- 新NISA口座の金融機関を変更する方法が知りたい
- 金融機関変更に伴う影響と注意点を理解したい
- 新NISA制度下での口座選択のポイントを知りたい
2014年からスタートしたNISA制度は、2024年1月に「新NISA」として大きな制度改正が行われた。
複数の変更点が生じたことにより、「金融機関を違うところに変えたい」と考えている人も多いかもしれない。
NISA口座は「1人1口座」という制限があるものの、年単位であれば金融機関を変えることが可能だ。
本記事では、新NISAで金融機関を変える際の手続きについて解説していく。
新NISAにおける金融機関変更手続きの方法
新NISAで金融機関を変える際は、下記の手順に沿って手続きを行う。
- STEP1
- 現在利用している金融機関に変更申し込みを行う
- STEP2
- 新しい金融機関で申込手続きを行う
- STEP3
- 金融機関変更が終了する
それぞれくわしく解説していこう。
現在利用している金融機関に変更申し込みを行う
まず、現在非課税口座を開いている金融機関に変更手続きを行いたい旨を申し出る。
手続きの方法は窓口や郵送など金融機関によって異なるが、ネット証券などではオンライン上で変更手続きの申請が行えるところもある。
詳細は利用先の金融機関に問い合わせてみよう。
変更手続きが完了したら、金融機関から「勘定廃止通知書」もしくは「非課税口座廃止通知書」が送付される。
2つの書類の違いは下記の通りだ。
書類の種類 | 概要 |
---|---|
勘定廃止通知書 | 年単位で口座の変更を行う場合 |
非課税口座廃止通知書 | 変更前の金融機関で1度も口座を使用していない、もしくは口座内に残高がない場合 |
金融機関から受け取った書類は、新しくNISA口座を開く金融機関へ提出するため、必ず保管しておこう。
新しい金融機関で申込手続きを行う
次に、新しくNISA口座を開く金融機関にて手続きを行う。
NISA口座を移管する場合は、通常の口座開設手続きと手順が異なる場合があるため、詳細は利用する金融機関の手続きに従おう。
なお、SBI証券や楽天証券では、口座開設書類が送付され、必要書類と共に返送する流れとなっている。
NISA口座開設時に送付する書類は下記の通りだ。
- 「勘定廃止通知書」もしくは「非課税口座廃止通知書」
- 本人確認書類
- マイナンバー確認書類
SBI証券や楽天証券では、通常オンライン上で口座開設が完了するが、本手続きに関しては郵送で書類を送付する必要がある。
手続きが完了するまでに時間がかかるため、余裕を持って申し込むことがおすすめだ。
金融機関変更の終了
必要書類を提出後、税務署にて確認作業が行われる。
税務署での確認作業には、1〜2週間ほどかかるとされている。
初めてNISA口座を開く場合は、手続き後すぐに非課税枠を利用することができるが、変更の場合は税務署の確認が終わるまで非課税枠を利用することができない。
NISA口座を再び利用できるようになるまで時差があるため、計画的に変更手続きを進めることがおすすめだ。
無事に税務署での確認が終わり口座開設が完了すると、メールや公式サイトのマイページの通知などでお知らせが届くため確認しよう。
新NISAでの金融機関変更時の注意点
新NISAでの金融機関を変更する際は、次の3つのポイントに注意したい。
- 非課税枠を利用した年は変更ができない
- 保有資産は移管できない
- 変更手続きを行うタイミングが決められている
それぞれくわしく解説していこう。
非課税枠を利用した年は変更ができない
NISA口座は、年単位であれば金融機関を変えることができるが、年内に非課税枠を消費している場合は翌年まで変更することができない。
たとえば、2024年に1度でも非課税枠を利用して株式や投資信託を買い付けている場合、金融機関を変えられるのは2025年からとなる。
自分では非課税枠を利用していないと思っていても、積立投資などで自動で買付が行われている場合もある。
金融機関の変更手続きを行う際は、取引履歴などで年内に利用していないか必ず確認するようにしよう。
保有資産は移管できない
NISA口座は他の金融機関へ変更することができるが、変更前の金融機関で購入した金融商品は引っ越しすることができない。
変更前のNISA口座に保有残高がある場合は、そのまま従来の金融機関で管理することとなる。
