- 資産運用を始めたい
- 運用のよくある失敗例を知って対策したい
- 初心者でもできる運用法を教えて欲しい
株式会社FOLIOが調査した「2023年度 資産運用に関する実態調査」によると、資産運用の経験がある人の割合は39.3%だった。
2024年からは新NISAもスタートし、今後も投資をする人の割合は増加するといえるだろう。
では、資産運用を始める際に、どのような知識やポイントを踏まえておく必要があるのだろうか。
今回は、資産運用をする場合に踏まえておきたい基本的な概要と、注意したいケースについて解説する。
資産運用入門〜基礎知識編〜
資産運用をする場合に押さえておきたい基本的な知識について確認する。
資産運用は、正しい知識やポイントを踏まえて実施しないと、成果につながらない可能性がある。
資産運用で把握しておきたい基本的な知識を、以下のポイントに沿って解説する。
- 資産運用の始め方
- 資産運用の種類
- リスクとリターンの関係性
それぞれのポイントについて確認しよう。
資産運用の始め方(余剰資金額・リスク許容度の把握と運用目標の設定)
資産運用を始める前に、リスク許容度や運用目標を設定する。
リスク許容度は、許容できる投資リスクの度合いを意味する。
個人の資産状況や世帯状況といった客観的な項目と、本人の性格や価値観などでリスク許容度を考える。
リスク許容度が高いと、より高いリターンを見込んだ投資ができる。
リスク許容度に見合った資産運用をしないと、途中の運用がマイナスになった場合に、投資を継続できずに途中で資産を売却してしまう可能性がある。
また、精神面や生活面にも影響が出るリスクもあるので、自分の許容度に見合う投資をすると良い。
リスク許容度は、一般的に次の要素で検討する。
- 年齢
- 年齢が低いとリスク許容度が高め
- 年収
- 年収が多いとリスク許容度が高め
- 保有資産
- 保有資産が多いとリスク許容度が高め
- 将来の必要な支出
- 将来支出が少ないとリスク許容度が高め
- 資産運用の経験
- 投資経験が豊富だとリスク許容度が高め
- 性格
- 積極的な性格ではリスク許容度が高め
リスク許容度のタイプは、主に以下のパターンに分かれる。
安全性重視タイプ | 安全性の高い金融商品割合を90% |
---|---|
安定成長タイプ | 安全性の高い金融商品割合を70% |
バランス運用タイプ | 収益性と安全性の金融商品割合を50%ずつ |
積極運用タイプ | 収益性の高い金融商品を重視 |
さらに、投資に回す資金を設定するには、手持ちの資産を「いつ」「どのような」目的で使うか、明確にしておく必要がある。
手元にある資産は、時間軸ごとに「短期」「中期」「長期」と分けると良い。
- 短期
- 10年未満
- 中期
- 20年未満
- 長期
- 20年以上
また、病気や転職など突発的な資金が必要なケースを想定して、半年分の生活費も貯金しておく必要がある。
半年分の生活費が確保できたら、余剰資金を活用して資産運用をすると良い。
資産運用の種類
資産運用には、以下の種類がある。
個別株 | 株式の売買や配当金によって利益を得る |
---|---|
定期預金 | 定期預金の金利で利益を得る |
外貨預金 | 外貨預金の金利で利益を得る |
債券 | 国や企業の発行している債券の利回りで利益を得る |
金投資 | 資産価値が落ちにくい金で現物資産を保有する |
貯蓄保険 | 保険の満期金や解約金で利益を得る |
さまざまな方法があるが、自身のリスク許容度や資産状況に応じた投資が必要になる。
リスクとリターンの関係性
リスクとリターンは、正比例の関係性にある。
JPモルガンアセットマネジメントが、資産クラス別のリターンを調査しているので、資産クラスのリターンを確認する。
2019年から2022年までのリターンを確認する。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|
先進国株式 | 27.1% | 10.7% | 36.4% | -6.3% |
日本株式 | 18.1% | 7.4% | 12.7% | -2.5% |
新興国株式 | 17.7% | 12.8% | 9.0% | -8.5% |
米国REIT | 27.4% | -9.8% | 57.5% | -14.5% |
J-REIT | 25.6% | -13.4% | 20.0% | -4.8% |
バランス型 | 16.8% | 5.0% | 21.3% | -6.8% |
先進国国債 | 4.9% | 4.7% | 3.7% | -6.9% |
新興国国債 | 13.9% | 0.1% | 9.5% | -6.3% |
