- 余剰資金を活用して投資を始めたい
- 投資のメリットが知りたい
- 投資に使う資金を分類する方法が知りたい
投資は「余剰資金で行うべき」と言われる。では、具体的にどのようにして余剰資金を計算し、投資に充てるべきだろうか?
本記事では、余剰資金の計算方法から、貯蓄と投資のバランス、さらには投資を始める際の基本的なステップや注意点まで詳しく解説する。
投資初心者も安心して一歩を踏み出していただける内容としたので、最後までお読みいただきたい。
投資に回す余剰資金はどのように割り出すべきか
まずは、余剰資金とはどのようなお金で、どうやって計算するべきかを見ていこう。
「余剰資金」とは何か
余剰資金とは、必要な資金を差し引いたあとに残る資金のことだ。
一般的には「余裕資金」も、ほぼ同じ意味で使われている。
投資に充てる資金を考える際の余剰資金は、二つの側面から考えると良い。
- ストック概念による余剰資金
- フロー概念による余剰資金
ストック概念による余剰資金とは、「ある一時点で見た時に、必要な資金を超えて残っている資金」のことだ。
たとえば、「いまの貯蓄からいくらを投資に回そうか」と考える場合に割り出すべき金額である。
一方、フロー概念による余剰資金とは、一定期間(通常は1か月または1年)の収入と支出の差額として算出される余剰資金だ。
「収入のうちどのくらいを投資に回そうか」と考える場合に、割り出す必要がある。
自分の資金を3つに分類する
余剰資金を割り出すのは、それほど難しくはない。ストックもフローも、資金を3つに分類して導き出す。
ストック概念による余剰資金を割り出す
ストック概念による余剰資金は、金融資産から「生活資金」と「準備資金」を差し引いた残りとして計算する。
- 生活資金
- 生計を維持するために必要な資金
- 準備資金
- 数年後に使う予定のある資金
- 余剰資金
- 当面使う必要がない、自由に使える資金
生活資金
生活資金は、日常的な支出(家賃、食費、光熱費など)に、緊急資金(失業、病気など)を加えたものだ。
普通預金口座などに預け、手数料や税金の負担なしに利用できる状態にしておこう。
緊急用の資金は一般的に「生活費3〜6ヶ月分に相当する額」を目安とするが、収入・費用、扶養家族や住居の状況によって調整が必要である。
準備資金
準備資金は、近い将来に使うことが決まっているお金のことだ。
たとえば、進学のための学資金や住宅購入の頭金、大きな旅行や事業を始めるための資金などを含む。
定期預金や個人向け国債、学資保険など、元本の安全性が確保されている金融商品を利用することが望ましい。
余剰資金
金融資産の合計額から、生活資金と準備資金を差し引いて残った金額が、ストック概念による余剰資金である。
たとえば、金融資産が1,000万円、生活資金が300万円、準備資金が300万円の場合、余剰資金は400万円となる。
フロー概念による余剰資金を割り出す
フロー概念から余剰資金を割り出すには、「50/30/20ルール」として知られる方法が有効だ。
50/30/20ルールは、毎月の税引き後収入を3つの支出カテゴリーに分ける予算管理法である。
- 収入の50%
- ニーズ(生活に必要な費用)
- 収入の30%
- ウォンツ(生活を豊かにする費用)
- 収入の20%
- 貯蓄等
この考え方に基づけば、収入の20%が「貯蓄や借金返済、そして投資に充てる資金」となる。
ニーズにもっと必要な人や、より積極的に投資したい人は、ウォンツの部分で調整する。
金融資産における投資の割合はどうすべき?
