- アクティブファンドがどんなものか知りたい
- アクティブファンドのメリット・デメリットが知りたい
- アクティブファンドを選ぶポイントが知りたい
投資信託とは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめて、運用のプロが株や債券などに投資を行う仕組みの金融商品だ。
投資信託を検討する中で、「アクティブファンドとインデックスファンドの違いがいまいちわからない」「アクティブファンドのメリットとデメリットを知りたい」といった疑問を抱えている人がいるのではないだろうか。
アクティブファンドとは、複数の銘柄によって構成された投資信託の一つで、市場平均よりも高いリターンを目指しているという特徴がある。
本記事では、アクティブファンドの基本原則やメリット、デメリットを解説しよう。
アクティブファンドを選ぶ際のポイントも説明しているので、ぜひ参考にしてほしい。
アクティブファンドとは?基本原則を解説
ここではアクティブファンドの仕組みやインデックスファンドとの違いを解説しよう。
代表的なアクティブファンドも紹介しているので、購入を検討している人は確認してほしい。
アクティブファンドの仕組み
アクティブファンドとは、ファンド・マネージャーが投資銘柄や構成割合を決定して運用する投資信託のことだ。
日経平均株価やS&P500などの指数を上回るリターンを得ることを目的に一定の投資方針にもとづいて運用しており、経済状況や企業の決算を参考にしながら、ファンド・マネージャーが投資銘柄や構成割合を決定している。
アクティブファンドとインデックスファンドの違い
市場平均以上のリターンを得ることを目的としているアクティブファンドと違い、インデックスファンドは特定の指数に連動するように銘柄が選定されている。
そのほかの違いは表にまとめているので、ぜひ参考にしてほしい。
アクティブファンド | インデックスファンド | |
---|---|---|
目指す リターン | 市場平均を上回る | 市場指数(S&Pや日経平均株価に連動) |
構成銘柄数 | 厳選される傾向がある100銘柄以下もある | 基本的に100銘柄を超える 1,000銘柄以上で構成されているものもある |
手数料 | 高くなりやすい | 低コストに抑えられている |
指数にもとづいて選定できるインデックスファンドと違い、アクティブファンドは銘柄選定にコストがかかっている。
そのため、インデックスファンドよりもアクティブファンドの方が手数料が高い傾向がある。
アクティブファンドとインデックスファンドの違いを把握できるように、具体的な銘柄を用いて構成銘柄数と信託報酬を比較してみよう。
銘柄名 | 構成銘柄数 | 手数料 |
---|---|---|
ひふみプラス (アクティブファンド) | 176銘柄 | 1.078% |
たわらノーロード NYダウ(インデックスファンド) | 30銘柄 | 0.2475% |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)インデックスファンド | 2,774銘柄 | 0.05775% |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)インデックスファンド | 503銘柄 | 0.09372% |
出典:レオスキャピタルワークス「ひふみプラス」
出典:eMAXIS「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
出典:eMAXIS Slim「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」
代表的なアクティブファンド
2024年から始まった新NISA制度をご存知だろうか。
本来であれば投資で得た利益に対して約20%の税金がかかるのだが、新NISAであれば税金が課せられない税制優遇制度だ。
投資初心者におすすめの制度なので、新NISAのつみたて投資枠で購入できる銘柄に絞って、代表的なアクティブファンドを紹介しよう。
2024年2月29日時点で、金融庁から認められている銘柄でおすすめのアクティブファンドは以下の通りだ。
- フィデリティ・米国優良株・ファンド
- HSBCワールド・セレクション(成長コース)
- セゾン資産形成の達人ファンド
- 東京海上セレクション・バランス70
それぞれの特徴についてはアクティブファンドの選び方を解説した後に説明しよう。
