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新NISAのつみたて投資枠を妻名義で利用する際の贈与税ガイド

この記事で解決できるお悩み
  • 妻名義でつみたて投資枠を活用した投資を始めたい
  • 夫婦間の投資資金の贈与に関連する税金の仕組みを理解したい
  • 夫婦の資産形成に新NISAを活用するメリットと注意点を理解したい

家族で資産形成を進めるために、夫婦で協力して投資を始めようと考えている方も多いだろう。

とくに新NISAのつみたて投資枠を活用した資産形成は、非課税での運用となり、非常にメリットが大きい。

この記事では、夫婦間で投資資金をやりとりする際の贈与税の考え方や、夫婦二人で資産形成を進める際に役立つ情報を整理して詳しく説明する。

ぜひ最後まで読み進め、夫婦の資産運用に役立ててほしい。

目次

新NISAのつみたて投資枠と妻名義のための贈与税の基本

妻に投資資金を渡したら、贈与税はかかるのだろうか。

新NISAを使うと、他の税金もかからないのだろうか。

夫婦が投資に取り組む際の税金の考え方をここではまず確認しておこう。

夫婦間の贈与税の概要

贈与とは、自分が保有している財産を、無償で相手方に与える行為のことだ。

贈る方(贈与者)と受け取る方(受贈者)の合意があって成立するため、どちらか一方の意思表示だけでは認められていない。

これは、夫婦の間であっても例外はなく、財産のやりとりがあり両者が合意していれば贈与税の対象となる。

もちろん、親子間や兄弟姉妹間など、他の親族間であっても同様だ。

ただし、贈与税には年間110万円までを非課税とする制度(暦年課税制度)があるため、その範囲内であれば、税金がかかることはない。

また、家族の生活費や子どもへの仕送りなど、扶養義務に基づくやりとりはもともと非課税である。

なお、妻がパートやアルバイトをしていても、年収103万円以下であれば配偶者控除を受けられるが、夫から贈与を受けて合計が103万円を超えた場合も、扶養を外れて税金がかかるのだろうか。

結論は、贈与は所得ではないため、合計103万円を超えても、特に関係ないので安心してほしい。

新NISAと贈与税の仕組み

2024年から始まった新NISAとは、少額投資非課税制度のことだ。

株式投資や投資信託などの運用を行った利益に対する税金が、非課税になるという点が、一番の特徴でありメリットである。

普通、株式投資や投資信託で利益(株式売却益や配当等の運用益など)が出ると、その利益に対して約20%の税率で課税されることになる。

しかしNISAなら、この課税部分がまるまる非課税となるのだ。

たとえば、株式投資で100万円の利益が出た場合、20万円以上の税金が差し引かれることとなる。

だがNISAを活用することで、利益100万円をまるまる手元に残すことができる。

この差額を再投資に回すことができれば、複利効果で資産をさらに大きく増やすことが可能だ。

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがある。

新NISAとしての年間投資上限額は合計360万円と決まっているが、内訳はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円と分けて利用可能だ。

