- 勤続3年での退職金の相場はいくらか知りたい
- 退職金を受け取るための条件とタイミングが知りたい
- 退職金手取り額の計算方法を理解したい
勤続3年を目安にキャリアアップのための転職を検討するという方は多いのではないだろうか。
また、退職金の受け取り条件を「勤続3年以上」と設定している企業も多数ある。
では、一体勤続3年で受け取ることができる退職金はどのくらいの金額になるのだろう。
そこでこの記事では、勤続3年での退職金の相場、受け取り条件、および手取り額の計算方法までを網羅的に解説する。
これを読めば、退職金に関する理解が深まり、あなたのキャリア設計にも役立てることができるはずだ。
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勤続3年の退職金の相場とは
自身のキャリアアップを考え、勤続3年前後で転職を検討している方も多いはずだ。
3年間勤めた会社で支給される退職金の相場はどの程度なのだろうか。
ここでは、退職金制度の種類や勤続3年の退職金相場、業界や企業規模による違いについて解説していく。
退職金制度の種類
退職金制度は大きく以下の4種類に分けられる。
- 退職一時金制度
- 確定給付企業年金制度
- 企業型確定拠出年金制度
- 中小企業退職金共済
それぞれの特徴を簡単に把握しておこう。
退職一時金制度
退職一時金制度は、従業員が退職するときに一括で退職金が支給される制度のことを指す。
支給額は、勤続年数や役職、企業への貢献度などを考慮した計算基準を元に決定される。
この時の基準は、企業が自由に決めることが可能であり、企業にとって有利な制度になっていると言える。
確定給付企業年金制度
確定給付企業年金制度は、従業員の退職後一定期間にわたって分割または一括で退職金が支給される制度だ。
会社が掛金の拠出を行い、金融機関で管理・運用しながら退職金の準備を行う。
あらかじめ約束した「予定利率」をもとに運用され、決まった支給額を受け取ることができる点が特徴だ。
企業型確定拠出年金
企業型確定拠出年金は、従業員が自ら運用方法を選んで年金を運用する制度である。
元手となる掛金の拠出は企業が行うものの、従業員自身が責任を持って運用を行う。
成果によって支給額が変動する点が大きな特徴だ。
中小企業退職金共済
中小企業退職金共済(中退共)は、退職金制度の準備が難しい中小企業のために設けられた退職金制度だ。
共済に対して企業が掛金を支払い、退職後に共済から従業員に対して退職金が支払われる。
勤続3年の退職金相場
転職を検討している方は「とりあえず3年勤めてから考えるべき」という意見を耳にしたことがあるかもしれない。
一定のスキルを身に付けていることのアピールとなったり、「忍耐力がない」と判断されにくくなったりする目安の年数であるため、3年は勤めるべきと言われている。
それでは、3年間勤めた会社を辞めて転職する場合、どの程度の退職金が支給されるのだろうか。
厚生労働省中央委員会の調査では、職種・学齢・産業で区分した「モデル退職金」を公表している。
モデル退職金は、「学校を卒業してから直ちに入社し、標準的な早さで昇進した」という条件に該当する者の退職金を指す。
調査によると、勤続年数3年のモデル退職金は以下の通りだった。
事務・技術(総合職)・大学卒 | 690千円 |
---|---|
事務・技術(総合職)・高校卒 | 522千円 |
生産・高校卒 | 549千円 |
企業によって支給額は当然異なるが、勤続3年の場合は50〜70万円程度が相場となる。
転職先で給与が支払われるまでの生活費などは十分にカバーできる金額と言える。
退職金の計算基準
退職金制度は法律で定められているものではないため、企業によって計算基準は異なる。
ただ、一般的には以下の4種類の方法で計算されることが多い。
定額制 | 勤続年数に応じて決められた定額の退職金が支給される方法 |
---|---|
基本給連動型 | 退職時の基本給と勤続年数に応じた係数を掛けて金額を求める方法 |
ポイント制 | 基本給・勤続年数・役職・退職理由などをポイントに換算し、ポイント数によって金額を求める方法 |
別テーブル制 | 給与テーブルとは別で作成した退職金を計算するテーブルをもとに金額を求める方法 勤続年数に応じた基準額に役職・退職理由などを掛け合わせたテーブルが用いられることが多い |
いずれのケースにおいても勤続年数が大きなポイントとなる。
