- 新NISAに確定申告が必要なのか知りたい
- NISAで確定申告が必要になるケースを知りたい
- NISA投資で非課税メリットを享受するポイントが知りたい
NISAは、制度のもとで行った投資から得られた利益に税金がかからない「非課税制度」である。
税金が免除になるため、納税手続きである「確定申告」は原則として必要がない。
しかし、NISA制度の投資でも課税対象になることもある。
また、税金に関するいくつか注意すべき点もある。
そこで本記事では、すでにNISA投資を行っている人や、これから投資を行おうとする人を対象に、本制度と税金および確定申告の関係について解説する。
基本的な項目から、少し細かいポイントまでを網羅的に整理している。
より効率的な資産形成を目指す方はぜひ参考にしていただきたい。
原則として新NISA投資に「確定申告は不要」
NISA口座の取引で得た利益に対しては、原則として確定申告は不要である。
NISAは非課税の枠組み〜確定申告は必要ない
そもそもNISAとは、投資から得られる利益に対する税金が免除される国の制度だ。
税金がかからないので、税金を確定させるために行う「確定申告」は必要ない。
また「源泉徴収」により税金が差し引かれることもない。
2014年に開始されたNISA制度は、制度が大きく改変され、2024年から新たな制度として再スタートを切っている。
非課税となる枠内であれば税金がかからず、それゆえ確定申告を行う必要もない。
旧NISA | 新NISA | |
---|---|---|
非課税保有限度額 | つみたてNISA: 800万円 一般NISA: 600万円 | 総枠: 1,800万円 (成長投資枠だけなら1,200万円) |
非課税投資枠の再利用 | NG | OK |
非課税期間 | つみたてNISA: 20年間 一般NISA: 5年間 | 無制限 |
年間投資枠 | つみたてNISA 40万円 一般NISA 120万円 | 360万円 (つみたて投資枠 120万円、成長投資枠 240万円) |
投資にかかる税金の基本
NISA制度では非課税枠内での投資に対しては税金は免除されるが、一般的には投資から得た所得に対しては、税金が課される。
資産運用から得られる利益には、約20.315%(所得税および復興特別所得税 15.315%+住民税5%)の税金が課せられる。
これは、株式、投資信託、公社債などの金融商品を通じて得る、以下の収益が対象となる。
- 株式・投資信託・公社債の譲渡益
- 投資信託の分配金
- 先物取引等の差益
- 金利収入
- 配当金
税金の納め方は「確定申告」と証券会社に「源泉徴収」をしてもらうやり方がある。
- 参考: 株式・配当・利子と税|国税庁
原則は確定申告不要だが「配当金」には注意
NISA口座で得た収益は原則非課税だが、注意すべき点が一つある。
「配当金」は受取方式によって非課税とならない場合があるのだ。
配当金を非課税にするには受取方法に注意
配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」にしていない場合は、課税対象となる。
NISA口座配当金の受取方法と課税との関係を以下に整理した。
受取方法 | 受取場所 | 配当金/NISA口座 | 売買益/NISA口座 |
---|---|---|---|
株式数比例配分方式 | 証券会社の口座 | 非課税 | 非課税 |
配当金領収証方式 | 郵便局や銀行 | 課税 | 非課税 |
登録配当金受領口座方式 | 指定金融機関 | 課税 | 非課税 |
個別銘柄指定方式 | 指定金融機関 | 課税 | 非課税 |
外国株の配当金には当該国での課税がある
NISAは、日本国内の税制を対象とした制度だ。
そのため、海外の税制や外国で徴収される税金には直接影響を及ぼさない。
たとえば新NISAの成長投資枠を利用して米国株や米国ETFを購入した場合、配当金には米国で10%の税金が課せられる。
NISA以外の口座で行う取引の場合、米国から徴収された10%の税金を、日本の確定申告を通じて還付を受けられる(外国税額控除)。
これは、通常の口座での取引が課税の対象となり、投資家が日本国内と海外の両方で税金を支払う「二重課税」を避けるための制度である。
しかし、NISA口座での取引では、日本国内での税金が免除されるため、二重課税が発生しない。
よって、外国税額控除の対象とはならず、還付も受けられない。
新NISA投資で課税されるケースと確定申告の注意点
「NISA投資は、原則として非課税」と述べてきたが、これには例外がある。
NISA利用でも課税されるケース
NISA制度を利用しても、確定申告が必要になるのは以下の3つのケースだ。
- NISA口座の運用資産を課税口座に移管した
- NISAの非課税枠を超えて金融商品を購入した
- 配当金の受取方式が「株式比例配分方式」以外である
NISA口座の運用資産を課税口座に移管した
NISA口座内で運用していた投資資産を、NISA以外の口座(課税口座)に移管した場合は、課税対象になり、確定申告が必要になる。
新NISAの場合は非課税期間が定められていないため、資産の移管は自分の意志で資産を移した場合に限られる。
一方、旧NISAで運用している場合は、決められた非課税期間が終了すると自動的に課税口座に移管される。
- 一般NISA
- 最長5年
- つみたてNISA
- 最長20年
- ジュニアNISA
- 最長5年
NISAの非課税枠を超えて金融商品を購入した
新NISAの非課税投資枠1,800万円を超える投資は、課税口座での取り扱いとなり、利益等の発生により確定申告が必要になる。
配当金の受取方式を「株式比例配分方式」以外にした
「株式数比例分配方式」以外の方法で配当金を受け取ると、通常通り課税される。
