこは好みによる、としか言えません。

たとえば、オルカンは世界全体の株式市場に投資をしますが、昨年末時点の国別構成比を見てみると、米国に63%投資しており、運用額の6割以上は米国に投資をしているのです。

これまでのデータを見ると、米国株式の方がリスクもリターンも少し高いため、より安定性を求めるならオルカンの方がいいといえるでしょう。

アクティブファンドにも注目しよう

 多くの個人投資家が資産運用の手法として「つみたて投資」を選択しているため、どうも投資対象はインデックスファンド以外はあり得ないと考えている方が多くいます。

たしかに長期運用を考えたときに手数料が低いことは非常に重要な要因であるため、その観点からはインデックスファンドが優位であることは間違いありません。

しかし、アクティブファンドにも魅力的なものが多いので、食わず嫌いせずにどのようなものがあるのかを調べるぐらいはやってみてよいかと思います。

 アクティブファンドとは、インデックスファンドのように特定の株価指数に連動するように運用するのではなく、むしろ特定の株価指数を超えリターンを追求するファンドになります。

アナリストが企業の財務情報を分析し、企業訪問して経営者や経営陣に直接取材をすることで、優良な銘柄を選別し、その中からファンドマネージャーが売買をします。

このように手間がかかるぶん、コストが大きくなるのですが、少し雑な言い方をすれば、コストが多少かかったとしても、それを込みで考えてもインデックスファンドよりも高いリターンが期待できるのであればいいわけであって、そのようなアクティブファンドを探してみるだけでも、様々なファンドの存在を知ることが出来て面白いと思います。

 今後、個別銘柄にも投資をしてみたいという方からすれば、アクティブファンドの月次レポートを読んでみると、「こんな銘柄があるのか」といった発見もあるはずです。

為替も考えて海外ETF?

 昨年は円安が進行しました。一時、1ドル=151円まで円安が進み、投資資産を全て日本円にしておいていいのか、と不安になった方も多いでしょう。

それでは、外貨建て資産に投資をしたい場合、どのような選択肢があるのでしょうか。1つに海外ETFが挙げられると思います。

 新NISAは売買差益だけでなく、配当金や分配金も非課税の対象となります。そこで、米国市場に上場している海外ETFのなかでも高配当を謡っているものをいくつか見てみましょう。

 コストが安いことで絶大な支持を得ているバンガード社が運用している「バンガード・米国高配当株式ETF」、そして業界大手のブラックロック社が運用している「iシェアーズ・コア米国高配当株ETF」、ステートストリート社が運用している「SPDR ポートフォリオS&P500高配当株式ETF」が代表的な高配当ETFとして知られています。執筆時点でこれらの分配金利回りは3~4%となっています。

 また、バンガード社では「バンガード・米国増配株式ETF」というETFも運用しており、これは長年にわたり増配を続けている企業を中心に投資しているETFです。

前述の高配当ETFより分配金利回りは低いのですが、長年にわたり増配を続けている企業というのは財務的に安定して成長を続けていることを意味しており、分配金だけでなく株価自体の上昇も期待できます。

個別株への投資も検討しよう

 もちろん、新NISAでは投資信託やETFではなく、個別株に投資をすることも選択肢の1つになると考えます。

とはいえ、大きく値上がりしそうな銘柄を選ぼうとしても、そんなに都合よく銘柄を選出することはできません。

そこで、前述の高配当ETF、増配ETFのような考え方から、大型で安定性があり、成長も見込める高配当株を投資対象として検討するのはアリかもしれません。

 たとえば、2020年以降、コロナ禍や戦争を通して、食料やエネルギーを扱う企業の強みが再認識されました。それらを扱う企業と言えば商社が連想できますが、日本の商社株をウォーレンバフェットが買ったというニュースも記憶に新しいでしょう。

執筆時点における5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)の配当利回りをみてみると、2.5%~3.5%ぐらいとなっており、高配当と呼べるかは微妙なところですが、銀行の定期預金や国債の利回りを考えれば、それなりの配当がつくことが分かります。(2024年1月時点)

 このように、新NISAをはじめるにあたっては、様々な投資対象に目を通してみることをオススメします。自分のお金を自己責任の下で投じるわけですから、様々な選択肢に目を通したうえで、最も納得できる投資法を実践することが重要でしょう。

執筆者

森永 康平のアバター 森永 康平 株式会社マネネCEO / 経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。
現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。

著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。

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