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【累進課税と投資】概念理解と資産価値を高める効率的な戦略

この記事で解決できるお悩み
  • 累進課税制度を理解したい
  • 累進課税と投資の関係性を把握したい
  • 効率的な投資戦略を相談したい

運用によって得た利益には課税がされるため、投資を行うにあたって税金の問題は無視できない。

課税方法の1つに累進課税制度がある。所得や資産額に応じて税率が段階的に上昇する仕組みで所得税や相続税、贈与税に採用されている。税率が高くなれば手取り金額が減るため、場合によっては投資に与える影響も大きい。

そこで今回は累進課税がもたらすリスクや投資への影響、そして資産価値を高める効率的な戦略について解説する。投資による利益最大化のために税制への理解は避けて通れないので、ぜひ参考にしてほしい。

目次

累進課税とは何か

累進課税とは何か 資産運用ナビコラム

まずは投資家にとって重要な税制度の1つである累進課税とは何か解説する。

累進課税の原理や構造、メリットとデメリット、具体的な仕組みも紹介するのでぜひ参考にしてほしい。

累進課税の原理と構造

累進課税とは課税所得の金額が大きくなるほど税金が高くなるシステムだ。

たとえば所得税の場合、課税所得が195万円未満であれば税率5%だが、4000万円以上になると45%の割合で課される。所得が多く支払い能力が高い人の税率を上げることで、経済格差を是正して所得再分配に役立つとされている。

累進課税のメリットとデメリット

累進課税は所得や資産が多い人ほど税率が高くなり納税額も増えるが、低所得者の税率は低く抑えられる。そのため公平な税負担を求められるというメリットがある。

高額所得者が貯金ばかりすると経済が回らない。相続税や贈与税にも累進課税が導入されているのは必要以上に資産を溜め込まずに消費を促進させるためともいわれ、富裕層の資産の固定化を防ぐ効果も期待されている。

その一方でデメリットもある。所得や資産が多くなるほど税負担が重くなるため、労働意欲の低下が懸念される。頑張って多く稼いでも納税額が増えるなら、働いたら損すると考える人が増えても不思議ではないからだ。

所得税がかかり始める103万円の壁や社会保険への加入が必要になる106万円、130万円の壁も税金が関係している。夫や妻の扶養から外れるのを避けるため、本来はもっと働けるにもかかわらず労働時間を減らすケースも少なくない。

また、累進課税によって高額所得者への締め付けが強化されると、税率が低い国へ移住しようと考える人もあらわれる。海外移住者が増えるほど納税する人や金額も減るため、公共サービスの低下につながるおそれもある。

日本の累進課税システムの具体的な仕組み

累進課税には単純累進課税と超過累進課税の2つの仕組みがあり、日本では超過累進課税制度が採用されている。

単純累進課税とは課税所得金額が一定の基準を超えると、所得全体に税率を一律適用する仕組みだ。一方で超過累進課税制度とは、所得全体に課税するのではなく、一定の基準を超えた部分にのみ該当する税率を適用する仕組みである。

たとえば課税所得300万円の場合に所得税はどのくらい課されるのか「所得税の速算表」をもとにみてみよう。

課税される所得金額が195万円までは税率5%、残り105万円には税率10%が適用されて所得税額は20万2500円となる。これがもし単純累進課税だと課税所得300万円全体に対して税率10%が適用されるため、所得税額は30万円となる。

投資と累進課税

投資と累進課税 資産運用ナビコラム

累進課税制度は投資行動や利益にどのような影響を与えるのだろうか。実際に運用で利益が出た場合の税金や投資行動に与える心理的影響について解説する。

累進課税制度下での投資の影響

投資に累進課税制度が適用されると、利益が上がるほど所得税率が高くなるため、利益の最大化を狙うことは難しくなる。

税負担が重くなることをおそれ、本来狙いたい金額よりも少ない状態で利益確定をするケースが増えてもおかしくない。税金を気にするあまり冷静な投資判断ができなくなるおそれもある。

累進課税とキャピタルゲイン課税

キャピタルゲインとは保有している株式や債券などを売却することで得られる売買益のことをいう。日本ではキャピタルゲインは譲渡所得の対象となり「株式等に係る譲渡」として分離課税が適用される。これらの仕組みをキャピタルゲイン課税といい、具体的には所得税と住民税あわせて20.315%が課される。

ただし投資の種類によっては累進課税の対象となるケースがある。代表的なものには2023年現在の暗号資産(仮想通貨)がある。暗号資産で得た利益は原則として雑所得に区分される。

累進課税が投資行動に与える心理的影響

所得が多くなるほど税率が上がる累進課税は投資家の心理にも大きな影響を与える。なぜなら利益が増えるほど税負担も増すからだ。

税負担を避けるため、あえて損失を出したり利益確定を多めにしてリスク回避のための保守的な投資戦略を選んだり、場合によっては過度な節税を模索するケースも考えられる。

累進課税下での効果的な投資戦略

累進課税下での効果的な投資戦略 資産運用ナビコラム

累進課税のもとで投資利益の最大化をはかるには、どのような戦略をとればいいのだろうか。

税率を理解して効率的に投資を行う方法

どのくらい利益を出せばいくら課税されるのか、税率の正確な理解と把握は投資の効率化をはかるためにも不可欠な要素だ。想定外の課税や税負担の増加を防ぐためにも、下記の3点は必ず確認しよう。