米国ハイ・イールド | 13.3% | 0.8% | 17.4% | 1.2% |
欧州ハイ・イールド | 7.7% | 6.5% | 7.2% | -5.0% |
毎年のリターンは異なるが、バランス型のリターンは、資産を分散した効果により、中程度のリスクとリターンとなっている。
どの金融商品に預けるべきかは、リスク許容度や投資目標によっても異なる。
資産運用の基礎知識をより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてほしい。
資産運用入門〜よくある失敗と対策法編〜
資産運用が失敗するのは、さまざまな原因がある。
代表的な失敗例と対策方法を把握して、同じような失敗を起こさないように注意すると良い。
資産運用でよくある失敗例は以下の3つである。
- 下落相場に資産を売却してしまう
- リスク許容度に見合う金融商品に投資していない
- 複数の資産運用で分散できていない
それぞれ確認したうえで、対策もあわせて確認しよう。
下落相場に資産を売却してしまう
資産運用でよくある失敗例は、下落相場で保有している資産を手放してしまう点である。
投資をした際に、市場が下落相場となってしまい、運用がマイナスになると、心理的に怖くなり、すぐに手元資産を売却してしまう。
下落相場に移行して手持ちの資産がマイナスになったとしても、いったん保有を続ける、もしくは価格が下がった時は買い時だと考え、買い増しするくらいのイメージを持っておくと良い。
どうしても手元の資産を売却して損失を確定させたいのであれば、まずは資産運用の専門家に相談して、アドバイスをもらうと良いだろう。
リスク許容度に見合う金融商品に投資していない
リスク許容度に見合った金融商品に投資をしていないと、先ほど解説した損失が生じた場合に短期で手放すリスクにつながってしまう。
長期投資によってリターンを得る場合、途中の運用がマイナスになったとしても、そのまま保有するのが原則である。
その場合、保有し続けられるかどうかは、リスクが生じたときに許容できる範囲かどうかがポイントになるだろう。
精神面や生活面にも影響が出る可能性もあるため、自分の許容度に見合う投資をすると良い。
自分がリスク許容度のどのパターンに当てはまるかは、資産運用の専門家に相談して、アドバイスをもらうと良いだろう。
複数の資産運用で分散できていない
分散投資をしていないと、特定の相場による影響を受けてしまい、リスクコントロールができない。
資産運用を効果的に行うためには、他の資産にも分散して投資すると良い。
長期保有の投資信託を主軸にしながら、主軸の資産とは別の動きをする商品や資産クラスに分散させておくのが良いだろう。
実際に、分散投資は投資リスクを軽減する効果に加え、運用を高める効果がある。
2020年にニッセイ基礎研究所が調査した「分散投資効果の計測とパフォーマンス改善の検証」によると、分散投資効果によってリスクを20%低減できている。
また、年率換算でみたリターンが3.92%から4.25%に向上している。
そのため、分散投資は運用パフォーマンスの向上に寄与している。
投資で一定の成果を出すためには、分散投資が重要といえるだろう。
異なる値動きをする資産や銘柄を取り入れておけば、他の資産が値下りしても、他の資産が値上がりすればリスクを下げることができる。
そのため、複数の資産に分散した投資が有効とされている。
資産運用入門〜おすすめの運用法編〜
資産運用に必要な基本的な知識や注意点について解説してきたが、初心者は運用方法についても気になるだろう。
実際に、自分で特定の資産を運用させるには、市場の予測や経済情勢など、複合的に知識や経験が必要となる。
そのため、初心者でも理解しながら始めやすいおすすめの投資手法について確認する。
- 債券投資
- ロボアドバイザー
- 投資信託
それぞれの特徴やポイントについて解説しよう。
債券投資
債券投資は、株式投資に比べて資産運用を安定しながらやりたい人におすすめの投資手法である。
債券は、国や地方公共団体が発行している「国債・地方債」と、企業が発行している「社債」に分かれる。
債券投資は、決められた時期に利息を受け取れ、満期まで保有しておくと、元本を全額受け取ることができる。
そのため、元本割れするリスクが株式投資に比べて低い。
ただし、満期前に売却した場合には元本を割る可能性があるので、投資する場合は注意したい。
また、購入した債券が国の情勢や企業の財務状況によって破たんする可能性がある。
日本国債のようにリスクが低い場合は金利は低く設定されており、新興国債券などカントリーリスクや信用リスクが高い債券は金利が高めに設定されている。
