- 相続税対策の具体的な方法が知りたい
- 相続税対策として何が効果的か知りたい
- 相続税対策にどのような注意点があるか知りたい
築き上げてきた資産を家族に遺していく際、大きな負担となるのが「相続税」である。
しかし相続税は生前に対策を練っておくことで負担を軽減できるため、早いうちから準備を進めておくことが大切だ。
本記事では、相続税対策の方法や対策を行うメリット・注意点、相続税対策においてよくある誤解について解説する。
また、相続税対策の相談先についても紹介するので、ぜひ本記事を参考に相続税の負担を軽減させる取り組みを実践しよう。
効果的な相続税対策の方法
相続税対策にもさまざまな種類があるが、なかでも効果的な方法として以下の3つが挙げられる。
- 生前贈与
- 生命保険の活用
- 不動産の活用
それぞれの方法について解説する。
生前贈与
生前贈与とは、生きている間に財産を贈与して相続財産を減らす取り組みのことだ。
相続税は相続財産に税率をかけて算出する仕組みであるため、相続財産自体が減ることで税負担も軽減できる。
通常、贈与を行う際にも税金がかかるため、税金対策にならないと感じる方もいるだろう。
しかし一定の要件を満たすことで贈与税が非課税となる仕組みを活用すると、税負担をかけずに相続財産を減らすことが可能だ。
一般的な生前贈与の方法として「暦年贈与」というやり方がある。
贈与税の基礎控除枠である年間110万円以内の贈与を繰り返すことで、贈与税をかけずに相続財産を減らせる。
110万円の基礎控除枠は贈与される側に設けられているため複数人に贈与を行えば、より相続財産を減らせる。
また、特例制度の活用によって非課税での贈与も可能だ。
主な特例制度は以下の通りである。
- 教育資金贈与の非課税措置(1,500万円まで)
- 結婚・子育て資金贈与の非課税措置(1,000万円まで)
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置(1,000万円まで)
暦年贈与や特例制度を上手く活用し、相続財産を生前から減らしておく取り組みが「生前贈与」である。
生命保険の活用
被相続人が保険料を負担していた生命保険の保険金には相続税がかかる。
しかし受取人が相続人である場合は「500万円×法定相続人の数」までは非課税となる仕組みがある。
現金で相続するよりも、生命保険を活用して保険金として相続する方が負担を軽減できる場合があるのだ。
例えば、法定相続人が配偶者と子どもの計2人であれば、非課税枠は「500万円×2人=1,000万円」となる。
配偶者1人で1,000万円の保険金を受け取ったとしても非課税になる仕組みだ。
保険金を非課税枠内に設定し、相続人を受取人として設定しておくと生命保険を活用した相続税対策が可能となる。
不動産の活用
現金を不動産に換えて相続を行うことで税負担を軽減させるという方法もある。
「不動産の相続税評価額は不動産自体の時価よりも低く評価され、その分だけ税額も少なく計算される」という仕組みを活用する方法だ。
例えば3億円の遺産がある場合、すべて現金で相続する場合は相続税評価額が3億円となる。
一方で時価3億円の不動産に換えて相続し、相続税評価額が2億4,000万円と評価された場合は6,000万円分評価額を圧縮できることになるのだ。
さらにアパートやマンションなどの賃貸不動産を購入した場合、より相続税評価額を圧縮できる。
賃貸不動産であれば継続的な家賃収入も見込めるため、相続税対策をしながら資産運用を行うことも可能だ。
大規模な資産を有している場合は現金のみで相続するのではなく、賃貸不動産などに換えておくことを推奨する。
相続税対策のメリットと注意点
次に、相続税対策を行うことによるメリットと注意点についてそれぞれ解説する。
魅力的な側面と注意すべき側面を両方理解し、相続税対策を実践していこう。
相続税対策のメリット
相続税対策を行うメリットとして以下の3点が挙げられる。
- 税負担の軽減
- 資産のスムーズな移転
- 家族間のトラブル防止
それぞれのメリットについて解説する。
税負担の軽減
まず、もっとも大きな利点が「税負担を軽減できる」という点だ。
相続財産を圧縮させることで残された家族の税負担を軽減できる。
例えば以下のケースにおいて相続税額がどの程度軽減できるのかを確認してみよう。
- 本来の課税遺産総額
- 1億5,000万円
- 生前贈与等で圧縮した金額
- 3,000万円
- 相続人
- 配偶者のみ
1億5,000万円に対する相続税は税率40%・控除額1,700万円で計算される。
本来であれば「1億5,000万円×40%−1,700万円=4,300万円」となる。