・自身が取り組んでいる投資はどの所得に分類されるのか

・総合課税(累進課税)と分離課税どちらが適用されるのか

・仮に利益確定した場合、想定される税率はどのくらいか

たとえば株式投資で手数料等を除いて100万円のキャピタルゲインを得た場合、分離課税により約20%の税率が適用され、20万円納税する必要がある。

暗号資産の場合は雑所得となり、給与所得や事業所得とあわせて総合課税の対象となる。自身の給与等の所得金額によって税率が変化するだけでなく、雑所得は損失が発生しても他の所得金額と損益通算できない点にも注意しよう。

税効果を最適化する投資戦略

先述の通り、株式や債券の譲渡益には約20%の税金がかかる。ただし工夫次第で税負担を減らすこともできるので投資戦略として積極的に活用したい。

たとえば毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になるNISA制度もそのひとつだ。2024年以降は大きく制度が変わり、非課税保有限度額は1800万円となり、口座開設期間も恒久化されるなどメリットも増えるため注目されている。

ただし基本的には少額からでも投資しやすい環境を整えるための制度であり、数千万円以上などまとまった資金を運用したい場合は物足りないかもしれない。

その場合は損益通算をうまく活用するのも1つの方法だ。たとえば投資信託と国内株式は損益通算できる。もしどちらかの運用で損失が出る可能性があるなら、あえて損切りをして一方の利益と相殺し、課税所得を減らすことができる。

投資のタイミングと累進課税

確かに理屈は分かっても、実際は税金と利益をうまく両立させながら投資判断するのは簡単ではない。投資のタイミングも専門家でさえ正確に狙うのは難しいとされ、一般投資家であればなおさらだ。

そのため自分だけで判断せず、場合によっては専門家などに相談しつつ、最適な運用戦略を考えていくことが大切といえる。

IFAとともに最適な投資戦略を策定

IFAとともに最適な投資戦略を策定 資産運用ナビコラム

投資のアドバイスを受けたい場合は、特定の金融機関に所属していない独立系ファイナンシャルアドバイザーのIFAに相談することをおすすめする。

ここではIFAが投資家に提供するサービスや魅力を解説する。

IFAが投資家に提供するサービス

IFAは下記3点のようなサービスを投資家に提供している。

  • 投資戦略の策定や運用ポートフォリオの作成
  • 定期的な運用の見直し
  • 継続的なカスタマーサポート

投資戦略といっても顧客の年齢や資産状況、目的、ライフプランなどによって大きく変わる。希望や悩み、不安などをひとつずつ掘り下げながら、顧客ニーズに合ったポートフォリオを組む。

ポートフォリオは一度組んで終わりではなく、定期的に見直す必要がある。運用状況や政治経済情勢、顧客のライフステージなどによってカスタマイズするのだ。

投資手法や運用目的によっては30年以上など運用期間が長期にわたるケースもあるため、継続的なアフターフォローを行って顧客をサポートできるIFAに相談するメリットは大きい。

IFAを通じて得られる投資の洞察

第三者のプロの目線を入れることで、本人だけでは分からない投資戦略や運用状況を正確に把握できるというメリットもある。

金融機関の営業担当者が悪いわけではないが、立場上会社の方針や営業ノルマに縛られてしまうこともある。その点IFAは中立的な立場で顧客に合わせた提案ができるため、豊富な知識や経験をいかんなく発揮できることも評価されているポイントだ。

ただ、投資戦略と同じように、あなたに最適なIFAも投資の経験値や目標、資産状況によって異なる。検索プラットフォーム「資産運用ナビ」などを活用し、自身の条件にあったアドバイザーを探すことも忘れないようにしよう。

IFAと一緒に作る、累進課税を考慮した投資計画

今回はおもに累進課税と投資の関係について解説してきたが、税金と投資の利益をうまく両立させるのは至難の業だ。リスクやリターン、税率などを自分1人で総合的に考えて分析するのは困難かつ心身ともに負担が大きい。

分離課税の株式や債券だけでなく、今後税制が大きく変わる可能性もある暗号資産など、累進課税の対象となる投資に取り組んでいるならなおさらだ。

1人で抱え込むのではなく運用のプロであるIFAに相談して、累進課税を考慮した投資計画を一緒に作り、運用成果を高めていくと良いだろう。

まとめ

今回は累進課税の基本原理、投資と累進課税の関係性、そして効果的な投資戦略について解説した。

税制は仕組みが複雑で、投資利益との両立を1人で考えるのは簡単ではない。自分だけで抱え込まず、累進課税について分からないことや疑問に思うことがある場合にはIFAに相談すると良いだろう。

IFAに相談することで、累進課税制度の理解が深まるだけでなく、投資戦略策定のサポートも受けることができる。専門家と一緒に各自の税率や投資目標に合わせた個別の投資戦略を作り出そう。

また、投資家の投資経験や投資意向によって、最適なIFAの選択肢は異なる。自身の条件にあったIFAを見つけるには、「資産運用ナビ」などの検索プラットフォームの活用もおすすめである。

無料相談もできるので、長期的な資産形成のパートナーとなる、信頼できるIFAが見つかるはずだ。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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