少しでも多くの退職金を受け取りたいのであれば、転職する時期を遅らせることも検討した方が良い。
また、退職金は業界や企業規模によっても支給額が異なる。金融や商社などのベースとなる給与が高い業界は支給額が多く、中小企業よりも大企業の方が一般的には支給額が多い。
勤続3年で退職金を受け取る方必見!受け取り条件とタイミング
勤続3年の退職金相場を目安として把握したところで、退職金を受け取る条件や時期についても確認しておく必要がある。
特に、転職を検討している場合は「自分が受け取り条件を満たしているのか」「いつ退職金が支給されるのか」という点が非常に気になるところになるはずだ。
ここでは、退職金受給の条件としての勤続年数や一般的な支給時期、退職理由による支給額への影響などを解説していく。
勤続年数と退職金の関連性
繰り返しとなるが、退職金制度は法律で定められた制度ではない。
そのため、受給資格も各企業が独自に設けている。
1年以内に退職しても退職金が支給される企業もあれば、一定年数以上勤めていないと支給されない企業もあるのだ。
中央労働委員会の調査では、退職一時金の受給に必要な最低勤続期間の調査を行っている。
以下の表は、会社都合・自己都合のそれぞれで退職金受給資格が付与されるまでの最低勤続年数について調査対象企業(146社)の回答結果をまとめたものだ。
年数 | 会社都合(定年を含む) | 自己都合 |
---|---|---|
1年未満 | 81社 | 11社 |
1年以上2年未満 | 43社 | 35社 |
2年以上3年未満 | 6社 | 22社 |
3年以上 | 16社 | 74社 |
会社都合退職の場合は1年未満でも支給される企業が過半数であるのに対し、自己都合退職の場合は3年以上で支給される企業が半数を超えている。
上記結果から、自己都合退職の方が受給資格を厳しく設定している企業が多いことが分かる。
各種ハラスメントが原因の退職などを除き、基本的には転職は自己都合退職となる。
転職をする際は、3年以上勤めていないと退職金が支給されない企業が多いことを頭に入れておこう。
退職金支給の一般的な時期
転職の時期によっては新たな勤務先で給与が振り込まれるまで、しばらく無収入になってしまう可能性がある。
給与振り込みまでのつなぎとして、退職金を当てにしている方も多いのではないか。
一般的に、退職金は退職日から1〜2ヶ月程度で支給される企業が多い。
退職金の支給時期についても企業によって差はあるため、就業規則の退職金規程を確認して支払われる時期を把握しておこう。
なお、就業規則に定められた時期を過ぎても支給されない場合、支払いを請求する権利がある。
トラブルを避けるためにも弁護士などを間に挟み、未払いの退職金を請求しよう。
退職の理由と支給額への影響
先ほど退職理由(会社都合・自己都合)によって受給資格が異なることを解説したが、支給額にはどういった影響があるのだろうか。
以下の表は、中央労働委員会の調査で発表された退職事由ごとの平均退職金額について、いくつかの業種を抜粋してまとめたものだ。
ちなみに、「調査産業計」とは、集計事業者数が少ないために結果を公表していない産業を含めた集計結果を出す。
つまり、「その他」と思ってもらえると分かりやすい。
業種 | 定年(単位:千円) | 会社都合(単位:千円) | 自己都合(単位:千円) |
---|---|---|---|
調査産業計 | 18,729 | 11,972 | 4,473 |
製造業 | 19,005 | 11,228 | 5,282 |
建設 | 20,977 | 19,960 | 1,869 |
銀行・保険 | 8,788 | 14,410 | 1,189 |
私鉄・バス | 19,374 | 10,168 | 5,737 |
商事 | 20,528 | 25,203 | 10,355 |
いずれの業種であっても、自己都合による退職が最も少ない支給額となっている。
自己都合退職は早期退職が多いため、単純に勤続年数の短さによって支給額が少なくなっている可能性も考慮する必要はある。
ただ、それにしても会社都合に比べて支給額はかなり少ない。
先ほど少し触れたが、各種ハラスメントが原因の退職は自己都合ではなく会社都合となるケースが多い。
上司や同僚からのハラスメントが原因で転職を検討している場合、会社に客観的な事実を正確に伝えて会社都合で処理してもらうことが重要となる。