アクティブファンドのメリット・デメリット
アクティブファンドのメリットは以下の通りだ。
- 市場平均を上回るリターンを得られる
- 投資方針に合った商品を選べる
アクティブファンドは指数以上の成績を目指してプロのファンド・マネージャーが運用しているため、より高いリターンが期待可能だ。
また、相場の下落タイミングでもファンド・マネージャーの運用方法によっては、運用益が出る可能性もある。
インデックスファンドでは相場の影響を大きく受けるため、大きなリターンを狙いつつ下落タイミングにも備えられるのはアクティブファンドの大きなメリットだろう。
また、アクティブファンドには特定ジャンルの銘柄を買い集めるテーマ型と呼ばれる商品があり、投資方針に合った商品を選びやすい。
AI(人工知能)や脱炭素、健康経営などのさまざまな切り口でテーマが設定されており、今後伸びると予想される業界の複数銘柄を同時に購入することが可能だ。
インデックスファンドでは指数に連動するように運用されるため、方針や理念通りに運用するのは難しい。
一方で、アクティブファンドなら、選択時にある程度は自身の意思を反映させられるだろう。
アクティブファンドのデメリット
アクティブファンドのデメリットは以下の通りだ。
- 運用にかかるコストが大きい
- ファンド・マネージャーの銘柄選定によっては市場平均を下回る可能性がある
アクティブファンドはプロのファンド・マネージャーが銘柄選定や分析を行っており、その分のコストが発生する。
そのため、インデックスファンドと比較すると信託報酬が高い傾向にある。
つまり、インデックスファンドとアクティブファンドのリターンがほとんど同じ場合は、手数料の高いアクティブファンドの方が手元に残る資産は少ない。
また、市場平均を超えるリターンを目指せるということは、市場平均を下回る可能性もある。
インデックスファンドよりも不確実性が高く、ファンド・マネージャーの予想が外れると資産が目減りするだろう。
アクティブファンドがおすすめな人
アクティブファンドがおすすめなのは以下のような人だ。
- これから伸びると予想する業界に投資したい人
- 高いリターンを目指したい人
アクティブファンドは運用方針が明確に決まっているため、自身の意向とマッチしている場合は非常におすすめだ。
「AI(人工知能)関連の銘柄を購入したい」「Web3.0に備えてIT系やWeb系の企業に投資したい」など、すでに運用指針が定まっているならアクティブファンドが選択肢に入ってくるだろう。
また、アクティブファンドは、インデックスファンドよりもハイリスク・ハイリターンの投資手法だ。
ある程度のリスクを背負ってでも市場平均を上回るリターンを得たいという人には、アクティブファンドが向いているだろう。
アクティブファンドを選ぶポイントとは?
アクティブファンドを選ぶ際に重視すべきポイントは以下の通りだ。
- 投資テーマ
- 資産クラスの多様性
- 運用実績
- 運用コスト
それぞれについて解説しよう。
また、アクティブファンドごとに表にまとめているので、気になる人はぜひ確認してほしい。
投資テーマ
アクティブファンドには、それぞれ投資テーマが定められている。
商品を購入する際にはファンド情報を見て、投資テーマを確認しよう。
もし投資テーマと自身の運用方針にズレがある場合は、別の商品を購入するべきだ。
AI(人工知能)やSDGs(持続可能な開発目標)といったテーマに沿っているタイプのほか、S&P500やNYダウを運用目標としながらもそれ以上のリターンを狙うタイプもある。
つみたて投資枠で購入できるアクティブファンドは長期・分散投資に適した商品が選ばれているため、特定のテーマよりもある程度は指数に従う商品が多い。
つみたて投資枠で購入できる代表的なアクティブファンドの投資テーマは以下の通りだ。
アクティブファンド | 投資テーマ |
---|---|
ひふみプラス | 「日本を根っこから元気にする」をコンセプトに日本の成長企業へ投資 |
フィデリティ・米国優良株 | 持続可能な競争力を有し、長期利益成長が期待できる米国優良企業へ投資 |
HSBCワールド・セレクション(成長コース) | 世界各国のさまざまな資産への分散投資 |
セゾン資産形成の達人ファンド | 世界各国の株式への分散投資 |
ファンド 東京海上セレクション・バランス70 | 国内商品をメインに据えつつ、世界各国の商品を組み入れるバランス型 |
出典:「フィデリティ・米国優良株」
出典:「HSBCワールド・セレクション(成長コース)」
出典:「セゾン資産形成の達人ファンド」
