「今日の為替レートは〇円安だ」
「最近円安だから、ガソリンが高い」
投資の勉強をし始めると、このような会話を耳にすることがあるのではないだろうか?
ところが、特に投資初心者の方は、通貨の値動きが株式市場に大きな影響を与えていることを知らないのではないだろうか?
通貨と株式市場の関係性はとても大きい。
今回の記事では、通貨と株式市場の関係性を詳細に解説していく。
その中で、なぜ通貨と株式市場との関係性が深いのか?通貨の今後の見通しを決める要素は何か?なども紹介していく。
通貨と株式市場全体の関係性と理由
ここでは、通貨=為替だと捉えて考えていきたい。為替と株式市場とは、非常に大きな関係性がある。
特に日経平均の場合、為替レートが円安になるか円高になるかによって、値動きが大きく変わる。日本の株式市場においては、為替レートと株式市場全体の関係性は下記だ。
株式市場の価格上昇要因
株式市場の価格下落要因
なぜ円安になると株式市場に追い風となり、円高になると株式市場にマイナス影響となるのか?
それは、日経平均に含まれている企業の多くが、輸出主導型であるからだ。
日経平均株価指数は、
- トヨタ自動車
- ソニー
- 三菱商事
- パナソニック
- 本田技研工業
など、日本を代表する企業で構成されている。
日本はこのような輸出型企業によって主導されていると投資家から見られている。
円安になると、これらの企業の業績が良くなるという期待感が高まる。そのため、円安が進行すると日経平均にプラスの要因となるのだ。
一方、円高になると輸出企業にとっては向かい風となり業績が伸び悩む可能性があるため、円高になると日経平均にはマイナス影響となる。
ただし、ここまで解説してきた内容は、あくまでも株式市場「全体」の話である。円安になって伸びる業界・企業もあれば、円高によって伸びる業界・企業もある。
円安によって伸びる業界は下記である。
- 自動車
- 精密機械
- 電機メーカー
- 鉄鋼
- 開運
一方円高によって伸びる業界は下記があげられる
- 陸運
- 不動産
- 倉庫
- 電力
- 食品
円高が進行し日経平均全体が落ち込む局面でも、これらの業界に属す企業は円高の恩恵を受けられるため、日経平均と逆行して株高になる傾向がある。
為替動向が株価に影響を与える理由
為替動向によって株価に大きな影響があることはわかったが、なぜこのように影響があるのだろうか?
円安になると、輸出主導型企業が多くを占める日本においてはプラスになることは、前章で解説した。
ここからは、円安になると輸出に有利になる理由・円高になると輸入産業が有利になる理由について考えていきたい。
たとえば、自動車1台を10,000ドルで輸出している企業があるとしよう。
1ドル=100円で輸出したとすると、日本円に換算すると100万円が売上となる。
円安が進み、1ドル=110円で輸出したとすると、日本円換算で110万円が売上となり、10万円利益が増える。
一方、円高が進み1ドル=90円となってしまうと、売上が90万円となってしまい、10万円利益が減ってしまう。
このように円安が進行することで売上があがりやすくなるため、輸出企業にとって追い風となるのだ。
逆に円高になってしまうと企業の売上が減ってしまうため、マイナスの影響となってしまう。
次に、輸入する場合を見てみよう。
ここでは、アメリカから輸入・販売しているとある輸入専門店の例を考えてみよう。
1つの商品を50ドルで購入し、日本で10,000円で販売しているとする。
1ドル=100円の場合、50ドル×100円のため仕入れ原価が5,000円、利益は5,000円となる。
円高が進み1ドル=90円となった場合、50ドル×90円となり仕入れ原価が4,500円となる。
利益は5,500円に増加する。
反対に1ドル=110円に円安が進んだ場合、仕入れ原価が5,500円となり、利益は4,500円に目減りしてしまう。
このような理由から、円安が進行すると輸出企業にとって有利になり、円高が進行すると輸入企業にとって有利となる。
為替の方向性を決める要素
ここまでの説明で、株式市場における為替の重要性がわかったことかと思う。
最後に、為替の方向性を決める要素について見ていきたい。為替を左右する要因は様々あるが、特に重要なのは下記である。
- 金融政策の方向性
- 投資家心理
まず金融政策の方向性についてだが、下記が重要だ。
- 金融緩和・引締め
- 政策金利の利上げ・利下げ
政策の方向性と為替への影響を下記にまとめたので、確認してほしい。
- 金融緩和→円安
- 金融引締め→円高
- 政策金利の引き下げ→円安
- 政策金利の引き上げ→円高
理屈としては以下のように考える。
金融緩和や政策金利の引き下げは、市場にお金の供給量を「増やす」方向性だ。
資金供給量が増えることで円の価値は下がり、その結果円安方向に動きやすくなる。
一方金融引締めや政策金利の引き上げは、市場にあるお金の供給量を「減らす」方向性の政策である。
資金の供給量が減ると円の価値が高まり、その結果円高方向に動きやすくなる。
実際に、2012年末に就任した自民党・安倍晋三首相は、「アベノミクス」の名のもと、大々的に金融緩和を推し進めた。
その結果当時1ドル=80円台だった為替は120円台にまで円安が進んだ。
日経平均も、2012年末は9.000円台で推移していたが、2021年末には30,000円台にまで上昇している。
このように、金融政策の方向性は為替の方向性に大きく影響を与える。
為替の方向性を決める2つ目の要素は、投資家心理である。投資家心理とは文字通り、投資に参加している投資家・トレーダーの心理状況だ。
様々な感情や心理があるが、シンプルにまとめると下記2つに集約できる。
- リスクオン(ポジティブ)
- リスクオフ(ネガティブ)
リスクオン相場では、これから株価や通貨が上昇するだろうという期待感が高く、リスクを取ってでも利益を増やしたいと考える投資家が増えている。
リスクオンになると株式などのリスク資産への投資も増え、円安方向に為替が動きやすくなる。
一方リスクオフになると、今後株価が上昇しづらい、下落するのではという心理が働き、なるべく安全な資産にお金を移したいと考える投資家が増える。
投資家の間では日本円は安全性の高い通貨だと認識されているため、リスクオフ相場では円が買われ、円高に動きやすくなる。
このように金融政策の方向性と投資家心理の状況を読んでいけば、為替の方向性を考えやすくなる。
まとめ
今回の記事では、通貨と株式市場の関係性について詳細に解説した。
輸出主導型企業が多くを占める日経平均株価においては、円安が進行すれば株価が伸びやすくなり、円高になれば下落しやすくなる。
なぜ円安が輸出企業に有利なのか、円高が輸入企業に有利になるのかもあわせて解説した。
また、為替の方向性を見るうえでは
- 金融政策
- 投資家心理
の方向性を見ることが重要である点も見てきた。
今回の記事を参考に、今後の投資戦略を練る上でのヒントになれば幸いだ。
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