しかし3,000万円分が圧縮された場合は1億2,000万円に税率をかけて計算するため、税額は「1億2,000万円×40%−1,700万円=3,100万円」となる。
相続税対策をする前の税額と比較して1,200万円も負担を軽減できている計算だ。
なお、実際は、法定相続人が配偶者のみの場合には配偶者の法定相続分(100%)が「配偶者控除」の対象となるため、相続税はかからない。
上記の計算はあくまで一例だが、それでも税負担を大きく軽減できる点はかなりのメリットと言えるだろう。
資産のスムーズな移転
生前贈与や生命保険を活用した相続税対策の場合は「資産をスムーズに引き継げる」という点もメリットとして挙げられる。
納税資金や葬儀費用、死後の整理資金などを速やかに準備できる点は大きな魅力だ。
被相続人の死後、預金口座が凍結されて遺産分割協議が終わるまでの間は預金が引き出せなくなってしまう。
残された家族がすぐに遺産を受け取れず、相続税の納税等によって大きな負担になってしまう可能性がある。
事前に財産を引き継ぐ生前贈与や、申請してすぐにまとまった保険金を受け取れる生命保険を活用し、死後の出費に家族が対応できるようにしておこう。
家族間のトラブル防止
生前から相続に向けた準備を進めておくことで、相続発生後の家族間のトラブルを防止できるというメリットもある。
多額の金銭が絡む相続は家族間でもトラブルに発展する可能性があるため、事前に準備しておくことが大切だ。
例えば生命保険を活用する場合、保険金の受取人を指定できる。
誰がどのように相続するのかという点が明確になるため、トラブルを回避しやすくなる。
早いうちから相続税対策を始めておき、残された家族がトラブルなく財産を引き継げるように準備しておこう。
相続税対策の注意点
相続税対策はメリットばかりではなく、注意すべき点もある。主に以下の3点に注意しておこう。
- 法的リスク
- 家族間のトラブル
- 資産減少のリスク
それぞれの注意点について解説する。
法的リスク
相続税対策を行う際、法の範囲内で適切に取り組むことが大切だ。
不適切な対策によって「脱税行為」とみなされてしまうと、贈与税や相続税の追徴課税を受ける可能性があるため注意が必要だ。
適切な相続税対策を把握したいのであれば、専門家である税理士・弁護士等への相談を推奨する。
家族間のトラブル
先ほど解説した通り、相続においては家族間でのトラブルが起こり得る。
事前準備が不十分だとトラブルの原因になる可能性があるため、問題なく資産を引き継げるように準備しておこう。
家族が集まる場で相続についてのコミュニケーションを取ったり、専門家に相談したりしながら十分な相続税対策を行っておこう。
資産減少のリスク
相続税対策のために不動産や生命保険を活用すると、資産が減少するリスクがある。
税負担を軽減させるための取り組みで資産を減らしてしまっては元も子もないため、リスク管理を徹底しておこう。
特に、不動産については災害で物件が倒壊したり、需要の減少によって不動産自体の価格が低下したりする恐れがある。
「複数のエリアの物件を購入して災害リスクを分散する」「需要が見込まれるエリアに投資を行う」といったリスク管理が重要だ。
相続税対策でよくある誤解
次に、相続税対策においてよくある誤解を紹介する。
以下の3点は誤解されやすい部分であるため注意しておこう。
- 対策を行えば相続税がなくなる
- 現金手渡しならバレない
- 生前贈与で相続財産をたくさん減らせる
それぞれの内容を解説する。
対策を行えば相続税がなくなる
「対策をすれば相続税がなくなる」という誤解をしているケースは少なくない。
しかし相続税を完全に免除する方法はなく、あくまでも負担を軽減させる取り組みであることに注意が必要だ。
強いて言えば、相続税対策によって基礎控除の範囲内に収まった場合は相続税を負担せずに済む。
相続税の基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で算出される。
例えば、法定相続人が2人の場合は「3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円」が基礎控除となる。
遺産が5,000万円であれば基礎控除を超えるため課税されるが、相続税対策によって800万円以上を圧縮できれば基礎控除のなかに収まるため課税対象とならない。
基本的には相続税がなくなる方法はないが、基礎控除の範囲内に収まった場合のみ課税されなくなるという仕組みを頭に入れておこう。
現金手渡しならバレない
「資金の引き継ぎを手渡しで行えばバレない」と考えるケースもある。