NISA口座を変更すると、資産を管理する金融機関が複数に分かれてしまうことを理解しておこう。
なお、変更前の金融機関で購入した金融商品は非課税のまま保有することも、課税口座に移すことも可能だ。
任意で選択できるため、自分の投資意向に合わせて選択しよう。
変更手続きを行うタイミングが決められている
NISA口座の変更手続きで覚えておきたいのが、変更手続きを行うタイミングが決められている点だ。
NISA口座の変更手続きは、「変更を希望する年の前年10月1日から翌年9月30日の間」に手続きを行う必要がある。
たとえば、2025年からNISA口座を変更したい場合、2024年10月1日以降に変更手続きを行う仕組みだ。
また、2024年内に新しい金融機関へ変更したい場合は、2024年9月30日までに変更手続きを行わなければならない。
10月1日以降になると、NISA口座が変更されるのが2025年となるため注意しよう。
なお、その際は、年内に非課税枠を利用していないことが条件となる。
すでに年内に非課税枠を利用している場合は翌年からの変更となり、その年にNISA口座を変更することはできない。
変更手続き | 年内の非課税枠の利用 | 変更手続きの可否 | NISAが変更される年 |
---|---|---|---|
1月1日~9月末 | あり | ✕ | – |
なし | ◯ | 当年 | |
10月1日~12月末 | あり | ◯ | 翌年 |
なし | ◯ | 翌年 |
新NISAで口座開設をする際の金融機関の選び方
NISA口座は証券会社や銀行、信用金庫など多くの金融機関で開設できる。
そのため、「どの金融機関を利用したらいいか分からない」と悩むことも少なくない。
NISA口座を開設する金融機関を選ぶ際は、下記の6つのポイントを比較したい。
- 取扱商品のラインナップ
- 手数料の水準
- 入出金の利便性
- 最低積立金額
- クレカ積立の有無
- サポートセンターの利便性
それぞれくわしく解説していこう。
取扱商品のラインナップ
新NISAでは、つみたて投資枠で投資信託、成長投資枠で上場株式・投資信託が投資対象となっている。
投資信託はそれぞれ対象商品が定められているが、金融機関によってどのファンドを購入できるかが異なる。
より多くの選択肢の中から投資先を選びたい場合は、なるべく投資信託の取扱本数が多い金融機関を選ぼう。
また、NISA対象商品以外のラインナップにも注目したい。
たとえば、「iDeCoにも興味がある」という場合は、iDeCoも取り扱っている金融機関を選ぶことで、ワンストップで資産を管理できるメリットがある。
どのような金融商品を取り扱っているかは金融機関によって異なるため、よく自分の投資意向と照らし合わせたうえで金融機関を選ぶようにしよう。
手数料の水準
手数料も重視したいポイントだ。
たとえば、新NISAで上場株式を購入する場合、金融機関によって売買手数料が異なる。
売買手数料は1回あたりのコストは安価でも、取引回数が重なれば大きなコスト負担となる。
なるべく効率よく利益を得るためには、取引にかかるコストを抑えることを意識したい。
中にはNISA口座での売買は手数料が優遇されるところもあるため、複数の金融機関を比較することが大切だ。
なお、つみたて投資枠では購入手数料が無料(ノーロード)の投資信託が対象となっているため、どの金融機関を利用しても手数料に差はない。
入出金の利便性
金融機関では、入出金の利便性にも注目したい。
投資資金を入金する際の入金方法は、銀行振込やオンラインでの入金、コンビニ入金などさまざまだ。
「今すぐ購入したい」というときにすぐ対応するためには、利便性が高い入金方法があることが望ましい。
また、出金についても同様だ。出金の反映が遅かったり、出金手続きの方法が限られていると、必要なときに資金をすぐに引き出せない可能性がある。
自由に資金を出入りさせるためには、入出金の利便性が高い金融機関を利用したい。
加えて、入出金手数料にも注意が必要だ。
入出金手数料がかかる金融機関では、入出金の都度コストが発生してしまうため、せっかく運用益がでても利幅を狭めてしまう要因となる。
効率よく利益を得るためには、なるべく安価に入出金できる金融機関を選ぶようにしよう。
最低積立金額
積立投資を利用するときは、最低積立金額も大切なポイントだ。
積立投資の最低積立金額は金融機関によって異なっており、ワンコインで始められるところもあれば、数千円のところもあるなどさまざまだ。
