- がん保険の保障内容を把握したい
- 各社の保障内容を比較したい
- 自分に適したがん保険を選びたい
本記事では、がん保険の仕組みや保障内容、保険商品の比較や最適な保険の選び方について解説していく。
がんは、日本人の2人に1人が発症する病気であり、備えるべき身近なリスクの一つだ。
この病気に特化した保障をそろえた「がん保険」を詳しく理解されていない方も多いのではないだろうか。
さまざまな保険会社が多彩な保険商品を販売しており、どの保険を選ぶか迷うこともあるだろう。
がん保険の加入を検討している方や、既に加入中の保険を見直したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
がん保険の仕組みと保障内容
ここでは、がん保険の仕組みや保障内容、加入するメリット・デメリットを解説する。
がん保険は医療保険の一種であり、入院や手術にともなう医療費を保障してくれる。
一般的な医療保険は、さまざまなケガや病気の保障をするが、がん保険の保障対象は「がんのみ」だ。
しかし生命保険文化センターの調査では、がん保険の加入率は39.1%と高い。
なぜ多くの人ががん保険に加入するのか、ここでの説明がその理由になるだろう。
- 出典:公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」 P77 「<図表 II-35> ガン保険・ガン特約の加入率」全生保データより引用
がん保険の仕組み
がんという病気は、他の病気とは異なる特性を多くもつため、その治療法は特殊なものが多い。
そのため、がん保険の保障対象としては、抗がん剤治療や放射線治療など、がんの特殊な治療に対応した保障が備えられている。
また、がんは転移・再発のリスクが高く完治も難しいため、一般的に治療完了後5年の間に再発しなければ、治癒したとみなされる。
療養が長期間となるため、一般的な医療保険と異なり、がん保険には入院1回あたりの給付日数や通算給付日数に上限がない。
その一方、それぞれの給付金については限度額が定められている。また、がん以外の病気治療に対しては一切保障を受けることができない。
がん保険の保障内容
具体的な保障内容として、がん保険の給付金を紹介する。なお、下記に取り上げる給付金の具体的な金額目安が知りたいという方には、がん保険の保険金額についてまとめたこちらの記事がおすすめだ。
がん保険の給付金
- がん診断給付金
- がんと診断されたらもらえる一時金。治療開始前でも受け取れる。
- 通院給付金
- 通院治療の際に受け取れる給付金。入院前後や入院しない場合など、給付にはさまざまなタイプがある。
- 抗がん剤治療給付金
- 所定の抗がん剤治療を受けた場合に受け取れる給付金。
- 放射線治療給付金
- がんの放射線治療を受けた場合に受け取れる給付金。
- がん先進医療給付金
- 厚生労働省が定めた最新の医療機器や薬を使った治療方法で、技術料が公的医療保険の対象外になっている治療を受けた場合に受け取れる給付金。
- 入院給付金
- がん治療のため入院したときに受け取れる給付金。
- 手術給付金
- がんの手術をした場合に受け取れる給付金。
- 死亡保険金
- がんで亡くなった際に受け取れる給付金。
なかには女性特有のがんに手厚く、乳がんの切除手術後の乳房再建まで保障する保険商品もある。
各保障内容に該当した場合には、原則診断書を提出することでがん保険が適用される。
また、これらの給付金の他にお得な付帯サービスを設けている商品も多い。がん保険の付帯サービスについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事を参照してほしい。
がん保険加入のメリット・デメリット
がん保険の特徴を、メリットとデメリットに整理する。
メリット | デメリット |
---|---|
がんと診断されたら、治療開始前でもまとまったお金が受け取れる。 通院治療も保障がある。 がん治療を専門にした保障がそろっている。 長期入院や、がん再発により何度も入院しても、保障する入院日数に上限がない。 | がん治療以外の医療費は保障しない。 90日間の免責期間がある場合が多い。 すでに、生命保険や医療保険などに加入していると、保険料が増えるため、家計の負担になる。 |
なお、デメリットに取り上げた免責期間については、正しく認識できていなければ万一の際に給付金が受け取れないという事態にもなりかねない。
がん保険にまつわるトラブルやその対処法についてもしっかりと確認するように心がけよう。
がん保険の保障内容を比較してみよう!