では、専業主婦の妻が、新NISAのつみたて投資枠を使って投資を行う場合は、どうすればいいだろうか。

新NISAの口座は一人一口座を持つことができるので、まず夫と妻で別々の口座を開設しよう。

もちろん、同じ証券会社でも別なところでもかまわない。

そのうえで、先ほど説明した贈与税の非課税枠110万円分までを使って、新NISAのつみたて投資枠で投資を始めよう。

夫から受け取ったお金が年間110万円までなら、贈与税はかからないし、つみたて投資枠では年間120万円までなら投資して利益が出ても非課税となる。

妻が夫から110万円を超える金額を受け取ってしまうと、贈与税の対象となるため、超えないように注意しよう。

なお、110万円以内のお金を受け取るときは、まず夫から妻の銀行口座に送金(または振り込み)してもらうこと。

その後、妻は自分の銀行口座から新NISAの口座へお金を入金する。

夫が直接入金などを行ってしまうと、名義貸しと疑われる可能性があるからだ。

新NISAで投資を始めるメリット 

新NISAで投資を始めるメリットは以下の通り3点だ。

複利効果による資産増加

新NISAは非課税期間に制限がないため、生きている限り何十年も非課税のまま投資を続け、複利効果で増やすことができる。

複利効果とは、投資で得た利益を元本に組み込んで再投資を行い、資産をどんどん増やすことができる仕組みのことだ。

大きな節税効果

新NISAを使った投資で得た利益がすべて非課税となるため、税金を気にすることなく、資産を最大限に増やすことができる。

インフレリスクへの対策

インフレとは、物価が上昇しお金の価値が下がることで、インフレが起こると同じ金額でも買えるものが少なくなる。

実際、日本ではこの2-3年継続的に物価が上昇しているが、現金は額面通りの価値から変わらないため、預貯金や現金のままお金を持っていても価値は目減りすることになる。

長期間かけて新NISAを活用することで、インフレリスクから資産を守ることができるだろう。

妻の名義で新NISAつみたて投資枠を活用するメリット

妻が新NISAのつみたて投資枠を活用して資産形成を進めると、夫一人のときに比べてメリットが大きい。

具体的なメリット3点を確認しよう。

非課税枠を増やすことができる

新NISAの口座は、一人一口座持つことができるので、夫婦それぞれで口座を開設することができる。

贈与税の非課税枠110万円までなら、妻は夫から贈与税のかからない資金を受け取って投資を始められるし、妻がもともと資金を持っていたのなら、それを新NISAの口座に回せばいい。

これにより、一人のときよりも多くの非課税枠を使うことができる。

リスク分散しながら資産形成できる

投資には、価格変動リスクやカントリーリスクなど、さまざまなリスクが伴うものだ。

夫婦それぞれで異なる投資信託を選ぶことで、リスクを分散することができる。

たとえば、夫は長期投資向けのインデックスファンド、妻は10-15年程度の中期投資向けのバランスファンドなど、リスク許容度合いを変えながら最適な商品を選ぶことができる。

ライフプランに柔軟に対応できる

二人分のつみたて投資枠を、家族での投資目的に合わせて使い分けができる。

夫の方は、20-30年後の老後に向けた長期投資用として長く保有する。

妻の方は、教育資金や住宅資金など、10-15年程度の中期投資のために使用するなど、ライフプランに合わせた活用が考えられる。

妻の名義で新NISAのつみたて投資枠を活用する注意点

妻名義でつみたて投資枠を活用することは、夫婦での資産形成を進めるうえで非常に有効だが、メリットだけでなく注意点も理解しておきたい。

妻が自分で口座開設、投資判断を行う

新NISAの口座自体は妻名義であるため、口座の名義貸しを疑われないためにも、妻が自分で手続きを行う必要がある。

また、投資判断もNISA口座の持ち主である妻が自分で行わなければならない。

夫はあくまで妻の銀行口座へ送金することができるのみで、夫の銀行口座から直接妻のNISA口座へ入金することはできない。

贈与税の対象とならないようにする

新NISAつみたて投資枠の年間投資額は120万円なので、知らずに満額分を夫から妻へ贈与してしまうと、贈与税の対象となる可能性がある。

非課税枠110万円を超えないよう、年間の贈与金額には注意しよう。

夫婦間での資金移動がある場合は、新NISAの活用に限らず、贈与税のルールを正しく理解しておくことが重要だ。

夫婦間で投資方針を共有しておく

夫婦間で投資目的やリスク許容度を共有し、共通の投資方針を立てるということが最も重要となる。

もちろんあえて投資方針を別々に立てて、夫婦それぞれの口座で異なる運用を行うことも可能だ。

定期的にコミュニケーションを取り、投資状況や運用成績、今後の方針について話し合うことが大切だろう。

妻の名義で始める新NISAや贈与に関する相談はどこに相談するべき?