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勤続3年で退職金を受け取る際に知っておきたい手取り額の計算方法
勤続3年の場合の退職金相場などを解説してきたが、注意すべきなのは額面金額がそのまま受給できるわけではない点だ。
退職金にも当然税金は発生するため、税金が引かれた上での金額が支給されることを頭に入れておく必要がある。
ここでは、退職金にかかる税金の種類や退職所得控除の内容、手取り額の計算方法について解説していく。
退職金にかかる税金の種類
退職金にかかる税金は所得税・復興特別所得税・住民税である。
いずれも退職所得に所定の税率を掛けることで税額を導き出す仕組みだ。
所得税とは、1月1日〜12月31日までの所得に対して課される税金を指す。
所得が多いほど税率が高くなる「累進課税」の仕組みを採用しており、支給される退職金額が大きくなると税負担も大きくなる。
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興費用に充てるために徴収される税金のことだ。
2037年までの徴収が予定されており、所得税額の2.1%相当額が課される。
所得税額が増えるほど税額が大きくなるため、所得税同様に退職金額が大きくなると税負担が重くなる。
住民税とは、居住する都道府県・市区町村に対して納める税金だ。
所得税とは違って税率が一律で定められており、所得が増えても税率が変わることはない。
こうした税金の仕組みを正しく理解し、どの程度の金額が受給できるのかを把握しておこう。
退職所得控除とは
退職金は通常の税金の計算方法で税額を求めると、過剰に負担が大きくなってしまう。
所得税や住民税は1年間の所得に対して課されるため、一度にまとまった金額が支給される退職金はどうしても税額が大きくなるのだ。
しかし、一括で退職金を受給する場合、税金面での優遇措置として「退職所得控除」の適用が受けられる。
多額の控除が適用されることで、過剰に税負担が大きくならないように配慮されているのだ。
退職所得控除は以下のように計算される。
- 勤続年数20年以下
- 40万円×勤続年数
- 勤続年数20年超
- 800万円+70万円×(勤続年数-20年)
仮に新卒から勤めた会社を3年で退職すると仮定した場合、控除は「40万円×3年=120万円」となる。
前述の通り、勤続年数3年の退職金相場は50〜70万円程度であるため、控除によって税金がかからないケースが多いと考えられる。
退職金手取り額の相場を知りたい!具体的な計算例を紹介
次に、具体的な退職金手取り額の計算方法について解説していく。
ここでは計算方法を分かりやすく解説するために、相場よりも多くの金額が支給された以下のようなケースにおける計算方法を解説する。
- 勤続年数3年
- 退職金支給額150万円
まず「(退職金-退職所得控除)×1/2」の計算式で退職所得を求める。
今回のケースでは「(150万円-120万円)×1/2=15万円」が退職所得だ。
次に、各税目の税率を掛けて税額を求める。以下の表は所得税の税率をまとめたものだ。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円〜329万9,000円まで | 10% | 97,500円 |
330万円〜694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円〜899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円〜1799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1800万円〜3999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
所得が15万円の場合は税率が5%であるため「15万円×5%=7,500円」が所得税額となる。
復興特別所得税は所得税額の2.1%であるため「7,500円×2.1%=157円」となる。
そして、住民税は一律10%の税率なので「15万円×10%=15,000円」が税額だ。
合わせると「7,500円+157円+15,000円=22,657円」が引かれる税金となり、手取り額は「150万円-22,657円=147万7,343円」となる。
勤続3年で退職金を受け取ったらどう活用するべき?