ここでは、いくつかのがん保険を実際に取り上げて比較してみる。
2023年11月時点での「価格.com保険」の調査から、価格.com保険ユーザーの申し込みが多い上位3商品を取り上げる。
なおランキングの結果は調査実施時期によっても変わるため、順位も随時変動することをご了承頂きたい。
また今回はランキング外ではあるが、がん保険・医療保険の保有契約件数が第1位である保険会社の保険商品も紹介する。
がん保険選びの参考にしてほしい。
アクサダイレクト生命保険“アクサダイレクトのがん終身”(ランキング1位)
この保険を販売しているアクサダイレクト生命保険は、フランスに本社を置く世界最大級の保険グループの会社だ。
2006年に設立した、インターネット専業生命保険会社が販売しているがん保険がランキング1位だ。
- 保障内容(主契約の保障)
- がん診断給付金
- 入院給付金
- サンプル保険料(30歳男性):月々1,710円
- その他特徴や注意点
- 終身保険のため、保険料や保障内容は生涯変わらないが、解約返戻金はない。
- セカンドオピニオンや治療法の相談を受けてくれる専門臨床医を紹介してくれる。
- がん診断給付金や、上皮内新生物の手術での手術給付金の支払いは、ともに保険期間中1回のみ。※
- 出典:アクサダイレクト生命保険「アクサダイレクトのがん終身」
- 上皮内新生物とは、がん細胞が上皮内にとどまって、まだ組織の深い部分まで広がっていないがんのこと。
この保険では、手頃な保険料で「がん診断給付金」と「入院給付金」という、がん治療に必要な最小限の保障が受けられる。
ライフネット生命“がん保険ダブルエール”(ランキング2位)
ライフネット生命は、2006年に創立したKDDIグループで金融事業を行うauフィナンシャルホールディングス傘下の企業だ。
インターネットを主な販売チャネルとする、この保険会社が販売しているがん保険が、ランキング2位だ。
- 保障内容(主契約の保障:シンプルタイプ):がん診断一時金
- サンプル保険料(30歳男性:シンプルタイプ):月々1,209円
- その他特徴や注意点
- 終身保険のため、保険料や保障内容は生涯変わらないが、解約返戻金はない。
- がん診断給付金では、最大300万円までの一時金が受け取れる。
- がん診断給付金の支払いは生涯に1回のみ。
- 「がん生活サポートサービス」として、家事代行など働きながら、がん治療を支援するサービスを提供する提携企業を紹介してくれる。
この保険は、がんと診断されたときに「まとまった一時金が受け取れればよい」と考える人に向いている保険だ。
さらに「治療サポート給付金」があるベーシックタイプ、これに「がん収入サポート給付金」が加わるプレミアムタイプもある。
メディケア生命“メディフィットがん保険”(ランキング3位)
メディケア生命は2009年に創立した、住友生命のグループ企業だ。
インターネットや保険代理店を販売チャネルとする、この保険会社が扱うがん保険が、ランキング3位だ。
- 保障内容(主契約の保障;Ⅰ型)
- 抗がん剤治療給付金(自由診療抗がん剤治療給付金)
- 放射線治療給付金
- サンプル保険料(30歳男性:Ⅰ型):月々1,670円
- その他特徴や注意点
- 終身保険のため、保険料や保障内容は生涯変わらないが、解約返戻金はない。
- 主契約で、自由診療による抗がん剤治療を保障する(一般的には、特約で保証する場合が多い)。
- 保険対象者には、無料オンライン検診、電話でのセカンドオピニオンサービスや女性専用の24時間健康相談サービスが受けられる。
Ⅱ型では、手術給付金や骨髄移植給付金の保障が加わる。
すでに一般的な医療保険に加入しており、さらに抗がん剤治療や放射線治療の保障を加えたい人に向いている保険だ。
アフラック生命“「生きる」を創るがん保険 WINGS”
ランキング外ではあるが、アフラック生命のがん保険も紹介する。
この会社は本社を米国に置き、1974年に日本支店を開設したのち、1990年に日本で最初にがん保険を開始した。
生命保険の統計データ「インシュアランス生命保険統計号」では、同社のがん保険・医療保険保有契約件数は第1位になっている。
- 保障内容(主契約の保障)
- 要精検後精密検査給付金
- 胃がん・子宮頸がん・肺がん・乳がん・大腸がんの検診の結果、異常が認められ、医師から「要精密検査判定」を受けた場合に受け取れる給付金。
- 診断給付金
- 特定診断給付金
- 以下のいずれかの状態になったときに、契約期間中1回だけ受け取れる給付金。
・前回のがん診断から2年以内に、入院と通院の合計日数が30日に達した場合
・下記の「複数回診断給付金」の支払理由と同じ