新NISAを使って夫婦で資産形成を始めるには、専門家に相談することも有効となる。

専門家は、豊富な知識と経験に基づき、あなたの状況に最適な資産運用のための戦略作りをサポートしてくれるはずだ。

新NISAの活用における専門家の重要性

新NISAは、長期的な資産形成を目指すすべての投資家にとって有効な制度だが、いかに低リスクで活用するかについては専門知識が必要となる。

自分で調べて取り組むことも重要だが、専門家に相談することで自身の時間と手間を省くこともできるはずだ。

専門家は、とくに以下の点について、重要な役割を果たすだろう。

新NISAに関する知識

専門家は、新NISA制度に関する深い知識を持っているため、投資家にとって最適な投資方法をアドバイスすることができる。

リスク管理のアドバイス

専門家は、投資リスクを理解し、リスクを軽減するための方法を助言できる。

時間と手間の削減

専門家は、投資家にとって必要な情報収集や分析を日々行っており、効率的に提供してくれるので、あなたにとっては時間と手間の削減につながるはずだ。

専門家とは、証券会社のコンサルタントや銀行員、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などのことをいう。

証券会社や銀行では、投資信託や国債などの金融商品を販売しているため、その商品に関する情報を得ることができる。

また、IFAは、資産運用やポートフォリオ管理に関する全般的なアドバイスを受けることができるだろう。

資産運用アドバイザーの選び方とIFAのメリット

ただやみくもに投資を始めるのではなく、あなた自身の収入や資産状況、資産運用に対する考え方などをもとに、個別の投資計画を立案することで、将来の資産形成を効率的に進めることができるだろう。

そのための資産運用アドバイザーとして、IFAに任せることをおすすめしたい。

IFAは特定の金融機関に属していないため、顧客の立場に立った客観的なアドバイスを提供することができる。

IFAに相談する具体的なメリットは、以下の通りだ。

客観的なアドバイス

IFAは、金融機関の方針や利益に縛られることなく、顧客目線でかつ客観的なアドバイスを受けられる。

幅広い商品

IFAは、老後の資産形成に限らず、幅広い金融商品のなかから、あなたに合った商品を提案してくれる。

長期的な視点

IFAは、あなたの長期的な目標に沿った資産形成プランを提案してくれる。

IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用推奨

自分に最適なIFAを見つけるために、「資産運用ナビ」という資産運用相談サービスを利用することができる。

「資産運用ナビ」公式ウェブサイトから、希望条件を入力すると、全国のIFAの中から、あなたにぴったりな資産運用アドバイザーを見つけ出してくれる。

このサービスは、日本全国にいるIFAを対象としていて、料金はかからず何度でも相談することができる。

上手に「資産運用ナビ」を活用して、自分に最適なIFAを見つけ出し、新NISAの活用を効果的に進めてほしい。

妻の名義で新NISAつみたて投資枠を始めるなら贈与税に気をつけよう

本記事では、贈与税の正しい理解と新NISAのつみたて投資枠の有効な利用法について説明した。

また、妻がつみたて投資枠での投資を行う際の資金が、贈与税の対象とならないための方法や、夫婦の資産形成に新NISAを活用するメリットと注意点についても詳しく解説した。

なお、新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることをぜひおすすめしたい。

とくにIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれるだろう。

IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAをみつけよう。

新NISAつみたて投資枠の妻の名義の贈与に関するQ&A

新NISA口座は主婦(夫)でも利用できますか?

主婦(夫)でも問題なく利用できる。

新NISA口座は、国民一人ひとりが利用できる制度であり、主婦(夫)かどうかは関係ない。

ただし、以下の条件を満たす必要がある。

  • 日本国内に居住していること
  • 年齢が18歳以上であること
  • 他の金融機関に重複して口座開設していないこと

新NISA口座に妻名義で入金すると贈与税はかかりますか?

年間110万円以内であれば、贈与税はかからない。

夫婦間であっても、財産の移転には贈与税がかかるが、年間110万円までの贈与は非課税となる。

ただし、新NISA口座への入金の際には、夫はあくまで妻の銀行口座へ送金するだけ、夫の銀行口座から直接妻のNISA口座へ入金してはいけない。

妻に投資資金を渡すと贈与税の対象になりますか?