ここまでは、「あなたの現在の資金状況」から投資に充てる金額を考えてきた。
ここでは、「金融資産のうちどの程度を投資に振り向けるべきか」という「理想ベース」で投資割合を考えていく。
まず、日本人の平均的な姿を確認していこう。単身世帯と二人以上世帯に分けたデータによれば、株式と投資信託が占める割合は、おおむね30%から35%程度である。
単身世帯 | 二人以上世帯 | |
---|---|---|
金融資産保有額 | 1,492万円 | 1,758万円 |
預貯金 | 647万円(43.4%) | 758万円(43.1%) |
保険・年金・債券 | 271万円(18.2%) | 420万円(23.9%) |
株式、投資信託 | 525万円(35.2%) | 501万円(27.5%) |
その他 | 49万円(3.2%) | 79万円(4.5%) |
年代や家計の状況により異なるため一概には言えないが、資産の30%程度を投資に回しているなら、「日本人として平均的」と言える。
しかし、今後資産拡大を目指すのであればこの割合だと少し保守的すぎるかもしれない。
金融資産の配分は、期待リターンとリスク許容度から、投資家それぞれに割り出すことが望ましい。
ここでは全国銀行協会の「リスク許容度診断テスト」を使って、金融資産全体の資産配分をシミュレーションしてみる。
例:40歳未満の既婚者の資産配分
資産クラス | 積極運用タイプ | バランス運用タイプ | 安全重視タイプ |
---|---|---|---|
安全資産 (預金・国債等) | 30% | 40% | 60% |
流動性資産 (現金、短期国債) | 10% | 20% | 30% |
収益資産 (株式、債券、投資信託、REIT等) | 60% | 40% | 10% |
たとえばあなたが【積極運用タイプ】なのに、株式・投資信託の割合が30%程度なら、資産を遊ばせている可能性がある。
【安全重視】なら、今後はリスク資産への投資を控えても良いのかもしれない。
最適な資産配分とポートフォリオは、あくまでも個人に紐づくものだ。
ここで紹介した統計やシミュレーションを出発点として、投資経験を積むなかでより洗練させていって欲しい。
余剰資金での投資の始め方
ここまでで、「余剰資金」の概念について理解した。
ここからは実際に、この資金を使っておすすめの運用方法など、どのように投資をするかについて考えていこう。
投資目標を明らかにし投資金額を決める
まずは、投資目標を明らかにしたうえで、資産や家計収支を確認して投資に回す金額を計算しよう。
以下のステップで行う。
- 何のために投資をするのか明確な目標を設定する(将来に向けた資産形成、子どもの教育資金、家の購入など)
- 財政状況を把握し「余剰資金」を計算する
- 余剰資金のうちのいくら投資するかを決める
まだ緊急資金を確保できていないなら、余剰資金の大半は緊急時の資金の準備に回すべきである。
高い利息の借入金や、カードローンなどがある場合は、その返済を検討すべきかもしれない。
ただし、良い条件で得た借入金まで返済する必要はない。どのように判断すべきかは、個別の状況によって異なるため、専門家に相談していただきたい。
残りがいわゆる「投資」に振り向ける額となる。
資産配分を決め、投資商品を選ぶ
次に、資金をどのような資産にどのくらいの割合で配分するか決め、具体的な商品・銘柄を選ぼう。
投資の種類と特徴
資産配分を考える前に、資産クラスごとの投資の特徴を確認しておこう。
以下の投資対象は、地域によっても分類できる(たとえば国内、外国株、米国株など)。これらの一つ、または二つ以上を組み合わせて、配分を決める。
分類 | どのような投資方法か? | どのような特徴があるか? |
---|---|---|
債券投資 | 国や企業が発行する債券を購入し、利息と償還金を受け取る投資方法 | 発行体の信用力に応じてリスクとリターンが変動する 安定的なインカムゲインを求める投資家、中長期的な資金運用を目的とする投資家に向いている |
株式投資 | 企業の株式を購入し、株価の上昇や配当金によって収益を得る投資方法 | 株価変動のリスクが高い一方、高いリターンが期待できる高い リターンを求める投資家、長期的な資産形成を目的とする投資家に向いている |
投資信託 | 投資信託の運用成果に応じて、基準価額の上昇による売却益と分配金により収益を得る投資方法 | 投資対象や運用方針によってリスクとリターンが異なる 投資の専門知識がない投資家、分散投資を求める投資家に適している |
REIT (リート、不動産投資信託) | 不動産を保有・管理する信託に投資し、賃料収入や不動産売却益から収益を得る投資方法。 | 不動産市場の動向に影響を受けるが、比較的安定したインカムゲインが期待できる 不動産投資に興味がある投資家、インカムゲインを求める投資家に向いている |
商品投資 | 金、原油、農産物などの実物資産に投資する方法。 | 市場変動が大きく、リスクは高いが、インフレヘッジとして有効リスクを理解し、インフレ対策やポートフォリオの多様化を求める投資家に適している |
リスク許容度を把握し、資産配分を決める
次に、資産配分を決定する。決め方は、資産運用の目標(老後への備え、住宅購入準備など)や許容できるリスクにより、さまざまである。
資産配分の決定は非常に重要であるが、ここで力を使い果たしては元も子もない。