- 以下のいずれかの状態になったときに、契約期間中1回だけ受け取れる給付金。
- 複数回診断給付金
- 前回のがん診断から2年以上経過ののち、再度がんと診断されたときに、受け取れる給付金。
- 入院給付金
- 通院給付金
- 治療給付金
- がん治療のため、手術・放射線治療・抗がん剤治療・ホルモン剤治療・緩和療養を受けたときに、受け取れる給付金。
- 特定保険外診療給付金
- がん治療のために、公的医療保険の対象外となる手術・放射線治療・抗がん剤治療・ホルモン剤治療を受けたときに、受け取れる給付金。
- がんゲノムプロファイリング検査給付金
- 公的医療保険の対象外となる、がんゲノムプロファイリング検査を受けたときに受け取れる給付金。この検査は、がん組織から遺伝子の変化や生来の遺伝子との違いを解析し、がんの性質や個人の体質・病状に合わせた治療を行うための検査。
- がん先進医療・患者申出療養給付金/一時金
- がん治療で先進医療または患者申出療養を受けたときに受け取れる。給付金は自己負担額と同等の金額が支払われる(上限あり)。一時金は年1回まで受け取れる。
- サンプル保険料(30歳男性):月々3,704円
- その他特徴や注意点
- 終身保障。ただし上記の①、⑧、⑩は10年ごとに保険料が更新される。
- 解約返戻金は「ありタイプ」と「なしタイプ」のいずれかから選べる。
- がん患者への相談サポートの経験者や看護師などが、治療・療養生活をサポートしてくれる「よりそうがん相談サポート」が利用できる。さらにアフラックと提携した、治療・お金(就労)・生活・こころの各分野のサポートサービスも紹介してくれる。
- オリコン顧客満足度ランキングでの「がん保険部門」で1位(2023年11月時点)。
保険料は割高だが保障は手厚いため「がんに対して万全な備えをしたい」と考えている人に向いている保険だ。
自分に合った保障内容のがん保険の選び方
ここまでがん保険の概要と、いくつかの保険を紹介したが、どれを選べばよいか悩まれている方もいるのではないだろうか。
がんに対しどのような考えをもって臨むか、ひとそれぞれ違うように、最適ながん保険もひとりひとり異なる。
ここでは自分に合ったがん保険を選ぶためのポイントを解説する。
がん保険に求める役割を明確にする
がん保険を選ぶうえでは、その保険になにを求めるかを考えなければならない。
すでに加入している生命保険や医療保険に「がんの備え」を補いたいのか、それともがんに対する万全な対策をもっていたいのか。
前者ならば、ライフネット生命で診断一時金を補うことや、メディケア生命で抗がん剤治療や放射線治療を充実させることも一手だ。
一方後者であれば、アフラック生命の保険商品のように、保障が充実しているものを選ぶべきだろう。
すでに加入している保険も考慮のうえ、がん保険に必要な保障が何なのかを考えることが重要なのだ。
【がん保険】終身型にするか?定期型にするか?
今回紹介したがん保険は終身型ばかりだったが、定期型保険にもよい保険は多い。
また保険会社によっては、保障内容は同じだが、終身型と定期型の両方を販売している会社もある。
定期型は満期のタイミングで、そのときの医療技術や制度に対応した保障内容に変えられる。
また終身保険よりも保険料は割安だが、高齢になると保険料が高くなり、場合によっては加入できないこともある。
現役世代は満期ごとに保障内容を最新化できる定期型に加入し、保険の新規加入ができなくなる前に終身型に加入するという考え方もある。
【がん保険】生命保険や医療保険の見直しも考える
がん保険の必要は感じながらも、がん以外の病気は保障しないため、加入を見送っていることはないだろうか。
がんは死亡率も高く、誰もが発症するかもしれない病気であるため、備えは必要だ。
現在加入している生命保険や医療保険を見直し、重複部分や余分な保障は削り、がん保険の予算を捻出することも考えよう。
それでもがん保険の保険料が捻出できない場合は、生命保険や医療保険のがん特約を付けることも検討してほしい。
自分が加入している保険の保障内容のなかで「がん保障」を何らかの形で組み込むことを検討したい。
がん保険の保障内容や選び方で困ったら「生命保険ナビ」へ
本記事では、がん保険の仕組みや保障内容、各社商品の比較から、自分に適した保険の選び方までを解説した。
がん保険選びには、各商品の特徴を理解し、自分自身の生活環境や経済状況を考慮することも大切だ。
疑問や不安を感じることがあれば、保険のプロに相談すれば、自分に合った保険を見つけるための最適なアドバイスがもらえる。
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