年間110万円以内であれば、贈与税はかからない。

夫婦間であっても、財産の移転には贈与税がかかるが、年間110万円までの贈与は非課税となる。

ただし、投資資金の贈与の際には以下の点に注意しよう。

  • 夫婦間での資金のやりとりが、年間110万円を超えると贈与税の対象となる
  • 入金は、夫から妻の銀行口座へ振り込むなど、贈与であることが明確にわかるようにする

贈与税の非課税枠(110万円)を超えた場合、どれくらいの税金が発生しますか?

贈与税の非課税枠(110万円)を超えた場合の税額は、夫婦間の場合、以下の計算式で算出される。

【贈与税の計算式:一般贈与財産用(一般税率)】

税額= ([贈与額] ― 110万円)× [税率] ― [控除額]

([贈与額] ―  110万円)の計算結果税率控除額
200万円以下10%0円
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
出典:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

例えば、妻から夫に1,000万円の贈与があった場合の贈与税は177万円になる。

【計算結果】
=(1.000万円 ― 110万円)× [税率] ― [控除額]
=890万円 × 30% ― 90万円
=177万円

妻の名義の新NISA口座で投資利益が出た場合、扶養から外れることはありますか?

妻の名義の新NISA口座で投資利益が出た場合でも、妻は扶養から外れない。

妻が新NISA口座で得た利益は、非課税であるため、妻の年間所得額には含まれないからだ。

新NISAを活用すれば、控除への影響を気にせずに、投資に取り組める。

贈与税の申告漏れが発覚した場合、ペナルティはありますか?

贈与税の申告に漏れがあった場合には、ペナルティとして、不足分の税金以外に過少申告加算税がかかる。

過少申告加算税の税率は以下の通りだ。

修正申告の時期新たに納付すべき贈与税額
金額Aより少ない場合金額Aより多い場合
法定申告期限~事前通知前に
修正申告した場合
0%0%
事前通知前~税務調査前に
修正申告した場合
5%10%
税務調査後に修正申告した場合10%15%
※金額A:「申告済みの金額」と「50万円」のどちらか多い方
出典:国税庁「延滞税の計算方法」

さらに過少申告加算税以外に、法定納付期限の翌日から納付日までの日数分、利息に相当する延滞税も課せられる。

夫婦で新NISAを利用する場合、口座は分けるべきですか?またその判断基準を教えてください。

新NISA口座は、以下の理由から、夫婦それぞれで持っておくことをおすすめする。

  • 夫婦あわせた新NISAでの非課税枠が3,600万円に拡大する(1人分は1,800万円)
  • 万一の場合に備えられる
    • 離婚した場合でも、運用していた資産を売却しなくても済む
    • 離婚時には夫婦財産を分割するため、一つの口座で運用する資産は、現金にして分割しなければならない
  • 相続税の節税になる
    • 資産を運用していた人が亡くなった場合、遺族に相続される運用資産には、相続税がかかる

新NISAの非課税利益を最大化するための戦略を教えてください。

新NISAの非課税利益を最大化させるためには、長期・積立・分散投資を心がけよう。

投資期間が長期になれば、市場価格の上昇により、投資資産も大きくなる可能性が高くなる(キャピタルゲイン)

また長期投資では、得られる配当金などが受け取れる回数も増えるため、金額も大きくなる(インカムゲイン)

投資金額が大きくなくとも、積立投資を続けていけば徐々に金額は増えていくため、受け取れる金額も増えていく。

新NISAでは、長期積立投資でキャピタルゲインやインカムゲインが拡大しても、税金はかからない。

さらに投資資産の一部が下落しても、投資を分散しておけば、他の資産が補うため資産は安定的に拡大する。

安定的に拡大するキャピタルゲインやインカムゲインに対し、新NISAの非課税効果は、最大限に発揮される。

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

・本サイト「資産運用ナビ」はアドバイザーナビ株式会社が運営しております。
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・本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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