出典:「ファンド 東京海上セレクション・バランス70」
資産クラスの多様性
資産クラスとは、預貯金や株式、債券といった資産の種類のことを指す。
銘柄が違う場合でも同じ資産は同様の値動きをするケースがあるため、リスクヘッジのために資産クラスを分散させておくべきだ。
アクティブファンドには日本株式や日本債券、海外株式などで構成されている商品があり、それらを選択することによって一定の分散を図れる。
つみたて投資枠で購入できる代表的なアクティブファンドの資産クラスは以下の通りだ。
アクティブファンド | 資産クラス |
---|---|
ひふみプラス | 日本株式 |
フィデリティ・米国優良株 | 米国株式 |
HSBCワールド・セレクション(成長コース) | 世界のさまざまな資産(先進国株式・新興国株式・先進国債券・新興国債券・投資適格債・ハイ・イールド債など) |
セゾン資産形成の達人ファンド | 世界各国の株式(北米43.3%・欧州26.4%・日本12.5%・太平洋2.2%・新興国15.6%) |
ファンド 東京海上セレクション・バランス70 | 日本株式(50%)・日本債券(10%)・外国株式(20%)・外国債券(17%)・短期金融資産(3%) 変動幅は±5%以内に抑制する |
出典:「フィデリティ・米国優良株」
出典:「HSBCワールド・セレクション(成長コース)」
出典:「セゾン資産形成の達人ファンド」
出典:「ファンド 東京海上セレクション・バランス70」
運用実績
ファンド・マネージャーが運用するアクティブファンドでは、インデックスファンドと違ってどの商品を選ぶかによってリターンが大きく異なる。
そのため、テーマだけではなく、運用実績を残しているかも必ずチェックしよう。
運用実績は各ファンドが公表している基準価額と騰落率によって確認可能だ。
基準価額とはアクティブファンドの価格のことで、利益が出ている場合は右肩上がりに上昇する。
騰落率とは、特定の二期間の価格を比較して何%上昇したかを表す指標のことだ。
騰落率がプラスの場合は利益が出ていて、マイナスの場合は損失が出ていることがわかる。
つみたて投資枠で購入できる代表的なアクティブファンドの基準価額と騰落率は以下の通りだ。
アクティブファンド | 基準価額 | 騰落率(運用開始時~2024年3月) |
---|---|---|
ひふみプラス | 60,613円(2024年4月16日時点) | 530.55% |
フィデリティ・米国優良株 | 57,819円(2024年4月15日時点) | 478.19% |
HSBCワールド・セレクション(成長コース) | 13,917円(2024年4月15日時点) | 40.97% |
セゾン資産形成の達人ファンド | 42,634円(2024年4月15日時点) | 329.78% |
ファンド 東京海上セレクション・バランス70 | 34,952 円(2024年4月15日時点) | 249.52% |
出典:「フィデリティ・米国優良株」
出典:「HSBCワールド・セレクション(成長コース)」
出典:「セゾン資産形成の達人ファンド」
出典:「ファンド 東京海上セレクション・バランス70」
運用コスト
市場平均を上回るリターンを期待できる分、インデックスファンドよりも運用コストがかかるアクティブファンド。
たとえ大きなリターンを得たとしても、手数料がかさんでしまっては元も子もない。
そのため、アクティブファンドを選ぶ際には、信託報酬や購入時手数料といった運用コストもチェックしておく必要がある。
現在は購入時手数料が無料のノーロード型の商品が増えているため、基本的には信託報酬をチェックしておけば大丈夫だろう。
つみたて投資枠で購入できる代表的なアクティブファンドの運用コストは以下の通りだ。
アクティブファンド | 信託報酬 | 購入時手数料 |
---|---|---|
ひふみプラス | 1.078% | なし |
フィデリティ・米国優良株 | 1.639% | なし |
HSBCワールド・セレクション(成長コース) | 1.303% | なし |
セゾン資産形成の達人ファンド | 1.54% | なし |
ファンド 東京海上セレクション・バランス70 | 1.3453% | なし |
出典:「フィデリティ・米国優良株」
出典:「HSBCワールド・セレクション(成長コース)」
出典:「セゾン資産形成の達人ファンド」
出典:「ファンド 東京海上セレクション・バランス70」
アクティブファンドを活用した運用の相談は誰にするべき?