このとき、配当にかかる税金は源泉徴収により徴収されるのが一般的なので、確定申告の必要はない。
確定申告を行う場合の手続き
確定申告は、以下の手順で行う。
- 所得税の確定申告書
- マイナンバーがわかる書類
- 医療費控除等の各種控除証明書
- 源泉徴収票などの収入がわかる書類
- 口座番号がわかる通帳等
NISA投資する人が知っておくべき確定申告のポイント
以下に、NISA投資を行う人が、確定申告について知っておくべき点を2つに絞って解説する。
NISAで獲得した利益は控除計算には入らない
税金には、家族を養う人が税金を減らせる特別なルール「扶養控除」や「配偶者控除」があり、控除を受けるためには所得の額を一定以下に抑えなければならない。
しかし、NISA制度のもとで行った投資の利益は、控除を受けるときの計算には入らない。
よって、投資で資産を増やしながら、税金の支援はそのまま受けられる。
NISA口座での損失は「損益通算」には使えない
NISAは非課税制度なので、そこで損失が出たとしても、他の課税口座の利益と相殺する「損益通算」には利用できない。
NISA口座で発生した損失は、NISA口座において完結し、税金の計算には影響しない。
確定申告を避けたい方必見!新NISAの非課税特典を最大限に活かすポイント
ここでは、NISA投資で受けられる「非課税特典」を最大限に活かすためのポイントを解説していく。
「損失を出さない投資」を心がける
投資において、損失を出さないことが理想的であることは、言うまでもない。
NISA制度を利用する場合は、この点はとくに重要である。なぜなら税金は利益に対してのみ課されるものだから、利益を出してはじめて「NISAの非課税メリットを享受」できるからだ。
前の項で説明したとおり、NISA口座における損失は、損益通算や繰越控除には使えない。
よって、利益圧縮による税負担を軽減するなどの、損失の活用にも使えない。
NISAではとくに、長期・分散でリスクを軽減し、安定した運用を目指すことが大事である。
損失が出ている商品の移管には注意する
値下がりしている投資商品をNISAから課税口座に移すときは、移管の際の価額(時価)が新たな購入額になる。
このため、移管時の価格から株価が上昇した場合は、その利益に対して税金を支払うことになるから、結果として実質的な投資リターンが下がる可能性もある点には注意が必要だ。
- NISA口座でX株を100万円で購入
- 50万円に値下がりしたタイミングで課税口座に移管
- 課税口座にてX株を受け入れ(取得価額は50万円になるため、50万円の損失が確定する)
- X株が80万円まで回復したところで売却
- 30万円の利益が課税対象
上記の例では、Aさんにとっては「取得価額が100万円の株を80万円で売却し、20万円の損失が出た」という認識になるかもしれない。
しかし、制度上では30万円の利益が出ているので、課税の対象となる。
日本株やETFに投資する
外国株などの投資商品からの利益(特に配当金)には、その国の税法に基づく税金を課される場合がある。
税金の支払いを完全に避けたいなら、日本の投資商品に投資することは有効な戦略の一つである。
これにより、外国の税制による影響を受けずに済むからだ。
ただし、国内資産のみへの投資では、多様性とリターンの機会が少なくなる。
ポートフォリオ全体のバランスと投資目標に基づき、慎重に選択することが重要である。
新NISAに確定申告が必要なのか迷ったら誰に相談するべき?
2024年にスタートした新NISAは、投資家にとって格段に使い勝手がよい制度となった。
資産形成を目指すなら、この制度を活用しない手はない。
とはいえ、新NISA制度にはちょっとした落とし穴もある。
これを避けるために、NISAでの投資には、制度にも通じている必要がある。
しかし、投資に必要な知識に加えて細かい点にまで気を配るのは、誰にとっても困難な作業となろう。
すべてを一人で賄おうとするのではなく、専門家の力を活用するのは賢明な選択だ。
NISA投資で失敗を避けるには専門家の力が必要
NISAの最大のメリットは、投資利益に税金がかからないという点だ。
この非課税特典を理解し活用できるか否かが、資産形成における成功のカギとなる。
しかし、この記事でみてきたとおり、NISA制度には注意すべき点がいくつかある。
なんとなくの思い込みで投資をしてしまうと、思わぬ落とし穴にハマッてしまうおそれがあるのだ。
これを避けるためには、制度を深く理解した専門家の力を活用するのが極めて有効なのである。
NISAでの資産形成におけるIFAの役割
とくにおすすめしたいのが、独立系ファイナンシャルアドバイザーである「IFA」だ。
IFAは、投資知識だけでなく、投資制度や税制にも詳しい。
特定の金融機関等に属していないため、客観的かつ中立的な立場から、個々の投資目標や計画に合わせたアドバイスを提供できる。
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新NISAに確定申告は原則不要
本記事では、新NISA投資における税金の扱いについて、「確定申告は必要か?」という視点から詳しく解説した。
NISA制度では、投資から得た利益には原則課税されない。
しかし、特定の状況では課税対象となり得るし、その場合は確定申告が必要になることもある。
NISAで投資をはじめるのは難しくない。
しかし、細かい点に気をつけなければ「損」をしてしまうこともある。
長期投資において重要なのは、利益を出すことだけではない。
それ以上に、出ていく「コスト」を抑えて利益の流出を最小限にすることにある。
そのためにぜひ、IFAという専門家の力を利用していただきたい。
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