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オルタナティブ投資 〜仕組債 〜

オルタナティブ投資とは言葉の通り、株や債券といった伝統的な金融商品の代替(オルタナティブ)となる金融商品で、代表的なものとしてヘッジファンド、仕組債、REIT(リート)、コモディティなどが挙げられます。伝統的な金融商品と比較して情報公開が少なかったり、仕組みが複雑だったりする傾向があり、危険で手の出しにくい分野と思われている方もいるのではないでしょうか。

しかし、オルタナティブ投資はもともとリスクを下げることが目的で始まっています。

例えば1949年に誕生した最初のヘッジファンドは、ロング(買い)とショート(売り)のポジションを両方取ることで、相場に左右されるリスクを回避することが目的でした。

金融商品である以上リスクがあることは確かですが、リスクを理解し、自分の投資哲学に合った商品を見つけることができれば、オルタナティブは分散投資に適した魅力的な投資手段です。今回の記事ではオルタナティブ投資の魅力と、仕組債を例にした注意点の解説をします。

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目次

オルタナティブ投資の魅力

オルタナティブ投資には2つの魅力があります。1つ目はポートフォリオ全体がきれいになり、全体のリスクの軽減に貢献するということです。伝統的な株式や債券への投資では、リーマンショックのように市場全体が下落するタイミングで大きな損失が出てしまいます。しかし、オルタナティブ投資ではロングショート戦略などを通して市場の下落局面でも利益を得られるため、リスクを分散できます。

2つ目はポートフォリオのリスク・リターンを改善するということです。

例えば伝統的な株式であれば、高いリターンを期待できますが、同時にリスク(変動幅)も相応のものとなります。ポートフォリオを組む際の主な理由はリスクを抑えつつリターンを追求することですから、リスクと比較して高いリターンを得られる商品は理想のポートフォリオの構築に大きく貢献してくれます。オルタナティブ投資の中でも特にヘッジファンドは、リスクあたりのリターンを測るシャープレシオを指標としているものも多く、伝統的な投資手法以上のリスク・リターンを期待できます。

このようにオルタナティブ投資は、適切に選択することができれば、分散投資でリスクを軽減し、リスク・リターンの改善にも貢献する非常に魅力的な手段です。

しかし、一言でオルタナティブといっても玉石混交です。例えば、最近は仕組債のリスクが問題視されるようになって、金融機関の中には個人向けの取り扱いをやめるところが出てきています。ここからは最近話題となっている仕組債の注意点について解説します。

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オルタナティブ投資の注意点(仕組債)

仕組債とは債券にスワップやオプション等のデリバティブ(金融派生商品)を加えて作られる商品のことです。株式指数が一定の水準になることでリターンがもらえる株式指数リンク債や、他社株転換社債(EB債)、クレジットリンク債などが知られています。

仕組債の特長は、参照している株価や企業の財務が現状より多少悪化しても損害を被らず高いリターンを受け取ることができる代わりに、一定の決められた条件を満たしてしまうと大きな損害が発生する点にあります。ですので、仕組債への投資ではいかに損失の条件を回避できるかが重要となります。

オルタナティブ投資 – 仕組債 – 資産運用ナビコラム
株式会社アリスタゴラ・アドバイザーズにて作成

仕組債には2つの隠れたリスクがあります。1つ目は再投資のリスクです。

仕組債の一部にはノックアウト価格という、この基準を超えると早期償還されるという価格が設定されています。早期償還自体はリターンが得られるので良いことですが、早期償還でリターンが得られたから同じ商品に再投資を続けるというような行為には大きなリスクがあります。

というのも、例えば株式が上昇すればリターンが得られ、下落すれば損となる様なEB債の場合、株価の上昇によって早期償還となります。

一方で、株価の上昇に伴って損をする株価の基準価格も上がっているため、損をするリスクが高くなっています。このように早期償還の際にはリスクが高まりますが、このことがわからずに再投資を繰り返してしまうと、基準価格を下回り大きな損失に繋がります。

2つ目の隠れたリスクは、見えないコストです。金融機関は仕組債を作成するにあたってデリバティブの取引を行います。EB債を例にとると、金融機関はEB債の組成にあたって、プットオプションの販売を行い、オプションの対価を受け取ります。

このオプション料が仕組債のリターンの原資になるのですが、オプション料が15%としたときに、仕組債のリターンをそれより低い7%設定することで、金融機関は実質的に9%の手数料を得ることができます。

このように中抜きされた手数料は仕組債の手数料として表に出されないもので、隠れたコストになります。

オルタナティブ投資 – 仕組債 – 資産運用ナビコラム
株式会社アリスタゴラ・アドバイザーズにて作成

上記の理由で実際に損失を出した顧客とトラブルになるケースが後を絶たず、仕組債の個人向け販売を停止する銀行や証券会社が相次いでいます。

しかし、すべての仕組債が悪いかというとそういうわけではありません。金融庁の屋敷審議官は日経のインタビューに対して、金融庁に寄せられる仕組債に関する苦情が極めて多い銀行と少ない銀行で二極化していると話しています。

利益のために大きく鞘抜きをして個人投資家にリスクを負わせるような仕組債もあれば、そうではない仕組債もあります。また、仕組債に限らずオルタナティブは複雑ですが、リスクを理解し適切に選ぶことができれば魅力的な商品です。

では仕組債のリスクはどのように見分けることができるでしょうか。

1つはノックインが発生するリスクをしっかり確かめるということです。EB債やクレジットリンク債など、ほとんどの仕組債は契約に定められた条件が発生すると、大きな損失が出るような設計になっています。期間が長くなるほど期間中にイベント発生するリスクは高まり、現在の株価や財務と比較して現状どれだけ余裕があるのか、過去にどの程度の変動幅があったのか等を調べることである程度リスクは推測できるでしょう。

また、自分だけではわからなければ、証券会社や銀行の担当者にノックインのリスクについて納得できるまで質問してみることで営業をする人自身がリスクを把握しているか確かめるのも有効です。

今回は仕組債の注意点を紹介しましたが、仕組みが複雑だったり開示されている情報が少なかったりする、他のオルタナティブでも同様です。一般に、リスクの説明をしない人は信用できません。営業する人自身がメリットではなくリスクをきちんと説明できるかは、商品のリスクを確かめるよい手段です。

まとめ

今回はオルタナティブの魅力と仕組債を例に挙げて、オルタナティブのリスクについて解説しました。オルタナティブは伝統的な金融商品と比較して複雑でわかりにくい面はありますが、正しく選ぶことができればポートフォリオに大きく貢献してくれる魅力的な商品です。

ご自身の投資方針に合致した投資を行うためにも、ご自身でリスクを理解されるのが一番ではありますが、商品知識の勉強に時間やリソースを割ける方ばかりではないでしょう。

そういった方は信頼できるIFAや運用会社などの専門家からアドバイスを受けるというのも選択肢としてあります。専門家からアドバイスを受けることで、複雑な仕組みでも、リスクに見合わないようなオルタナティブを避けることができます。

現在、「資産運用ナビ」では以下のボタンから無料相談を実施している。悩みがある際にはぜひ相談してみてほしい。

執筆者

アリスタゴラ・アドバイザーズは、独立系の運用会社です。
グローバルな投資銀行の進んだ商品開発力やリスク管理手法を活かして、それぞれのお客様に合わせたテーラーメイド(伝統的プライベートバンクモデル)の運用を行っています。

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