より手軽に始めるためには、最低積立金額が小さい金融機関を選ぶとよいだろう。
また、最低積立金額が小さい金融機関は、複数のファンドを購入しやすいメリットがある。
たとえば、月100円から積立投資ができる金融機関では、毎月5,000円の積立でも複数のファンドに分散投資ができる。
「少額投資から始めたい」、「色々なファンドを買ってみたい」という人は、最低積立金額を重視して金融機関を選んでみよう。
クレカ積立の有無
積立投資では、クレカ積立の有無にも注目したい。
クレカ積立とは、積立投資の投資資金をクレジットカードで決済するサービスだ。
クレカ積立では、決済金額に応じてクレジットカードのポイントが貯まるため、資産運用を行いながらポイントを貯められるメリットがある。
クレカ積立の有無や、対応しているクレジットカードの種類は金融機関によって異なるため、複数の金融機関のサービスを比較してみよう。
サポートセンターの利便性
投資経験が浅い人は、サポートセンターの内容も大切なポイントだ。
たとえば、電話のサポートがつながりにくい金融機関では、疑問点や不明点をすぐに尋ねることができない。
特に株式投資の場合は、疑問点をすぐに解決できないことで、取引のチャンスを逃してしまうこともあるかもしれない。
安心して取引を行うためには、サポートセンターの充実度も調べておくとよいだろう。
金融機関変更などの新NISAに関する相談先はどこが良い?
新NISAへと制度改正され、非課税期間の無期限化や非課税枠の拡大など多くの変更点が生じた。
それに伴い、「どうやって非課税枠を活用しよう」と悩んでいる人も多いかもしれない。
新NISAの活用方法に悩んだら、金融のプロであるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)へ相談することがおすすめだ。
ここからは、IFAへ相談するメリットと、相談先の探し方について紹介していこう。
新NISAの相談はIFAへ
これまで資産運用の相談先というと、証券会社や銀行などの金融機関が一般的だったが、近年IFAが新たな相談先として注目を集めている。
IFAとは「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれる金融アドバイザーで、特定の金融機関に所属していないことが特徴だ。
金融機関から切り離された存在であるため、顧客目線のアドバイスをくれるメリットがある。
顧客の意向をしっかりとヒアリングしたうえで、その人の意向に合った金融商品を提案してくれるので、投資経験が浅い人でも安心して資産運用に取り組むことができる。
また、IFAは金融商品の販売だけでなく、ライフプラン形成のサポートや、家計の収支の見直し、保険の見直しなど幅広い相談に対応している。
お金のことをワンストップで相談できるため、これから長く資産運用に取り組むうえで心強い相談先になるはずだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用がおすすめ
ひとくちにIFAといっても、得意とする分野やメインの顧客層などに違いがある。
自分の投資意向に合ったIFAを見つけるためには、IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用が便利だ。
「資産運用ナビ」では、簡単な質問項目に答えるだけで、自分の投資意向や投資経験、資産の状況に合ったIFAを紹介してもらえる。
面談前にはIFAの経歴や得意分野を確認できるので、安心して面談を行えるメリットがある。
検索サービスは無料で利用できるので、ぜひ気軽に活用してみよう。
新NISAで金融機関変更をするなら最適な手順で進めよう
新NISAでは非課税期間や非課税枠が拡充され、より幅広い資産運用に活用できるようになった。
非課税制度を使いこなすためには、自分の投資意向に合った金融機関に変更するのもひとつの方法だ。
変更手続きは決められたタイミングで行う必要があるため、本記事で紹介した方法を参考に手続きを進めよう。
また、新NISAの活用方法に悩んだら、金融のプロであるIFAへ相談することもおすすめだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用して、自分の投資意向に合う相談先を探してみよう。