ここまで勤続3年の退職金相場などを解説してきたが、受け取った退職金は実際どのように活用すべきなのだろうか。
特に、転職時に支給される退職金は定年退職に伴う支給とは違って老後の生活に用いられるものではない。
そのため、活用方法に悩んでいる方も多いはずだ。
ここでは、受け取った退職金の役割や資産運用に活用するメリット、退職金運用における専門家への相談について解説していく。
退職後のライフプランと退職金の役割
退職金の活用方法を考える際、今後のライフプランをどのように思い描いているのかを明確にすることが重要となる。
ある程度まとまった金額が支給される退職金は、ライフプランの実現にとって大きな役割を果たすことになるからだ。
例えば新卒から3年程度での退職・転職の場合、近いうちに結婚をしたり、子どもが生まれる等大きなライフイベントを控えているケースが多い。
結婚や出産・育児にはまとまった費用が必要となるため、退職金をその一部と考えておくのもひとつの手だ。
また、将来的にマイホームの購入を予定している場合、購入資金の一部に充てるという考え方もある。
住宅ローンを組むとは言っても諸費用がかかるため、資金を用意しておく必要があるだろう。
このように、今後予定しているライフプランに備えて退職金を活用することをおすすめする。
退職金を資産運用に活用するメリット
ライフイベントに備えて退職金を活用するとはいっても、銀行の普通預金に置いておくだけでは資産は増えない。
退職金は資産運用を活用し、資産の増加を目指していくことをおすすめする。
退職金を資産運用に活用するメリットとして以下の2点が挙げられる。
- 資産を効率的に増やせる
- インフレのリスクに対応できる
低金利が続く現在の日本において、銀行に資産を預けていてもほとんど増えることはない。
ただ、投資なども活用しながら資産を運用することでリターンを得られる可能性があり、効率的に資産を増やせるチャンスが得られる。
ライフイベントに向けて効率良く資産を準備できる点が退職金を運用するメリットのひとつだ。
また、インフレによる物価上昇のリスクに備えられる点もメリットとして挙げられる。
今後継続的なインフレによって物価が上昇し続けた場合、結婚や出産・育児、マイホームの取得にかかる費用の負担も大きくなる可能性がある。
しかし、退職金を運用して資産を増やすことができれば、物価の上昇スピードに追いつくことが可能だ。
このように退職金の運用は資産を効率良く増やせるだけでなく、インフレのリスクヘッジにもなる。
支給された退職金の使い道に悩んでいる方は、資産運用に活用することを検討してみよう。
退職金運用は誰に相談するべきか
退職金の運用を行う際、資産運用の専門家に相談することをおすすめする。
なぜなら、資産運用の専門家は豊富な知識・経験をもとに「あなたに最適な戦略の提案」を行えるためだ。
退職金の運用は、退職後の人生プランや支給された退職金の額、資産状況によって適切な戦略が異なる。
つまり、自分にとって最適な戦略を模索しながら資産を運用しなければならないということだ。
近年、SNSやインターネットでも気軽に資産運用の情報を得られるようになった。
情報収集がしやすい一方でさまざまな情報が飛び交っていることから、自分に合った情報の選択が難しいのも現実だ。
また、自分で集めた情報が「一般的には適切」である運用戦略だったとしても、必ずしも自分の資産状況に合うとは限らない。
年齢や資産額、ライフプラン、家族構成などによって取るべき運用戦略が異なるためだ。
しかし資産運用の専門家に直接相談をすることで、ニーズに合致した最適な戦略の提案を受けられる。
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- 経歴や実績
- 抱える顧客の属性
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「アドバイザーとしてどの程度活動しているのか」「金融に関する業種をどれくらい経験しているのか」という点を確かめておくことが大切だ。
例えば銀行・証券会社に10年以上勤務し、アドバイザーとしても数多くの顧客を抱えているアドバイザーは信頼して相談できる可能性が高い。
一方、金融とは関係のない業種に長く在籍していて、アドバイザーになったばかりというケースは不安要素が多い。
過去の経歴・実績などをチェックし、退職金を任せられるかどうかを判断しよう。
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勤続3年の退職金相場は60万円前後!退職金は賢く管理しよう
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