ここまでの内容を受けて
「どのアクティブファンドが自分に合っているかわからない」
「アクティブファンドとインデックスファンドのどちらにするか迷っている」
などと思っている人もいるだろう。
アクティブファンドを活用した運用方法で迷っている人には、お金の専門家であるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)への相談をおすすめしている。
ここではIFAの重要性やメリットを解説しているので、活用を検討している人はぜひ確認してほしい。
アクティブファンドを活用した運用における専門家の重要性
アクティブファンドにはさまざまな種類があり、銘柄によって得られるリターンや手数料が大きく異なる。
そのため、銘柄選定に失敗することによって、資産が大幅に目減りする恐れもある。
また、テーマ型を購入すれば投資先の業界が集中しやすいため、アクティブファンド以外を上手に活用して投資先を分散させなければならない。
ただし、アクティブファンドの購入を検討している投資初心者にとって、自身で投資先を分散させるのは難しいだろう。
そこで最初から間違った方向に進んで投資資金を失わないようにするために、資産形成に詳しい専門家への相談を推奨している。
最初に専門家と相談しておくことで自身に合ったポートフォリオを作成でき、安定したスタートを切れるからだ。
銘柄選定やポートキャリア作成に不安がある人は、最初から専門家を頼ってほしい。
IFAに相談するメリット
「アクティブファンドに関する相談を誰にすべきかわからない」という人もいるのではないだろうか。
投資の相談相手が身近にいない場合は、お金の専門家であるIFAに相談してほしい。
IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーの略で、金融機関から独立した存在として運用計画の策定からアフターフォローまでを担当している。
中立的な立場から提案してくれるため、銀行や証券会社でおすすめされる傾向がある手数料の高い商品を避けられるのが大きなメリットだ。
また、IFAが一人ひとりに寄り添った提案力にも定評がある。
一般論ではなく家計状況や投資目標に合わせた提案をしてくれるため、パーソナライズされたアドバイスを聞くことができるのだ。
さらに、金融機関に商品購入を取り次いだ後もサポートは続いており、定期的に商品の見直しをサポートしてくれる。
なお、金融機関のように2〜3年での異動もないため、いつでもお金に関する相談をできる生涯のパートナーになってくれるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用方法とその効果
IFAへの相談を検討している人には、IFA検索サービスである「資産運用ナビ」を活用してほしい。
「資産運用ナビ」はIFAと投資家を結ぶ新たなマッチングサービスだ。
運用目的やライフプランといった情報を投資家が入力すると条件に見合った数名のIFAが紹介され、自ら担当者を決定できるようになっている。
現在「資産運用ナビ」では無料相談を実施しているので、気になる人は問い合わせてみてはどうだろうか。
中立的な立場からアクティブファンドに関するアドバイスを提供してくれるはずだ。
アクティブファンドで投資を始めよう
アクティブファンドとはファンド・マネージャーが構成銘柄や構成割合を分析して決定する投資信託で、市場平均を上回るリターンを目指している。
日経平均株価やS&P500などの指数にもとづくインデックスファンドと違い、高いリターンを狙えるというのが大きなメリットだ。
そして、ファンドごとに投資テーマが設定されており、さまざまな商品から自身の投資方針に合ったテーマの商品を選択できるようになっている。
一方で、「運用にかかるコストが大きい」「ファンド・マネージャーの銘柄選定によっては市場平均を下回る可能性がある」といったデメリットにも注意が必要だ。
なお、アクティブファンドを選ぶ際は、以下のポイントを比較してほしい。
- 投資テーマ
- 資産クラスの多様性
- 運用実績
- 運用コスト
投資初心者におすすめの新NISAのつみたて投資枠で購入できるアクティブファンドのポイントを表にまとめているので、ぜひ確認してほしい。
アクティブファンド | 投資テーマ | 資産クラス | 基準価額 | 騰落率(運用開始時~2024年3月) | 信託報酬 | 買付手数料 |
---|---|---|---|---|---|---|
ひふみプラス | 「日本を根っこから元気にする」をコンセプトに日本の成長企業へ投資 | 日本株式 | 60,613円(2024年4月16日時点) | 530.55% | 1.078% | なし |
フィデリティ・米国優良株 | 持続可能な競争力を有し、長期利益成長が期待できる米国優良企業へ投資 | 米国株式 | 57,819円(2024年4月15日時点) | 478.19% | 1.639% | なし |
HSBCワールド・セレクション (成長コース) | 世界各国のさまざまな資産への分散投資 | 世界のさまざまな資産(先進国株式・新興国株式・先進国債券・新興国債券・投資適格債・ハイ・イールド債など) | 13,917円(2024年4月15日時点) | 40.97% | 1.303% | なし |
セゾン資産形成の 達人ファンド | 世界各国の株式への分散投資 | 世界各国の株式(北米43.3%・欧州26.4%・日本12.5%・太平洋2.2%・新興国15.6%) | 42,634円(2024年4月15日時点) | 329.78% | 1.54% | なし |
ファンド 東京海上セレクション・バランス70 | 国内商品をメインに据えつつ、世界各国の商品を組み入れるバランス型 | 日本株式(50%)・日本債券(10%)・外国株式(20%)・外国債券(17%)・短期金融資産(3%) 変動幅は±5%以内に抑制する | 34,952 円(2024年4月15日時点) | 249.52% | 1.3453% | なし |
出典:「フィデリティ・米国優良株」
出典:「HSBCワールド・セレクション(成長コース)」
出典:「セゾン資産形成の達人ファンド」
出典:「ファンド 東京海上セレクション・バランス70」
具体的なファンドも一部紹介したが、これらはあくまで一例であり、最適解は個人によって異なる。
資産運用について、疑問や不安があれば専門家からアドバイスを受けることがおすすめだ。
特に金融機関から独立した存在であるIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる。
もしIFA探しに困っているならば、IFA検索サービスである「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけてみてはどうだろうか。