- 株式市場サイクルに関する特徴と注意点
- 正しい金融政策と業績相場の理解
- 株式市場サイクルの変化に対する対応方法
株式市場には、一般的に4つのサイクルがあります。
この記事ではそれぞれのサイクルの特徴と、注意点について解説します。
歴史的に見た株式市場のサイクル
株式市場のサイクルは基本的に、「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」の順で4つのパターンがあり、これが1サイクルです。
そして、このサイクルを繰り返すのです。それぞれのパターンと株価の関係は、以下の通りです。
株式市場のサイクル | 株価 |
---|---|
金融相場 | 上昇↑ |
業績相場 | 上昇↑ |
逆金融相場 | 下落↓ |
逆業績相場 | 下落↓ |
金融相場とは
金融相場とは、金融緩和や金余りを背景に上昇する相場のことです。
不況により企業業績が悪化すると、株価は下落します。
しかし、景気対策として金融緩和を行うと、いわゆる金余りとなり、余剰資金が株式市場に流れ込み、不景気なのに株式市場が上昇する現象が起きます。
これを「金融相場」というのです。
低金利になれば企業はお金を借りやすくなり、積極的な設備投資もしやすくなります。
そのため、企業業績の回復を見込んで株価が上昇しやすくなるのです。
そして、将来の好景気を見越して買われるため、不況下でも株価が上昇します。
このとき、金利に敏感な銀行や証券などの金融セクターや、鉄鋼、化学、工作機械などの設備投資関連など景気敏感セクターの株が買われやすくなるのです。
また、バイオテクノロジーなど赤字の企業でも、業績が意識されない相場段階であるため、買われる傾向があります。
業績相場とは
業績相場とは、景気拡大期に企業業績が好転・向上して株価が上昇する場合に形成される相場のことです。
企業業績の動向は、株価を決定する重要な基準の一つです。収益が増加する傾向にあれば、配当の増加や企業の成長が期待できるため、株式は買われやすくなります。
金融相場の次のサイクルである業績相場では、金融緩和の効果により企業業績が回復に向かいます。
そして、マクロ要因よりも個別銘柄の業績などのミクロ要因を背景として株価が上昇することが多くなるのです。
金融相場で割高だった株価指標(PERやPBR)が、企業業績の回復に伴い割安になります。
購入するセクターや銘柄は、景気拡大で業績がプラスになる企業が中心で、バランスシート(貸借対照表)や財務体質が安定している企業が買われやすくなるのです。
逆金融相場とは
業績相場が拡大し過ぎると、金融引き締めのサイクルがやってきます。これを「逆金融相場」といいます。
政府や中央銀行の重要な役割のひとつは、景気が拡大しすぎたときにインフレを抑制し、物価を安定させることです。そのため、景気が拡大しているときには、金融引き締めによって金利を高く設定します。
金利が上昇すると、一般に投資家の資金は株式市場から債券などの固定金利の商品に流れ込みます。
そして、株式は売られるので、逆金融市場で株価は下落する傾向にあるのです。
逆金融相場で注目されるセクターは、無借金企業などバランスシート(貸借対照表)が健全で、金利上昇の影響を受けにくい企業となります。
逆業績相場
逆業績相場とは、金融引き締めの影響で景気や企業業績の見通しが悪化し、株価が下落する相場のことです。
「調整局面」と言われる逆金融相場とは異なり、企業業績の悪化によって本格的な下落トレンドが発生する可能性もあります。
このような状況で買われやすい銘柄は、医薬品、インフラ、生活必需品など、景気や業績との連動性が低いディフェンシブセクターです。
近年はサイクルがわかりにくくなっている
近年は2008年のリーマンショックや2020年のコロナショック後に、歴史上かつてない大規模な金融緩和が行われたこともあり、4つの株価サイクル(金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場)が明確に表れにくくなっています。
具体的には、金融市場と業績市場が重なっていることが多くなっているのです。
2022年の株価の下落は、金融市場から業績市場へ移行する過程で起こる「中期的な売り」であるという見方と、業績市場から逆金融市場への移行であるという2つの見方があります。
株価下落が中間的な売りであれば、この調整局面は絶好の買い場となります。
しかし、逆金融相場への移行であれば、さらに株価が下がるので、売り場となるのです。
投資家によって売買の視点が異なるため、株価は上昇と下降を繰り返し、今は長期的なトレンドが判断しづらくなっています。
中央銀行の金融政策に注目
株式市場は4つ(金融相場、業績相場、逆金融相場、逆業績相場)のサイクルを繰り返すことが多くなるものの、その波の大きさやサイクルの長さは様々です。
米国ではリーマンショック後の2009年から始まった景気拡大局面が2020年まで続き、過去最長となりました。
その間、低金利と低インフレにより企業収益が順調に拡大する「ゴルディロックス相場」と呼ばれる「金融相場+業績相場」による上昇期局面が長く続きました。
そして、市場サイクルの変化の引き金となるのは、中央銀行の金融政策です。
そのため、各国の金融政策会合や雇用統計など、金融政策に大きな影響を与える重要な経済指標に注目する必要があるのです。
米連邦準備制度理事会(FRB)は6月14、15日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、1994年11月以来、約27年半ぶりに0.75%の大幅な利上げ(政策金利の引き上げ)を決定しました。
FOMCの政策金利(FFレート)の目標値は1.5%~1.75%に設定されたのです。
米国を中心に、利上げをする国が増えています。
2022年はこれまでの「ゴルディロックス相場(金融相場+業績相場)」と大きく異なっているのです。
正しい知識をつけよう
株式市場には「金融相場」「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」の4つのサイクルがあります。
現在の相場の局面を意識することで、注目すべき経済指標やセクターは変わってきます。
投資手法には、マーケット環境によって通用するものとしないものがあるので、取引する際は注意が必要です。
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