そこで簡易的な方法を二つ提案する。ひとつは、Webで利用できるシミュレーションの活用だ。
もうひとつは、プロの資産配分を参考にする方法である。保守的な運用を目指すなら年金基金などを参考にすると良い。
商品を選び、ポートフォリオをつくる
資産配分を決めたら、それに基づき実際に商品を選んで組み入れていく。
この時、対象資産クラスのなかでも、特性が異なることには注意していただきたい。
ひとことで「株式」と言っても、地域やセクターによってもリスクやリターンのレベルは異なるからだ。
最後に、資産配分とポートフォリオの関係性をまとめておく。
資産配分とポートフォリオの関係
資産配分 | ポートフォリオ |
---|---|
株式 (60%) | 日経225連動ファンド 国内A株式 国内B株式 全世界株式(除く日本)ファンド 新興国株式インデックスファンド |
債券 (40%) | ノーロード先進国債券ファンド 新興国債券インデックスファンド |
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実際に投資を行う前には、証券会社の口座開設が必要だ・
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- 初期設定(取引暗証番号や勤務先情報などを登録)
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資金の入金が完了したら、取引が開始できる。
余剰資金で投資を始める時の注意点
投資を始める際には、以下の点に注意をして欲しい。
長期・積立投資でリスクを管理する
投資は長期的に行うことが重要だ。長期的な視点をもってすれば、市場の一時的な変動に一喜一憂せず、リスクを管理できる。
また、一度に大金を投資するのではなく、定期的に一定額を投資する積立投資も有効だ。これにより、時間分散効果が得られ、リスクを軽減できる。
自分に適したバランスを維持する
投資を始める際は、自分のリスクとリターンを適切にバランスさせることが重要だ。
これは、資産を適切に配分する分散投資により実現できる。
注意して欲しいのが、投資を始めたらそこで終わりではないという点であり。運用後も継続的に管理しなければ、資産が特定クラスに偏りすぎてリスクが増大したり、リターンが低下したりする可能性があるからだ。
安定的な資産拡大のためには、長期的な管理が必要だという点も覚えておこう。
税金や手数料を勘案して投資効率を上げる
投資では、税金や手数料も重要な考慮事項である。とくに長期投資においては、税金や手数料がリターンを圧迫する要因となるからだ。
そのため、可能な限り税制優遇制度を活用することや、できるだけ手数料の安い商品を選択することが望ましい。
新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)での取引は、投資からの利益にかかる税金の負担を軽減できる。
新NISAなら、一人につき1,800万円まで、年間合計360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の非課税限度枠の利用が可能だ。
余剰資金での投資の相談は誰にするべき?
ここまでで、投資を始めるところまでの方法を、具体的に解説してきた。
しかし、これはほんの一例である。「資金のどの程度を投資すべきか」という疑問に対する答えは、投資家の状況により異なる。
投資判断や資産管理における専門家の重要性
よって投資家は、自身の目標とリスク許容度に合わせて、個別に最適化していかなければならない。
資産形成は、単なる「株の売買」にとどまらない。資産配分や商品の選定のみならず、税金や手数料の管理、そしてリバランスを含む長期的な資産管理が必要となる。
だから、個人投資家が資産形成を目指すなら、広範な知識と経験をもつ専門家の助力が不可欠なのだ。
IFAに相談するメリット
投資の相談先としておすすめしたいのがIFA(独立系フィナンシャルプランナー)である。
IFAは特定の金融機関に属さず、個人として投資家にアドバイスをする金融・投資の専門家だ。
だから、投資家の状況に合わせた最適な投資商品を推薦することも可能である。長期的な関係を構築し、ライフステージ変化に合わせた細やかなリバランスにも対応してくれる。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法と利用推奨
IFAを探すなら、検索サービス「資産運用ナビ」の活用をおすすめする。
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投資を始める前に余剰資金を計算しよう
本記事では、投資に回せる資金としての「余剰資金」に着目し、その定義から計算方法までを詳しく解説した。
証券口座で投資商品を売買すること自体は、とくに難しいものではない。
しかし、投資目標に沿った資産配分の決定や投資商品の選択、適切な管理を行うことは難しい。
投資を始める際は、疑問や不安を解消し、納得したうえで臨むことが不可欠だ。
ぜひ「資産運用ナビ」で最適な相談相手を見つけ、良い投資スタートを切って欲しい。
初回相談は無料だ。「どこから始めるべきかわからない」という不安でも構わないので、まずは気軽に、相談してみてはいかがだろうか。