銀行振込などと違って履歴が残らないためバレないのではないかと誤解されがちだが、税務署に把握される可能性が十分にあるため注意が必要だ。
税務署では預貯金の流れや資産の保有状況などを把握しており、不審な点があれば調査を行う。
不明瞭な資金の流れがあったときにはバレてしまう可能性が高く、隠し通すことは容易ではない。
隠そうとせずに適切な申告を行い、健全な相続税対策を実践しよう。
生前贈与で相続財産をたくさん減らせる
「生前贈与を活用すれば相続財産をたくさん減らせる」という誤解も少なくない。
しかし残念ながら生前贈与で非課税となるのは年間110万円であり、それ以上の額を贈与した場合は基本的に贈与税の対象となるため注意が必要だ。
また、相続開始前7年以内の贈与については、相続税の計算上は相続財産に加算される。
生前7年分の贈与は相続税対策において無効となってしまう点も気を付けておきたい。
生前贈与を行う際はなるべく早くから取り組んでおき、年間110万円の非課税枠を有効活用しよう。
相続税対策の相談先はどこが良い?
ここまで相続税対策の方法や注意点などを解説してきたが、適切な対策を行わないとトラブルになる可能性がある以上、専門家に相談した方が良いだろう。
相続税対策の相談先として以下のような選択肢がある。
- 税理士
- 金融機関
- IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
それぞれの相談先について特徴を解説する。
税理士
税金に関する専門知識を有する税理士は、相続税についての最適な対策法を提案してくれる。
最寄りの税理士事務所などに相談を行い、専門家による的確な助言を受けると良いだろう。
税理士に相談を行うことで、資産や相続人の状況に応じた最適な相続税対策の方法をアドバイスしてもらえる。
具体的な税額の計算や申告手続きまでサポートしてもらえるため、安心して相続に向けた準備を進められるだろう。
信頼できる税理士を探し、相続・贈与などの問題を相談しておこう。
金融機関
銀行や証券会社、保険会社などでも相続に関するアドバイスを得られる。
税理士のように税額の計算や申告手続きのサポートなどは提供できないものの、相続・贈与に適した商品などを提案してもらえることが特徴だ。
普段利用している金融機関などで相談してみると良いだろう。
ただし、金融機関で相談すると不要な商品を提案されたり、手数料が高い商品の勧誘をされたりする可能性がある。
提案・勧誘にストレスを感じてしまう可能性がある点に注意が必要だ。
IFA
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、金融機関から独立した立場で顧客の資産運用を助言する専門家である。
顧客に対しての中立性を保っており、無理な勧誘・提案などをされる心配がない点が魅力の相談先だ。
IFAは主に資産運用のサポートを専門としているが、顧客からの相談を受けて生命保険や相続・贈与などのサポートも行える。
外部の税理士等と連携し、相続税対策に関するコンサルティングを提供できる。
相続税対策を含めた総合的な資産運用プランを検討できることが特徴だ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」では、あなたにぴったりのIFAを無料で紹介するサービスを提供している。
フォームに希望条件を入力するだけで、資産状況や運用目的にぴったりのアドバイザーが紹介される仕組みだ。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できるIFAに資産運用や相続税対策の相談をしてみてはいかがだろうか。
効果的な相続税対策を実践しよう
相続税対策には「生前贈与」「生命保険の活用」「不動産の活用」といった方法がある。
相続税対策には家族間でのトラブル防止やスムーズな資産の移転、税負担の軽減といったメリットがあるため、効果的な対策方法を検討しよう。
また、相続税対策は適切に行わないとトラブルに発展する可能性もあるため、専門家の力を借りることを推奨する。
税理士や金融機関などでも相談できるが、IFAという相談先の選択肢もおすすめだ。
資産運用や相続税対策を総合的に支援してもらうことができ、資産の管理・運用において信頼できるパートナーとなってくれるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」では、あなたにぴったりのIFAを無料で紹介するサービスを提供している。
ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用し、信頼できるIFAに相続税対策の相談をしてみてはいかがだろうか。