どの債券を活用して投資をするかは、よく検討しておく必要があるだろう。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザーは、AIを活用して投資を行う方法である。
資産の購入配分や、組み入れ割合などを自動的に提案してもらえるので、知識のない初心者にとっては参考になる。
特に、投資一任型は商品の運用や、後々のリバランスなどもすべてロボアドバイザーが実施する。
その点で、相場の分析や予測等が難しい人には活用しやすいサービスといえるだろう。
ただし、手数料は割高なので、運用方法として取り入れるべきなのかは、資産運用の専門家に相談すると良い。
投資信託
投資信託は、投資家から集めた資金をプロファンドマネージャーが運用して資産を増やす方法である。
運用する資産や通貨など、運用方針もファンドマネジャーが決め、リバランスや組み入れ割合も、ファンドマネージャーが行ってくれる。
投資家はどのファンドを購入するか決めるだけである。
投資信託には、インデックスファンドとアクティブファンドに分かれる。
- インデックスファンド
- 目標とする指標(ベンチマーク)に連動する運用を目指す
- アクティブファンド
- 目標とする指標(ベンチマーク)を上回る運用を目指す
インデックスファンドもアクティブファンドも、それぞれメリットデメリットがあるため、運用する本人の運用目的やリスク許容度に合わせた選択が必要だ。
資産運用の相談先はどこが良い?
資産運用で予算を設定する方法や、実際にどのような資産で投資をするかは、専門的な知識が必要になる。
特に知識が必要なのは、銘柄選びやベンチマークとする指標の考え方、コストの妥当性などである。
また、世帯や資産の状況によっても投資の予算や目標設定も異なるだろう。
そのため、投資経験がない人には、自身で投資を始めるうえで分からないことが多い。
そこで、今回は資産運用の専門家であるIFAに相談するメリットについて解説する。
資産運用における専門家の重要性
投資目標や予算の設定など、特に初心者はどのような方法で投資を始めると良いか判断がつきにくい。
そのため、目標とする運用成果を達成させるためには、資産運用に関する知識や経験が豊富な専門家であるIFAに相談すると良い。
IFAとは独立系ファイナンシャルアドバイザーのことだ。
IFAの役割とメリット
IFAに相談すると、それぞれの状況に合った適切なポートフォリオや投資額をいくらにするべきか相談できるメリットがある。
予算設定だけでなく、自分に合う資産や具体的な投資手法についても、アドバイスが受けられる。
さらに、IFAは幅広い投資商品の中から自分に最適な金融商品を紹介してもらえる点もメリットだ。
ファンドの騰落率や、各種コストの面から、おすすめの金融商品を紹介してくれる点もメリットといえるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法
最適なIFAを見つけるためにも、IFA検索プラットフォームを経由して、自身の相談内容を得意分野としているアドバイザーを見つけると良いだろう。
「資産運用ナビ」は、投資が初めての人でも安心して利用できる無料のIFA検索プラットフォームなので、気軽に利用してみてほしい。
予算の設定や投資計画の策定だけでなく、おすすめの投資方法など、資産運用に関する総合的なアドバイスが受けられるだろう。
また、投資目標の変化や、市場の変動、運用成果に応じてポートフォリオは見直す必要がある。
IFAは、アフターフォローも継続的に実施している。
当初は積極的にリスクを取りながら高いリターンを期待して資産運用をしていても、運用成果がマイナスになっている場合など、このまま継続していくべきか検討する必要がある。
分散している金融資産の割合を変更する必要があるかも含めて、IFAに相談して決めると良い。
資産運用を始めてみよう
資産運用を始める時に知っておくべき基礎知識について解説した。
資産運用を始めるには、リスク許容度や目標設定など、基本的な計画を策定したうえで、失敗例などを把握しておく必要がある。
初心者の場合は、自分で市場を見ながら投資するよりも、ロボアドバイザーや投資信託を活用して、長期的な視点で資産形成する方法をおすすめしている。
ただし、ロボアドバイザーも投資信託もメリットやデメリットがある。
実際にどのような方法が自分に適しているかは、資産運用の専門家であるIFAに相談すると良い。
IFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる。
さらに、生涯にわたってリバランスや金融商品の見直しもフォローしてもらえる。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけると良い。