- ポートフォリオとは何なのか
- そのようにポートフォリオを作成すればよいのか
投資ではポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を決めることが大切です。
この記事では、ポートフォリオを決めるときの注意点と、おすすめの組み合わせについて解説します。
ポートフォリオとは
ポートフォリオとは金融商品の組み合わせ、とくに特定の投資商品の細かい組み合わせのことです。
つまり、「どのような投資信託を買うか」「株式を何銘柄保有するか」などを検討します。
「ポートフォリオ」の元々の語源は、紙ばさみや書類入れを意味し、欧米では資産の明細を紙ばさみに入れて保管していたことが語源とされています。
アセットアロケーションとは
ポートフォリオが特定の商品の細かい組み合わせを意味するのに対し、大まかな資産配分を「アセットアロケーション」といいます。
「アセット(Asset)」は「資産」、「アロケーション(Allocation)」は「配分」を意味します。
そして、「アセットアロケーション」とは、運用する資金のうち、国内・海外の株式や債券にどの程度の割合で投資するかを決めることです。
資産とは、広義には「現金・預金」「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」「不動産」「商品・金」など、類似した性質を持つ商品群のことを指します。
アセットアロケーションは、各人の資産状況やリスク許容度、投資目的に応じて適切な配分を行います。
人生の各ステージでどれくらいのリターンが必要か、それに対応するリスク許容度は大きく異なり、「これがいい」という正解はありません。
投資の目的と期間を決め、どの程度のリスクを許容できるかを考え、自分に合ったアセットアロケーションを決定するようにするのです。
予算と目標を設定する
ポートフォリオを作成する際には、まず自己資金から使える予算を設定する必要があります。
急な出費のための資金や、使う予定の決まっている資金以外は、資産運用のために使うのが基本です。
資産運用のための予算が決まったら、目標金額と投資期間を設定します。
目標金額や運用期間は、資産運用の目的によって異なります。
「老後に備えて30年後の65歳までに2000万円を貯める」など、具体的な数値目標を設定することが大切です。
リスクとリターンを考える
一般にリスクとは「危険」を意味しますが、金融商品におけるリスクとは「リターンの不確実性(振幅)の度合い」を指します。ここでいうリターンとは、収益のことです。
以下の図をご覧ください。
証券Aより証券Bの方がリスクの幅が大きくなっています。この場合、「証券Bの方がリスクは高い」と判断するのです。
よく耳にする「ハイリスク・ハイリターン」という言葉は、「リターン(利益)が大きいからリスクも大きい」という意味ではなく、「大きな利益が期待できる場合もあるが、大きな損失を被る可能性もある」という、リターンの不確実性(振幅)が大きいという意味があります。
投資においては、各金融商品のリスクとリターンを考慮して、金融商品の配分や組み合わせ(ポートフォリオ構成)を決めることが非常に重要です。
金融商品のリスクとリターン
金融商品のリスクとリターンは、どのような関係にあるのでしょうか。
たとえば、「株式」「債券」「投資信託」「預貯金」のうち、「株式」は一般的にリスク・リターンが高く、「投資信託」は中間よりやや高く、「債券」は中間よりやや低く、「預貯金」はリスク・リターンが低い部類に入ります。
株式の場合、株価は日々変動し、高騰することもあれば、急落することもあり、「ハイリスク・ハイリターン」の投資対象です。
これに対して「預貯金」は、銀行口座の現金が大きく増えることはないものの、何もしないことによるマイナスリターンもないため、「ローリスク・ローリターン」になります。
GPIFのポートフォリオを参考にする
ポートフォリオを決めるときは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を参考にするといいでしょう。
長期的な資産運用においては、短期的な市場動向に応じて資産構成比を変更するよりも、基本的な資産構成比を決めて長期的に維持する方が効率的で、より良い結果が得られることが知られています。
このため、公的年金基金の運用では、各資産の期待収益率やリスクを考慮した上で、積立金の基本資産構成比(基本ポートフォリオ)を決定しているのです。
公的年金を運用しているGPIFの基本ポートフォリオは、以下の通りです。
株式と債券の比率は50:50になっています。もっとリスクを取りたい場合は株式の比率を高め、リスクを抑えたい場合は債券の比率を高めるようにするのです。
たとえば、安全運用を考えた場合は国内債券50%、外国債券25%と債券の比率を高め、国内株式15%、外国株式10%と株式の比率を下げます。
一方、積極的にリスクを取りたい場合は、国内株式40%、外国株式30%と株式の比率を高め、国内債券20%、外国債券10%と債券の比率を下げます。
ポートフォリオ戦略のメリット
ポートフォリオ戦略のメリットについて解説します。
安定したリターンが狙える
すべての金融商品にはリスクがあり、そのリスクの大きさは商品によって異なります。
しかし、ポートフォリオを構成する商品を分散させることで、リスクを分散させ、安定したリターンを得られる可能性を高めることができるのです。
特徴の異なる複数の銘柄を組み合わせることで、ある銘柄で大きな損失がでても、他の銘柄への投資で補うことができます。「卵は一つのカゴに盛るな」という相場格言があります。
卵を一つのカゴに入れておくと、そのカゴを落とすとすべての卵が割れてしまうことがありますが、複数のカゴに入れておくと、一つのカゴを落としてそのカゴの卵が割れて腐ったとしても、他のカゴの卵は影響を受けません。
つまり、特定の商品だけに投資するのではなく、複数の商品に投資してリスク分散した方がいいという教えなのです。
資産運用において、分散投資を意識することは重要です。
しかし、とくに考えずに複数の金融商品に資金を投入することは、資金の運用先を分けているに過ぎません。
金融商品には株式や債券、リート(不動産投資信託)など多くの種類があり、それぞれに適した投資対象や投資時期があります。
資金を分散する際には、それぞれの金融商品の特性を理解した上で、配分を検討することが大切です。
ポートフォリオの相談はプロへ
ポートフォリオは、自分の資産とリスク許容度に応じて決めることが大切だ。
ただ、ポートフォリオを組むことによってリスクを軽減できるが、元本が保証されているわけではない。
必ず生活資金などを除いた余裕資金で投資するようにしよう。
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